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『隠蔽の輪廻 後編』 作者:リーフライ / リアル・現代 ミステリ
全角5177文字
容量10354 bytes
原稿用紙約19.1枚
6「生徒会での絞り込み」

穂蛆が不思議そうな顔で聞いてくる。
「新聞?新聞部の生徒新聞かい?」
「ああ、そうだ、新聞部と生徒会と運営委員には共通するはずだ、あとは図書部と書庫室だが」
穂蛆が元気な声で
「それなら大丈夫だよ、図書部に貸出用として、書庫室に予備として新聞を置いておくはずだよ」

穂蛆は勢い置く立ち上がって
「じゃあ行こう!裏付けだ!」
俺は首を横に振った。

「どうして?もう少しでわかるんだよ?」
俺は時計を指差して言った。
「昼休み終了だ」
チャイムが鳴った。

五時間目、数学だ。
先生が問題を黒板に書いた。
「これが解けるものはいるか」
もちろん誰も手を上げない。

「そうか…じゃあ穂蛆、解いてみろ」
「…」
穂蛆はまるで聞いていないようだ、俺は必死に穂蛆にジェスチャーを送る。
(穂蛆、気づけ、当てられてるぞー)
俺のサインに気づいたのか、自分で気づいたのかはわからないが穂蛆はさっと立ち上がった。
穂蛆はひとつの事にすごい集中することができる。

「どうした穂蛆、こんなケアレスミスをするなんて」
集中しすぎるとそっちだけに行っちゃうこともあるが…
「僕だってたまには間違えますよ」
そう言って先生さえもごまかしてしまう、それが穂蛆だ。


放課後俺は穂蛆と共に廊下を歩いていた。

「お前数学の時間」
「ああ、ちょっと考え事をね」
「事件のことか?」
「ああ…まあ、そんな感じだね」
穂蛆は意味ありげにこっちをチラッと見ながらそう言った。

「なんだよ」
「なーんにも、さあ入ろうか」
そういって穂蛆は何気なしに生徒会室に入っていった。

「どもー有楽堅でーす」
「ああ、清花さんの」
そういって生徒会長はこっちに歩いてきた。

「で、なんだっけ?」
「はい、いくつか質問がありまして」
穂蛆が紙を取り出す。
「どうぞ、とりあえず座ろうか」
「どうも、他の生徒会の皆さんはいらっしゃらないんですね」
「ああ、今日は委員会別の会議があってね、委員長はすべての会議が終わってからになるからね」

俺は小声で
「生徒会ってのは全員なんかの委員会に入ってんのか?」
穂蛆も小声で
「今年だけだよ、姉ちゃんもびっくりしてたよ、今年はやる気に満ち溢れてるねぇ、ってね」
今年はやる気か、前年度まではそんなにやる気がなかったのだろうか。
そう思っている俺の心に気づいてか穂蛆が補足する。
「少なくとも姉ちゃんは楽しむ事を一番に考えていたようだよ」

そう言っているあいだに会長がティーカップを持ってきた、ここにはこんなものまであるのか


「紅茶だが大丈夫だったかな?」
「あ、ありがとうございますー」
穂蛆が笑顔で受け取る。
「君も大丈夫かい?」
生徒会長がこっちにティーカップを向ける
「あ、どうも」

穂蛆が小声で
「こりゃモテモテなわけだ」
とふざけた笑顔で言った。
「じゃあ、質問を聞こうか」
「はい」
穂蛆は黙っていた
「ほら宕、なんで黙ってんの?」
「へ?」
びっくりして穂蛆の方を見る。

「何言ってんの、考えたのは宕じゃん」
そういえばそうだ、穂蛆は俺の考えの結果を知ってるだけだ、経過等は知らない。
俺は一回咳払いをした
「最近起きている放火事件のことなのですが、今回被害にあった教室は知っていますか?」
「ああ、五つだったかな」

「それなら話は早いです、その五つの場所に今月の生徒新聞は配布されていましたか」
会長は少し考えて
「ああ、すべて新聞が行き渡っているはずだよ、それが共通点なのかい?」

会長は穂蛆の方を見る、あらかじめなんとなく話はしていたみたいだ。
「はい、それでほかにも共通点があれば教えて欲しいのですが」
「…いや、新聞に関する資料しかないと思うよ」
穂蛆が俺に目配せをした、俺の番のようだ
「じゃあこの新聞を放火事件前に見れた人物をできるだけ上げてください」
その後会長にもらったリストからアリバイがある者を消していった。

結果残ったのは一人、加咲豪介(かさきごうすけ)だった


7「心配無し・任された」

「やったね宕、ほとんど完璧だ、他の人はアリバイの証人もいる」
「ああ、ところでこいつは隣のクラスの奴だったな」

「そうだよ、音楽の時間に一緒の班じゃないか」

「そうだな、じゃあ音楽の時間に少しずつ暴いていく」

「それは任せたよ、宕」

「なにも心配無し、ノープロ…」

そこで俺の言葉は途切れた、穂蛆が顔を覗かせてくる

「どうしたの?宕」
「いや…噛んだ」
穂蛆は大笑いをしながら
「じゃあ僕は、はは、買い物を頼まれてるから行くね、ははは」

穂蛆が行ったあと一人で呟いた

「なにも心配無し、ノープロブレム…か」




数日後
「今日だよ」
「わかってる、決戦の3時間目、なんてな」
音楽の時間、運良くビデオ鑑賞だった、椅子は用意されてなく、自由な場所に行けた。
俺が加咲の近くに座ると穂蛆も来た

「僕も参加できそうだ、あくまでサポートだけどね」
穂蛆は小さな声、周りにだけ鮮明に聞き取れるような絶妙な声でしゃべりだした。

「宕」
俺もやってみるがなかなか難しい声量だった
「なんだ」
「あの放火事件の共通点が見つかったらしいよ」

そうか、その方法か
「そうなのか、おしえてくれよ」
そのとき近くにいた何人かがよってくる、同じクラスのやつもいれば違うやつもいた。

「お、あのときの共通点?俺も聞かせてくれ」
よし、乗ってきた、穂蛆も小さくガッツポーズをした。
 俺は横目で加咲の方を見た、こちらをチラチラと見ている、どうするか…
  穂蛆が俺を見つめてくる、そして目を横に向けた、やめとけってことだろう、俺は話をすすめることにした。

「で、新聞だって?」
穂蛆は笑顔で
「そうなんだよ、僕も噂で聞いただけなんだけどね、全部の場所にまだ生徒に未公開の来月分の生徒新聞があってね」
「ほうほう」
「その新聞が全部の場所で燃やされていたんだ」

一人が驚きの声を上げる
「燃やしたかったのは部屋じゃ無かったって事か」
「そういうこと」
「じゃあもう犯人バレてんじゃねぇか?」

穂蛆は首を横に振る
「さあ、そこは聞いてないなぁ…そだ、ねえねえ」
穂蛆は近くの生徒の肩を叩く

「ん?どうしたの」
「あのさ、君って図書部だったよね、どうなの?犯人って見つかってるの?」
その生徒は首を横に振った
「わかんない、あまり興味がなかったから」
「そうなんだ、ありがとね…じゃあ」

穂蛆はお得意のイタズラな笑みを浮かべて加咲の肩を叩く
「ねえ、君も図書部だったよね」
加咲はびっくりした様子で振り向いた

「あ…ああ、見つかってないらしいよ」
俺は声を少し強くして言った
「ほんとうか?もしかしたらもうバレてんじゃねぇか?」
加咲は俺より強い声で言った

「バレてないってば」
そう言って画面に顔を向けた後、一人呟いた言葉を聞き逃さなかった

「バレてるはずが…無い」
それは自分に向けて言ったのだろう、単なる自己暗示だったのだろう

しかし俺はその言葉で確信した
犯人はこいつ、加咲 豪介なのだと

音楽の時間が終わってから俺と穂蛆は追求した
「単刀直入に言う、お前が犯人か」
「…」
加咲はしばらく黙った後、意外と簡単に口を開いた、罪悪感があったのだろう

「そう…僕なんだ…燃やしたのは僕」
「そうか」

そう言って俺は立ち去った
「え」
加咲がなにか言いたそうにしている

穂蛆が言った
「いいつけたりはしないよ、匿名で噂だけ流させてもらうけどね」
ただ一言、そういって俺達は教室に戻った

「じゃあ次は任せたぞ穂蛆」
「うん、任された」

次の日、噂は広まっていた、放火事件の犯人は見つかった、でも本人のことを考えて匿名なのだという噂だ
「どうだい僕の実力」
穂蛆が自慢げに言った
「さすがだな、完璧だ」
「これで終わったね」
俺は首を横に振った

「いや、終わってない」
「終わったじゃん」
「いや、加咲、あいつが愉快犯とは思えない、それに、あの事件の、加咲の真意を確かめなければならない」
俺は力強く言った


8「隠蔽の輪廻」

しばらくして穂蛆が口を開く

「もう大体の予想はついてるんだね」
「ああ、なんでわかったんだ?」
「宕がそんなに力がこもった言い方をするんだ、自信があるようにしか聞こえない」

「そうか」
「そうだよ、最後まで付き合うよ、どこまでわかってるの?」

「ああ、とりあえず加咲は新聞が生徒にわたって欲しくなかったんだろう」
「なんでそう思うの?」

「まず燃やされていたのはすべて原本、手書きのものだった、あれさえ無くせば新聞はコピーできない」
「コピーしていた原稿があるかもしれないよ、それにデータだって」

「いや、図書部に聞いてきた、生徒に配ってから間違いの訂正をしてからデータに保存する、それにコピーがあったって書き直すだろう」
「書きなおす?それをさらにコピーじゃなくて?」

「ああ、この学校のコピー機はどれも古い、一回コピーしたものをさらにコピーすると見えない文字がでてくるはずだ」

「でもそれぐらいいいんじゃないか?」
「俺もそう思う、でも新聞部の部長の性格は知ってるだろう?」

「几帳面だねぇ」
新聞部の部長は超が付くほど神経質で几帳面らしい、あの部長になってから新聞にミスはほとんどないらしい。

「そんな部長がそれを許すと思うか?」
穂蛆は首を横に振る

「無理だね、完全に」
「まあ俺がそれ以外に新聞を燃やす理由が思いつかないだけだけどな」

穂蛆はメモ帳を取り出した

「そうだろうね、動機が無い」
メモ帳になにか書き写しながら穂蛆は言葉を続ける

「あとはどの記事が嫌だったかだね」
「ああ、だから穂蛆、生徒会室に行くぞ」
「え?どうしてだい?新聞があるっていうのかい?」
「加咲は一つ見逃していたんだ、原本を」

俺と穂蛆は生徒会長から原本のコピーを受け取った
「ありがとうございます」
「いや、かまわないよ」
「で、なんで会長が持っていたんだい?」
「ああ、これは新聞部の顧問の先生の原本をコピーしたもの」

穂蛆は驚きながら

「ああ顧問ねそりゃ燃やせないね…いや、気づいてなかったのかな」
「そうだろうな、じゃあ読むか」

俺は新聞に目を通した
・必見!これが学校一の勉強法だ!!
・今月の読書速報 「ライトノベル特集」
・学校の不思議 「切り裂き事件」
・質問Q&A!!
・部長に聞きました 特別編 「運動系VS文化系」
・先生インタビュー 「こわもて顔のジェントルマン、和雄先生」
・学校行事ニュース 「学園祭」
・連続生徒小説  不思議少女ユリ 第8話 「学校七不思議-伝説の八つ目」
・募集のコーナー

大きめの紙に所狭しと様々な記事が書かれていた、今月は特別に多い
穂蛆も同じことを考えていたようだ

「多いね」
「そうだな…でもなんとなくわかった」

「え?本当かい?探偵みたいだね」
「ああ、この記事だ」
俺が指したのは 学校の不思議 「切り裂き事件」 だった。


「では、よろしくお願いします」
俺達は新聞部の部屋を出た。

「あースッキリした!」
穂蛆が伸びをしながら言った
「同感だ、やっと終わった」
結果だけを言うと新聞から切り裂き事件の記事は無くなった。

切り裂き事件、昔ある生徒が何らかの理由で放課後、資料をバラバラに切り裂いた事件だ、
 そんな一つの事件、その犯人の名は伏せられていたが他の資料にのっていた。

犯人は加咲 桐 そう、加咲 豪介の母親だ、加咲は母が起こした事件がぶり返されるのが嫌だったのだろう、
 だから新聞を燃やして消そうとした。
「ところで宕、なんであの事件がキーワードってわかったの?」

「加咲はちゃんとヒントをくれていたぞ?」
「ヒント?あったかい?」
「お前がまとめてきたんだぞ、新聞やその他紙類には切り裂いた跡があった、てな」

「ああ」
「その後にわざわざ燃やしたんだ、ずっと気になっててな」
「さすがだね、でも宕、一ついいかい?」
「どうした?」
「結局あの匂いの正体はわかったのかい? 書庫室の匂い」

俺はドキっとした、わざと避けていたのに…
「言わなきゃダメか?」
「僕は気になるね…面白そうだ」

俺はため息をついて言った

「…香水だ」

「香水?誰の?」

「…だ」



その名前を言った瞬間穂蛆はまたイタズラな笑みを浮かべ、そのまま帰っていった。
穂蛆と別れ一人歩いていると頭に衝撃が来た。こんなことをするのは一人だけだ
俺がこの事件に関わることとなった原因 優羽だ

「なにすんだよ」
「私は今不機嫌です」
「そうかい」
「聞いてよー私が調べてたのにいつの間にか解決されててさー」

「はいはい」
「聞いてないでしょ」
「はいはい」
そんなやりとりをしながら家路についた


隣から甘い香水の匂いがした。




                         終
2012/12/23(Sun)18:05:04 公開 / リーフライ
■この作品の著作権はリーフライさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どうもリーフライです、隠蔽の輪廻後編です、もし前編でアドバイスを下さった方がいましたら すいません、前編投稿後すぐに後編投稿にかかりましたので見れていません。

次回作から気をつけていきたいと思います。

隠蔽の輪廻はこれで終わりですがこのシリーズ、「結果」(仮)シリーズはまだ続いていきます、ほかにも幽霊を題材とした「冷の彷徨」VRMMOを題材とした「アイン・ソフ」
 等もすぐに投稿しようと思っているのでよろしくお願いします。
アドバイス等待ってます

最後になりましたがここまで読んでくださってありがとうございます。
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