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『【読み切り掌編】自分が自分で自分も自分』 作者:プリウス / ショート*2 未分類
全角3502.5文字
容量7005 bytes
原稿用紙約9.3枚
自分が自分と誰が決め。自分を自分と誰が知る。
 はっはっはー。またも一歩が踏み出せない。そんな愚かで可愛い君に、僕からささやかな愛のメッセージ。その一歩、踏み出さないで大正解。一歩踏み出しゃ地獄の底へまっしぐら。大後悔。一寸先は真っ暗あばよ。そんな未来が見え見えさ。だから君は踏みとどまった。臆病風に吹かれてがくがくぶるる。よくやったよくやった。だから君は大正解。一歩も踏み出さないねんねちゃん。
「うるさいよ、俺の影。お前はどっか行っちまえ。俺のことはほっといてくれ。勇気が欲しい、勇気が欲しい」
 そんなつれないこと言わんでよ。僕と君との仲じゃんよ。何気にこれは広島弁? かんらからから。なんだかんだ言ったって、僕と君は一心同体。斬っても切れない間柄。だから僕にはお見通し。君の本心丸裸。全部丸見え素っ裸。本当のところはどうだった? 彼女のことはどうだった? 我に返ればたいしたことない、別に最初からどうとも思っちゃいないさ。
「うるさいよ、俺の影。お前はどっか行っちまえ。俺が何か悪さしたか。これは本気の愛なんだ。初めての気持ち、ろくでもない」
 そうそうそうそうその通り。なんだ良く分かってるじゃないか、安心したよ。そう君の気持ちはろくでもない。たんなる電気信号の迷い猫。ニューロン? シナプス? なんでもござれ。男が頭で恋するものか。ただの肉欲、情欲、性欲、ふしだらさん。本気の愛って何のことだい。どうせまた愛欲を愛と勘違いして、勘違いしたまま愛を語る思春期まっさかりのアホボケちゃん。
「うるさいよ、俺の影。お前はどっか行っちまえ。お前はほんとにろくでもない。何でもかんでも斜に構えて、愛想がない」
 全然全然んなこたない。僕ほど愛想のいい奴ぁない。君のためにこんなにも、一所懸命、懇切丁寧、真剣親身、愛ラブゆう。僕は誰よりも彼よりも世界で一番君が好き。好き好き大好き、R.D.レイン。君が誰にも傷つけられないよう、真綿できゅっとくるんであげる。ゆっくりじわじわ寝かせてあげる。僕ほど優しい君はいない。
「うるさいよ、俺の影。お前はどっか行っちまえ。どうしてそんなに俺をさいなむ。どうしてそんなに俺を虐める」
 うるうるしくしくえんえんえん。お次は泣いておねんねかい? 泣けば誰かが助けてくれる? アドラー先生おなりです。いっちょヒスでも起こしてみるかい? そしたら何も考えず、この場で君がナンバーワン。誰にも負けないナンバーワン。だって君って可哀そう。ヒスっちゃうくらい追い詰められて、ほんとにほんとに可哀そう。
「うるさいよ、俺の影。お前はどっか行っちまえ。俺の気持ちは俺のもんだ。たとえ相手が俺であれ、俺は絶対渡さない」
 やったねついに登場だ。ついに僕がお呼ばれかい。僕は君で君は僕。そういう感じでありゃせんか。深層心理の渦の底。ずぶずぶ沈むは君か僕。どっちがほんとでどっちがほんと? 鏡のようで鏡でない。マザーはファッカーにお怒りだ。眠れよ眠れ、ねんねちゃん。誰も彼もが影をかかえてぐらぐら揺れる、神に仏にユング様。這い寄る混沌ニャルラトホテプ。僕は君で、君は誰?
「うるさいよ、俺の影。お前は俺で俺はお前。お前は何にも分かってねえ。愛欲も情欲も。全部ひっくるめて俺の愛情。どんなに偉い先生方が、偉そうな言葉でカテゴリっても、俺の心は俺のもんだっつの」
 おおっとこいつは驚いた。ここに至りて反撃かい。臆病小虫のちんちくりんが。今さらになって勇敢気取り。分かるよ分かる、よく分かる。君は究極の内弁慶。自分にしか強く当たれないいくじなし。弱虫うじ虫便所虫。君は君で君らしく、君のままでいればいいんだよ。なんてったって君ってば、世界で一つのオンリーワン。かっこ笑い。かっこ悪い。情けないったりゃありゃしない。坊やはさっさとおねんねよ。
「うるさいよ、俺の影。お前は俺で俺はお前。お前は何にも分かってねえ。確かに俺には勇気がねえ。一歩を踏み出す力がねえ。だけど、それだけだ。それだけなんだ」
 はっはっはー。またも一歩が踏み出せない。そんな愚かで可愛い君に、僕からささやかな愛のメッセージ。踏み出さないでもいいじゃない。だって君は君だけのもの。傷つかなくてもいいじゃない。生き方は人それぞれなんだもの。楽したっていいじゃない。なんせ今は個性の時代。引きこもればいいじゃない。学校行かなくてもいいじゃない。恋人なんかいらないじゃん。勉強なんかしなくていいじゃん。だってなんとか生きていける。なんでか知らないけど生きていける。こんな時代に誰がした。誰かを責めてりゃいいじゃない。
「うるさいよ、俺の影。お前は俺で俺はお前。お前はほんとに分かってねえ。全く何にも分かってねえ。俺の気持ちが分かってねえ!」
 いやいやいやいやいやいや。僕には全部お見通し。君の言葉は支離滅裂。論理もくそもありゃしない。ニヒリズム? シニシズム? どっちも君を笑いもの。まさに君は地図の読めない男。ろくな思考もできない男。でも僕にはよく分かる。君の思考がよく分かる。だって僕は論理的。客観的で超冷静。
「うるさいよ、俺の影。お前は俺で俺はお前。俺もお前がよく分かる。なんせお前は俺自身。お前の思考は俺の思考。だけど大事なことを忘れてる。俺は俺の気持ちが分からない。なのにどうしてお前に分かる?」
 だってそんなの当たり前。僕は君の気持ちが分かる。君の楽しみ、哀しみ、怒り、喜び、全部分かる。何度も言うよ、何度でも。君の気持ちはお見通し。あの娘のことが好きなんだ。好きで好きでたまらない。恋焦がれて死んでしまう。でもやっぱ死にたくない。傷つきたくない。辛い思いなんかしたくない。だから忘れちゃおう。さっさと振り払おう。君の気持ちは全部嘘。股間で考えすぎなだけ。その程度の恋なんか、さっさと金で解決さ。
「うるさいよ、俺の影。お前は俺で俺はお前。まったくお前の言うとおり。俺は彼女が好きなんだ。股間だろうが脳だろうが、そんなのどこでも関係ねえ」
 おいおいおいおいおい、そいつぁちょっと乱暴よ? 君はまるで野生のサルだ。考えることをやめたら人間はサル、ばいスケボーキング。坂本美雨も完全同意。頼むぜ兄弟お願いだ。もちっと冷静になっちゃくれんか。たとえ恋が成就しようと、それがいったいなんだってんだ。下らないサルの戯れと同じじゃないか。君はサルになりたいか。
「ありがとうよ、俺の影。お前は俺で俺はお前。まったくお前の言うとおり。恋の成就云々は、全くたいしたこたあねえ。もっと大事なことに気付かされたぜ」
 頼むよ勘弁やめてくれ。揚げ足取りはよしてくれ。君はとても臆病で、がくがくぶるると震えてる。ね、それでいいじゃないか。な、それがいいじゃないか。いったいこの世で何処の誰が、君を傷つけていいなんて、そんな権利を持ってんだい? もっと自分を大事にしようよ、もっと自分に優しくしようよ、頑張らなくてもいいんだよ、頑張らなくてもいんだよ、頑張らなくてもいいんだよ。大事なことなので三回言いました。何回でも言うよ。大事なことだから。何よりも大事なことだから。
「ありがとうよ、俺の影。お前は俺で俺はお前。まったくお前の言うとおり。頑張らなくてもいいって、頑張ってもいいんだな。俺のやりたいようにしていいんだな」
 お願いだからよしてくれ。そんな前向きなセリフ、全く君に似合わない。もっと後ろ向きに生きようよ。ほんとの自分を探しに行こうよ。今ならまだ間に合うはず。ほらまだまだ時間はあるよ。自分の居場所を探そうよ。ここは君の居場所じゃない。自分らしく生きようよ。自分に嘘はつけないよ。嘘つけないよ。つけないよね。嘘はついちゃダメだよ。
「ありがとうよ、俺の影。お前は俺で俺はお前。まったくお前の言うとおり。今の自分に満足なんかしてねえ。ずっと答えを探してた。でもどこにも見つからなかった。内側を探しても全然分からなかった。だからこれからは外を探す。外側に目を向ける。俺は勇気が欲しかった。だから内側でそれを探し続けた。でも見つからなかった。そしたらお前が現れた。勇気を探して臆病を見つけた。臆病な俺と対話して、勇気以外の何かを見つけた。そんな気がする。俺は一歩を踏み出そう。怖くて怖くて仕方ねえ。それでも怖いのを我慢して踏み出そう。ひょっとしたらこれが勇気かも、なんて思わなくも無い。でも俺はこれを勇気と認めない。これは勇気のかけら。勇気だなんてとてもじゃないが言えないくらい、ほんとにちっぽけなカス。けれどこのカスを大事にしよう。大事に大事に温めよう。臆病な俺に出来ること。今出来ることはそれくらい」
2010/08/24(Tue)00:34:13 公開 / プリウス
■この作品の著作権はプリウスさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
勢いだけで書きました。BGMは初音ミク&GUMIの「マトリョシカ」
この作品に対する感想 - 昇順
 何となく、古典劇の一幕のようなリズム感があって、舞台の上で一人芝居で演じられている様子(「影」の台詞はコロスの役割で)が目に浮かびました。リズムについては、まだ少し磨く余地があるかなとも思いますが、面白かったです。
 こういう形式だと、これは小説なのか? という疑問が出てくる可能性もあると思いますけども、僕はこれも十分ありだと思います。小説というのは、非常に多様な形式を許容する創作ジャンルだと思ってますので。
2010/08/24(Tue)19:36:460点天野橋立
しまった。コロスの役割だと思ったのは「影」ではなく、「俺」の台詞のほうでした。つまり、かぎ括弧の部分のほうです。二度レスすみません。
2010/08/24(Tue)19:39:200点天野橋立
読ませていただきました!
とても珍しいタイプの小説ですね

さてさて、早速感想です
影との対話で自分を見つめなおす、いいですね
俺は自分と向き合うのとかとてもニガテで、できないです……
だけど、一度向き合うのもいいかもしれないですね

特に最後の台詞が俺は好きです!!

参加、本当にありがとうございました!!
2010/08/25(Wed)18:22:211光心
 ライトノベル物書きのakisanです。読ませていただきました。
 プリウスさんらしい物語の運び方でした。身振り手振りを激しくした舞台演劇が頭に浮かんできますね。真っ暗な舞台に、スポットライトが一つだけ当てられて、そこで俳優が一人汗を流している感じです。
2010/08/25(Wed)20:43:350点akisan
>天野橋立さん
 コメントありがとうございます^^。僕も後から読み直して、リズム感が途中で微妙に途切れてしまったなと思います。ひたすら音楽を聴きながら書いたのですが、パートが飛んでいるのでそうなったのかなw 気持ちが先走りすぎなところもあるので、今後の課題にします。
 浅学で申し訳ないのですが「コロス」というのが何を言っているのか分かりませんでした。もしよろしければ教えていただけますか?

>光心さん
 コメントありがとうございます。こんなところまで引っ張ってきてしまい、すいません^^; 天野橋立さんも言うように、そもそもこれって小説なのかという話もありますからね(笑)。僕自身は何も意識してなかったのですが「小説?」と聞かれたら「たぶん」としか答えられません。
 世の中にはこの小説みたいに、ああでもないこうでもないと考え込む人は大勢いると思います。そうした人の中でけっこう多くの人がネガティブな結論に至って思考を止めているんじゃないかなとも思います。なのでネガティブを振り切る過程みたいなものを描けたらなと思いました。

>akisanさん
 コメントありがとうございます。僕も色々と小説らしきものを描いてきて、少し自分のスタイルみたいなものが出来てきたような気がします。
 一人舞台っぽいと言われると、なるほど確かにという感じがします。その場合はもちろんセリフも改変しなくてはいけませんが、ちょっと面白いものが描けそうだな、と。楽しいですねえ。
2010/08/25(Wed)23:33:170点プリウス
[簡易感想]
2010/08/25(Wed)23:58:250点
内容も面白かったけれど、リズムがいい。なんかマザーグース的な、うまいこと337拍子になってる。
意識して文字数をあわせてるのか分からないけど、こういう文章はすごく好み。
2010/08/26(Thu)00:53:000点アイ
>アイさん
 コメントありがとうございます。337よりは575です(笑)。それはけっこう意識して、頭の中で呟きながら文章を書いてます。歌うように。
2010/08/26(Thu)14:54:540点プリウス
すみません、演劇に詳しいわけでもないのに、コロスなんて言葉使うもんじゃないですね。
元々は、古代ギリシャ劇の合唱隊のことで、一人劇の主人公の心中を代弁するような台詞を語る(歌う)ような役目の人たちのことだったと思います。僕自身がそういう劇を見に行ったことはないので、言葉として知ってるだけなんですが。
2010/08/26(Thu)18:47:360点天野橋立
>天野橋立さん
 なるほどそういう云われだったのですね。Wikipediaでも調べてみました。一人劇に限らず、劇全般に通じるものみたいです。
2010/08/27(Fri)13:56:020点プリウス
合計1
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