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『堕天使の傷痕』 作者:暇人プウ / ファンタジー 未分類
全角12946.5文字
容量25893 bytes
原稿用紙約42.75枚
傲り高ぶった天使長が唯一神に戦いを挑んだ、天使と悪魔の大戦争。その大戦争の前線に立って戦っていた、ある能天使パワーの回想録です。(短編/完結済み)
1/『異教徒外典』3章4節-豊穣の夫と聖娼婦の妻-


 温暖な日射しが地中海域を暖かく照らす。
 古代神殿から響くのは、信徒たちの祈りの唱和ではなかった。
 断末魔の叫びが震え、剣と剣が噛み合う金切り声を散らす。
 古の女神を祭る神殿内は、鮮血の海に白い羽毛が浮かぶ戦場と化していた。

 横手の大円柱から飛び出した剣闘士が、裂帛の気合いを込めて蛮人刀を振るう。
 聖十字の円盾が重い衝撃に鳴く。左腕の骨が軋みを上げるけど我慢。
 僕は能天使の標準装備『懲罰の槍』を繰り出す。
 聖火を燃やす穂先が咄嗟に翳された獣皮の革盾を刺し通って左胸当てへ到達。
 心臓を焼かれ、左胸当てから肉の焦げる黒煙を噴いて傾いでいく、異教徒の剣闘士。
 彼は下級神の血を引く子――とはいえ、神格としては自然霊以下で最低ランクだ。
 天界中位三隊第六階級能天使パワーズ――唯一なる神の兵士たちの敵ではない。
 神を名乗りながら、こうも簡単に人間と交わるカナンの神霊たちは、何を考えているのだろう。
 下級とはいえ、神の血の混じった人間は、大きな才能を持つ。
 ただ親が神であると言うだけで、その子は生まれながらに財産を与えられる。
 それは必要以上の不平等を産み、自己を磨く努力を放棄させる、堕落の道だ。
 やはり父なる神の教え通り、カナンの神霊たちは、人間に害成す邪神なのだ。

 僕は鉄仮面のスリットから神殿内を見回す。
 トパーズの眼に映るのは、下級神の子の戦士たちが自らの血溜まりに沈む光景。
 圧倒的に多いのは邪教徒の戦士どもの死体だが、朱に濡れた天使の翼が呻いているのも見えた。
 幾本もの槍に貫かれた能天使は、やがて力尽き、清浄なる炎となって燃え尽きていく。
 からん、と寂しい音を立てて、持ち主を亡くした鉄仮面が神殿の床に跳ねた
 戦場に立つ以上、僕たちに死は避けられない。
 とても悲しいことだけれど、それが僕たち能天使の任務であり誇りだ。

 古代神殿内部に、凄まじい威圧感を従えて水蒸気の瀑布が落下してきた。
 氾濫する暴れ川のような殺気の渦に、勇敢な能天使の軍勢も気圧される。
 生贄の処女が串刺しになった祭壇に、男女一組の神霊が降り立っていた。
 古代神殿の祭神である『バビロンの大淫婦』にして、血の美酒に酔う全裸の『流血女神』。
 女神の夫である、若く逞しい戦士神……海龍を擬人化したような風貌の豊穣神だった。
 最前線で陣取る能天使たちの隊列が乱れ、紅蓮の炎の血飛沫が噴く。
 歪んだ刃の大剣から火の粉が零れ、空しく掻き消えた。
 能天使五人をまとめて叩き斬った流血女神が獰猛な哮りを轟かす。
 ついにカナンの邪神が、現し身を取って天下ったのだ。

 能天使の軍団が浮上。『懲罰の槍』の穂先に灯る聖火が十字架の形へ燃え広がっていく。
 古代神殿の上空に滞空する、聖なる十字架の炎を執る能天使の軍団。
 荘厳なる神の軍勢。宗教画の一角を切り取ったような神聖な光景。
 能天使の指揮官の号令を受けて、純無垢の翼を鋭角に傾けて次々と急降下。
 他の能天使たちと同じく、僕も一陣の熱風となって空中を翔る。
 眼前に迫る邪教の夫婦神。
 残忍な微笑みを湛える流血女神と、穏やかな面差しを憂慮に顰めた豊穣神。
 数十本の聖十字炎が一斉殺到。いかなる敵も灰燼へ帰す能天使の槍衾。

 だけど、魔を焼き払う聖火の穂先は虚空を焦がしたのみだった。
 頭上から降ってくる女の哄笑。夫の豊穣神を抱えて高く跳躍していた流血女神。
 天井に刃を突き立ててぶら下がる妻に抱かれた豊穣神が手に持つ王杯を傾ける。
 つーっと垂れた白糸は、すぐさま莫大な量の雄滝となって降り注ぐ。
 天井からの大洪水に、聖十字の炎は掻き消え、能天使の軍団は残らず飲み干された。
 荒れ狂う水禍が逆巻く。水中の僕の視界は上下左右に回転。
 渦潮による死の螺旋だった。手足が無茶な角度に捻れ、骨の砕ける痛みが走る。
 農作物を実らせる慈雨を降らす豊穣神は、嵐を統べる荒ぶる神でもあったのだ。
 古代神殿の壁が決壊し、瓦礫を含んだ大量の水を排出していく。


 午後の太陽が照り付ける下――
 僕は肺腑に潜り込んだ水を吐いて、意識を取り戻す。
 水浸しになった草原に転がるのは、溺死した能天使たち。
 能天使の軍団の壊滅を確かめに、古代神殿の大穴から夫婦神が現れる。
 何とか立ち上がった数人が挑み懸かるも、流血女神の刃に首を刎ねられて果てる。
 能天使の尖兵隊は敗北した。第六階級の僕たちとは格が違いすぎる相手だった。
 死に懸けの能天使を処刑して回っていた流血女神がこちらを振り向く。
 にたあ、と殺戮の歓喜に笑う眼。 緑草を踏む裸足が近付く。
 草叢に倒れ臥した僕は無手。さっきの渦巻きで『懲罰の槍』を手放してしまっていた。
 幾多の戦場を飛翔た僕の命運も、此処までのようだ。
 天界の指導者ルシフェル様は、より上位の軍団を投入するだろう。
 天界上位三隊第三階級の座天使ソロネや、第二階級の智天使ケルビムの軍団。
 いずれ、カナンの邪神は滅びる。
 父なる神の威光は、邪淫に耽る悪しき神霊たちを、ことごとく焼き尽くすだろう。
 僕たち能天使が倒れても、正義は必ず地上を照らすのだ。
 僕の見上げた先には、流血女神の一糸纏わぬ裸体があった。
 太陽の光で、歪な刃が煌めく。
 僕の御魂よ、父なる神の元で安らかに――アーメン。
 首狩りの大剣が振り下ろされ、僕の生命の炎が消える刹那。

「うおおおおおおっっっっ!!!」

 たった一人の鬨の声。流血女神が刃を止めて反応。
 ずぶ濡れの翼を打ち振るい、生き残りの能天使が聖十字の炎を大振りに薙ぐ。
 魔を焼く十字架をなんと素手で受け止めた流血女神が、指先に力を込める。
 『懲罰の槍』を握り潰され、驚愕する能天使へ、斬首の刃が振るわれる。
 腹這い姿勢の僕は、残る力を振り絞って、骨格の折れた翼を羽ばたかす。
 今まさに処刑台に乗せられようとしていた仲間を、僕の渾身の体当たりが救出した。
 鉄仮面を浅く削られながらも刃から逃れた仲間と僕は、一緒になって草地を転がっていく。
 泥塗れになった僕の目に止まるのは、海龍鰭を象った足首輪を嵌めた足先。
 王杯を掲げる豊穣神が哀れみの眼差しで、僕たち敗残兵を見下ろしていた。
 昼下がりの青空に踊る人影。空高く跳んだ流血女神が天女の足取りで着地。
 カナンの夫婦神に挟まれた僕たち。抱き合った仲間の鉄仮面にも死相があった。
 一度拾った命を留めておくことは出来なかった。
 名も知らぬ仲間と一緒に、僕は死ぬ。
 流血女神の残虐な肉切り包丁が振り上がった時――

 真昼間の太陽を凌ぐ光が煌く。
 両眼を眩まされ叫ぶ流血女神、聖なる輝きの灼熱感に呻く豊穣神。
 邪神たちとは反対に、能天使の僕には慈愛の光で、手足の骨折の痛みが引いていった。
 能天使の負傷兵たちを守るように、至高の光輝は地上へ降り立った。
 天界第一階級の熾天使セラフィムの頂点。父なる神の玉座の右側を許された光の子。
 白く気高き十二枚の翼で僕たちを庇う、『明けの明星』の尊称を戴く至聖美。
 大天使長ルシフェル――神に最も近い天使長様が降臨していた。

「よく耐え抜いた、勇敢なる神の戦士たち」
 賛美歌のように心地良く耳に染み渡る美声が告げた。
 天使長様の尊顔が振り返り、慈しみのこもった労いが掛けられる。
「後は私に任せて、その名誉ある傷を癒しなさい」
 天使長ルシフェル様の存在感に、カナンの邪神たちは戦慄して後退っていた。
 僕たちは互いに肩で支え合って、傷付いた翼同士で空に舞い上がる。
 天使長様が現れたのなら、もう安心だ――
 勝利の凱旋を一足早く知らせに、雲の上の天界へ二人の能天使が昇っていった。


2/『福音天使の書』4章7節-百合の花の微笑み-


 果てしない蒼穹の頂上へ、高く高くそびえ立つ大樹が二つ。
 豊かな林檎の香気漂う果樹園の中央には、神秘の双子樹が『生命』と『知恵』の果実を下げていた。
 太い枝に腰掛けた僕は、たわわに黄熟した『生命の実』にかぶりつく。
 瑞々しい果汁が失われた血となって巡り、甘い果肉は傷付いた身体の癒しとなる。
 不老不死をもたらす奇跡の滋養。父なる神が僕たちのために植えて下さった永遠の樹だ。
 くちゃくちゃくちゃぶちゅっごくっ
 僕の隣で汁気たっぷりの咀嚼音を響かせているのは、能天使シュドエル。
 彼は一億八千六百二十八万九千七百六十四番目に生まれた天使で、
 僕は一億八千六百三十一万四千七百五十一番目だから、歳の近い兄弟のようなものだ。
 もっとも三億百六十五万五千七百二十二人いる天使は、皆誰も父なる神の炎から生まれた、途方もなく多い兄弟姉妹といえるだろう。
「あー、んまかったぁ」
 果実の芯と種まで惜しむように噛み砕いたシュドエルは、衣の袖で口を拭う。
「オレたちの身分じゃ、滅多なことじゃないと『生命の実』なんて食えないもんなー」
 僕も命の炎を永遠に燃やすための福音祭以外で、『生命の実』を口にしたことはなかった。
 『生命の実』と『知恵の実』は、唯一なる神の創造と叡知の源。
 第六階級の能天使が骨折程度の負傷で『生命の実』を与えられることは、まずあり得ない。
 僕たちが生命の林檎を賜ったのは、天使長様ルシフェル様の特別の計らいがあったからだ。

「じゃーな、ケルビム」
 果樹園の入り口の台座に収まる智天使に、シュドエルはひらひらと手を振る。
 林檎の香気漂う園から出て行く僕たちを、林檎園の管理者である智天使の四つの顔が睨む。
 獅子の体躯に大鷲の両翼、牝牛の尻尾を有する身体。
 この三聖獣の顔と聖人の顔、全部で四つの顔を併せ持つのが智天使だ。
 気品ある外見通り、いつもすまし顔で、喋り方も尊大だった。
 はっきり言ってしまえば……偉そうな天使なのだ。

「なあ、見たか? ケルビムのヤツ、今にも噛みつきそうな顔だったぜ」
 『洗礼通り』まで離れたところで、シュドエルがしてやったりと笑い出す。
 『洗礼通り』は綿雲から成る雲上道で、多くの天使たちが行き交う往来道だ。
 人目の気になる僕は、少し小利口なことを言っておく。
「口を慎んでおけ。後で危険な戦場に送られるかもしれないぞ」
「ケルビムにそこまでの権限はねーさ……ないよな?」
「僕に尋ねるなよ」
 彼とは幾度か同じ部隊に配属され、共に同じ戦場を翔け回っていたらしい。
 戦場前は雑談する心境ではないし、お互いに鉄仮面を着けていたので、今の今まで面識がなかったのだ。

「な、今度遊ぼうよ。オレ任務でよく地上に降りてるからさぁ、絶好のスポットたくさん知ってるんだぜ」

 彼がナンパな天使であるとも、今、初めて知った。
 彼は、通り掛かった守護天使の子を熱心に口説き落としていた。
「へへっ、やったぜ。礼拝日はデートだ」
 ランデブーの約束を取り付けたシュドエルは嬉しそうだ。
 一体彼は何が楽しくて、人間の真似事をしているのだろう。
「ん? おまえもあの子、気に入ってたのか?」
「……君はさっきの天使と何をしたいんだ?」
「なにってそりゃおまえ、チュウして、脱がして、アレするに決まってるだろ」
 地上に住まう下品な人間が口にするような話題で、シュドエルはけらけら笑う。
 それがますます僕を混乱させる。
「子孫繁栄の義務は、僕たち天使には課されていないぞ。それに僕たちには性差はあっても、子を成すことは出来ない」
 疑問を呈する僕に、今度は逆にシュドエルが驚いたようだ。
「えっ、ジャスティエル、おまえ、女の子とヤったことないの?」
 ……どうやら彼とは意識の隔たりがあるみたいだ。
 説教をしてやりたいが、この手の者には徒労に終わるだろう。
 僕は不要な諍いを避けようと別の話題に移ろうとして――

「おいおいおい、大丈夫かよ。同性愛は重罪だぜ?」
 そんなとんでもない発言に呆気に取られ、彼の無神経さに憤怒を覚える。
 言うに事欠いて、同性愛者とは何だ。ソドムの街の淫蕩者と同じだと。
「侮辱は止めろ! 僕は信仰を貶されて追従笑いを浮かべるような卑屈な輩ではないぞ!」
「そうカッカすんなよー。オレ、心配して言ったんだぜ?」
「余計なお世話だ!」
「あっ、おまえにも女の子紹介してやるよ。プリンシパリティーでいい子がいるんだ」
「余計なお世話だって言ってるだろう! お前のように軽薄な趣味は持ち合わせていないんだ!」
 僕たちの言い争いは、鉄扉の開く音で止まった。
 近所にあった雲上教会の正門から、数人の下級天使たちが仲良く談笑しながら歩いてくる。
 女性天使たちの輪の中心で微笑むのは、蒼く深い海洋の髪に白百合の花飾りを挿した天使。

「ガブリエルだ――」
 天界下位三隊第八階級大天使アークエンジェル――ガブリエルはその一人だ。
 シュドエルが陶然と呟いたように、彼女はとても美しい天使だ。
 周囲の下級天使がけたたましく笑う中、ガブリエルは上品に微笑みを浮かべるに留まる。
 下品でやかましい下級天使とは違い、気品と優美さを失わない、慎みと知性ある天使だ。
 ガブリエルと取り巻きの天使たちは、白百合の残り香を振り撒いて過ぎ去っていく。
 天使長ルシフェル様があらゆるものを超越した至高の美なら、ガブリエルは女≠ニいう造詣の最高傑作だろう。
 彼女の姫百合の花弁に似た唇に、僕の視線は吸い寄せられる。
 彼女の唇が動く様は、まるで百合のつぼみが綻ぶかのようだ。
 綺麗だ……
 あの薄紅色の百合の花を摘み取りたいと思わずにいられる者が、この世界にいるだろうか。

「わかりやすいなー、おまえ」
 横手から僕の顔を覗き込んだシュドエルの声。
 彼のエメラルドの瞳は、にやにやと人の悪い笑みを浮かべていた。
「そーか、ガブリエル可愛いもんな」
 僕の頬が怒りと羞恥の朱で熱くなる。見透かされたのか、こいつに。
「おまえがホモじゃなくて安心したぜ。で、口説いたのかよ?」
「そんなこと……出来るわけないだろう」
 僕が内気に目を伏せたのは、気恥ずかしさからだけでない。
 ガブリエルには、おいそれと話し掛けにくい雰囲気があった。
 勿論慎み深い彼女が自惚れているというのではなく、天使としての格の違いと言えばいいのだろうか。
 大天使は、能天使より二階級下なのだから、気後れする必要など無く、堂々としていてばいいのだけれど……
 そう遠くない将来、ガブリエルは能天使などより遙か上の階級に進みそうに思える。
 座天使ソロネや智天使ケルビム、熾天使セラフィムの一人に選ばれても不思議じゃない。
 もしかするとそれ以上――現在の天使長様に準ずる地位に列されているかもしれない。
「ふーん……なるほど」
 僕の心情を聞いたシュドエルは、神妙な表情でうなずく。
 判ってくれようでほっとした――のもつかの間。

「おーい、ガブリエルーっ!!!」
 僕の話なんてまるで聞いていなかったように、大声で呼び掛けた。
 『洗礼通り』から幾多の道へ通じる岐路に立っていたガブリエルが振り返る。
「お、お前――」
 舌が回らず、口をぱくぱくさせる僕に、エメラルドの瞳でウィンクなんて寄越してきた。
「ほら、行こうぜ。ガブリエルが待ってるぞ」
 シュドエルに手を引かれ、僕の足は嫌々歩き出す。
 小首を傾げて微笑む白百合の天使は――やっぱりすごく魅力的だ。
 ああ、でも何を話そう。
 僕は会話を盛り上げる話の種なんて一つもストックしていないのに……
 この馬鹿野郎――!
 能天使の同僚に向かって心で悪態を吐いた僕は、密かに想う天使の前に引っ張り出された。


3/『地上戦記』13章38節-背教者の告白-


 薄暗い曇天の上空を、禿鷹の群れが輪になって飛び回る。
 痩せたハイエナが蛆虫の湧いた腐肉を咥え、朽ちた死体を貪り食っていた。
 槍の墓標が突き刺さる死体の山。死の臭いに満ち溢れた戦場跡地だった。

 白い頭蓋骨を晒す悪魔の残骸に、僕は穂先の聖火を灯す。
 清浄なる炎に包まれた悪魔の死体が、跳ねるように上体を起こす。
 咄嗟に僕は『懲罰の槍』を薙ぐ。火達磨の首が刎ね飛ばされ宙に舞う。
 起き上がっていた身体は仰向けに倒れ、聖火の中で白骨死体と化していった。
 単なる熱による筋肉収縮だったようだ。僕は別の死体の火葬に戻る。

「めんどくさいことは止めとけよ、ジャスティエル。どーせ後で座天使たちが焼き払うさ」
 頭の後ろに手を組んで、やる気の無い態度のシュドエルの声が届く。
 僕は彼の制止を無視して、黙々と聖火の葬送を続ける。
 死者を悼む気持ちからではない。悪魔への同情心など一片もない。
 もしも生き延びていたら、或いは不死者として蘇ったら……
 心に影を落とす恐怖の幻覚に脅えて、火葬を続けていた。

「早くこいよ、ソロネのヤツら。鼻が曲がりそうだぜー……」
 悪魔の群れを壊滅させた能天使の軍団は、既に天界へ引き揚げていた。
 僕たちは戦場跡地に残り、座天使ソロネが到着するまで死体の見張り番だ。
 燃え盛る車輪に乗った座天使ソロネたちの戦場火葬を見届けてから、僕たちも帰還する。
 それまでは……
 幾多の血を吸い込んだ死の荒野に、生命ある存在は、僕とシュドエル二人きりだった。

「此処のところ、悪魔どもの跳梁が著しいな」
 うそ寒い妄想を振り払おうと、僕は話題を口に出す。
「ああ。使い魔のインプが軍団作ってきたのには、オレもたまげたよ」
「シュドエル、お前はどう思う?」
「邪神どもを山ほど地獄へ放り込んだからなぁ。あいつらがまとめ上げてるのかもしんねーな」
 シュドエルの予想は、僕の考えとほぼ同じだ。

 人間に害成す邪神とはいえ、神霊ともなると、不滅の存在に近い。
 たとえばもう何百年か前に戦ったカナンの邪神――
 あれを消し去ろうとすれば、天使長様でさえ無事ではいられなかっただろう。
 父なる神は、カナンの邪神を地獄という異世界の牢獄に閉じ込めた。
 慈雨を降らせた豊穣神は、死と腐敗を振り撒く、醜く巨大な蠅に変えた。
 売春婦を集めて淫蕩に耽った流血女神からは、邪淫の源である女≠取り上げた。
 もはやカナンの神霊たちに信仰を集める神威は消え、人々から恐れられる悪魔となり果てた。
 彼らは地底深くの永遠の監獄の中で、人々の信仰を失い、やがて枯死していくだろう。
 けれども、悪魔どもを幽閉する地獄こそ、皮肉にも奴らの結束を招く悪の巣となってしまった。
 父なる神も未来を見誤ったのだろうか……
 いや、そんなはずはない。神は唯一にして全能なる存在なのだ。

「僕が気になるのは……天使長様のお話だ」
「あれか……」
 地上に湧き出る有象無象から組織化され、集団戦術を採るようになった悪魔ども。
 魔の勢力は、神の軍勢が出払った頃を隙を突いて、天界に攻め込むことがたびたびあった。
 偶然の一致かもしれないが――もしかすると、天界に内通者がいる可能性がある。
 天使長ルシフェル様は痛ましい面持ちで、兄弟姉妹への疑いを口にされていた。
「内通者を、背信に走らせた動機は何だろう」
「さあねぇ……」
「恐らく悪魔どもに何らかの見返りを約束されているのだろうけれど、愚かな奴だ」
「そうかな……天界が嫌になったのかもしれないぜ」
 驚いたことにシュドエルは、内通者への小さな共感を示す。
 僕と同じように裏切り者への義憤を口にすると思っていた僕は、やや拍子抜けした。

「シュドエル……お前、何を言い出すんだ?」
「なあ、ジャスティエル。オレたちの仕事を考えたことがあるか?」
 シュドエルは、独りごちるようにぽつりと呟く。
「最下級のエンジェルスは人間に寄り添う守護天使、人間たちから愛されて慕われる天使だ。
 第四階級のドミニオンズは天界の行政官……オレたち中位以下の天使に指図する連中だ」
「そして僕たち能天使パワーは、魔と戦う神の剣。
 九階級の天使の中でも、最も名誉ある、神の正義を代行する戦士だ」

「……本当にそう思うのか?」
 シュドエルの聖火の穂先が足下を指し示す。
 地面に仰向けで倒れているのは、僕たち能天使が討った悪魔どもの死体。
 断末魔の形相で歪んだ悪魔たちの死に顔は醜く……僕たち天使を呪っていた。
「おまえもオレも……ああなるんだぜ」
 シュドエルの呟きは、諦念を言い聞かせ続けていた僕を現実に向き合わせる。
 疵付きの鉄仮面を外したシュドエルは、僕に思いの丈をぶつけてきた。

「なあ、なんでオレたちだけ、こんな任務ばかり押し付けられるんだ?」
 シュドエルの吐露する不満。それは、少なからぬ能天使が密かに胸に抱くものだ。
 命を軽んじられている――皆、過酷な任務に嫌気が差し、他の天使を妬んでいた。
「どうしてオレたちは、殺さないといけないんだ?」
 エメラルドの瞳は、徐々に熱を帯びていく。
「律法第六戒『殺してはならない』――オレたちの手は人殺しの罪で汚れている」
「悪魔は……悪だ。悪を滅ぼすことは、罪には当たらない」
 僕の言葉は――小さな欺瞞を含んでいた。
 疵の走る鉄仮面から覗くエメラルドの瞳が、僕の欺瞞を射抜く。
「オレたちは冷たい剣じゃない……血に汚れれば、罪に汚れる!」

「神の聖務を否定するのは……それは、堕落だ、シュドエル」
 僕の反論は苦しく、彼の憤怒を消すには至らない。
 激情に声を荒げていたシュドエルは、押さえ込んだ声音で問う。
「オレたちは心ある天使だ。不満を抱くのさえ堕落なのか?」
 エメラルドの眼に入った悲傷の罅割れが痛々しく訴える。
 僕は俯いて目を逸らす。神でない僕にどうして答えられよう。

「オレたちは……父なる主のモノじゃないんだ……」
 シュドエルの真摯な想いに、僕は目を背ける以外に出来ない。
「もう……止めろよ。お前まで内通者だと思われるぞ」
 僕はシュドエルの背信の告白を遮り、悪魔どもの火葬作業に戻る。
 不条理を糾弾する声の余韻が、戦場の空気に重くのし掛かっていた。


4/『神の告発者』21章14節-傲慢なる翼の羽ばたき-


 宵の明星が満月よりも傲慢に君臨する夜空。
 天の海の潮風に幾重もの軍旗が凍え、聖十字の紋章が震えていた。
 地上を見晴らす雲上軍港には、神の大軍勢が総集結していた。
 各階級ごとに区分けされた戦列に、虫喰い痕のように空隙が目立つ。
 暗い貌の天使たちは、同僚の居るべき位置の不在から意識を逸らす。

 地獄の君主となった『蠅の王』らと通じ、唯一なる神に叛逆を企てていたのは、天使長ルシフェルだった。
 白く気高い十二枚の翼を広げた天使長は、唯一なる神の支配を告発し、高らかに告げた。
 我こそは、天の鎖に縛られし、白き羽根の奴隷を解き放つ救世主であると――
 明けの明星に集いし天使は、実に天界の三分の一に上った。
 三億百六十五万五千七百二十二を数えた神の軍勢は、今や二億を下回るまでに激減していた。
 天使長……いや元天使長のカリスマの成せる業か、神への不満の鬱積かは知る由もない。

 天界の指揮系統は、熾天使セラフィムや智天使ケルビムからも離反者が出て、滅茶苦茶になった。
 幸いにも能天使長カマエル様は正しき側に留まったが、他の階級では指揮官を失い、途方に暮れる天使たちの顔が見受けられた。
 同階級で最も古参の年長者を暫定リーダーとする方針で決まったようだが……混乱は避けられないだろう。
 父なる神の啓示で抜擢された新総司令官は、上位階級の熾天使や智天使からではなく、第八階級の大天使からだった。

 大天使ミカエル――若々しくも、人の上に立つ威厳を兼ね備えた、火炎焔の大剣を執りし天使だ。
 新総司令ミカエルを補佐すべく、同じく大天使からラファエル、ウリエル、そしてガブリエルが選ばれた。
 若き四大天使たちの宣誓が、暗澹の淵に沈んだ雲上軍港に響き渡っていく。
 正義に燃えるミカエルが情熱滾る開戦演説を振るう。
 魔に屈しなかった同志の友情を喜ぶラファエル。
 ウリエルは十戒律法に則り反逆者を断罪した。

 能天使パワーズの列に並ぶ僕の耳には、彼らの熱弁も素通りしていくだけだった。
 天界中位三隊第六階級能天使パワーズは、全階級でも最も多くの天使が裏切りに走った。
 実に七割近く――神の戦士たちは、元天使長ルシフェルの翼下に参じたのだ。
 能天使パワーズの待機区域の空白は、父なる神への不忠と不服を物語っていた。
 神の大軍勢が聴衆として並ぶ演壇からは、ウリエルが去り、入れ替わりに登るのは四大天使の最後。
 白百合の髪飾りは美しく、二億の天使の視線を集めるガブリエルは、白百合よりも美しかった。
 けれども僕のトパーズは、深い海洋の蒼色を空しく映すだけで、まるで眼に入っていない。
 能天使の戦列には……傷痕の走る鉄仮面も、そのスリットから除くエメラルドの瞳も見当たらなかった。
 彼は僕に一言も告げず、離反者の群れに加わり、去っていた。
 叛逆の天使が掲げた、自由と解放の旗下へ。

 いつの間にか柔らかな女性の声が締め括られ、四大天使が演壇に集まっていた。
 大きな軍旗を掲げ持ったラファエルとウリエルが緩やかに浮上していく。
 聖十字の紋章が交錯するのを背景に、ミカエルが火炎焔の剣鋒を掲げ上げる。
 傲り高ぶり堕落した天使――堕天使を討つという宣戦の誓い。
 新総司令に倣い、神の大軍勢も、各々の武器を頭上へ突き上げる。
 僕もその一人。僕の『懲罰の槍』も天を向いて、虚空を貫いていた。
 かつての友を倒すと、二億の叫びが唱和し特大鯨波となって、雲上軍港に轟き渡った。
 神の大軍勢の真上を、ガブリエル率いる女性天使たちが飛び交い、手に提げた籠から花弁を散らす。
 勝利を祈願した白百合の花びらが振り撒かれ、優しげな香りが戦場に挑む兵を祝福した。


 天空の沖つ風が吹き寄せ、暗雲の黒い海洋が果てしなく広がる、雲上軍港の波止場。
 埠頭の先から、第七突撃飛兵師団が次々と降下していく。眼下の雲海に消える天使たちの翼。
 渦巻く黒雲の下で、ルシフェルに従う堕天使たちも、かつての友を倒すと気勢を上げているのだろうか。
 傷痕の鉄仮面から覗くエメラルドの眼には、どのような光が宿っているのだろう。

 第八突撃飛兵師団――僕の所属する師団の出撃を告げる合図。
 僕は穢れ無き翼を広げて埠頭から飛び立つ。仲間の戦列に混じって雲上を縦隊飛翔していく。
 二つの陣営に分かれた能天使の『懲罰の槍』は、互いにどんな罰を下し、裁くというのだろう。
 僕のトパーズに映し出されるのは、仲間同士で戦う未来。
 正義の白も叛逆の黒も、空しい無色に褪せていく、無価値な殺し合い。
 武者震いなど一切無い、ただ沈鬱なだけの戦争に、能天使の僕は身を投じていった。


5/『明けの明星』66章66節-旭に堕つる明星-


 晴天の日照りが、翼の羽毛を暖める。
 眼下に広がる焼け野原。雲一つ無い上空を僕は低徊飛行していた。
 黒ずんだ焦土に突き立つ、剣や槍の墓標。割れた仮面に空っぽの法衣鎧。
 生命尽きた天使は、火となって燃え尽きてしまう。
 醜い屍を晒す人間と、生きた証一つ残らず消え去ってしまう天使。
 果たしてどちらが良いのだろう。
 戦場跡地に散らばる遺留品群は、とても寂しく、悲しげだった。


 神と悪魔の大戦争は、かつて無い規模の戦火となって燃え広がった。
 元天使長ルシフェルは、新しき神を名乗る者に相応しいカリスマ性を輝かせた。
 四大天使たちをたった一人で相手取り、ガブリエル、ラファエル、ウリエルを撃ち破っていく。
 四大天使長ミカエルは一騎打ちを挑み、善戦するも、敢え無く敗れてしまう。
 ついに新総司令ミカエルまで倒れ、天界軍は壊滅しようとしていた。
 元天使長ルシフェルは、激戦に継ぐ激戦で血に染まりながら、なおも至高の美を放っていた。
 戦塵で薄汚れた十二枚の翼を広げ、新たなる神に成り代わらんと、夜空へ昇っていく宵の明星。
 もはやこれまでか……僕は絶望に打ちひしがれ、自決の決意を固めていた。
 元天使長ルシフェルが天界の門を叩こうとした直後――
 常闇の夜が取り払われ、太陽の光る晴れ間が広がっていく。
天界で最も尊き光輝を放った明けの明星よ、父なる神に成り代わらんとした傲慢な子よ――
 宇宙天地遍くを照らす神の威光が燦然と煌く。
 宵の明星の光は圧倒され、見る間に霞んでいきながら、夜空の王者として最後まで抗う。
其程までに神の座を闕望するならば、爾が統べる王国を授けん――
 もはや金星が栄華を誇った宵は終わろうとしていた。
 ただ一つ残るだけになった明けの明星は、昇る旭に最後の決戦を挑んでいく。
地に墜ちよ、明けの明星――爾が神を気取れる、光射さぬ地獄の底へ――
 朝焼け空に蒼白い電光が跳ね、世界を揺るがす落雷が轟き渡った。
 明けの明星は墜ちた。
 憤怒と苦悶に歪む顔には、かつての美貌は無く、呪いを叫ぶ魔王の形相だった。
 至高の輝きを失った堕天使の軍勢は総崩れとなり、一人残らず地獄へ堕とされた。


 戦場跡地は堕天使たちの墓場。僕は荒野を歩く。
 遺留品を眺めると、どの階級の天使だったか判る。
 このへし折れた指揮杖は、主天使ドミニオンのもの。
 薔薇のサークレットは、お洒落に気を使う下級天使だろうか。
 こんなにも幅広くの階級の天使が堕ちたのだと、僕は改めて思い知る。

 僕は最も多く武器の転がる地点へ向かった。
 十字架の木鞘から覗く、抜き身の剣。
 聖銀の斧は黒い煤で汚れ、刃毀れしていた。
 かつて能天使パワーだった堕天使たちの遺品だった。
 僕は複雑な気持ちで、残された仮面を見て回る。
 願わくば見つからないように――しかし、彼の生存を願っているわけでもない――
 僕は何も見つからずに徒労に終わる、無為を拾うために歩いていた。

 僕は、何百個目かの仮面を手に取った。
 鉄仮面に走る刀疵。今回の戦争以前に付いた、古い傷痕。
 見付からないことを願いながら探していた、彼の仮面だった。
 近くには、聖下の穂先が消えた『懲罰の槍』が落ちていた。
オレたちは、父なる主のモノじゃないんだ
 そう訴えたシュドエルは、物言わぬ遺品となって転がっていた。
 自由の輝きに魅せられ、堕天使となったシュドエル。
 彼は能天使に架せられた、命を賭す任務からも、命を奪う醜業からも解放を願った。
 けれども偽の救世主ルシフェルの謳った自由は、死と滅びでしか与えられなかった。
 僕は拾った鉄仮面の泥を払い、左頬に走る刃の痕をそっと指でなぞった。
 遠い昔に流血女神の刻んだ刀疵。僕の命を守った傷痕。
 シュドエルは、新しい仮面に替えようとせず、この傷は友情の勲章だと笑った。
 僕は天を仰ぐ。
 お前は堕天した後も、この仮面を被っていたのか。
 堕天使たちの眠る地に、能天使の涙が一滴落ちる。
 トパーズの眼から溢れた涙は、乾いた風に攫われて、何も残さず消えていった。


6/『ある能天使の手記』??ページ


 堕天使が残していった想い出の傷痕。
 それは今でも時々疼き、僕を苛む。
 傷痕の痛みに駆られ、僕は戦場へ赴く。
 能天使として、神の兵士として、悪を裁くべく。
 人に別離をもたらす魔の存在を灰燼に帰すまで。
「汝ら己の罪を数え、罰の鎖に囚われよ」
 神より授かりし『因業の鎖』が虚空から伸びる。
 燃える熱鉄の鎖が裏切り者の堕天使どもを捕縛。
 僕は『裁きの判決書』を紐解き、彼らの罪状を読み上げる。

 シュドエル。
 僕はお前の記憶を、鉄仮面の下に封じよう。
 無慈悲に悪を裁く、断罪の天使となろう。
 愛も友情も混ぜない、曇り無き正義の執行者。
「汝らに一片の同情の余地無し――全員死罪に処す!」
 我が名は正義。悪を滅ぼす者。
 能天使ジャスティエルは、此処に在り。
2010/02/11(Thu)01:34:22 公開 / 暇人プウ
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■作者からのメッセージ
一年ぐらい前に書いたオリキャラのSSです。
久々に発掘したので、気になっていた登竜門さんに投稿しました。
読んでいただいてありがとうございました。
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