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『Sky』 作者:セナ / 未分類 未分類
全角1028.5文字
容量2057 bytes
原稿用紙約4.15枚
 




 今日も美しい青空が広がっている。

 秋が近いせいか、空はとても澄んでいた。


 

 『わたし、死んだら空になりたいな・・』

 『なんでそんなこと言うの・・・・?』

 『んー。なんとなく』

 葵は、病気だった。

 医師が言うには、もう治らない・・と。

 僕は、葵を守ってあげたかった。

 けれど、できなかったんだ。

 葵はこの世からいなくなってしまった。

 「なんで・・。なんで僕をおいて行っちゃったんだよ!葵!!」

 幼馴染で、お互いに惹かれ合っていた。

 この前、告白をしたばかりだった。

 そして同時に約束もしたんだ。

 『いつかきっと、結婚しようね』

 ・・・・・・と。

 その約束は、果たされないまま終わってしまった。

 冷たくなった彼女の唇に、僕は口付けた。

 本当に冷たかった。

 ごめんね・・・・・・・。

 守ることができなくて・・ごめんね・・・。

 


 それから、何年もの歳月が流れた。

 僕ももう、十五歳だ。

 五年前のことは、今だって忘れていない。

 そういえば葵は、自分が死んだら空になりたいと言っていた。

 僕は綺麗な青空を見上げた。

 「葵・・・。空に・・、なれた?」

 問いかけてみる。

 当然、返事があるわけがなかった。

 しかし・・・・。

 『なれたよ・・・・。純。わたし、空になれた』

 声が聞こえた。

 「誰・・・?」

 『ありがとう、純。ごめんね、先に死んじゃって・・・』

 僕の目に、その姿が現れた。

 「・・・・あ・・おい・・?」

 『ごめんね・・・』

 それは、葵であった。

 僕は、葵を抱きしめたかった。

 だがそれは無理だ。

 「葵・・・・・・」

 不思議なことに、僕は葵に触れることができた。

 そして、おもいっきり抱きしめた。

 「葵!!」

 『純・・・』

 姿形のかわっていない葵はとても小さかった。

 『純、ごめんなさい。わたし、もう行かなきゃ』

 僕をはなそうとする葵の腕を僕は思いっきり引っ張り、二度目の口付けを交わした。

 葵はもちろんおどろいていた。

 「約束。忘れてないだろ?」

 『・・・うん・・』

 「じゃあな。葵」

 『最高の思い出を、ありがとう・・・・・・・』

 



 そうして彼女はゆっくりと消えていった。

 僕はもう悲しくなんかない。

 あの約束を胸に、生きていこう。

 空のように、広い心を持って。

 何にも負けずに進んでいこう・・・。





      〔完〕

 

 
2003/09/21(Sun)15:40:14 公開 / セナ
■この作品の著作権はセナさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
暗いですね。
こんなの誰も読まないと思いますけど・・・。
まあ、死んでしまった女の子と、恋人の切ない恋のお話。・・・みたいなもんですかね・・・。でっでは!お目汚しすみませんでした!!
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