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『夢現獣夢伝』 作者:鴨尚杭 / リアル・現代 未分類
全角1813文字
容量3626 bytes
原稿用紙約5.05枚
 僕は小さい頃から、勉強そっちのけで体を鍛えていた。何故かと言うと、僕は見知らぬ人に刺された事があるからだ。今でも鮮明に覚えている。傷が癒え、ショックから立ち直った後、自分の命は自分で守ると決意した。一日合計八時間は鍛えていたと思う。と言っても師範はいない、全部一人。しかも家の横にある、ウチの所有物らしい広い道場の様な所だけでしていたから、友達は誰も知らなかった。休み時間は本を読み、外で遊んだことは一度も無かった。なので友達からは「大人しい奴」としか認識されてなかったと思う。    
 それは中学生になっても変わらなかった。

 みんなに放課後遊ぼうと誘われる。でも行かなかった。何故ならこれが原因で死ぬかもしれないと脅えていたし、人と関わるのも嫌いだった。この点では僕は全然立ち直ってないことになる。でもどうやら友達は、「宗教上の理由があるから」とか考えてたらしい。良い迷惑だ。けど高校生になった頃から、僕の意識は変わりだした

 「自分の力を回りに示したい。」って…、まぁいかにも高校生らしい発想だけど。でもやっぱり示す事によって生じる環境の変化と自身の変化、それらに対する恐怖はあったわけで……、結局はみんなに言わなかった。(結果的には良かったかも知れないけど)けど一度、チンピラとケンカしそうになった事がある。学校が終わり、家への帰路、チャラチャラとした二人組が歩いて向かってきた。その内の一人がドンと肩をぶつけてきたから、その人の顔を睨むと、睨み返してきた。睨み合ったまま少し歩き、

(チッ…、まぁいいや)
 と思い、そのまま無視して歩いたら、
「プッ、あいつ頭にウジ虫でも湧いてんじゃねーの?」
「マジ、それだよ」
 と、わざわざ僕に聞こえるように言った。熱り立った僕はそいつらをコンクリートに叩きつけようとさえ思ったが、あんな奴等にいちいち構ってられないと自分を静めた。

 そして一般的な日々を過ごし、僕は「大人しい奴」として高校を卒業した。又とある大学に入学し、そこでもごく普通の生活を続けていた。

 そんな或る日、僕が大学への道で地下鉄から地上に出ると、中学生らしき二人が言い争っている。始めは口論だったのだが、段々エスカレートし取っ組みあいに発展した。僕は止めようと近寄ったが、その時一人がナイフを取り出し相手を刺そうとした。

 僕はこの時、幼い頃の自分の姿と重なった。

 助けようと無心にナイフを振りかざした少年を全力で蹴り飛ばした。その少年は宙を舞い、コンクリートに叩きつけられた。僕は助けた少年の方を向き、大丈夫と尋ねたが無言のまま向こうを指差す。その先にナイフの少年がいた。よく見てみると様子がおかしい。近付いてよく見ようとする。…ピクリとも動いてない。顔から見る見る血の気が引いていく様に見えた。触れると――反応が無い。僕の頭は真っ白になった。ハッと我に返り救急車を呼んだ。僕は救急車が去っていくのを見ながら、

(あの程度で死ぬ筈が無い)

 と、心の中で繰り返した。が、僕の願いは叶わなかった…。

 少年は死んだ。その生命の灯が吹き消され、新たな争いが始まった。

 裁判に次ぐ裁判の日々。僕は必死に弁解した。僕は少年を助けようとあの様な行動をとりましたと。しかし聞き入れられなかった。理由は人を蹴り殺せるほどの人が、本気で人を蹴るという事は、明らかにそこに殺意があると…。有罪判決の後、十年もの期間、僕は刑務所に入っていた。
 刑務所には色々と親族が会いに来た。会う度に真相(自身に殺意は無い)を言いたいという衝動に駆られたが、虚しくなるだけなので止めた。そして会う度に辛かった。とりわけ母親との面会は辛さを極めていた。お前なんて生んだ覚えが無いと言われ、私達の家族の前に現れるなと言い、その場に泣き崩れ、「どうして…どうして…」と言っていた。

 あれ以来、家族の誰とも会ってない。そして十年間の服役期間が終わり、やっと最近出所する事が出来た。けども普通の職には就けないので、今は工場で働きながら細々と暮らしている。恋人はいない、誰が人殺しの恋人になりたいだろうか…。

 あの事件の時、幼き日の自分と重なった。守ろうと思うあまり、誤った判断をしてしまった。両方救えた筈なのに…。これ程愚かな人間がほかにいるだろうか?

 あの日、僕は僕の中の精神を示したのではなく、僕の中の獣性を示したのではないか……。

2006/05/23(Tue)15:03:16 公開 / 鴨尚杭
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■作者からのメッセージ
はじめまして、鴨尚杭(かもなおくい)です。
『無意識に組み込まれた思考のプログラム』をぼんやり意識しましが……ウーン……

僕からなんやかんや言うつもりはありません。目を通してくださり、ありがとう御座いました。
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