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『腐った世界と人形歌』 作者:幻想曲第一番 ノワール / 異世界 ファンタジー
全角3878.5文字
容量7757 bytes
原稿用紙約12.7枚
この世界は腐ってる。人が人を見下して、またべつの奴が違う弱者を見下して……。そんな腐った理が罷り通るきょうこのこのごろ。一人の青年が17の誕生日に旅に出た。別に世界を救う救世主でもなく、正義の味方でもなく……。ただ、彼は世界を見てみたかった。
ー17回目の誕生日を迎えた日。誰もいない小さな屋根裏部屋で17本のロウソクの火をを吹き消す。
オレンジの火が消え、まだ夜が明ける前の唯一の光源であった月は雲に隠れて、小さな部屋には闇が一杯に立ち込めた。
手探りで机の上の写真たてをとり、愛しくそれを一撫でしてまた置く。
写真は見えなくていい。きちんと瞼に焼き付いている。毎日、穴が開くほどに眺めていたのだから。

ーさて、そろそろ出掛けよう。リュックは小さなものでいい。生きるために必要な最低限のものを積めるだけでいいのだから。

さあさ、ドアを開けて?
色々な事が君を待っているから。

え? 本当にいいのかい??そのドアを開けて。

構わないさ。どうせ、美しくは生きられやしない。俺みたいなやつ、道端でのたれ死ぬのがお似合いなのさ。

そう、そう。なら、止めないよ。ああ、気をつけて。足元に蜘蛛の子がうろうろしているから。

そうかい、ご忠告ありがとう……ところであんたは誰だい?

僕かい?僕は……。

「君のなかにいるもう一人の君だよ」

□腐った世界と人形歌□

「あー……ちっ。また敗けだ。」
ラジオから聞こえた勝負事の結果に
中年で小太りした男は、手にしていた3、4枚の紙切れを樽の上に叩きつけて忌々しそうにそれを横目で見る。
「いい加減にしときなよブローディンの親父。このご時世、賭けなんてしてもあっという間に財布がからになるぜ。ほれ、さっさと帰った帰った。かみさんを心配させるんじゃないよ」
店の主人はその癇癪を起こしている男の扱いに離れているようで、男の太い腕の横に請求書をそっ、と置いた。

「また、値上がりよ。もう明日の分のパン一欠片も残っちゃいないのに!」
「しょうがないわよ。このご時世」
キーキー声で向こうから愚痴をいいながら二人の婦人が歩いてくる。
使い古しのハンカチで鼻汗を拭き取るとポケットに大事そうにしまった。ぼろとも上質とも言えない服は、ピンク色だったのが色褪せて黄色く変色してしまっている。

―生活的にゆとりがあまりないと言える人々の生活。なんだか町全体が痩せていて、空気も殺伐としている。
道のあちこちに無造作に、そして大量に転がっている拳銃や、それにより出来た銃創。酸化して黒ずんだ血を吸った地面などを見る限りではあまり治安がよいとは言えないようだ。

ーここは西の砂漠の小さな国【シウリオ】
かのバチカン市国以下の領土を持つ世界で一番小さな国だ。
また、ここ数年戦争の絶えない物騒な国でもある。
別に強大な兵力を持っているわけでも、他の強豪国からのバックアップが有るわけでもない。
ただ、この国の国王が馬鹿で喧嘩好きというだけである。
ちなみに言えば現在は隣国との領土による争いが勃発中だ。何でも、シウリオ側の王様が喧嘩を仕掛けたらしい。
そのせいで隣国に使いを出されていた若い兵士が、その日の内に取っ捕まり首を落とされたそうだ。

挙げ句の果てには王は大の負けず嫌いときた。
戦争を仕掛け、仕掛けては負け……その繰り返しだそうだ。
頭を使わないで戦に勝てるはずはないのだが、残念ながら奴は見た目ほど脳が肥ていない。
なんなら、いつも食べている豪勢な食事の代わりに畑の肥料でも食べたらどうだろうか。少しはましになるだろう。王が肥料をむしゃむしゃと食べているところを想像すると、おかしくてたまらなかった。

― 民の生活が廃れていて、それをおさめたる王族は税金のおかけで何不自由なく暮らしている。
これは有りがちなパターン。過去も、現在も変わりゃしない。

腐った世界だ。特にこの国は酷い。
なんたってトップの頭が弱いのだから。
……と、そんな辺境の国に一人。観光にきた物好きな男がいた。
赤い髪に黒みがかった赤色の目。背はそんなに高くない。浅黒い肌が羽織っているフードつきのケープの下からチラリと覗いた。
身なりは結構いいほうで、腰に巻いているベルトから垂れる金の鎖が街の人々の注目を集める。

「おい、そこのあんちゃん 」
「ん? 俺?」

彼を呼び止めたのは、樽の上に
猿のように居る60歳半ばを過ぎた男だった。前がだぼだぼのシャツを
着ていて、そこからシワで、太陽を浴びすぎた赤茶色の肌が見える。
釘やら鉛玉やらが転がっている地面の上に奴は樽から飛び降りるが、なぜか素足からは血は出てこない。
……ああ、靴なしで歩いてばかりで足の皮が厚くなっているのか。

「何?」
「見ない顔だな。どこにいくんだい?なんなら、俺が案内してやるよ」
ニタリ、と老人は愛想よく笑うと一歩一歩近づき、約1m手前でその歩みを止めた。相手が小刀や短剣などを持っていても刺される前に避けられる距離だ。流石はシウリオの人間。そこいらへんはしっかりしている。

「…………」
しかし、老人がそれだけのスマイルで親切に話しかけたのに彼は老人の呼び掛けに答えない。答えるどころか動きもしないで、ただそこに立っている。

―老人はいささか不審さを感じたのだろうか。彼の右手と左手を確認して短剣や拳銃を持っていないことを確認する。
「ん?どうしたい?」

……その問いかけに、男はやっと口を開く。
「どうせ、あんたが欲しいのはこれだろ」
冷めた目で一瞥してからベルトについた金の鎖をポケットから引っ張り上げた。その先端には懐中時計がついていて、装飾は宝石やら何やらが施されている立派なものだった。
「道案内とかいって変な道に迷い混ませてから俺を殺し、これを奪っていくつもりだったんだろ?」
やれやれ、やっぱりだ。と首を左右に軽くふる。"愛想がいいやつほど裏がある" "人を疑え"これが、彼の考えなのかもしれない。
すると老人はさっきまでの笑い方をだんだん薄めていき、次は右眉を
クイッ、と上げた悪役風の笑みをした。

「ほう……」
「悪いけ………」「動くな!!!」

彼の言葉を遮り、ズボンに仕込んでいた拳銃を迷うことなく引き抜いて銃口を向ける。
今度は無表情だ。
……いや"無表情"だと語弊があるかもしれない。
奴は"笑っている"
ただ、"人を殺す"という事に無表情だ。慣れてしまったと言えば一言で簡単にすむが、それはあまりにも残酷な真実だった。

……つまりは一般市民が人を殺めることに慣れてしまっているのだ。彼らは"兵士"でも"軍人"でもない。本来ならば武器を手にする人材ではないはずなのに。

…やっぱりな。トップが腐っているせいだ。
彼はそうとでも言いたそうにため息をついてから、フラリと銃口と向き合う。
「ほーほー…こりゃ、御大層なことですこと」
両手を広げると、彼は舞台役者を装った。とても上等とは言えない三流演技で、拍手の代わりに辺りに響くのは野次馬連中のはやし声ばかりだ。

「……その時計をよこしな。そうしなきゃ、お前の右肩と右足に穴が開くぞ」
「あー……この夏場、風通し良くなっていいんじゃない?」
「ああ、そうだな。このクソ暑い時期にピッタリの体にしてやるよ」
「そうだね。それじゃ……」
今度は次の舞台ゼリフを言うまで僅かの時間も空きはしない。
とびっきりの笑顔で男は笑うと、いつの間に持っていたのだろう。手に乗る大量の釘をジャラジャラと溢した。

「なっ…………!」
周りの野次馬の眼という眼が丸くなり、全員がその光景に口をまぬけに開いたまま動かなくなる。まるで何処の国の民芸品のようだ。
そしてその中で一人……彼と対峙していた老人が、無言で膝をつく。
「…………!」
震える手から拳銃が滑り落ち、ただの鉄の固まり同然となって地面に味気なく落ちる。
「…拳銃なんて、人が持たなきゃガラクタだな」
男は老人に近づくが手を貸すつもりは微塵も無いらしい。ガッ、とブーツで拳銃を踏みつけると老人を見下す。
それはさながら、勇者の必殺攻撃をまともに受けた後の惨めな悪役と、その勇者のような位置の取り合わせだ。

さて……ここで老人が無言で膝をついた訳を考えてみようか。
選択肢は2つ。
ただ疲れたのか、老人の身に何かが起こったのか。
……答えは簡単。奴の右の太ももをよく見てみれば分かる。
いつの間にか血が滲み出し、藍色のズボンをどす黒く染めているではないか。
しかし、なぜそうなったのか。訳がわからないのは老人も同じのようだ。
「な…何しやがった!!!」
まあ、普通に最初はこう聞くよね。なんの捻りもない、率直な問いかけだ。
で、こちらさんの返答は?

「え? 酷いな。せっかくお望みの体にしてあげたのに」

「……は?」
……は?
いや、全くもって後者に同意だよ?
体に穴あいて嬉しがるのって耳にピアス付けたがっている奴だけなんじゃないのかい?ああ、最近は鼻や唇なんかにも……
「風穴が開いたから、涼しいだろ?よかったじゃないか。
何しやがった?だっけ。簡単。これ投げて穴あけてやったのさ」
ああ、成る程。そういう事ですか。さて、疑問は解決したところでそろそろ第三者視点に戻ろうか。
……男は地面に落とした釘を指差す。その指先で、釘達は鋭い先端を煌めかせた。
「これらは道端で拾ったものだ。なに、こんな町中だ。釘くらい、いくらでも転がっている」
「いつ投げた」
「え?見えなかった?じゃあ、もう一発……」
サッ、と釘を構えいつでもいけるぜ?という表情をすると老人は歯をギリリと食いしばり、心底嫌そうな顔をした。
「くっ…………悪かったよ!」
「よろしい」
足の裏で拳銃がみしりと音を立てた。
足をあげると、案の定銃身がへこんでいる。
もう、使い物にならないな。



2012/09/09(Sun)16:25:57 公開 / 幻想曲第一番 ノワール
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■作者からのメッセージ
初めまして。ノワールです。
色々なところで書かせていただいています。

今回は少し暗めのストーリーです。ハッピーエンドは、俺は苦手です。
どうしようもなくバッドエンドに引かれる。
まあ、今回はどうなるでしょうか?

辛口コメント、待ってます。思った通りのことをジャンジャン書き込んでください。よろしくお願いします!
この作品に対する感想 - 昇順
ども、ミミックです。
えっと……まず利用規約を読んどいたほうがいいと思いますよ。
それから何が起こってるのかよくわかりませんでした。僕もよく注意を受けたんですけどもうちょっと詳しく書いた方がいいと思います。でも表現はとてもかっこいいと思いますよ。僕はこういう暗いの、好きです。次回作に期待していますっ
頑張ってください!
2013/04/20(Sat)21:27:090点ミミック
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