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『〜警察学園生徒手帳〜 リメイクver』 作者:神楽 時雨 / リアル・現代 ショート*2
全角5946.5文字
容量11893 bytes
原稿用紙約18.55枚
今の警察機構は手が遅すぎる。御国はそう判断した。そうして設置されたのが国土防衛庁の直轄『機密警察官候補生育成所』つまりは国家機密に携わる最重要機密に対してのみ動くプロフェッショナルの育成施設である。 その五期生である若菜は、今は高校三年生。警察機構で言えば充分な権力を持つ身分とも言える学年だ。しかし彼女に回されてくる仕事は重要ではない下級の仕事ばかりだった。そして今回、彼女は初めて一流企業の問題を任されることになった。
「え〜、名前は……神楽崎 若菜さんですね?」
 目の前で面接官の人が、学校から渡されたであろう私の履歴書を読みながら名前を呼んだ。
 その面接官である男性との距離は、およそ三メートル。部屋の中には私と面接官との二人しかいない。
「趣味は……ふむ、読書とパソコン。これはなにかね? 読書というからには小説でしょ?」
 どんなジャンルを読んでいるの? との質問に、私は「主にSF系列のライトノベルを読んでいる」と応えておいた。
 面接官はそのライトノベルという言葉に聞き覚えが無いらしく、クエスチョンマークを頭に浮かべていたが、無視してパソコンの利用方法について話を聞いてきた。
「主にチャットを通じていろんな人と情報を交換しています」
 私の言葉に、再び首を傾げる面接官。
 どれだけ時代が遅れているんだこの面接官……。
 最近では幼稚園児でも答えられるような内容の会話だぞ。よくそれで面接官をやれたものだ。
 知らずに面接官をやっている人がいたら怒り出しそうな事を頭に浮かべつつ、私は面接官と二人きりでの会話をこなしていった。

 そもそも私がこの企業の面接に来ているのには理由があった。
 私はある女性の依頼で派遣されてきた身分である。つまりこの企業にはある問題対処のために送り込まれたのだ。
 その問題こそがなにを隠そうこの面接である。
 面接を開始してから十分も経っただろうか? 面接官の視線が私の身体を舐めるように見つめているのに気がついた。まったく、これだから密室という空間は好きにはなれない。
「あの、私の身体に何か付いていますでしょうか?」
 そろそろ相手のほうも頃合なのだろう。なにやら手をポケットに入れて目線を急に逸らして知らないふりをする。
「では最後になぜ今日の面接が君一人だけだったか、理由はわかるかい?」
 ついに本性を表してきた。机の前に身体を乗り出し私の方へグッと身を寄せてきた。
 息がくさい。おそらくこいつは、いつもこういう脅し方で何も知らずにやってきたいたいけな女子高生を襲っているのだろう。まったく、悪党はずる賢い手口ばかりを使用するものだ。
 その小悪党である面接官は、この部屋の状況を細かく説明までしてくれた。
「この部屋に窓は無いのは外からの覗きや盗撮を防ぐため、壁だって厚さは一メートル以上あるコンクリートでオーダーメイドしてあるから外からも中からも声は届かない。つまりは……」
 続きの言葉は、私が座りながら振り上げた物の発砲音によって遮断された。
 面接官の台詞を遮ったのは一丁のハンドガン。袖口から飛び出させた小型自動小銃は、若菜の手へ滑り落ち、さらに勢い良く振り上げた腕はその銃を見事にキャッチ! そのままセーフティを外して発砲。
 結果、男の頬を掠めて背後のコンクリートにめり込んでしまう。
「なっななななにを………」
 面接官は乗り出した姿勢のまま身体を小刻みに震えだしている。
 若菜は、面接官が喋っていた内容の続きをはっきりとした口調で面接官に聞かせてやった。
「つまりはここでボクが君に対して何かをやったとしても、君の悲鳴は外部へは決して届かない。だったかしら?」
 若菜は拳銃を相手の額へと突きつけ、髪留めを外して口元へともっていく。
 インカムとしても使える髪留めに、彼女は静かな声で状況を説明する。
「こちら若菜、目標の捕獲に成功したわ。突入していいからさっさと引き取りに来て頂戴。以上」
 若菜は髪留めを胸ポケットに入れると、代わりに一枚の写真を取り出して面接官の男に突きつける。
「この写真に見覚えはない? あなたが三ヶ月前に面接を行って陵辱した子よ? かわいそうに、この子は精神を病んで先月自殺したわ。他にもたくさんの被害者の声が私のところには届いているわ」
 そして彼女は男を顎から蹴り飛ばした。顎から脳へと衝撃が伝わってふらつく男へ、追い討ちの股間への一撃! 
 前のめりに倒れようとする男へトドメとばかりに踵落としが炸裂。床へと叩き潰された。
 その直後に警官隊と思われる男達が数名、部屋のドアを破って中へと入ってきた。部屋の内部を、倒れている男を、そしてその傍らで銃を持ったままこちらを見ている彼女に対し、彼らは一斉に身構えて距離をとる。
 すると後方、部屋の外から呑気な声で「どいてどいて」と言いながら一人の男が割って入ってきた。
 男は倒れている男を見て、片手に持っていた警察手帳をかざして軽く振る。
「おい、聞こえて……ないよな? まあいい、お前を国の宝である幼女を暴行した罪、国の宝玉である美少女にわいせつな行為を行った罪、そしていたいけで無垢な美女子高生を辱めた大罪。その他もろもろの罪が十八件ある。とりあえず言いたい事は一つ」
 男は、倒れている元面接官の髪を掴んで持ち上げて目線の高さまで持ち上げるとこう告げた。
「逮捕だ」そして男の顔面を勢い良く地面に叩きつける。次いで警官隊が三人がかりで気絶している面接官を持ち上げて連行していく。
 その様子を横目で見ながら、若菜は小銃を、ポケットに入れてたホルダーへと入れ、太ももにくくりつける。
「いやあ、すまんなあ若菜ちゃん」
 警察手帳を持っていた男が缶コーヒーを持ちながらこちらへと近づいてきた。
「これでも警察のほうでいろいろとこの会社については極秘調査はしていたんだよ?」
 さもがんばっていましたのように、男はプルを開けてコーヒーを流し込む。
「それくらいは学園側でも調べはついています。私は、あなた方がなぜ十八件もの事件があったにもかかわらず、今まで手出しせずに放置していたのかについて知りたいだけです。
 学園側の調べでは、警察機構がこの事件の発覚に初めて気づいたのは十件目からだという情報を掴んでいますが、なにか反論はないのですか?」
 男もコーヒーから口を離して苦々しい顔をする。
「実は、官僚の方にこの企業の重役が一枚噛んでたらしくてさ。いわゆる汚職っていうのかな?
 つまりは君達の学園に訪ねてきた十七人目の被害者は、俺がその事を教えて学園へ向かわせたんだ。俺達が極秘で捜査しているなんて上層部は気づいていなかったからな」
 つまりはこの企業の重役は警察の上層部の人間とコネがあり、この男のしている秘密を守る為に上層部へと金を送り、内密に処理しようとしていたのか?
 そう考えるとだんだんと怒りが込み上げてくる。
 しかし目の前にいる男は、クビになるのを覚悟でこの捜査を行っていた。やはり初めて会って以来、警察でもこの男だけは信頼できると思う。
「まぁ、あなたのおかげでこの会社をゆする口実ができたのだから、そこの所はあなたに感謝しておきます。
 ありがとう熊村 傑」
 微笑みながら告げた若菜の顔を見て、熊村は顔を背けてコーヒーを一気に飲み干す。
「まぁ、公務員だからな。職務に忠実であれ。だ」
 耳まで赤くして呟いた熊村を茶化すように、警官隊の一人が若菜の耳元で聞こえよがしに呟いた。
「階下で待っていたときは若菜ちゃんの事が心配で、インカムを耳に押し付けながら今か今かと待ってたり、変な妄想でもしてたのか時折頭を抱えて転がったりと忙しかったんですから」
 その男の言葉に、熊村はその男へと飛び掛っていった。
「あれほど秘密にしろと言ったじゃないか!?」
 熊村の言葉に、その警官は笑いながら「警官は隠し事はしないのであります!」と言ってのけた。
 その様子を背後で聞きながら、若菜は部屋を出て行く。学園へ戻ってこの事を報告しなければならない。
「あれ、帰るのか? 車で送るけど?」
 熊村の言葉に「パトカーじゃ恥ずかし過ぎるわ」と応えて、若菜はこのビルを後にした。
 
 国土防衛庁直轄『機密警察官候補生育成所』 通称『警察学園』

 私の場合は警察学園の後ろに高等部が付くことになる。内閣は、十年前にこの国土防衛庁の直轄である機密警官候補生育成所を設立。優秀な警察官を育成するために、幼少の頃より孤児院に預けられていた身寄りのない子供達を引き取り、育ててきた。私は警察学園の第五期生になる。
 学園では年齢別、性別ごとにジャンルの違う教育措置が取られ、女性は主にスパイ活動を中心とした諜報活動の基礎を幼い頃から叩き込まれる。
 私ぐらいの年になるとこういった警察との連携もとって活動もしたりする。
 ちなみになぜか子供の身分なのに高校生からは給料が出るシステムになっている。
 中学生までは国のシステム上自動的に欲しい物が定期的に支給されてきていたが、高校生は働く基本という事で支給を廃止して給料を渡すシステムになっている。
 ちなみに仕事が無いときはもちろん給料は無い。よってそのときだけは支給が送られてくる。
 私は、学園の近くまでくると、付近に人影が無いか確認した。
 大丈夫だれもいない。そう確認すると、あるマンションへと入って行く。
「おや、お帰り若菜ちゃん」
 窓口に座って新聞を広げていた男性が、私の姿を見て声をかけてきた。それに軽く手を振って応えると、前方に設置されているエレベーターへと乗り込んだ。書かれている文字は故障中。
 たくさんのボタンが並んでる状態だが、もちろんランプは転倒していない。
 よく見ると、非常電話の下にカードリーダーが設置されている。
 若菜は財布を取り出して真っ白な三六九とだけ書かれているカードを取り出してリーダーへと滑らせて読み込ませる。
 しばらくすると、ボタンが点灯をはじめてエレベーターが動き出す。稼動しているのだ。
 十分ぐらいの時間を経てエレベーターは目的地へとたどり着く。
 そこは地下十キロに根付いている巨大な人口の地下世界だった。
 巨大なライトが全体を明るく照らすその構造はドーム型、今はまだ明かりが点いているが、時間帯的にもうすぐ夜になるはずだ。
 正面にあるゲートを越えて目の前にそびえる巨大な建物の中へと入っていく。
 和洋折衷をモットーに建造したのか、その造りは独特の感覚がする。
「おう、帰ってきたなミロク!」
 背後からかかる声に、無視して理事長室へと歩を進める。
「おい、待てって!」
 背後から声をかけてきた声の主が私の横に並んで歩き出す。
「また仕事で上にいったんだろう? 今回はどんな依頼だったんだ?」
 若菜はため息をついて横にいる奴に向かってこう告げる。
「仕事の依頼は他言無用。それは学園の鉄則だったはずでしょう? 三四零 千鳥飛鳥」
 いつもよりきつい口調に、飛鳥と呼ばれた声の主は両手を上げて降参のポーズをとる。
 若菜が小銃を向けているからである。
「だって他人がどんな仕事をしたかは興味あるじゃん?」
 もっともな意見だが、入って日の浅い人間がよく口にしている台詞だ。この人間は学園がなぜ存在しているかをまるで理解していない。
 そんな事を考えながら飛鳥の言葉を無視して進んでいくと、目の前に身長の二倍はありそうな黒い扉が見えてきた。
「じゃあ私は報告があるから」
 それだけ告げて、若菜はノックをして扉の奥へと消えていった。
 部屋の中には、二人の初老の人間が椅子に腰掛けて話をしていた。
「入ります」との若菜の言葉に、二人は静かにこちらを振り返った。
 とたん背筋が震え上がった。
 二人の老人のうち、一人が静かに立ち上がる。椅子に座っている老人から悪寒の原因が発せられている。
 言うまでもない。これは『殺気』だ。
 座っている老人は警察官の制服を着ている。
「お仕事ご苦労様。疲れただろう若菜?」
 席を立った老人がやさしく声をかけてくれる。
 この人こそこの学園設立から現在にいたるまで、数多くの生徒を世の中に出してきたこの学園の院長『狩谷 重蔵』その人である。
 告げられた言葉に、背筋を正して否定する。
「いえ、警察との連携によって手早く解決する事に成功しました!」
 若菜の告げた言葉に、座っていた老人の眉がかすかに動く。
 重蔵はその行動を見逃さなかったが、あえて無視して結果報告を聞く。
「犯人は分厚い壁で四方を密閉した密室で犯行を重ねていたと推測し、私が囮となってその会社へ面接に行きました」
 それで? との重蔵の言葉に、さらに報告を続ける。
「面接途中、犯人の口調が変わり、脅迫めいた言葉を連発するようになりました」
 それで?
「被害者から聞いてあったとおりの異変でしたので銃弾一発で黙らせる事に成功しました」
 重蔵はその言葉に腹を抱えて笑い出した。
「なるほど! たしかに黙るわなぁ。それで犯人はどうなったんじゃ?」
「警官を呼んだ後、反抗できないように急所を狙って少々手痛い打撃を打ち込みました」
 場所は?
「顎に一撃と股間に一撃、それと最後に延髄に一撃です」
 若菜の告げた言葉に二人の老人は軽く身を引いた。
「わかった。あとの内容はこちらの方から聞いておる」
 そう告げて重蔵は座っている初老の肩を軽く叩く。
「今回は私の部下のせいであなた方に迷惑をお掛けした事、深くお詫びいたします」
 先ほどの殺気は消えて、深々と老人は頭を下げた。
「彼の部下の一人が重役と手を組んでいたらしくてな、表沙汰にならんように二七に処理させておいた」
 この場合の処理とはいわゆる『社会的抹殺』のことを意味している。
「国のために働く。それがわしらの仕事じゃ。幼い頃から言われてきたお主なら良くわかっているじゃろう?」
 重蔵の言葉に、若菜は「はい」と頷いた。
 ビルで警察官が言った言葉。『公務員は隠し事はしない』そのとおりだと思う。
「わしはもう少しここで話さなきゃならん。今日はもう休んで明日に備えよ。いよいよ卒業試験じゃからのう」
 重蔵の言葉に、座っていた老人も深く頷いた。
「もうそんな時期ですか。がんばってくだされ、未来の申し子」
 若菜は一礼して部屋から出て行った。
 外では、ずっと待っていたのか飛鳥が腕組みして待っていた。
「遅いぞ! まさか失敗して怒られてたとか?」
 そんな飛鳥の言葉に反論せずに、若菜は去って行く。背後で舌打ちする音が聞こえてきたが、気にせずに自室へと戻っていった。
「明日から卒業試験……」
 若菜は一人ベッドの上で呟いた。
 地上にあるマンションの一室。そこが若菜の部屋だ。ちなみにカードキーに書かれている三六九の数字が部屋番号になっている。このマンション全体が国の物なのだ。
「がんばらなきゃ。あの子の分までも……」
 静かに瞼を閉じる。暗くなっていく視界の中、浮かんでくるのは自殺した女子高生の写真。
 彼女はその子の分までがんばろうと誓い、夢のまどろみの中へと意識を落としていった………。

 


2007/02/14(Wed)23:51:23 公開 / 神楽 時雨
■この作品の著作権は神楽 時雨さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
リメイクした作品です。
先日書いたもう一つの作品はなにやら無理難題過ぎたものらしいですね。反省×2内容的には大差は無いはずですがもう少しわかりやすい内容を書いてみようと努力する次第です。
とりあえずは良い評価をくれた方も悪い評価をくれる方も多めに見てください。以上時雨からでした。
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