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『隠れ桜と奇跡』 作者:チェリー / ショート*2 リアル・現代
全角3733.5文字
容量7467 bytes
原稿用紙約11.5枚
大切な人を失い、素子は悲しみの毎日を過ごしていた。七年の月日は心の傷を癒すことなく過ぎ去り、素子は悲しみに束縛されていく。しかしそんなある日、華江水公園の隠れ桜という一本の桜を前に不思議な体験をする。一本の桜が起こす奇跡、奇跡を体験する未来。彼女の一歩を語る。そんな物語『隠れ桜と奇跡』。
 『隠れ桜と奇跡』


 ある日、川奈素子は大切な人を亡くした。
 もう七年も前になるが彼女の心の傷は大きく、決して簡単に癒すことはできない。
 春の桜散るある日。彼女は大切な人――加賀見優を思い出しながら桜を見ていた。
 穏やかな風は頬を通り、後ろに流れて長い黒髪をなびかせる。海に近い華江水(かえみな)公園は実に気持ちの良い風が流れた。彼女の心にも流れ、切なる悲しみはそれによって少しだけ、ほんの少しだけ癒される。
 彼女が加賀見優と一緒に桜を見たのは最初で最後だった。彼女を誘い、また来ようという約束を彼はするもその約束は叶わず儚く過ぎ去ってしまう。
 素子は桜を見る。
 風が吹くと共に桜は呼応するように、生命を宿しているということを示しているかのように動いた。
 美しい桜である。美しすぎて、素子の心に響き、涙を呼び出してしまった。
 毎年加賀見優と一緒に桜を見たかったその想い。もう叶わないという現実は美しい桜によって悲しみを呼び込むひとつとなる。
 瞳から涙の雫が流れ、頬を伝い、地へ落ちていく。
「なぜ……? なぜ神様は私にこんな仕打ちをするの?」
 神などいないかもしれない、いたとしても彼女のその言葉に返答することはない。
 ただそうわかっていても彼女は心の中で纏わり歯車のように繰り返される悲しみの渦を言葉にしなければ気がすまなかった。
 その言葉も今年で七回つぶやくことになる。この日、この場所で同じ言葉を毎年つぶやく。意識しているのではない。彼女の悲しみが無意識に一連の行動を生み出しているのだ。
 華江水公園奥付近の山に接触する場所にあるこの桜はまわりが草ばかりで敷物が敷けないためほとんど人はこない。海側とは逆ということもあり人の気配もない。そのため彼女の涙は誰にも見られず、彼女の言葉は草木の音によって溶けていく。
 思い切り泣けて、思い切り言葉を口にできる秘密の場所。
 それが“華江水隠れ桜”。
 桜の木が一本だけ生えており、辺りは多種の草木しかないため桜は実に美しい存在を示している。花見をしようとしても伸びた草木が敷物を邪魔するのはこの一本の桜を神格化させんとしているように感じられる。
 だから、素子は先ほどの言葉を桜に向けて発していた。
 桜が神様のように美しいから、桜と神様を重ねて悲しみをぶつけてしまう。
 ふと風が強く流れ、素子の長い黒髪を荒らしていき、あたりの草木を揺さぶりながら通り抜けた。彼女の言葉に呼応したかのような自然のささいな変化。
 髪を整え、素子は下を向いた。
 今の風で自分が何を言っているのか、素子は我に返って情けなく思った。いるかいないかわからない不安定な存在に悲しみをぶつけてなにを望んでいるのか、そんな言葉が脳裏をよぎる。蘇るはずもない、幸せだった七年前に帰ることなどできるはずもない。『死』という確定された現実は覆すこともできない。
 そう思って素子は顔を上げる。
 すると、目の前に広がる桜の木のそばに一人の男性がいた。いつの間にいたのか、素子はまったく気づかなかった。それにこの場所はあまりしられていないため人がくることはほとんどないはずだった。
 素子はこちらを向くその青年を、視力の悪い目を細めて見る。風景に溶け込まない青いシャツに黒いズボン。ぼやけるも若い顔立ちの青年に素子は見覚えがあった。
 思わず足を一歩、二歩と歩み、その青年に近づく。
「か、加賀見くん……?」
 素子は恐る恐る青年に問いかけた。
 七年、月日はそれだけ経っている。だが、目の前にいるのは七年前とまったく変わらない青年がいる。素子が愛し、心ゆくまで尽くし、また素子を愛してくれた加賀見優がそこにいた。
 幽霊かと思うも恐怖心はなく、なぜ彼がこの場にいるのかという驚きで素子の心の中は真っ白になっていた。
「素子……」
 加賀見優はうっすらと笑みを浮かべ、素子を呼んだ。
「加賀見、くん」
 素子も彼の名前を呼んだ。
 七年前とはまったく変わっていない加賀見優。特徴と言ってい良い目にかかる長い前髪、二重の瞳、整った顔立ち、それらは加賀見優という人物を証明させるには十分だった。
「今年はすごく綺麗に咲いたね」
 素子は涙してうなづいた。
「うん、成長してるんだよ。毎年、ずっとずっと、綺麗になってる」
 加賀見優は桜を見上げて言った。
「偶然これを俺が見つけたけど、きっと偶然なんかじゃなく、必然だったんじゃないかな?」
 そう言って彼は表情に笑みを表し、見上げた視線を戻して素子の瞳を見つめた。
「この桜は俺たちのためにあったんだよ。運命の中で待ってたんだよ」
「運命の中で……?」
 素子は彼の言葉に不思議な感覚をおぼえる。根拠もない言葉は不思議な感覚によって真実に思え、素子の心の中をその言葉は響きわたる。
 運命の中で、と心の中で彼女はつぶやいた。
「今日のこの日も、みんな運命の中で待ってたんだ。俺も、ずっと」
 加賀見優は素子のそばに近づいた。
 素子はそんな彼に口を開く。
「でも、加賀見くん。……君は」
「――わかってる」
 素子のその先の言葉を予測して彼は言葉は遮断する。
 手が届く位置まで彼は素子のそばまで近づいた。
 風が流れ、しばらくふたりの間に沈黙が流れた。
 遠く聞こえる潮騒、流れる風、漂う懐かしい感覚。
 おもわず素子は彼に抱きついた。加賀見優はやさしく胸を貸し、涙し続ける彼女をずっと支える。だれにも崩せないこの空間、桜だけが立ち入ることのできるこの空間。素子は崩れることを恐れつつもこの時間を抱く。
「だから、思い出に負けないで。神と桜が与えてくれたこの奇跡のためにも。ずっと、これからも」
 そう言って彼は静かに霧のように散り、彼は無数の花びらへと変わっていった。花びらは舞い上がり、青空へ向かっていく。風は吹いていないはずなのに、花びらは勢いよく彼方へ舞い上がっていった。
 大切な空間が崩れる。だが素子の心には先ほどの悲しみはなかった。
「愛してるからね……。ずっと」
 桜に向かってそう彼女は言った。
 流れる涙は悲しみによるものではなく、喜びによるものへと変わり、素子は神様と、桜に感謝する。運命で待っていてくれた今日は素子にとって一生忘れない思い出となるだろう。
 いつまでも悲しみだけを抱き続けていて乗り越えようとしなかった弱みは消え、素子は歩き出し、振り返って桜に向かって素子は言った。
「ありがとう」
 そう言い終えたとき、隠れ桜は桃色の彩りを失い、枯れていった。その様子に驚くも、先ほどの奇跡を目の前にした素子には受け入れられた。まるで奇跡を起こしたための代償のように、隠れ桜は枯れていき、花びら一つ一つ彩りを失っていった。
 その後、華江水公園が施設建設によってなくなることを素子は知る。隠れ桜含む周辺の木々も伐採された。なぜ七年経ったあの日だけ奇跡は起きたのか、それは隠れ桜が最後に奇跡を起こしたかったのかもしれない。素子には隠れ桜が意思を持っていたように感じた。
 あれから半年、華江水公園跡地に素子は足を運んだ。
 隠れ桜があった場所はきれいに刈られていた。
 昼間だというのに工事をしていないところを見るとこの場所に直接建物が建つことはないのだろう。施設はスポーツ関連というのでグラウンドへと変わるのだろうか。
 以前なら草木が茂っていたがすっきりしたためにスーツ姿で素子はこの場所に来ていた。
「……なにもないじゃん」
 彼女は思わずつぶやく。
 以前には見えなかった後ろに広がる海もすっかり見渡せるようになり、逆方向にそびえる山も全部見えるようにまでなっていた。目の前にあるのは大きな切り株のみ。空き地へと変わってしまったことに彼女は寂しさを感じた。
 大きな切り株こそ隠れ桜であろう。根が張りめぐりすぎて掘り起こすのを後にしているのか、木々が多く生えていたのに切り株はひとつしかなかった。それともこれは隠れ桜のこの地へ残る意思なのかもしれないが、考えても答えは確定するわけでもない。
 切り株をさすり、素子はしばらくその場にとどまる。
「私ね、最近転職したんだ」
 切り株に素子は話しかける。
「体験した奇跡を私が作ったキャラクターに感じてほしいからね、思い切って映画のシナリオライターになろうとおもってね」
 持っていた鞄に手を伸ばし、中から数枚の紙を出した。クリップで留められているも厚さは数十枚はあるだろう。彼女の熱心さをしめすものといっていいだろう。文字列が何行も並んでいるため彼女は眼鏡を取り出して指を差す。
「これね、奇跡をテーマにした物語なんだよ」
 これから仕事だということを忘れ、素子は熱心に話を続けた。運命や奇跡、それらが持っている大きな可能性。何度も熱心に話し続けた。
 ふとしばらくして鞄の中の携帯電話が震える。妙な着信音が流れ、素子は携帯電話を取り出した。
「あ、いかなくちゃ!」
 時刻を確認し、慌てて身支度をして立ち上がる。
 最後に切り株へむけて素子は言う。

「私、奇跡を忘れないから。ずっと、これからもずっとずっと。……忘れないからね」

 素子は奇跡と決意の朝を、今日も歩みだした。

2006/07/24(Mon)22:21:46 公開 / チェリー
■この作品の著作権はチェリーさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 えぇとお久しぶりです。チェリーと申します。以前の投稿は一年ほど前ですかね。しかも執筆は一ヶ月程度。今回思い切って新たに書いてみましたがやはり経験不足と勉強不足による変な小説が出来上がってしまいました。もっと勉強しなければなぁと反省しています。さてさて、この物語は一人の女性について書いたものなんですが悲しみを抱いていた彼女が奇跡によって一歩成長して強くなり、新たに未来へ向かって成長するという部分を書きたかったわけです。でも最初は掌編小説として二千文字を設定して書こうと思っていたので中途半端な作品が出来上がってしまいました。なにをしたかったのだろうか私は(泣 しかも二千文字収まってないし! 馬鹿! というわけで気が向いたら読んでみて下さい。チェリーでしたぁ。・ω・ノシ  なぜかへんな改行になっていたため修正いたしました。
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