- 『ラスボス』 作者:ミミック / ショート*2 ホラー
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全角644.5文字
容量1289 bytes
原稿用紙約2.35枚
とある女の話
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ぎりぎりと歯軋りが聞こえてくる。
女はパソコンの前でかれこれ三日動いていない。
とっくの昔に限界が来ているはずだ。しかし女は動いている。
「もうすこし……もうすこし……」
女の指は激しく音を立てながらキーボードの上を舞っている。
ディスプレイにはたくさんのページが開かれている。
掲示板、動画……そしてオンラインゲーム。
女のキャラクターはどのキャラクターよりも強く、美しい。
しかし現実の女は誰よりも弱く、醜い。
ゲームでは女はいわゆるラスボスへと挑んでいた。
しかし何度戦ってもあっけなく倒されてしまう。
女はそれから睡眠も食事もとらずにパソコンの前に座ったままだ。
攻略法を試しても失敗に終わる。どうしても勝てない。一番強いのに。
そのモンスターは女のように醜い。しかし強かった。
女の攻撃を受けてもノーダメージだ。
「なんで……また……」
そうとは知らず女は挑み続けている。
YOU ARE LOSE
絶えずその文字が浮かぶ。
「あ……あぁ……」
女に限界が来たのかその場に崩れ落ちた。
そのまま女は動かなくなった。
勝手にキーボードが動き出した。
ガタガタガタガタ
ずっと負けてばかりだった女のキャラクターが大きな剣を振り一撃でモンスターを倒した。
いままでまったくダメージを受けていなかったモンスターが一撃で、だ。
軽快な効果音と共に当然のようにディスプレイに文字が浮かんだ。
YOU ARE WIN
それからもずっとキーボードは動き続けている。
新たなラスボスとなって。
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2013/04/14(Sun)20:11:49 公開 / ミミック
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■作者からのメッセージ
二回目です。
やりすぎると怖いねって話です。