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『light of the dark』 作者:ayahi / 未分類 未分類
全角19486文字
容量38972 bytes
原稿用紙約65.2枚

四月だというのに今日はやけに暑い。地球温暖化による異常気象というやつだ。昨日まではポカポカ陽気という言葉がふさわしかったのに、いきなり変貌してしまった。
「ふぅー、暑いわねえ」
 真っ赤な髪の女性があふれ出てくる汗をタオルで拭きながらつぶやく。
 さっきも言ったように今日はとても暑い。
 しかもここは廃工場の集落であり、風というものがあまり存在しない。つまりここは灼熱地獄と化けているのだった。
 ここには彼女の他に金髪のチビ助と夏には辛そうなロン毛の男がいる。二人とも彼女以上に汗をかきながら何か長い物体の端と端を持って運ぼうとしている。
 暑さにやられて二人ともフラフラと運んでいて今にもバランスを崩しそうだ。
「おい、もっと力入れろよ!」
「これが限界なんだよ! 俺が手首痛めてるって知ってるだろ!」
 金髪チビ助は右の手首を押さえながら訴える。確かに彼の右手首は赤く腫れている。とてもじゃないがうまく運べるわけがないだろう。
「だったらなんで違う人と変わらないのよ。ノアとかいたでしょ」
 赤髪の女はスプレーでなにかを消している。一つも見逃さないように丁寧に、丁寧に。
まるで犯人が犯罪の証拠を隠しているかのようだ。
「まずこいつが太りすぎなんだよ! なんでガリガリじゃないんだよ。運ぶ身にもなってくれよな」
「つべこべ言わないでさっさとやれよ。この時間帯は警察も多いんだから」
 女はそういって自分の仕事が終わったので運ぶのを手伝った。
 腹に深くナイフが刺さった死体を運ぶのを……。
夜はどんどん更けていく。

 夜が更けて朝がやってきた。朝になったら暑さは消えていた。
 ここはとあるボロアパートの部屋の中。
 少女が布団の中で気持ちよさそうに眠っている。全く起きる気配もない。夢でも見てるのか、こんな大きいケーキ食べたら太っちゃうよぉと幸せそうな寝言を言っている。
 そこに成人男性がフライパン片手に現れた。
 カーンカーンカーン
 男性はフライパンを少女の耳に近づけてもう片方の手に持っていたお玉でフライパンを叩いた。一回だけではなく何回も叩いた。自分でも顔を歪めるほどの轟音が出た。
「ワァアアアアア!!!」
 少女はもちろん驚いて起きた。ここはアパートなのだがこんな騒音を出してよいのだろうか。この轟音はアパート中に響き渡っているような気もする。
「うるせーぞ!」
 やはり隣の住人に怒られた。下手するとその隣の住人にも怒られそうな轟音だった。
「すいません! 妹が何しても起きなかったので!」
 このアパートの壁はあまりにも薄いため、大声で叫べば部屋の間での会話も出来る。隣の部屋で鳴っている目覚まし時計で目覚めることも普通にあるそうだ。
 妹を起こすたびに毎回、兄が隣人に謝っているらしい。全力で今日も謝り終わると兄は妹のベッドのほうに向き直る。
「おい、今日から二年生だろ。初日から遅刻というオチか?」
「……気が向いたら起きるよ。しかも今日は入学式だから私に関係ないんだよ」
 兄はあっそうかと言い部屋をあとにしようとした。その時立ち止まって妹に向かって独り言のようにこう呟いた。
「じゃあお前が明日は入学式に来る新入生をハンドボール部に勧誘するために早く起きなきゃいけないって言ったのは空耳か」
 兄が言い終わるか終わらないかのタイミングでロボットのように体を起こして、カーテンを派手に開けた。
 降り注いでくる太陽の光にも動じなかった。
「着替えるから出てけー」
 兄は妹の慌てる姿を見て少し笑いながらドアを閉めた。そして隣から、だから静かにしろや! という怒号が再び飛んできた。
 こうして兄妹の一日は騒がしく始まる。
 
 兄は要領よく、妹の弁当と朝食を同時に作っていく。そして勢い良く妹が制服をだらしなく着てリビングに入ってきた。
「じゃあ行ってきます!」
「洸、朝食と弁当だ。持っていけ」
 妹の洸は兄から弁当と朝食のサンドイッチを受け取って出て行った。そしてやっと静かになったリビングで兄の光輝はいすにもたれかかった。
「あいつ、高校卒業したら生きていけるかなぁ」
 いざとなったら今後もずっと妹を養うことになるかもな、と思いながら出かける支度をした。

「はぁはぁ、やっと着いたぜぃ」
 洸は校門の前で息切れしながらそうつぶやいていた。
「あ、洸! 遅刻だよー!」
 グラウンドの方から誰かが走ってきた。髪を後ろに縛っている女の子だ。
「ごめん、ベッドが私からどうしても離れなくて」
「つまり寝坊なんでしょ?」
「そのとおり!」
 洸のボケにきれいにツッコミを入れているのは彼女の親友で同じハンドボール部の谷中ゆかり。この子のおかげで洸は学校で生きていけると言っても過言ではないほどしっかり者の女の子である。
 ゆかりはそのまま洸の腕を引っ張ってグラウンドまで走っていった。
 学校内にはハンドボール部と同じく新入生の勧誘を目的にいろいろな部活が集まっている。
 グラウンドの隅にハンドボール部の部員が集まっていた。
「栗山、また寝坊か」
 顧問である先生が洸をにらみつけながら言う。洸はそのにらみに怯むことなく、すいませーんと笑いながら謝る。
「お前、これで遅刻は今年に入って一三回目だぞ」
「朝には一生勝てないんですよー」
「そうか。では全員集まったところで本日の本題に入ろう」
 洸はスルーされて、ミーティングが始まった。

 ミーティングは新入部員を一定人数を確保しないと、部の存続が危ういということの確認だった。
 前から危ういことは洸たちにも感づいていた。
 最初のころは人数は十分にいたが、勉強に集中したいなどの理由で一人がやめていき、だったら私もやめようかなーというようなノリでどんどん辞めて行ってしまい、今では半分も残っていない。
人数が少ないこともあって、大会では毎回初戦敗退。相手からすれば彼女の学校と当たれば無条件で二回戦進出になる数合わせのような存在だろう。
しかし部員は全員、努力はしている。だから廃部だけは避けたかった。
 ミーティングが終わって、洸は自分の教室に荷物を置きに行った。
 そして四階にある教室のドアを開けると、そこには先客がいた。
「あ、亜美ちゃんだ。なんでこんな時間にいるの?」
「入学式の準備の手伝いを美術部がすることになったの」
 おとなしい雰囲気でメガネをかけた女の子、水島亜美が教室にいた。ゆかりと同じでしっかり者の友達である。入学してからすぐに、洸が一方的に話しかけて仲良くなったのだ。
「洸ちゃんはハンドボール部関係なの?」
「うん。新入生を捕獲しないと廃部になっちゃうから」
「それは大変だね。がんばってね」
「うん……」
 さっきより洸の元気がなくなっていた。普段からテンションが不安定なわけではない。常時ハイテンションである。名前のとおり、いつも輝いている。親もこの姿を望んでいたのだろう。
「どうしたの?」
「実はさ、私もハンドボールを辞めようかなって思ってるの」
「……!?」
 亜美は何も言わず体をビクッとさせた。
「ちょっと家計が苦しくてさ。バイトでもやってお兄ちゃんを助けたいんだよね」
 亜美は洸の家庭事情は大体知っている。だから普段から気は遣っているらしい。
 洸の母親は洸が小さいころに病気で亡くなって、父親は洸が高校生になるときに借金をつくって家から出て行ってしまった。
 今は生活保護と光輝の仕事の収入で暮らしている。
「それでお兄ちゃんがこの頃、帰ってこないんだよね」
「……つまり深夜の仕事をしているかもしれないと」
「私には明るく振舞ってくれてるけど、家にいてもぐったりしているんだよね。だからバイトして家計を助けないといけないから」
「なるほど」
 亜美は少し考えてからボソッとこう呟いた。
「いいバイト先、私は教えてあげようか?」
「え!?」
 洸はすぐに食い付いた。金のためなら今は何でもやりそうな勢いであった。
「実は私もやってるバイトなんだけど」
 このおとなしそうな亜美がバイトをしていたことに洸は思い切り驚いた。
「時給は?」
「えーと、日給でだいたい八千円かな」
 洸にとっては相当な金額だった。
「詳しく教えて!」
 今の状況では仕事を選んでいる余裕はなかった。希望の光が洸に見えた気がした。
「でもどっちみち部活は辞めなきゃダメだよね」
「その必要も無いよ」
「え!?」
 またまた洸がその言葉に食い付いた。
 言葉どおりならバイトと部活を両立することになる。
 部活は週5なので、空いている日は二日しかない。
「そのバイトは、土曜日の午後だけだから。今度の土曜日に駅前で待ち合わせしようか」
「うん、わかった! 亜美ちゃんは救世主だよ! 世界で一番だよー!」
 お礼を言いまくる洸を落ち着かせ、亜美は入学式の準備のため教室を出て行った。
 そのときに亜美は少し悪巧みしているような笑みを浮かべていた。
 
 そして土曜日の夜。亜美に言われた通り、洸は待ち合わせ場所の駅前に居た。
 土曜日なので駅前は人だらけである。洸以外にも待ち合わせをしている人も何人か見かける。
 洸はずっと周りをキョロキョロと見回していた。
「おかしいなー。もう約束の時間なのに」
 亜美はまだ洸の前に現れなかった。心配してメールをしてみた。
 するとすぐに「もうすぐ着くよ。洸の姿も見えてきたよ」と返信が来た。
 洸も亜美の姿をとらえるため探してみる。
 亜美は背も低めで派手な格好をするタイプではないので、この人ごみでは見つけにくいかもしれない。
「あー、みんなメガネかけてる人ばっかり。これじゃ亜美ちゃんを見つけられないや」
「洸ちゃん」
 後ろの方から声がした。洸は亜美ちゃんだ、と思って振り向いた。
「……亜美ちゃんじゃなかった。確かに呼ばれた気がしたんだけどなぁ」
 声を発したのは赤い髪のかっこいい感じの女の子だった。洸の友人にはこんな人はいない。
 洸はまた亜美を捜しはじめた。
 すると今度は肩を叩かれた。
 そして振り返るとまたさっきの赤髪の女の子がいた。
「お待たせ、洸ちゃん」
 赤髪の女の子は洸の名前を呼んだ。つまりこの女の子は洸のことを知っている。そしてお待たせと言っているため、もともと会う約束をしていることになる。つまりこの子は亜美以外の誰でもない。
「うそぉぉぉぉ!?」
「驚いた?」
「亜美ちゃん、どこかに頭を打った?」
 洸は慌てすぎて救急車呼ばなきゃ、と携帯電話を取り出して床に落としている。
 そしてすぐに亜美は弁明する。
「いや、このバイトのときはいつもこの格好なの」
 メガネを外して、髪を黒から赤に変えて、髪はいつものストレートから、少し跳ねている髪になっていた。まず別人である。人はここまで変われるのか、と言いたくなるレベルだった。
「じゃあ行くわよ」
 いつもの三倍のテンションの亜実に連れられて洸は駅前から去っていった。

 まるで生まれ変わったような亜実はどこにでもありそうなコンビニの前で立ち止まった。
 コンビニの上には普通の住宅があった。
「まさか、コンビニのバイトじゃないよね」
「まぁいいから入っちゃいなよ」
 洸は亜美に強引に背中を押される、普段なら逆の立場である。
 コンビニの自動ドアが開くと同時にポップなBGMが流れた。
「いらっしゃいませー」
 レジにいた女の店員が笑顔で接客してきた。そして洸の後ろにいる亜美に気づいた。
「あっ亜美。今日は早いのね」
 亜美と女店員は知り合いらしい。
「この子は新人かな?」
「うん、私がスカウトしたの」
 洸はスカウトされた覚えは特になかった。ただバイトを紹介されただけだった。
「そうか、即戦力になるといいな。上がっていいよ」
 女の店員はそう言って小さいカギを亜美に渡した。そして足早に亜美は洸を引っ張って店の中へ入っていった。
「コンビニの奥の部屋ってこうなってるんだ」
「普段は三階しか使わないから関係ないよ」
 亜美はそう言いながら階段を登っていった。
 洸も後ろに続いていくと、一階のコンビニとは全く違う雰囲気だった。
 何か、少し異質な空気が流れている。
 この雰囲気をまるでコンビニでカモフラージュしてるような感じだった。
「ちょっと待って」
 洸は思わず足を止めた。本能が警戒していた。亜美はすでにドアのカギを開けていた。
「どうしたの?」
「ねぇこれって何のバイトなの?」
 急に洸は不安になってきた。亜美のことは一応信用はしているのだが、それでも確かめたかった。
「一言じゃ説明できないなぁ。何でも屋ってところかな」
 あまり理解できなかった。しかし理解しようがしないが関係なく、ドアは開いた。
「ようこそ、私たちの仕事場へ」
 
 ドアの向こうには亜美、洸と背が変わらない金髪の男と、女性並みの長さの髪の少し体格のいい男がいた。二人ともふかふかのソファに腰掛けていた。
「圭、裕。この前話してた新人連れてきたわよ」
「おぉ、そいつがあの鷹の目を持っているという噂のやつか」
 洸には全く身に覚えがない噂が流れていた。
「亜美ちゃん、どういうこと?」
「いやー、洸はめちゃくちゃ視力が良いって聞いたからこれは使えると思って」
 確かに彼女の視力は未だに2・0もあった。今の情報社会では視力低下が問題になっているため、視力の良い人は珍しい。
 なのでたまたまバイトを探していた洸をスカウトしたというわけだ。
「でも本当に視力がいいのか?」
「嘘という可能性も捨てられない」
 二人は洸のことを信じていなかった。金髪の小さい男が窓のカーテンを開けた。
「小娘、あの月極駐車場の看板は見えるか?」
 洸は自分より2,3センチだけ高い男に小娘と言われたことに違和感を覚えながらも、見えますと答えた。
「じゃあ右下に小さく書いてある電話番号を言ってみやがれ」
「**−****−****」
「……小娘、やりおるなっ」
「あの、小娘って呼ぶのはやめてもらえますか?」
 やはり違和感には勝てなかった。なんせ二人の目線がほぼ平行なのだから。
「……どうせオレは160センチもないんだよ!」
 洸は逆ギレされた。直接悪口を言ったわけでもないのに理不尽に怒られた。
 とても怒っている様子だったので彼女は、悪気はなかったんですっ、と謝り続けていた。
「洸ごめんね、こいつ面倒でしょ?」
 亜美の冷たい言葉がミニ金髪に突き刺さる。
「紹介する価値も無さそうだけど一応しておくわ。こっちのキモロン毛が裕斗、そっちのうざいチビが圭」
 悪意を込めた紹介に二人は文句をガヤガヤ言っているが亜美はガン無視している。
「この子、洸っていうから。雑に扱ったらぶっ殺すから」
「とうとう亜美ちゃんの口から『ぶっ殺す』という言葉が出てしまった!」
 洸の中の亜美がどんどん崩れていく。
「じゃあ来たばっかりだけど洸にも仕事についてきてもらうかな」
「い、いきなり?」
「だからあなたは即戦力なのよ。期待してるんだからね」
「確かに必要だな」
 裕斗や圭も亜美の言葉にのってきた。はたして本音なのだろうか。
「わかった、わたしがんばる!」
 洸はたくさん褒められてやる気になっていた。
 彼女は純粋なのでお世辞でもこういうことをされるとなんでも言うことを聞くタイプである。
「つまり洸ちゃんは正式に採用ってことでいいのか?」
 洸が舞い上がっている間に圭が口を挟んだ。そして亜美はじーっと洸を見ながら考えていた。
「じゃあ正式に入っちゃうってことでいい?」
「よろしくお願いします!」
「少し変わった仕事だけど他人にバラさないって誓える?」
「誓います!」
「よし、じゃあアンタも今日から私たちの仲間!」
 こうして洸は新たな世界に一歩踏みこんだ。

 亜美たちは洸の採用を決めると、せっせと荷物を下へ運び始めた。
 洸も亜美に指示されて軽い段ボールを下へと運ぶ。
「ねぇこの中には何が入っているの?」
「まぁいろいろと工具が入ってる」
 前で重そうな段ボールを運んでいる裕斗が答えた。
 確かに動かすたびにカランカランと金属どうしがぶつかる音が微かにきこえていた。
 一階に下りると、さっき来た道には行かず、コンビニの裏口から出て行った。
 そして少し歩いた月極駐車場に八人乗りの大きな黒いワゴンがぽつんと置いてあった。
「後ろのほうに荷物入れて」
 裕斗たちは荷物を後部座席に運んで、亜美は助手席に、裕斗と洸は中間部分の座席に、そして圭が運転席に座ってハンドルを握っていた。
「圭さん、免許持ってるんですか?」
 洸は裕斗が運転するものだと思っていた。圭では安全運転という言葉にはどうにも結びつかない。
「まぁ一応な」
「アクセルに足、届きますか?」
「届くわボケ!」
 圭はムキになってアクセルを思いっきり踏んだ。
 ワゴンはどんどん違う世界へと走っていく。

 ワゴンは中心街からどんどん外側へ走っていた。走るにつれ人はどんどん見かけなくなっていく。中心から離れて行ってるのだから当たり前ではある。
 町はずれには大きいショッピングモールがある。洸は家族三人でよく遊びに来たなぁと思い出に浸っていた。
 よく三人でアイスクリームを買って食べていた。私はイチゴで、お父さんはバニラ。
 お兄ちゃんはチョコだった。
 昼ごはんには、レストランでお子様ランチをお兄ちゃんと食べていた。お父さんは私にニンジンもちゃんと食えよ、とよく言っていた。
 百円入れると動く馬の形のした乗り物にもよく乗った。最初のほうは怖かったけれど、すぐに慣れて楽しかった。
 そして帰るころには遠くにきれいな星空が見えた。お兄ちゃんと私はドアに寄りかかりながら目を輝かせて眺めていた。
 どっちが多く星を数えられるか勝負もよくしていた。
本当にあの頃に戻りたい。
「おぉ星だー」
洸がそんな思い出に浸り続けていると裕斗が子供みたいにそう呟いた。
「へぇ今日はきれいな星空ねぇ」
「俺ってさ、ロマンチストだから星空をバックに彼女に告白とかしちまうんだよなー。この星空は俺からのプレゼントだぜ、みたいな」
「……圭、ビニール袋ない? 吐きたい……」
「どういう意味だコラ!」
 洸はそんな光景を見て笑った。そして今でも星空が好きだった。
「洸ちゃん、どうした? 泣いてるぞ」
「え、ウソ!?」
 洸は自然と涙を流していた。星空が流させた涙なのだろう。
「裕斗がキモイこと言うから涙でるほど苦しんでるじゃない、お前死刑な!」
「えぇ!?」
 また車内が笑いに包みこまれた。
「がんばるね」
「ん?」
 亜美は突然言われて問い返した。
「この仕事がんばるね!」
 ワゴンはまだまだ走り続けていく。
 
 出発して一時間半くらいワゴンが走ったころ、完全に暗くなっていた。車のライトがないと目の前に道があるのかも認識できない。
「よーし、ついたぞー」
 運転席にいる圭がそういってワゴンを止めた。ワゴンが止まると亜美たちは素早く下りて手際よく荷物をどこかへ運ぼうとしていた。
 洸は行きにワゴンへ運んだ工具箱をまたぶら下げて、亜美たちについていった。
「わぁなんか怖いよぉ」
 あたりは人の気配が全くない倉庫群だった。こんな暗闇の中だ、怖くても仕方ないだろう。カラスが上のほうでやかましいほど鳴いているのがBGMと思えるくらいポジティブな思考ならきっと平気だろう。
「よし、各自いつもの場所に散りやがれ」
 亜美が荒い言葉づかいで命令すると、圭と裕斗はどこかへ行ってしまった。
 とても無駄のない動きで精錬されていた。
 そして亜美は洸が持っている工具箱を指さしてこう言った。
「その中にスプレーがあるから、それ使って向こうの倉庫のシミを消してきて」
「シミ?」
「そうよ、丁寧にやりなさいよ。丁寧ね!」
 そう強く命じて亜美もどこかへ消えて行った。
 大事なことは二回言うのが基本である。
「と、とにかく言われたとおりにしよう」
 とても怖いので誰かと一緒にいたい洸だったが一人で消えることなった。
 倉庫の中に入ると、少し鉄の匂いがした。あたりには金属パイプが転がっているせいだろうと洸は我慢してさらに中へと入っていった。
 亜美のいうとおり、中は赤いシミだらけだった。床に、壁に、パイプに、ところどころについている。
「わぁ大変そうだなぁ。つまりこのバイトは清掃業なのかぁ。まぁお金のためならがんばるぞっ」
 洸は気合いを入れてスプレーを手に取った。
 夜はまだまだ暗くなっていく。

「お、多い……」
 作業を初めて三分、洸の心は折れかかっていた。彼女のいうとおり、シミは倉庫の中にたくさんある。背丈的に届くのか心配な部分にもついている。
 しかし不可能な数ではないと洸も分かっていた。
「でも早く終わらせないとお化けとか出ちゃうよぉ」
 改めて気合いを入れて作業を再開した。
「しかしこれで八千円、なかなかおいしい仕事だな。割に合うのかな?」
「俺は合うと思ってるで」
 後ろから聞いたことのない声。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 洸は動転してスプレーを声の主に思い切り投げた。
「あぶなっ、落ち着いてや!」
 声の主は間一髪スプレーを避けたようだ。そして洸も落ち着いて観察したら、そこには青い髪をした青年が立っていた。そして洸は我に返った。
「す、すいません! お化けかと思って……」
「ははっ、アンタ面白いなぁ」
 そして青年は関西弁で陽気に話しかけてきた。こんな暗い中でも笑顔が輝いていた。
「俺、鈴原宗一。モテモテの21歳や。よろしくなぁ」
 握手を求められたので礼儀として洸も手を差し出した。
「そんでもって、俺は君たちに仕事を頼んだ依頼人や」
「依頼人さん?」
 依頼人ということは、この不気味な倉庫の詳細を知っている人物ということである。洸にもそれは理解できた。だから迷わず尋ねた。
「この赤いシミってなんですか?」
「ん、これか? トマトジュース」
「?」
 洸は自分が聞き間違えたかと思って硬直していた。そしてもう一度これはなんですか、と問うとやはりトマトジュースと即答で返ってきた。
 野菜のトマトじゃないかもしれない、と考え始めたが野菜以外のトマトなんて知らなかった。
「ここ一帯はトマトジュースを保存していた倉庫らしいで。それの名残でこんなに汚れてるんだわ。そんでもって、俺がこの倉庫使いたいなぁと思ってな。でも自分でやるより業者に頼んだ方が楽やわ、と思って仕事を頼んだんだわ」
「なるほど、納得しました」
「じゃあ仕事がんばってや」
 そういってさわやかに鈴原は立ち去っていた。さわやかすぎて残像が残るくらいの存在感を示したいた。
「よし、鈴原さんのためにがんばるぞ!」
 夜はまだまだ暗闇に染まっていく。
 

 しかしやる気はまた三分で尽きてしまった。カップラーメンはちょうど美味なものになっている時間しか持たなかった。
「もう疲れたよー、お腹減ったー」
 洸はその場で横になった。そして近くにあったトマトジュースのシミを見つめた。
 そして周りをジロジロと確認した。まるで今からやってはいけないことを犯すような雰囲気だ。
「……シミでも、味くらいは残ってるよね?」
 グゥー、とどめに腹の虫が鳴きだした。
 考えてみると正午に昼ごはんを食べたのが最後なので、お腹が空くのも当然である。
 ぐぅー
そしてそれを合図にシミに舌をゆっくり伸ばした。
徐々に、徐々に舌がシミに近づいていく。
シミまであと五センチ、三センチ、そして零センチ。
「……ウェ! なんだこれ、トマトじゃない!」
 たとえトマトジュースのシミでも美味しく頂けるわけがないが、明らかにトマトの味がしなかった。
「なんか金属っぽい、もしかして血!?」
 気づいた。
 鈴原の適当な話がウソだということに彼女はやっと気づいた。そして問い詰めるために彼女は亜美の元へ走って行った。
「亜美!」
「ん、もう終わったの?」
 亜美は反対側の倉庫で小さい監視カメラを手入れしていた。
「あれって、血だよね!?」
「あぁ、やっと気づいたか」
 亜美の反応は薄かった。そのことも含めて洸の怒りは上昇した。
「なんであんな場所に血がついてるのさ!」
「だって、この倉庫は暴力団の戦場よ」
「!?」
 暴力団、明らかに関わってはいけない存在。そんな人たちの戦場で洸は金のために仕事をしている。
 全く想像もしていなかった。こんな仕事だと最初に教えてもらっていたら断っていた。
 洸は亜美に騙された。
「なんで説明してくれなかったの?」
「だから説明したじゃん、何でも屋だよって」
 何でも屋、つまり亜美たちは暴力団達の仲介をする何でも屋ということだ。ならば金だって大量に手に入れられるだろう。
「私、こんな仕事ならやりたくない……。悪いけど、辞めさせてもらう」
「……」
 亜美は少し黙ってから洸にゆっくり近づいてきた。
 その時間は洸にとっては恐怖の時間だろう。殴られるのか、蹴られるのか、罵声を浴びせられるのか、どんなアクションを起こされてもおかしくはない。
「洸ちゃん、何ていったっけ?」
「……え?」
「言ったよね? 少し変わった仕事だけど他人にバラさないって」
 確かに洸はその質問に肯定した。
 洸は微かだが覚えていた。
「さっき車内でがんばる、って言ってくれたよね?」
 それはしっかり覚えている。涙まで流したのだ、忘れているわけがない。
 亜美はたたみかけるように話を続ける。
「それって友達を裏切るってことだよね?」
「……うん」
「なら仕事を簡単に辞めるなんて出来ると思う?」
「え……それは……」
「出来ると思う?」
 洸は答えられない。亜美の言っていることの方が正しいからだ。
 確かに自分から仕事を探していたのだ。そしてわざわざ亜美が仕事を提供してくれたのだ。でもこれは犯罪に手を染める仕事だ。
 洸の中では何が善で、何が悪なのかわからなくなってきた。
 ゴンッッッッ!
 亜美は困惑してる洸にイラついたのか、近くにあったドラム缶を思い切り蹴とばした。
 洸はその轟音に驚いた。そして冷酷に亜美がこう言い放った。
「簡単に辞めれるわけないでしょ」
 しばらくドラム缶の轟音が倉庫内の壁で反射していた。
「……こんなの亜美ちゃんじゃない」
 洸は泣きながらそう呟いた。轟音に負けそうな声だった。
 学校にいるときの亜美はとても優しかった。そしてとても頼りがいがあった。
 こんなドラム缶を蹴り飛ばすほど、荒い性格とは程遠かった。
 洸が忘れた宿題の答えを見せてくれるのはいつも亜美だった。
 洸が財布を失くした時に一緒に探してくれたのはいつも亜美だった。
 助けられてばかりではなかった。
 亜美が重そうな資料を運んでいる時に洸は一緒に運んであげた。
 大切な思い出があった。大切な絆があった。
 だから彼女はもう一度呟く。
「こんなの、本当の亜美ちゃんじゃない!」
「……」
 亜美も急に洸に怒鳴られたからなのか、黙り込んだ。
 改心してくれたのか、と洸は少し期待を持った。
「こっちなのよ……」
 亜美は声を震わせながらそう言った。
「本当の私はこっちなのよ! あっちが偽物の私なの! 勝手に私のことわかったふりしないで!」
「……とにかく私、帰る」
 洸は倉庫を飛び出して走って行った。
 亜美はただポツンと立っていた。その後ろから青い髪のさわやか青年が現れた。
「ええんか、追わなくて」
「ふっ」
 亜美は不気味に笑った。まるで洸をバイトに誘った時のように。
「これも予想の想定内よ、まぁ見てなさい」
 夜はまだまだ更けたりしない。

「勢いで出てきちゃったけど、どうやって帰るか全く考えていないのである」
 洸は倉庫の近くを適当に歩いていた。
 ここは人から離れた倉庫群なので移動手段は車か徒歩に限られる。
「タクシー呼ぶにもお金がないからな。歩くしかないのか」
 ワゴンで一時間半かかった道を徒歩で帰ると一体どれくらいの時間が消費されるのか、考えたら絶望する時間はかかるだろう。
 洸も絶望したらしく、その場に座り込んだ。
「やっぱり亜美ちゃんしか頼る人がいないんだ」
 亜美の元へ戻ろうか迷っていると、一筋の光が見えた。
「おぉなんだあの光は! とにかく行ってみよう!」
 洸は光に向かって走り出した。すると光の正体は懐中電灯だった。そしてその懐中電灯を持っていた二人の男がそこに立っていた。
「こんなところで何をしてるんだ?」
 何か帽子をかぶっていて、青っぽい服を着て帽子を二人ともつけている。つまり警察官である。
 洸はこれには驚いたらしく、少し悲鳴を上げてしまった。そしてさっきの質問に的確に答えようと必死に頭を使っていた。
「君、なんでこんなところにいるんだ?」
「目が覚めたらもうここにいたんですよ。それより前の記憶は一切ないし、ここがどこかも分からなかったから困っていたんです。助けてくれませんか?」
 洸は涙を目に浮かべながら必死に演技した。
 そして警察官も事情を把握したらしく、もう大丈夫だよ、と言ってくれた。もう一人の警察官は無線で誰かと話していた。
(これで戻れるぜっ)
 洸はバレないように小さくガッツポーズをとった。
「ぐふっ!?」
 一人の警察官がそんな声を出した。洸が振り返ったころにはもう一人の警察官も同じような声を出してうずくまっていた。そしてそこには見覚えのある小さい人影があった。
「け、圭さん!?」
「洸、助けに来たぞ!」
 洸は何が起こっているのか分からないうちに圭に腕を引っ張られていった。
 そしてようやく立ち上がった警察官が二人を追いかけてきた。
「追ってきてますよ!? どうするんですか!?」
「逃げるに決まってるだろ!」
 圭がそう叫んだと同時に前方に洸が乗ってきたワゴンが現れた。
 目を凝らしてみると、亜美が運転しているらしい。
 そしてワゴンの扉が運転席の操作によって開き、洸と圭は飛び込んだ。
 中には鈴原が笑顔で手を振っていた。
「よし、全員そろったわね! 車出すわよ!」
 亜美はアクセル全開でワゴンを走らせた。
 洸はなぜ亜美が運転できるのか、と聞きたかったが今はそんなことを言える状況じゃなかった。
「圭、警察官は誰だった!?」
「飯原と伊東!」
 テンションが上がってるのか、自然と会話の音量が大きくなっている。
「じゃあパターンBかGね!」
 パターンってなんですか!? と洸は心の中で二人に負けないくらい大声でツッコミを入れた。
 ミラーから亜美と圭の表情が見えた。
 二人とも笑顔だった。
 やはりこの逃走劇をみんなは楽しんでいるようだ。
 警察官はバイクに乗り換えて追いかけてきていた。
「亜美、次の曲がり角は右!」
「了解!」
 そのやり取りのあと、ワゴンは大きく右に曲がった。
 そして無防備だった洸は左に飛ばされて、鈴原に受け止められた。
「洸ちゃん、あぶないで。俺に捕まっててや」
 鈴原は洸をそのまま抱きしめた。
「ちょ、ちょっと鈴原さん!」
「あはは、危ないでー。ほら今度は左や」
 ワゴンは鈴原の言った通り左へ大きく曲がった。
 結局、洸は強制抱擁されたまま逃走劇は続いて行った。
「ふぅ、久しぶりにハンドル握ったわ」
 ワゴンは無事、警察を振り切った。亜美の運転技術がめちゃくちゃだったからだ。振り切ったころには洸は乗り物酔いに襲われていた。
「じゃあ俺はウチがこの辺やからここでバイバイするわぁ」
 鈴原は鼻歌を歌いながら陽気に去って行った。
 そしてそれを合図に空気が変わった。亜美が一つ、オホンと咳き込んで話が始まった。
「さて、洸ちゃんはこれからどうするの?」
「……さっき言ったとおり悪いけどやめさせてもらい、ます」
 なぜか敬語になってしまった。
「そう、でも警察には洸ちゃんのことは知れ渡ってると思うよ」
「え!?」
 警察に知れ渡った、つまり犯罪者として認識されているということだ。
 洸がなんで、と尋ねる前に亜美は答えてくれた。
「だって圭と一緒にいた時点でまず怪しい存在なのよ」
 確かに洸は一応圭に助けられた。警察官に攻撃を加えたようにも見えた。
「それに圭は大声で何て言った?」
「……あっ」
 圭は洸を最初に見つけたときに、こう叫んだ。洸助けに来たぞ、と。
 つまり警察官の前で思い切り名前を叫んでいたのだ。
「なんで圭が暴力を使ってまであなたを助けたと思う?」
「まさか……私も共犯にするため?」
「そのとおり!」
「う、うそ……」
 亜美はさっきのように洸に近づいてこうささやいた。
「洸ちゃんも私たちの仲間入りだよ」
「……」
「もしこのまま洸ちゃんが私たちのグループ抜けても、前みたいな普通の日常は戻ってこないんだよ?」
「……」
 洸は自体を把握して答えられないほどショックを受けている。
 そんな洸の姿を楽しむように亜美は話を続ける。
「たぶん私たちのグループにいないと危険だと思うよ? どうする?」
「……わかった」
 久しぶりに声を発した。
「この仕事で、働かせていただきます」
(お金のためだ、仕方がない)
 洸はそう自分に言い聞かせていた。そして今日の分の報酬をもらって帰って行った。
 夜はどんどん更けていく。

 帰ってきたのはちょうど夜中の二時だった。
 予定では光輝は仕事で帰らないと言っていた。だから鍵を開けて入る必要がある。
 しかしよく見ると、部屋の電気が微かに点いていた。
「やばい、お兄ちゃん帰ってきてる……」
 洸の計画では兄の居ない間に家に侵入しようということだった。もちろん鍵がないというオチはない。
 その計画もあきらめて、足音を殺しながら階段を上がっていく。
 そして右ポケットから鍵を取り出して、穴に静かに差し込む。
 ガチャリ
 ドアが開いたようだ。そのことを確認してからドアノブに手をかけた。
 ガチャガチャ
 ドアは開かなかった。
「ありゃ?」
 洸は間抜けな声を出しながら、鍵をガチャガチャしていた。
「なるほど、兄ちゃんは鍵をかけ忘れたのか」
 もう一回鍵を回して、ようやくドアを開けられた。
 ここからが本番である。
 足音をさっきよりも殺して、自分の部屋へと向かう。
 洸の部屋はリビングを通らないといけないので、とても厳しい戦いになるだろう。
「まずは一歩踏み出そう」
 洸は一歩を踏み出した。
 ゴッ
 運悪く、小指が棚にぶつかった。そして激痛が走った。痛みのあまり叫んでしまった。
「ぬおおおぉぉぉぉ!!」
 これでバレた。しかし兄はやってこない。
 洸はおかしいな、と思って痛みに耐えながらリビングにたどり着いた。
 そこには誰もいなかった。電気がただついているだけ。
「あっ思い出した」
 ふと家を出てきた時のことを思い出してみた。
「電気つけっぱなしで出てきたんだった……」
 とても切ない真実だった。
 さっきの行動が急に恥ずかしくなってきたのでボロボロのソファにダイビングした。
 一応兄の部屋をのぞいてみたが、やはりいなかった。
 そしてまったく食料を補給していない体のために冷蔵庫を開けてみる。
「そうだ、ついでにお兄ちゃんに料理を作っておいてあげよう!」
 洸は張り切ってエプロンをつけて、キッチンに立った。亜美とのことを忘れようと元気に振る舞っているのかはわからない。
 三〇分後、灰色のオムライスができたとか、できなかったとか。
 夜はどんどん明けていく。

 日曜日は部活に励んで、ぼんやりしているうちに過ぎ去ってしまった。
「起きろ、洸!」
 月曜日、また目覚ましの役割を果たしている光輝の声が部屋に響く、アパートにも響く。
 そして一〇分かけて布団から脱出して、リビングの椅子に腰を下ろした。
「今日も元気なさそうだな、何かあったか?」
「え、いや。朝はいつもこんな感じじゃん。お兄ちゃんこそ、目にクマできてるよ」
「これもいつものことだろ」
 リビングに小さい笑いが生まれた。朝ごはんを澄ますと各々行くべきところへと向かった。
 洸の足はあまり進まなかった。
 亜美にどんな顔して会えばいいのか、ギクシャクするに決まっている。
 友達としての関係ももう崩れているかもしれない。
「はぁ本当にいつもの日常には戻れないんだな」
 そう言って少しだけ歩みを速めた。
「はぁ着いてしまった」
 ここは2−Bの教室、金曜日にクラスが発表されて洸はこのクラスに所属することになった。
 新しい友達が作れるだろうか、というのも一つの不安要素ではあるが、洸にとってはもっと重大な問題が一つ。
「あっ洸ちゃん、おはよう」
 亜美と同じクラスになってしまった。
 なんということでしょう、とナレーションをつけたいくらいだ。
 案の定、亜美は平常通りの格好をしていた、そして教室に入ってくるなり気軽に洸に話しかけてきた。
「お、おはよー?」
 洸はやはりギクシャクしていた。
「どうしたの、なんか元気ないね」
 亜美はまったくギクシャクしていなかった。温度差がありすぎて、空気が揺れて見えるくらい異次元な空間であった。
「あ、あの土曜日のことだけど……」
「来週もあるから来てね」
 発言と同時に亜美は小さなメモ切れを洸の腹に押し付けた。
 自分の席に着いたあと、メモ切れを開いた。
 学校にいるときは、普段通り接すること。守れないなら、社会的に抹殺してやんぞ。
 メモの内容はそんな文章だった。この文章がカワイイ字体で書かれているのだから厄介である。
「ぜ、絶対に守ります……」
 洸は小さく誓った。
 二時限目の授業が終わったあとの休み時間、トイレから教室に戻る途中に亜美とすれ違った。下手に話しかけない方がいいな、と思って素通りしようとした。
 亜美も話そうとはしなかったが、こっそりと洸のポケットの中に何かを入れた。
 洸は驚いて亜美のほうを振り返ったが、亜美は何事もなかったかのようにトイレへ入って行った。
 人に見られてはいけない物かもしれないので席に戻ってから「それ」を確認した。
「……会員証?」
 「それ」は会員証だった。真ん中には「AFA No008」と書かれていた。
「もしかしてこれは亜美のグループに入っているという証なのか」
 AFA、洸には何の略かわからないが、何かしらの意味があるのだろう。
 そして洸の他には亜美を含めて七人の人間が所属している実証にもなる。
 入ってしまったからには働かなければならない、世の中厳しいなと改めて洸は実感した。

 四月の最初の授業というものは、オリエンテーションなのであまり疲れを感じない物だ。
 生徒が力を入れるのは放課後。部活に見学しに来た新入生という名の獲物を捕らえるため汗を流す時間に力を入れる。
 洸も汗を流す人間の一人だった。
「さて頑張りますか」
 洸は体育館でゆかりとストレッチをしながら気合いを入れた。
「でも洸ちゃんはあんまり頑張らないでね」
「なんで?」
「悪影響を及ぼすから」
「ぬぅ」
 洸はわかりやすく頬を膨らませた。ゆかりは長い付き合いなので洸は手本とはなりえないことは十分承知であった。
「あっ新入生第一号の登場だっ」
 体育館の入口に小柄な女の子がオドオドしながら立っていた。
「よし、さっそく引き込もうぜっ」
 洸が親指を立てて特攻の合図を送っているころには、ゆかりはすでに新入生の目の前にいた。
「あなた、女子ハンドボール部の見学に来たの?」
「そ、そうです!」
 仕事が早すぎる、と洸は内心で驚きながらゆかりの元へと向かった。
「あらー、かわいい新入生さんだー。食べちゃいたい!」
 ゴツッ
「ごめんねー、この子は異常だから気にしないでね。それにウチの部員じゃないからっ」
 ゲンコツなんてひどいよぉ、と洸は小声で漏らした。
 しかもハンドボール部員の扱いされていなかった。
 洸はあきらめてゆかりの元を離れて行った。
「ゆかりー、ちょっと来てー」
「あ、はーい。じゃあ君は端の方で静かに見学しててね」
 ゆかりは部長に呼ばれて新入生の元を離れた。
 すると新入生は周りに警戒を払いながら、ダッシュで洸の元へと駆け寄ってきた。
 洸も不意打ちだったのでかなり驚いたようだ。
「や、やぁ」
「先輩もそうですよね?」
「い、一応ね。あの人が面白がってウソついてるだけだから」
「AFAのメンバーですよね?」
「……!?」

「……?」
 洸はまともな反応ができなかった。
 初めて会った人に、知られてはいけない素性をいきなり知られていた。
 自分でもさっき初めて知った言葉がこの少女の口から出た。
「ですよね?」
「い、いや、人違い、なんじゃないかな? わたし、AFAなんて組織、知らないぞー?」
 動揺しまくっていて一文字ずつしか会話できていなかった。
 しかし簡単に自分の素性をバラしてはいけないということは守った。バレたら亜美に何をされるか分かったもんじゃないからだ。
「なんで知らないのにAFAが組織の名前だってわかるんですか?」
「……!!」
 墓穴を掘った。もうアウトだ。亜美に抹殺される。
 洸は絶望していた。
「先輩、ちょっとついてきてください」
 洸は腕を引っ張られて、少女に連れ去られた。
 そしてゆかりが部長との用事を終えて帰ってきた。
「あれ、新入生と洸ちゃんがいない!」
 洸が連れてこられたのは外にある体育倉庫の裏側、場所で言うと男女の告白に使われそうなラブラブなスポットである。
 まさかこの少女が「先輩、前から好きでした! 付き合ってください!」と言って、百合的な展開になることは皆無だろう。
「まぁ先輩も口止めされてることはわかってます」
「う、うん。脅されてると言った方が正しい、かな?」
「でも私ももうすぐ入るんですよ、AFAに」
「!?」
「あとハンドボール部にも入りますのでよろしくお願いしますね、先輩」
 先輩、おそらく二つの意味での先輩という意味。
洸はよく理解しないうちに先輩になりかけていた。
「じゃあ先輩、戻りましょう」
 また洸は少女に手を引っ張られて体育館へと連れて行かれた。
「でもなんで私がAFAのメンバーって知ってるの?」
「私の名前、まだ言ってませんでしたね」
 少女は洸の質問には答えなかった。そして自分の話を続けた。
「松岡藍と言います。松岡圭の妹です」
 松岡圭、洸はあのチビ金髪の顔を思い出した。
「まじか!」
 驚いたころにはすでに体育館に到着していて怒っているゆかりの姿が見えた。

 次の土曜日の夜、洸は地図を頼りにアジトに向かう途中だった。
 ちなみにハンドボール部は藍がたくさんの人を連れてきたので安泰となった。
 どうやって弱小部活に大量の新入生を連れてきたのかは未だに知られていない。
「あれ、右ってどっちだっけ?」
 洸はまず右と左の区別に相当な時間を費やすので、なかなかアジトにたどり着けないでいた。
「えーと、北だからこのT字路を直進すればいいのか」
 T字路の壁を破壊して進もうとしている洸の肩を誰かが叩いた。
「先輩、こんにちは」
「あっ藍ちゃん!」
 洸は救助が到着したのでとても喜んだ。藍もきっと迷子になっていると思ってました、ここらへんは複雑ですから、とお見通しの発言をした。
「さて行きますか」
「うん!」
 洸は犬のように藍についていった。
 藍は何も迷わずにアジトのあるコンビニについた。
 そして自動ドアが開くと、いつもの女店員の声が聞こえてきた。
「いらっしゃいませー。あっ洸ちゃんかー、いらっしゃい」
 ちなみにこの人は店長らしい。こんな若い年齢で店長とは珍しい。
 店内にはなぜか客が誰もいないので堂々と危ない会話もできる。
「店長さんも大変ですね」
「まぁアンタたちから金もらってるから生活安泰だからオッケーってことよ。客もいないしね」
 亜美たちAFAは家賃として大量のお金を払ってここにいるので、コンビニの経営が赤字でも問題はないらしい。
 だから人が通らない裏通りに建っているとのことだ。
「それでアンタは見ない顔だね」
「あ、私は松岡藍と申します。いつも兄がお世話になってます!」
 藍は丁寧に自己紹介した。洸は偉い子だぁ、と感心していた。
「へぇあのチビすけの妹か。やっぱり妹も小さいわけか」
「女の子なので小さくでも平気です!」
 確かにそうである。女の子にとってはプラス、男の子にとってはマイナスであるだろう。世の中の偏見かもしれないが。
「さぁ上がっていいよ」
 店長はそう言って、レジの奥へと招いてくれた。
 二人はおじゃましまーすと言ってから奥へと入って行った。
 そして客もいないので店長はまた雑誌を開き始めた。
「亜美もよくここまで大きく出来たわねぇ、すごいわ」
 店長の独り言は店内に静かに響き渡った。
 夜はどんどん深くなる。

 AFA本部のドアの前で洸は一呼吸おいた。藍は早く開けてくださいよー、とせかしていた。
 気合いを入れていないと危ない目に合うのがAFAなのである。
 そしてドアノブに手をかけた。
 ガチャ
「おぉ、なんかキューティクルなガール二人がインしてきたよ! わぁどっちもスモールでかわいい! 思い切りハグしたい、ぎゅーっとハグしたい! してもいいよね!?」
「ノア、二回くらい地獄を見てきたらどうだ?」
「きゃー、襟首つかまないでー」
 長身のハーフの色白男の襟を忍者のような恰好をしてる怖い女が掴んでいた。
 洸は一旦ドアを閉めた。本能的に閉めてしまった。
「こ、洸先輩?」
「なんかこの前とは圧倒的に違う空気になっていた気がするのは私だけかな?」
「だって私ここに来たことありませんから先輩だけに決まってるじゃないですか」
「それもそうか、じゃあ再トライ」
 ガチャ
「いやーーー! ノアさん、胸を揉まないでくださーーーい!」
「美晴のボインボインは見てるだけじゃつまらない。ボインボイン!」
「兼田流、殺人空中回し蹴り!」
「オーノーーーー!」
 ガチャ
 またドアが閉じた。ちなみに中の状況を説明すると、ハーフ男がサングラスをかけた女性にセクハラをしていて、忍者の女が成敗していたところだった。
「先輩?」
「いや、なんか新キャラが増えてたから思わず閉めちゃった。つ、次こそは行くから安心して」
 今度こそ普通に入ろうと洸はドアを開けた。
「こんにちはー!!」
 どうせ大乱闘してるだろうと思い、洸は大声で挨拶をした。
 しかし三人とも、大乱闘はしておらず、ソファーでお茶を飲んでくつろいでいた。
「おぉ威勢の良いやつが入ってきたな」
「下はコンビニだからもう少し小さい声で話してくれ」
「約束の時間より三分十六秒遅いですよーーー。時間は守りましょう」
 さっきの大乱闘はなかったことにしてるのか、洸はあまりの温度差に困惑していた。
 ちなみにその三分十六秒は大乱闘していた時間である。
「洸ちゃん遅いわよ」
 赤髪の亜美が奥から現れた。
「あれ、その子はチビすけの妹さん?」
「松岡藍と申します、いつも兄がお世話になってます」
「ふーん、しっかりしてるわね。お兄ちゃんにもっと牛乳飲めって強く言っておいてね」
 藍は一応愛想笑いしておいた。亜美の言う事は冗談か本気かの区別はつきづらい。洸がずっと傍にいて学んだことであった。
「じゃあ軽く紹介しておくわね、この子は栗山洸。私のクラスメート、見張りとして入れておいたわ。それでそっちの小さい子は松岡藍、圭の妹よ。圭の推薦で入れておいたわ」
 三人はよろしくー、と軽く挨拶をしてきた。
「それでこのデカイ白人が石山ノア。アメリカと日本のハーフよ」
「洸ちゃん、藍ちゃん、よろしくねー。ボディタッチから仲良くしましょ」
「次に忍者みたいで男みたいな恰好をしてるのが兼田涼。昔からの知り合いよ」
「ノアが何かしたらすぐに知らせてくれ、成敗してやる」
「最後にサングラスをかけたオドオドしてる女が村崎美晴。この子はいつの間に入ってたわね」
「気軽にパープルと呼んでくださーーーい」
 これで自己紹介は手短に済んだ。手短に済んだがとても濃かった。
「じゃあさっそく出発するわよ!」
 亜美の一声で全員が動き出した。
 夜はこれからが本番である。



2012/04/07(Sat)00:16:43 公開 / ayahi
■この作品の著作権はayahiさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 どーも、ayahiです。このごろ新しい作品を書いても誰もコメントしてくれないのでショボーンとしています。コメントが来ない原因はズバリ、私の書いた小説は読むに値しないということなのかっ!?という感じで自己嫌悪に陥りながらこの頃は過ごしております。
 この作品はおそらく五年前に書き始めたものだと思います。たぶん面白い小説があって、これと雰囲気が同じっぽいものを作ってみようと思って書いたはずです。
 意見、感想などお待ちしておりますっ
この作品に対する感想 - 昇順
こんにちは。たぶん始めまして、であってましたっけ? 違ったらごめんなさい。
作品読ませていただきました。
前々から読もう読もうとは思っていたのですが、なかなか時間が取れず遅くなってしまいました(汗
なかなか面白かったです。まだ序盤と言った感じで今後どうなっていくのか楽しみです。
意見、というほどのものでもありませんが、もう少し個性を全面に出してみるといいかもしれません。別に今の作品がおもしろくないという訳ではないのですが、いまいち文章にもキャラクターにもこれといったインパクトがない感じがしました。
それでは、今後の展開が私の予想をいい意味で裏切ってくれると信じて、続きを待ってます^^
2012/01/28(Sat)21:22:310点浅田明守
こんにちは、浅田さん。久しぶりにコメントが来たので泣きそうなくらい嬉しいですっ。あと、初めてではないような気がしますw
 キャラクターのインパクトですか。洸ちゃんの周りの人たちのインパクトが強くなっていく予定なので悩んでいたところです。なんとかいい作品にできるように頑張りますっ。
 まだまだ投稿していない作品は多数あるので是非、その時は読んで意見をくださると助かります。
2012/01/29(Sun)16:36:020点ayahi
どうも、鋏屋でございます。久し振りに覗きにきたら、なんかおひさしぶりの御名前がちらほらしてて、嬉しくなってる鋏屋ですwww
で、御作読ませていただきました。
多少引っ掛かる部分があった気はするものの、ここまではスルリと読めてしまうので、そう考えるとそれほど気にしなくても良いのかもしれませんね。お話のリズムというか、スピード感が心地よかったです。あっという間に話が進むのに、自然な感じで無理がなく私は読みやすかったです。所々でツッコミどころもあったのですが、下手にあれこれ手を加えるとこの心地よいスピード感とリズムが壊れそうな気がしました。ドスランプな今の私では、お役にたてるようなコメントが残せそうにありませんしw
それにしても怪しげなお仕事に興味津々ですよ。亜美の変貌ぶりも面白いしwww
浅田氏が言っていたけど、個性というか、私は何ヵ所か台詞の部分でどのキャラクターが喋っているのかわからなくなってしまった箇所がありました。まあ、私の読解力不足つーのも多分にあるとは思いますが……(爆)
しかし、ものすごい所でぶったぎりますね。メチャクチャ悶々としますよwww
まだまだ序盤ですのでお話の内容についてのコメントは難しいですけれど、好みな内容のお話になりそうな予感がします。そんな期待も込めてポイントを贈ります。次回更新もお待ちしておりますね。
鋏屋でした。
2012/02/02(Thu)09:09:551鋏屋
鋏屋さん、こんにちは。意見ありがとうございました。まさかポイントが入るとはww
自分、とても感激でございますっ。
 内容のほうですが、この作品はスピード感を重視してつくったので、その点で評価してくれたのはとても嬉しいです。
 セリフに個性を出すことにはあまり力を入れていませんでした。これからがんばってみます。
しかしこの後の話が矛盾がありすぎて今、整理している最中なので次回の更新は少し待ってもらうかもしれません。
 その前にもう一つの作品を投稿すると思います。そちらも是非読んでください。
2012/02/04(Sat)22:29:150点ayahi
こんにちは!以前ayahiさんにコメントをいただいた三毛猫です。丁寧なコメをありがとうございます。(アドバイスまで…ううっ)このお話ですが、やはり上手なお方はちがいますな〜!その時の状況がよく見て取れますね。どういう場所で、どのように、なにが起こったか、そして主人公や登場人物が何をしたかを明確に書かれているというか、まさに読みやすく分かりやすいの象徴のようなお話ですねっ!私はこの手のストーリーがあまり好きではないのですが、「うん!おもしろい」とはじめて感じました。私はヘタいですが、ayahiさんが書いてくださったあのお言葉は、とてもうれしかったです。未熟ながら私も応援しますのでお互いに頑張りましょうね!(^o^)/
2012/02/06(Mon)17:04:261三毛猫☆
三毛猫さん、こんにちは。まづ、そこまで褒めてくれるとは思ってもいなかったのでとても感激でございますっ。
 この作品は一度ボツにした自信のなかった作品だったので、この評価は予想外の一言でしか表せられません。これからもお互いに頑張っていきましょう!
 関係ない話ですが、三毛猫さんがちょっと注意されていたコメントをさっき見たのですが、これが原因で投稿できなくなったり、コメント出来なくなるのが少し心配です。
 最初のころは間違えることは当たり前ですので、あまり引きずりすぎないでほしいです。
 私もここのサイトに投稿し始めたころは色々と言われたので次から投稿する勇気がなくなっていたこともありました。でもそれも一つの愛情だと思って前に突き進んでください。
 ちょっと余計なお世話でしたね。すいません、独り言だと思ってスルーしてください。
2012/02/07(Tue)20:17:280点ayahi
はじめまして、木の葉と申します。御作読ませていただきました。
導入部で死体が出てきて、あんまり暗い話はちょっと苦手なので大丈夫かなーと思いましたが案外サクサク読めて楽しめました。これくらいのテンポは私はとても好みです。最初の赤い髪の女性がまさか亜美ちゃんだとは思わず、いい意味で期待を裏切られましたw圭と祐斗コンビも見ていて面白いです。気になる点といえば、洸ちゃんがあんまりインパクトのあるキャラに思えなかったところでしょうか。主人公なら周りのキャラに負けないくらい引き立たせてあげると良いかと思います。私はまだまだ初心者なので、あまりためになる感想が書けず、申し訳ありません。
続きが楽しみです。詳しい仕事内容とかこの先の展開とか……更新を心待ちにしております。

では、失礼しました。
2012/03/17(Sat)16:06:330点木の葉のぶ
どうも、鋏屋でございます。続きを読ませていただきました。
相変わらずのスピード感でスイスイ読めますね。お話の進み具合がちょうど良い感じでした。
それなだけに、非常に惜しい気がします。手を加えればもっと良くなるかなと。
私が感じるのはリアリティが薄いこと。小説のお話なんてものは、9割以上フィクションなので、ありえないことが起こったりしても、話全体を崩すような事でなければ何が起こってもOK 。極端な話、「亜美が実は宇宙人」ってのも、私的にアリだと思いますw
大筋はフィクションでも良いけど、細かい部分ではなるべくリアリティをもってほしいと
思いました。
たとえば、主人公がシミを舐めてトマトジュースじゃないって判断するシーンがあったですが、現実的にayahy 殿だったらシミを舐めます?
亜美の仕事が非日常であることを印象付けるためにも、細かい部分はリアリティを出す必要があると思うのです。まあこれは好みの問題かも知れませんけどね。
あと、情景描写をもう少し繊細にしてはいかがでしょう? 細かい所をひと手間かけると結構雰囲気が出るものですよ。私も今はそれを課題に書いてます。上手い人の作品は、まるで自分がそこにいるような錯覚をする物もあります。以前読んだバニラダヌキ殿のお話など、ほんとにジャスミンの香りがしてきそうなほどでした。まあ、あそこまでなるにはかなり難しいですが、それでも少し手を加えればグッと良くなりますよw
色々くだらないことをグダグダ書いてすみません。でも期待の表れと思っていただけば幸いかと……
私的にお話の構成といいますか、リズムはとても上手いと思います。ぜひこのあたりの力を伸ばしつつ、ひとつ上にレベルアップされることを願います。
では、続きも期待しつつお待ちしております。
鋏屋でした。
2012/03/17(Sat)20:27:080点鋏屋
うsusbusさあ 木の葉のぶさん、鋏屋さん、感想ありがとうございました。実を言うとこの小説の入ったUSBがこの前故障しまして、吹っ飛んでしまったのでやけくそで書いていたのです。なので恐ろしい出来になってるという自覚はありますw
 まずは主人公のキャラ、一応天然キャラとして書いているのですがどうやら伝わってないようですね。いろいろと試してみたいと思います。
 そしてリアリティの出し方、故障したUSBに入っていた方の小説はまともだったはずです。なのでこれから色々と修正したいと思います。
 最後に、情景描写。
 まず私の国語力では不可能に近い技術ですねw
 しかし克服しようと日々努力っぽいものはしてます。これからはたくさん勉強してレベルアップしたいと思います。
 貴重なご意見ありがとうございました。
2012/03/18(Sun)00:25:490点ayahi
↑の冒頭の謎の文字はミスなのでスルーしてくださいww
2012/03/18(Sun)00:26:380点ayahi
どうも、ゆっくりしていき隊です。
こちらの作品にもコメントを頂いたので、お返事をさせてもらいます。といっても、まだ途中までしか読み終わってませんが。

コメントと言うより、アドバイスに近いものになってしまいますが、まず登場人物の名前にはふりがなを振ったほうがいいです。『裕斗』という名前は『ひろと』や『ゆうと』とどちらでも読めてしまいますので、作者の考えた名前どおり読んで欲しいのならふりがなをつけるのをお勧めします。
そして次に、主人公(?)の洸ちゃんがバイトを始める理由が単純すぎだと思います。
普通なら初めてのバイトで、何をするのか良く分からないところにすぐに入ろうとは思いません。洸ちゃんがバイトを始めるまでに、心の中で葛藤があった方がストーリー的にも面白くなると思います。
そして気になった点が。
少し台詞が多いような気がします。台詞の間に入る説明の文はもう少し長くてもいいと思うのですが、とりあえず情景描写はもう少し詳しくやった方がいいですね。じゃないと、今いる場所がどういうところか、読者にも伝わり辛いので。

まだ最後まで読んでませんが、以上のコメントを参考にしていただければ嬉しいです。
ではではw
2012/04/22(Sun)21:24:560点ゆっくりしていき隊
 ゆっくりしていき隊さん、アドバイスありがとうございます、名前にはツッコミをいれませんw
 振り仮名については、実は読者に自由に読んでもらおうと思ってつけませんでした。「洸」は「こう」でも「ひかり」と読んでもらっても構いません。敢えて読者に委ねてみます。
 そしてバイトを始めるきっかけ、これは洸ちゃんが後先考えずに突っ走るバカな性格を表したかったんですが、伝わらなかったみたいですね。少し改善してみます。
 最後に情景描写、これに関してはボクの国語力じゃマトモになるのはかなり先になりそうです……。
 とにかく貴重なアドバイスをありがとうございました。
2012/04/23(Mon)21:32:070点ayahi
合計2
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