オリジナル小説 投稿掲示板『登竜門』へようこそ! ... 創作小説投稿/小説掲示板

 誤動作・不具合に気付いた際には管理板『バグ報告スレッド』へご一報お願い致します。

 システム拡張変更予定(感想書き込みできませんが、作品探したり読むのは早いかと)。
 全作品から原稿枚数順表示や、 評価(ポイント)合計順コメント数順ができます。
 利用者の方々に支えられて開設から10年、これまでで5400件以上の作品。作品の為にもシステムメンテ等して参ります。

 縦書きビューワがNoto Serif JP対応になりました(Androidスマホ対応)。是非「[縦] 」から読んでください。by 運営者:紅堂幹人(@MikitoKudow) Facebook

-20031231 -20040229 -20040430 -20040530 -20040731
-20040930 -20041130 -20050115 -20050315 -20050430
-20050615 -20050731 -20050915 -20051115 -20060120
-20060331 -20060430 -20060630 -20061231 -20070615
-20071031 -20080130 -20080730 -20081130 -20091031
-20100301 -20100831 -20110331 -20120331 -girls_compilation
-completed_01 -completed_02 -completed_03 -completed_04 -incomp_01
-incomp_02 -現行ログ
メニュー
お知らせ・概要など
必読【利用規約】
クッキー環境設定
RSS 1.0 feed
Atom 1.0 feed
リレー小説板β
雑談掲示板
討論・管理掲示板
サポートツール

『Requiem des Fahrrades』 作者:浅田明守 / ショート*2 未分類
全角2172文字
容量4344 bytes
原稿用紙約6.05枚
昔はどこまでも行けると信じていた。君と一緒に走るのがなによりもの幸せだった。でも、幸せはいつまでも続くものではなかった……
 昔はどこにだって行けると、本気でそう思っていた。
 君がよっこらせと、少し年寄り臭いかけ声を出さないと持ち上げられない重たいものも軽々と持つことが出来た。自慢じゃないけど同じ年代の連中の中では僕はとびっきり足が速かったし、君と一緒によく山道を駆けたせいか、坂道だろうが泥道だろうが、どんな道だって力強く駆けていくことが出来た。まあそのせいでよく、僕らはしょっちゅう全身泥まみれになって、君のお母さんに大目玉を食らったりしたもんだけれど。
 君が会社に就職してからも僕らは一緒だった。さすがに子供のころのように泥道を一緒に走ったり、雨が降る中を全力う失踪してみたり、なんてことはなくなったけれども、それでも君はどこへ行くにも好んで僕と一緒に行きたがった。家族や会社の同僚が何度止めようとしても君は僕と一緒にいることを止めなかった。そういう頑固なところだけは、本当に子供のままだ。
 そんな君の想いを僕は嬉しく思う一方で、少しだけ辛くも感じていた。
 だって、現実は残酷だ。流れる年月に勝つことは誰も出来ない。
 どこまでもいけると思っていた身体は今ではおんぼろもいいところで、少し動かすだけでも全身からギシギシと嫌な音が聞こえてくる。自慢の足も重たく、山道を駆けるどころか普通の道を普通に動くだけでも身体のあちこちが不調を訴える。時代に取り残された僕は、時代の波に乗った後輩たちを横目で見ながらただ腐っていくのみ。
 でも、それでもいいと言って君は僕の側にいてくれた。おんぼろな僕の身体を気遣いながら、ゆったりと僕のペースに合わせて走ろうとしてくれた。でも、そんなのは本末転倒もいいところだ。気遣わなければいけないのは僕の方なんだ。
 僕らの身体には同じ場所に傷がある。昔、山の中を駆けまわっていた頃に負った傷だ。
 山道をどれだけ速く駆け下りることが出来るか。それは僕らがよくやっていた遊びで、だから僕は油断してしまった。前日の大雨で露出した木の根っこに気付かずに、全力で坂道を駆け下りて、派手に転んだ。君は転んだ僕に巻き込まれて、右足に大きな怪我を負った。幸い命に別状はなかったけれど、雨が降る度に君が痛そうに右足を擦っているのを僕は知っている。
 僕は君に怪我を負わせてしまった。この先もずっと続くであろう重たい枷を君に負わせてしまった。そのことは僕にとって軽いトラウマとなっている。
 もう君に怪我をさせたくはない。僕のせいで君が怪我をするのなんて耐えられない。だから……君はもう、僕と一緒にいるべきじゃない。
 そう考えていたのは僕だけじゃない。君の家族だって、会社の同僚だって、君のことを心配して何度となく君にそう言ってきた。でも、君はそれらの声に耳を貸すことはなく、僕と一緒に在り続けた。
 さすがに会社へ一緒に行くことはなくなったけれども、休日の度に君は調子の悪いところはないかと僕に語りかけ、一緒に散歩に出かけた。俺が死ぬまでお前のことはこき使い続けてやるから覚悟しろ、なんてことを言われたこともある。表だって泣くことはなかったけれども、その言葉がどれだけ嬉しかったことか。
 でも、本当にダメなんだ。僕は本当におんぼろで、いつ壊れてしまってもおかしくはない。いつ君に怪我をさせてしまうかわからない。それに最近、僕はおかしいんだ。ふとした拍子に頭の中に悪い考えが浮かんできてしまう。坂道を下っている時、車通りの激しい道を通っている時、川沿いの土手を走っている時、ここで僕がちょっとふざけたらどうなるか。そんなことばかりが頭に浮かんでくるんだ。
 以前はこんなことはなかった。そんな場所で僕がふざけたら、それこそ怪我では済まないかもしれない。死ぬような事故になってしまうかもしれない。それがわかっているにもかかわらず、そんなことを考えてしまうんだ。
 だから君は僕を見限らなきゃいけない。いや、本当はもっとずっと前に君はそうしなきゃいけなかったんだ。
 あぁ、僕はもう限界なんだ。君と一緒に走るのが辛い。身体は痛いし、何よりも心が苦しくて張り裂けそうなんだ。今だって、我慢している。この坂を下った所には大きな交差点がある。いつも大型トラックだとかがビュンビュン走っているような場所だ。事故多発地帯で、毎年何人かの人がこの先の交差点で亡くなっている。
 あぁ、我慢しているんだ。ここでちょっと、君の背中を押してやったらどうなるのか。そう難しいことじゃない。交差点の前で僕が急に立ち止まったら、あるいは止まらなかったら、君はきっと交差点に飛び出して車に撥ねられて……そして僕はこの苦しみから解き放たれる。
 あぁ、我慢、我慢して、いたんだ。でも、君がいけないんだよ……いつまでも僕を見限らなかった、ボロボロになった僕を解放してくれなかった君が……。だって、君はたとえ僕の一部が壊れてしまっても無理やりにでも直してしまうだろう? もう嫌だと言っても聞いてはくれないだろう?
 だったら、僕が君をどうにかしてしまうしか他に方法がないじゃないか……


      物を大切にするのはいいですが、自転車には耐久年度が存在します
            自転車の点検と買い替えは定期的に
                            −−−日本自転車協会
2011/09/15(Thu)23:48:53 公開 / 浅田明守
■この作品の著作権は浅田明守さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 この物語はフィクションです。実際に自転車協会なんてものがあるかどうかは知りませんが、とりあえず現実世界とこの物語は全く無関係なので悪しからず。
 というわけで皆様こんにちは。あるいは初めまして。テンプレ物書きの浅田です。
 もっと捻れ、どっかのCMみたいとの指摘を多く頂いたので少しばかり内容を改編させていただきました。
 ……ごめんなさい、嘘です。原型がほとんど残っていないの間違えです。
 とりあえず原点回帰ということでオチはちょっぴりダーク(?)な感じに。かつ、物を大切にしよう的なCMみたいと言われたのでいっそ物を大切にし過ぎるのはどうですかねぇ、的なCMっぽくしてみましたがいかがでしょうか?
 意見、感想などなにとぞよろしくお願いいたします。
この作品に対する感想 - 昇順
どうも、鋏屋でございます。御作、読ませて頂きました。
う〜ん、オーソドックスな話ですね。いい話なんですが、ショートならもう少し捻った方が私好みでした。どことなくメーカーのCMか、「物を大事にしよう」といったメッセージの様な感じがしましたw
『Des Fahrrades』って確かドイツ語で自転車でしたっけ?
うん、スランプは嫌だよね〜 怖いよね〜 心中お察ししますが、それでも次回作をお待ちしておりますよw
鋏屋でした。
2011/08/18(Thu)17:28:160点鋏屋
こんばんは。作品読ませていただきました。
鋏屋さんもおっしゃってますが、確かにもう少しひねってあったほうが良いかなと思いました。ちょっとストレートにさらっと終わりすぎのような。単に処分されて終わりではなく、最後になにか一瞬の輝きみたいなのがあれば良かったように(例えば、ごく短い情景描写で、過去の想い出につながるようなものを入れるとか)思います。
2011/08/19(Fri)23:52:420点天野橋立
>鋏屋さん
はい、自転車です。タイトルを和訳すると自転車のレクイエムですね。例によってまんまですww
擬人化ものは難しいですね(汗 本当なら何度も読み返してようやく「あぁ、これもしかして自転車か」とわかるような作品を目指していたんですが上手くいかずにこんな中途半端な作品にorz

>天野橋立さん
感想どうもありがとうございます。
ひねり……御二方に言われてからずっと考えてはいるのですが、どこに入れると一番効果的かなかなか悩んでしまって(汗
あぁ、でも天野さんが仰るような終わり方もなかなか美しそうですね。参考にさせてもらいます^^
2011/08/24(Wed)00:39:400点浅田明守
作品を読ませていただきました。
冒頭で主人公が移動する道具だというのがわかってしまうため、ラストにかけての流れが素直すぎて物足りなく感じました。
たとえ主人公は人間ではないことがわかっても、「君」と過ごした日々の思い出(具体的な)があればより主人公の感情が読者により伝わってきたと思います。
では、次回作品を期待しています。
2011/09/13(Tue)07:51:300点甘木
>甘木さん
ご指摘感謝します。
なるほど、冒頭ですでに移動する道具だとばれてしまっていたんですね(汗
もう少し色々と工夫をして出直してみます^^
2011/09/14(Wed)21:01:320点浅田明守
こんばんはです。作品読ませていただきました。
最初から「なんか人間とは違うものだな」ってのはわかりましたが、具体的になんなのかはわかりませんでした。
とにかくどんどんおかしくなっていくのに寒気を覚え、最後やっちゃったかもしれないモノローグと共に正体が判明し「ああ、なるほどw」と思いました。
私は修正される前の物を読んでませんが、ダークな雰囲気などは出ていたと思いますよ。これからもご期待しております
2011/09/16(Fri)22:43:560点紫静馬
>紫静馬さん
そう言っていただけると作者冥利に尽きます^^
ご期待を裏切らないよう今後も精進していきたいと思います。
2011/09/17(Sat)15:23:460点浅田明守
拝読しました。水芭蕉猫ですにゃん。
最初犬かと思いました。何となくですが。でも、これは予想外。皆様もおっしゃってますが、人間とは違うものだなという予想はすぐ出来ましたが、これはこれで安心して読めるので良いかと思います。
2011/09/22(Thu)21:36:180点水芭蕉猫
>水芭蕉猫さん
感想ありがとうございます^^
予想外と言っていただけて感激の極みです。
自称テンプレ物書きとしてはこのような安心して読めて、かつちょっとしたサプライズをお届けすることが出来ればいいなと考えております故、今後もなにとぞよろしくお願いいたします。
2011/10/08(Sat)21:45:580点浅田明守
合計0点
名前 E-Mail 文章感想 簡易感想
簡易感想をラジオボタンで選択した場合、コメント欄の本文は無視され、選んだ定型文(0pt)が投稿されます。

この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
スタッフ用:
投稿者用: 編集 削除