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『或る夜』 作者:クーリエ / 未分類 未分類
全角2247.5文字
容量4495 bytes
原稿用紙約6.75枚
さらっと流し読みできる短編。しかし、これもまた中途半端なところで終っている。山川の心情を極端にまで捨象してみた。
黒い雲が流れる。半分の月が姿を現す。

月の光は、この廃洋館にも汚れたガラスを伝って流れてきた。
曇りがちのその光は、廊下の隅まで照らす。
あたりのヴァンテージ物の空気は、息をするだけで苦しい。一息を吐くごとに肺のなかに埃が溜まっていくようだ。
山川は今更ながら一人でここに来たことを後悔した。

山川は廃墟マニアだ。建物が朽ち果てて行く様を眺めるのが、生きがいだ。この趣味も大学時代から続けてもはや10年近く経っている。
その間には色々な事があった。幽霊マンションとして名高い逗子の海辺にある廃墟を訪れた時、暴走族の輩が建物を破壊しているのを見てしまい、囲まれたときもあった。
また住宅街にポツンと佇む元幼稚園に潜入したとき、そこをねぐらとするホームレスにばったり会い、かなり気まずい思いをしたこともある。
大学の廃墟探訪サークルで知り合って、いまだ同じ奇特な趣味を持つ仲間として付き合っている人の中には強盗に襲われたり建物の崩落で怪我をした人もいる。
実をいうと彼も二、三人のグループで5年前、奥多摩の廃家屋に行った時、遺体を発見したことがあった。
その時は、同行者の一人に冷静な廃墟慣れしたのがいて、警察にきちんと連絡し、事なきを得た。
警察の口から、一番心配していた「家宅侵入罪」の「か」の文字も飛びださず、捜索願いを出していた遺族の方からはお礼もされた。
こんな体験をしてまでも、探索を続けるのはどうしてか山川にははっきりとは言えなかった。もしかしたら怖いもの見たさとの面もあるかもしれない。
とにかく、彼は廃墟を楽しんでいることは事実だった。

今回山川は日曜を使って、筑波山にある廃洋館を探索しにきたのだが、そのの物件はなかなか見つからず、ようやく発見した時にはもう夜になってしまっていた。
中に入るべきかどうかかなり迷ったが、結局洋館が見せる瀟洒なフォルムに立ち向かえず入ってしまった。

どうやら、月がまた雲の影に隠れたようだ。
月の光の中で色あせていた、サーチライトの放つ光がまた爛々と輝きはじめた。
いったいこの洋館の構造はどうなっているのだろうか。 潜入する前、外からみたがんじではそう大きく見えなかったのに、廊下がいやに長い。奥に奥にと建物が延びている。
廊下には物がなにもなく、殺風景で埃が積もっているのみ。右手にガラス窓があり、左手に時折ドアがあるが、大部分鍵がしまっている。開かない。
それで山川はしかたなく更に屋敷の奥へと進んでいる。
こうも廊下が長く、ようやく左に見つけたドアもしまっている状況のなか、彼は焦りを感じ始めた。早くこの屋敷を立ち去りたいが、まだ部屋をみていないのでもう少し、あと
もうすこし、と考える狭間のなかで。ドアが閉まっていたらまた次のドア、それも閉まっていたらまた次……。
そうして彼はどんどん奥に誘導されていった。

幾つ目のドアだろうか。月光が差し込んでその真鍮の取っ手を照らしているドア、それに山川は手を掛けた。
ごとっとした重い感触。そして……開いた。ようやく一つ目の部屋が開いた。

ひと思いに開け、暗い洞窟のような闇の中に懐中電灯の光を投げ込んだ。少し奥に、天井にまで届くような背の高い棚がずらっとならんでるのが見えた。
山川は今日の探索はこの部屋だけにすると決め入った。ドアは開けっぱなしにしておいた。
いやに生活臭が漂う部屋だ。物は少ないのに今さっきまで人がいたような気配がする。
もしかすると、ホームレスのすみかになっているのかも知れない。注意しようと山川は考え、棚の方に光を当てた。

ぞっとする光景がいっきに目の前に開けた。棚の中にきれいにぎっしりと、ファービー人形が並んでいる。そうか、この部屋のいやな感じはこれだったのか。
山川はバクバク暴れる心臓を、必死に意識して鎮めようとした。しかし、いくたの虚ろな視線が彼に注がれなかなか動悸は治まらない。

人形棚から目を逸らし、とっととこの部屋をでようと電灯の光を下に落とすと……。

「じーくぎゃあうーあーり」どこからか一人の人形が声にならないうめき声をあげた。
その音で山川はもう逃げもできず、その足は、杭を打たれたように動かなかった。
一斉にファービー人形が最初の声に呼応しはじめた。 阿鼻叫喚にも似た彼らの大合唱が。
山川は懐中電灯を持った手を死んだように伸ばし、目はもう落ちそうなほどだらんとする。
「がたん」
その音で、彼の首は抗うことができない大いなる力に、ドアを向くように引っ張られた。
「誰かがいる。いる。何かがいる。」山川は叫びたかった。でも声も出ない。
閉まったドアを塞ぐように、おかっぱ頭で着物をきた少女がいた。

もちろん、その少女は彼に向って歩いてくる。仄かに微笑しつつ、その目をいたずらっ子のようにして。

ようやく山川の声帯から音が出た。
「あ、お、お、お前誰だあ。」彼はそういうと過呼吸気味に、金魚が口をパクパクさせるようにしている。

「誰って、あなたが勝手に私の場所にはいってきたんじゃない。まあ、あなたが来ることは予言されていたけど。」
そう言い終わると、彼の体に少女はふっと近ずく。
「山川さん。ここに来たからには、私のお相手をしてもらいますよ。」
言うか言わないかの内に、山川のパクパクしている口びるに白く濡れた指をのばしきゅっと結んだ。
同時に山川は崩れた。木の床に体をエビのようにくねらせながら、びくびくとみっともなく痙攣し、蟹のそれよりも、もっと量の多い泡を口から吹いていた。
2009/10/11(Sun)00:43:52 公開 / クーリエ
■この作品の著作権はクーリエさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
前回は温かいコメントをありがとうございます。
今回も前の作品との共通点がいくつかあります。
この作品に対する感想 - 昇順

前回投稿した「sakura」のコメント返しをさせていただきました。
この場を借りて報告します。
2009/10/08(Thu)23:24:490点クーリエ
重ね重ねのレスですいません。
投稿作品の方に改行ミスがあり、大きな余白ができてしまいました。

ご容赦ください。
2009/10/08(Thu)23:38:590点クーリエ
クーリエ様こんばんは!頼家です。
 作品を読ませていただきました^^背筋がぞっとするお話ですね……人形って、明るいところで見ると可愛いイメージがあるのですが、一転暗がりで見るとちょっと不気味ですからね^^;恐怖感を煽る構成になっていて素晴らしいと思います!
 己の力量不足を省みず、あえてご意見を差し上げるとするならば、少し起承転結に力が無いかなぁ……等と小生意気にも思ってしまいました。例えばその『恐怖』に向かう動機付けや、因果関係。終わり方にも、何かしらの余韻や意味合いをつけた方が、よりホラー『小説』としての力が増すのではないかと……
 読み終えた後少しポカンとしてしまったのは、しかし私の読解力不足が招いた事かもしれません^^;他の方のご意見と併せて判断していただければ幸いです。
 分をわきまえず、生意気にも意見を申しあげましたが、文字運びなど大変勉強させていただきました!面白かったです^^
 では、ぐだぐだと申し訳ございません。次回作を楽しみにお待ちしております!
                 頼家
2009/10/09(Fri)01:48:120点頼家
こんにちは! 羽堕です♪
 山川みたいな趣味を持っている人って、意外に多いのかも知れないですね。それも一人で出掛けるとは、私から見ると本当に物好きだなって思ってしまいます。そして望んでいたものを見た時には、だいたい取り返しのつかない事になってるんですよね。山川が、この後にどうなってしまったか気になる所です。文章もポンポンと読めて良かったです。
 投稿された本文やあとがきは、このページの一番下の方にある投稿者用:にパスワードをいれて編集を選択してログインすれば修正できます。ご存じでしたら、ごめんなさい。
であ次回作を楽しみにしています♪
2009/10/09(Fri)12:07:080点羽堕
拝読しました。初めまして。水芭蕉猫です。にゃあ。廃墟良いですよね。私は怖いので実際に見に行ったりしないのですが、廃墟が好きで写真集を何冊か持ってます。特にチェルノブイリとマヤカンがお気に入りで……おっと話が横道に……。作法的には、文の頭を一段下げるなどすると更に読みやすくなると思います。話的には、うぅむ。足りない。私がこんなこと書くのはとてもおこがましいことこの上ないのですけれど、さらっと読めるのはいいのですが、もっと、こう、ホラー的にクる何かがほしかったです。文章的にとても丁寧で、読みやすくて更に面白そうだっただけに、非常に残念だなと思いました。
2009/10/10(Sat)23:29:070点水芭蕉猫
羽堕さんに教えてもらったので空白部分の訂正をしました。

>頼家さん
前回に続き、今回もコメントありがとうございます!
恐怖に向かう動機付けや、因果関係ですが、とっても大切なところですよね。まあ、いわばホラーの醍醐味という部分。
そんな「うま味」が抜け出ているなんて……、コクのないシチューのような物ですよね…。
今度小説を投稿する際は注意しようと思います。
大変貴重なご指摘ありがとうございます。

2009/10/11(Sun)00:57:120点クーリエ

>羽堕さん
できればこの続編らしきものも作ってみたいのですが、まだまだ文章
力も足りないし、長編に不可欠な強力なプロット(構成)を考える力も
足りないので、とても書き続けることができないんです。
なんとも身勝手な理由というか……
かたじけないですよね。
2009/10/11(Sun)01:03:330点クーリエ


>水芭蕉猫さん
じつは私も廃墟大好きだったりします。まあ、でないとこんな短編なんぞ書いていませんが……
私も水芭蕉猫さんと同じで実際に現地に行ったりはしないのですが、廃墟に関する写真集なら沢山持っています。とくに好きな場所は岩手県の松尾鉱山跡に存在する廃墟アパート群。
鉱山が稼働していた時は日本における最先端の施設を備えた近代的な都市で、「雲上の楽園」と言われていたそうです。
もうひとつは長崎県にある島全体が廃墟と化している場所、軍艦島。
ここも石炭の鉱山跡で、海底に広がる石炭層を採掘するために海の上に人口島を建設したものです。ここもすごい場所。
やっぱり廃墟ってある一種独特の雰囲気があっていいですよね。
2009/10/11(Sun)01:20:130点クーリエ
作品を読ませていただきました。私も廃墟というか廃鉱山が好きで北海道の山の中に一人で入り行くことがあるのですが、多くの場所がヒグマの巣で……フンは落ちてるわ、つい最近通った跡はあるわ……純粋に生命的な危機を感じ楽しいです。ま、出たら出たで対処方法はありますし。
 さて戯れ言はおいて、作品の感想を。もっと廃墟の魅力を描いて欲しかったです。廃墟巡りに興味がない人が読んでも惹かれるような書き方をした方が、山川の無謀な行動に読者が同期でき、その後のオチの恐さがより伝わってきたと思います。では、次回作品を期待しています。
2009/11/01(Sun)14:18:020点甘木
Therefore all the clinicians and patients are now advised to be conscious of possible consequences queries and concerns. http://www.wesojourn.org/car-rental.html rent a car cunu
2009/11/21(Sat)05:26:481Abair
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