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『太陽がのぼるころに。』 作者:暁 / リアル・現代 ファンタジー
全角1449.5文字
容量2899 bytes
原稿用紙約4.3枚
あのとき、天月にあった事件…。そして天月の変わる日常。就職先は見つかるか。
 もう、無理だと思ってた。
 人間に戻れないんだと思ってた。
 でも違った。
 父さん、母さんは天国に逝ってしまったし、兄貴は刑務所だし。皆ボクらの家族のことを、『壊滅した家族』そう呼んだ。
 実際のところ、兄貴が殺したのではない。ボクは証言したが、中学生のボクはお金なんてあるわけなく、裁判も起こせない。また、相手に勝つぐらいの知識も全くない。それも法律の下で動いてる政府公認の警察が相手じゃ話にならない。
 そして何も求められないほど、ダルさが増し、時、十年が経った。

 もう十年か…。時って早いもんなんだな。。ボクは暗闇の中でそう呟く。ご飯なんて、もう二十日ぐらい食べてない。風呂だって入ってないし、歯も磨いてない。多分このまま外に出たら完全になんかのRPGのように、避けられるだろうな。
 あのときボクが不良達に、ポイ捨てを注意しなければ、兄貴は捕まることはなかった。
 そして、もうひとつ考えが浮かんだ。なんでボクはこんなところにいるんだろう。何故はたらいてないんだろうって。何故前を見ないのか、上を見ないのかって。何故早い段階で思いつかなかったんだろ。そいつらを、探して訴えればいいんだって。
 テレビを付けてみる。リモコンの使い方どうだっけ。電源?これなんて読むんだ? こうげん? まぁいいや、そんなこと。
 「本日、あの事件から十年を迎えました。あの事件では、少年が不良にポイ捨てを注意したことから始まった怖い事件ですが、あの事件以来、その家から人が出ていないそうなんです。その子の友達の方や、親族の方らが、お詫びをしたいといっていますが、神崎さん、どうなんでしょうか? 」
「はい、そうですね。よっぽど辛かったんでしょう。お兄さんはあの事件の二年後に自殺を謀り、現在も入院中。更に父母らも殺害されていますからね。本当にお悔やみ致します。街の方の意見も聞いてみましょう」

「十年前の今日の事件のこと、どう思われてますか?」
「本当にあの子には悪いことをしました。皆で寄ってたかってあの子をからかったりして。普通することじゃないと反省しています。今思えば、自分が言われたときの気持ちがよくわかります」
「ありがとうございました」
 …なんなんだこれは。。もう事件が解決したのか? 自首したのか? 状況がわからない。兄貴は自殺を謀ったのか。。ボクだって、死にたいよ…ん? 解決したなら、もう外に出られるってことか。
 
 十分後。ボクはシャワーを浴び、外に出た。すると、久しぶりに空気を吸った感じがした。すると近くから、自分を呼ぶ声がした。
「天月!? 」
「………だれ」
 天月(あまき)と呼ばれ、戸惑うボク。こんな奴、オレは知らない。でも少し経つとやっと思い出せた。
「竜桜なのか…? 」
竜桜(りお)。かつての友人である。
「そうだ。天月、無事だったか? 」
「無事だけどお前に壊滅した家族とか言って殴られたのは忘れられないよ」
「あ…」
『壊滅した家族』の異名を広めた根元が、全てコイツなのだ。別に今は怒ってるんじゃない。ただ、唯一言いたいことならある。それは、兄さんに謝ってほしいこと。
「ごめん!! 」
 竜桜が突然道路で土下座をし始めた。ボクは対応に困った。土下座なんてされても困るだけ。
「いいよ、赦すよ。でもそのかわり、なんか美味しいものでも奢ってくんないかな」
「本当にか!? 」
「奢ってくれたらな、ハハ」
 久しぶりに笑ったと思うと、笑いが止まり、そして元気な笑顔を見せて笑った。
        プロローグ 終
2015/06/06(Sat)11:46:17 公開 /
■この作品の著作権は暁さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
少しよくある小説のよーなものを書いてしまったワン!
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