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『天使のたまご 04〜06』 作者:ゅぇ / リアル・現代 恋愛小説
全角14520文字
容量29040 bytes
原稿用紙約48枚
幸せをさがして。きっと幸せのたまごから、何かが生まれてくるはずだもの。
04


 「みんなは?」
 「部屋に戻ってる。あたし、ほら携帯お風呂場に忘れてきたから……」
 ああ、とうなずいて漣は小さく笑った。大浴場に向かう他のクラスの生徒たちが、ものめずらしげに柚乃と漣の組み合わせに視線を寄せていく。榛原漣の傍らには、必ずといっていいほどいつも岡谷里鶴の姿がある。いつもなら里鶴がいるはずのところに、四組の人気者、朝月柚乃がいる――そのことだけでも、生徒たちの興味をひくにはじゅうぶんらしい。
 気をつけないと、と漣は言った。
 「携帯落としたそばから財布まで落として」
 左手に花のもこもこシールとプリクラを貼ってある薄ピンクの携帯。右手に、これもピンクのキティちゃんの可愛い財布。柚乃の手元に視線を落として、漣は少しだけからかうような口調で言った。大人っぽい笑みを見せる眼元に、どこか切なさがみえた。
 「あの、彼女は……今いないの?」
 漣は背が高い。柚乃は上背のある彼を見上げるようにして、そう訊ねる。
 「里鶴のこと? 友達と風呂行ってるよ」
 「あたし…………あの子に……」
 「ん?」
 その「ん?」が優しすぎて、柚乃は思わずためらった。

 ――あたし、あの子に嫌われてるよね。

 言いにくかった。言いにくい。岡谷里鶴は、このひとの彼女なのである。
 「そういえばゆずって……」
 漣はそこまで言ってから、少しあわてたように口をつぐんだ。
 「悪い、どこのクラスでも皆“ゆず”って呼んでるから」
 まともに向き合って話すのは今日が初めてである。柚乃は柚乃で、漣にそんな呼び方をされたことにひそかに驚いていたし、漣は漣でそのような呼び方をしてしまったことに我ながら驚いたようだった。ゆずでいいよ、と柚乃は笑った。
 「……ゆずは……誕生日いつ?」
 「? 七月七日だけど、何で?」
 柚乃の誕生日は、七夕である。
 「いや、別に。初めてしゃべった記念に聞いとこうと思っただけ」
 勇気をもって、言ってみた。
 「友達記念ね」
 「友達記念な」
 漣は否定もせずに、そう返して笑ってくれたのだった。



 ☆ ☆ ☆


 朝月柚乃としゃべった、とわざわざ言いにきた。
 「何を?」
 「どうでもいいようなことばっかだよ」
 思わず菜月は笑った。このクールな弟が――いつもどこか冷めたような顔をしている弟が、ほんの少しだけ嬉しそうな顔。里鶴には申し訳なかったが、姉としては喜んでいいことだと菜月は思う。
 「ああ、あと誕生日」
 ぴたり、と菜月は日程表を繰る手をとめた。
 「誰の」
 「ゆずの」
 (もう“ゆず”って呼んでんのかい、この色男)
 菜月のベッドに投げ出された漣の携帯が、幾度か青色に光った。着信ではない。あれはメールの受信だ――きっと里鶴に違いない、と菜月は苦笑した。
 「……いつだって?」
 「七月七日」
 漣のしなやかな指が、携帯電話のボタンを押し込んでいく。
 「ゆずと会ってたのがばれたら、里鶴怒るんじゃないの。あんたとゆずが一緒にいたら目立つでしょ」
 「メール、里鶴じゃないよ」
 えっ、と思わず菜月は声をあげた。漣の携帯は、ほぼ里鶴専用といっても過言ではない。着信の八割、メール受信の九割は里鶴である。男女問わず人気のある漣だが、男友達ならほぼ電話しかかかってこない。
 「ゆず」
 「あんた、ゆずにアドレス教えたの?」
 「俺が聞いて教えてもらった。だからさっきメールしてみたんだ」
 里鶴とメールしているとき。
 里鶴と話しているとき。
 里鶴と手を繋いで歩いているとき。
 里鶴といるときは、いつも少し苦しいような、申し訳なさそうな、寂しそうな顔をする弟だった。
 (ったく……青春ってやつはねぇ……)
 そんな弟が、メールをうちながら笑っている。
 「里鶴がいるときに送ってこられたらやばいんじゃないの」
 「たぶんこの子、自分からは送ってこないよ」
 菜月は、朝月柚乃ののんびりとした可愛らしい顔を思い浮かべた。つつけば空に浮いていきそうな少女だが、細かいことをよく考えられる子だ。榛原漣に彼女がいるのを分かっていて、自分からみだりにメールを送ってくるような子ではない。
 確かに漣の言うとおりだ、と菜月は笑った。
 「何よ漣、ゆずに惚れた?」
 冗談まじりにカマをかけてみたが、漣は苦笑しただけで何も言わなかった。
 漣が里鶴にたいして持っている感情。それが純粋な恋愛感情でないことは、菜月もよく知っている。漣が本音を打ち明けられるのは菜月しかいなかったし、菜月もまた弟を全面的にフォローするつもりでいた。もしも漣が本当に誰かに恋したとき。里鶴よりも大切に思う相手があらわれたときには、たとえ里鶴が泣いても喚いても、弟のために力を尽くす。そのつもりだった。
 漣が里鶴にたいしてもっている感情は――漣が自分で認識しているよりもはるかに同情に近い。
 「ゆずって、家族いないんだろ?」
 「あぁ」
 菜月のベッドを占領し、壁に寄りかかったまま漣が呟くように言った。
 「誕生日、誰と過ごすんだろな」
 「………………」
 「里鶴には……俺がいるけど」
 この顔立ちの整った弟は、自分が柚乃に惹かれに惹かれていることに気付いているのだろうか。今日はじめてまともにしゃべっただけの女の子、その彼女が誕生日をどう過ごすのかを気にしている。
 「里鶴も七夕生まれ。ゆずも七夕生まれ、か」
 菜月は机の上に放り出してあった煙草のパッケージを押しつぶすようにつかんで、そうして煙草を一本とりだしてくわえた。
 (そりゃ、里鶴とゆずなら……こいつは里鶴をとらざるを得ないもんなぁ)
 わが弟ながら、魅力のある男だと思う。もてる男にありがちな性格の悪さも、漣にはない。どうしたって二股をかけられるような性質の人間ではないのである。
 「あんたが心配することない。あの子のためになら集まってくる、そんな奴は腐るほどいるよ」
 ま、そうだけど――というような表情で肩をすくめ、漣はベッドから軽やかに飛びおりた。高校一年になったばかりとは思えない、大人びた顔つき。菜月は大きく煙をはきだして、そんな弟を見つめる。
 同じ高校に、同じ寮に。朝月柚乃が身寄りをなくして飛び込んできたのも、きっとこれも運命なのかもしれない。
 (陳腐な発想だけど、きっと……)
 予感がした。きっと苦しむだろう、という予感がした。そしてあたしもそれに間違いなく巻き込まれる、と菜月は思った。
 「漣。ゆずに惹かれて関わるのは構わないよ、ただ……」
 「分かってる」
 漣が、菜月の両頬にキスをする。
 「“関わるならちゃんと責任もって”だろ」
 扉の覗き穴から、あたりに誰もいないことを確認して扉を開ける。
 菜月、四組大変だからって煙草吸いすぎるなよ――そんなことを微笑みまじりに言って、弟は出ていった。
 (……朝月柚乃、か)
 担任と生徒。そんなものを超えた間柄になるかもしれない。菜月はそう思って苦笑し、ほとんど吸っていない煙草を灰皿にこすりつけた。
 今まで、菜月が家出をしてみたり暴走してみたり、両親が離婚したり。そんななかでたった一人、漣は自分を殺してよく我慢してきた。漣のためなら――漣の幸せのためなら、何でもしてやりたい。
 菜月は、心からそう思っているのだった。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 
 「かーに、かーに、かーに!!」
 一年四組は、バスの中でも騒々しい。運転手さんはどんな顔をして運転してるんだろう、などと柚乃は少しだけ不安に思いながら、隣の桧山航介と日程表を見ていた。ふと思う。気付くと、いつの間にか航介と一緒にいることが多い。
 「ね、キタキツネ可愛かったね」
 「んー……そうかぁ? 薄汚れてたけど」
 航介がふくむように小さく笑った。慎や恭といてももちろん楽しい。彩と皐月も。けれどその楽しさとは少し違う、独特の心地よさがある。
 「お昼はカニでしょー。お昼の次はどこ行くの」
 航介がひょい、と柚乃の手元を覗きこんでくる。頬と頬が触れあうほど近くなり、小さく彼の吐息が柚乃の頬にかかった。とくん、と胸がうごいた。
 (あれっ……?)
 「網走監獄と流氷館、だって。てか監獄見学ってさ、なんか微妙じゃね?」
 「え、でも中に人いないでしょ?」
 「そりゃ当たり前だおまえ……」
 少し乱暴に、航介が柚乃の髪を撫でた。とくん、と胸がうごいた。嬉しいほうに、胸がうごく。
 (榛原くんのときも……)
 榛原漣に惹かれている、と自覚しているつもりだ。彼を見かけたときと同じような胸の鼓動を航介の傍らで感じて、柚乃は人知れず苦笑した。
 (何なんだろ、あたし。笑っちゃう……)
 バスの中は、少し静かになっている。カニカニカニカニうるせぇちょっと黙っとけよ(あたしの昼寝を邪魔すんな)!!、という暮原の女らしからぬ教師らしからぬ絶叫が効いたにちがいなかった。

 カニを食べているときも、そこから流氷館に行くときのバスの中でも、柚乃は航介の隣にいた。どちらともなく一緒にいた。
 「さむーい!」
 同じ班でかたまって、氷点下を体験するという部屋のなかへ入っていく。そんな寒いところに好きこのんで誰が入るか、と拒否反応をしめした皐月だけが外に残った。こういうところに入って一番はしゃぐのが、慎と柚乃と航介である。彩と恭はそれよりも少しだけ大人びた風情で、落ち着いて歩をすすめていた。
 「すげぇ、すげぇ!!」
 「すごい、すごい!!」
 慎と航介が、入り口で受け取った濡れタオルをぶんぶんふりまわした。凍っていく濡れタオルに慎が大喜び、そんなたいしたことでもないのにそれを柚乃が傍らで目を輝かせて見つめる。こんな珍しいものは生まれてはじめてみた、とでもいうように拍手までしてから柚乃はゆっくりと視線をあげた。
 (…………ぁ)
 数メートル離れた出口のあたりに、もうすでに見慣れて――いや、見つけ慣れてしまった姿をとらえる。背の高いシルエット。傍らにはいつものように、岡谷里鶴の少し派手な茶髪の頭。
 「出るかぁ、寒くなってきたよな」
 「うん、そだねぇ」
 慎の声に答えながら、柚乃はその後ろ姿から目が離せない。
 「……ゆず、コケんなよ」
 背中を軽く押したのは、航介の温かい手だった。
 
 ――とくん。
 
 (まただ)
 「いつまで榛原に見惚れてんの」
 
 ――とくん。
 
 その言葉にではなく、耳元でこっそりと囁かれたその声に胸が波うつ。航介の顔を見上げようとした瞬間に、榛原漣がふとこちらを振りむいた。彼の視線は、いつも何かをひたと見つめている。今も、その視線はまっすぐに柚乃を探しあてた。
 (榛原くん…………)
 
 ――とくん。
 
 視線が絡まりあったのは、本当に少しの間だけ。けれどそこには確かに温度があって、一昨日の夜、確かに彼と言葉を交わしたのだということを教えてくれる。漣の腕には、里鶴がしっかりと自分の腕を絡めていた。けれど彼の瞳は柚乃を見つめていて、そしてほんの少しだけ誰にも分からない程度に微笑んだ。


 恋かもしれない。
 きっと惹かれているんだろうとは思う。

 (でも、どっちに……?)

 航介にたいする鼓動と、漣にたいする鼓動。
 もしもこの鼓動が恋だとしたら、いったいどっちが本物で、いったいどっちが勘違いなんだろう。


 ――予感はしていたのだ。本当にかすかなものだったけれど、予感はしていた。きっと彼と付き合うんだろう、という本当にかすかな予感。

 「ゆず、おまえそんなに気になんなら榛原のクラスに移るか」
 からかうような口ぶりで航介が囁いた。
 「そんなじゃないもん……」
 「ん、やっぱ俺たちと一緒がいいよなぁ?」
 「うん」
 「いい子いい子、素直なゆずが一番かわいい」
 
 ――とくん。
 
 航介に手をつかまれたまま、出口へ向かう。あたしは迷路に入りかけている――ふと、柚乃はそんなことを思った。

 




  05


 
 阿寒湖に着いたときには、空はどんよりと曇っていた。曇りってほんとにわけもなく憂鬱になるのよね、と柚乃は心のなかで嘆きながら皆について歩いていく。このときも航介がすぐ傍らにいたけれど、柚乃もそのことに違和感は覚えなかったし、それにクラスメイトの誰も冷やかしてはこない。柚乃と航介が一緒にいる姿は、それほど自然にクラスメイトたちの目に映るようだった。
 「まりもってさ、それだけでそんな価値あるもんなの?」
 常に自分より柚乃を先に通す。ありがと、と柚乃は小さく言って遊覧船に乗り込んだ。
 「あんなのただの藻でしょ?」
 夢のない皐月の物言いに、航介が笑った。俺はそこまで身も蓋もない言い方しねーよ、と柚乃の後ろから歩いてくる。
 「でもまるいから」
 自分でもあまり意味のわからないフォローをして、柚乃は空いている長椅子を見つけて窓際に座りこんだ。さっきから会話に身が入らない――ずっと気になっている。後ろのほうから四組に続いてくる六組のこと。
 東久ヶ山高校の一年生は、全部で八クラスある。この北海道の研修では、その八クラスが2コースに分けられているのだった。A班は三組、四組、六組、八組。B班が一組、二組、五組、七組。何をどう思って教師陣がそんなわけ方をしたのかは分からない。けれど四組に柚乃がいて、六組に漣がいるのはまぎれもない事実である。
 (目が合っちゃうんだもの)
 ふとした瞬間に、交差してしまう視線。そのたびに柚乃は何ともいえない気持ちになって――そうして彼の隣に里鶴の姿を見つけ、目を逸らすのだ。
 彼を見つけると高鳴る鼓動。けれど航介の傍にいても感じるときめき。何がどうなっているのか分からなくて、柚乃は時おり沈みこんでしまう。

 “女の子って、自分の感情をいまいち把握できないって言うじゃん”

 研修に来る前、寮の部屋で準備をしながら言っていた彩の言葉を思い出す。自分の感情を把握できないなんて、そんなの嫌だな。柚乃はそう思うのだった。
 (……ほら、また……)
 すでに椅子に座っていた柚乃の目と、今ちょうど船室内に入ってきた漣の目がぴたりとあった。
 
 ――とくん。
 
 隣の里鶴とも目があって、柚乃はあわてて視線をはずす。
 「ゆず、虫」
 「え?」
 窓にとまっていた虫を見つけて、航介がひょいと身を乗り出した。彼のプロポーションの良い肢体が、柚乃の上半身を隠すようにかぶさる。何の香水だろう。ふわりと爽やかな良い香りが漂った。
 
 ――とくん。
 
 (もう、何だかふしだらな子みたい)
 すっと通路を漣が歩いていく。それを感じながら、柚乃は航介を見上げて微笑んだ。航介には何もかも見透かされているような気がするから、だからよけいに自分が悪いことをしているような気持ちになる。航介の後ろについて通り過ぎていく岡谷里鶴。彼女の鋭い視線をも感じながら、柚乃はうつむいて苦笑した。

 それでも柚乃は気分を切り替えるのがうまかった。持ってうまれた才能かもしれない――阿寒湖を出て(食欲のなかった柚乃の石狩鍋は、しっかりと皐月が始末をして)、そこから足寄のドライブインまではびっくりするような一直線の道路が続いていた。阿寒湖にいたときには曇っていた空も、途中から晴れはじめている。青空をみるだけで、すうっと伸びていく道路を見るだけで気分をリセットできるのは柚乃のおそらく長所だろう。
 「わ、牛だ」
 「牛だ」
 「牛だぁ」
 左手でホルスタインが草を食んでいる。学校の近辺、自宅の近辺ではけっして見ることのない光景に、生徒たちの声は弾んだ。牛を見ただけで興奮して騒げるのは、都会の子どもの特権だろうか。
 とにかく都会云々を別にしたって、四組が騒ぎだすとしゃれにならないやかましさになる。
 「あー……焼肉。牛食いてー」
 前のほうで暮原の声がした――……静かになる。生徒たちは顔を見合わせてありえねぇありえねぇと呟き、柚乃の傍らで航介がホルスタインっつったら普通乳牛だろ、と突っ込んだ。静かにさせるための一言だったのだろう、もう暮原菜月はおとなしく腕をくみ脚をくんで瞳を閉じている。
 そういう担任の言葉にふりまわされるたびに生徒たちは、すでに自分たちの首ねっこが彼女に押さえられていることを思い知るのだ。けれどそんなとんでもない素顔の担任を、生徒たちが無意識に慕っているのも事実だった。暮原菜月。なんだか柚乃を見る目が、たまに切なげなときがある。ひとの感情に敏感な柚乃は、とっくにそれに気付いていた。同情にも似た、けれど愛情のこもった、少し悲しそうな視線。たまにそんな目で暮原が自分を見ていることに柚乃は気付いていたけれど、だからといって自分から踏み込んでいく勇気もない。
 (でもきっと)
 このひとは信用しても大丈夫なひとだ。そんな気がした。
 
 足寄のドライブインを出てからは、ますます壮大な大自然。大雪山国立公園の南端をかすめて進むトマムへの道のりは、柚乃の見たことのない景色である。少しくらい沈む気持ちがあっても、このいつもと違う数日間は平気なような気がするのだった。合宿研修、クラスメイト、暴露大会。
 「青春、青春」
 ちょっとくらい戸惑うことがあったって、大丈夫。そう思うことにする。そう思うことのできる人間だ、と柚乃は自覚している。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 配布されたミールクーポンで夕食を済ませてから、めずらしく柚乃たちは早めに部屋へもどった。628号室、そんなに高い印象はないけれど、窓から外を見下ろしてみるととても高いような気がしてくる。柚乃、皐月、彩。この三人が同室だったが、ベッドがそれぞれ妙に離れているために、自然柚乃のベッドに集まることになる。皐月がポテトチップスの袋を三袋、一気に破いてベッドに広げた。
 「研修も明日で終わりだね」
 彩がアクエリアスのペットボトルに口をつけながら言った。ほとんど観光とグルメの繰り返しで、ここまでの四日間はあっという間である。
 絶対太ったわ、と彩は恨めしそうにポテトチップの山を見つめた。
 「そんなことより」
 「そんなことより!?」
 彩が噛みついてくるのをよそに、皐月は柚乃に向き直った。
 「あんた、航介とどうなってんの?」
 落ち着いた暗めの照明。柚乃だけが上体を起こしたかたちで布団にくるまり、あとの二人は枕を抱えている。別にその質問は意外なものではなくて、柚乃はほんの少しだけ困ったように唇をとがらせた。
 「別にどうもなってないけど……」
 「ていうか実は付き合ってるとかじゃないわけ? 告られてないの?」
 嫌われているとは思わない。もしこの状態で、航介に彼女ができたりなんかしたらきっと多かれ少なかれ嫉妬するだろう。
 「でも絶対両想いだよね」
 彩が微笑んだ。もう完全に、柚乃が航介に想いを寄せていると決めてかかっている。ポテトチップをばりばりとほおばりながら、皐月は何ともいえない顔で柚乃を見つめた。窓の外は真っ暗で街灯なんてものもほとんどなく、ガラスには自分たちの姿だけが映っている。
 皐月がぽつりと呟いた。
 「ねえ、ゆず」
 「うん?」
 柚乃が魔法瓶からお茶を注いで、皐月に差し出す。人生いつでも食べ放題、皐月に細やかな気遣いを提供するのはいつも柚乃の役目だった。
 「あたしたちはまだ高校生じゃん」
 「うん」
 皐月の声の奥底に、嘲りでも何でもない真剣さを柚乃は嗅ぎとった。こういうとき、柚乃は素直にうなずくこと以外しない。ただひたすら、相手のいうことを聞く。
 「高校生だけどさ、意外と自分では大人のつもりじゃん」
 「うん」
 彩が何かもの言いたげな瞳で皐月を一瞥したが、柚乃がそれを牽制した。
 「だから、あたしたちっていつでも一発殴られなきゃ……痛い目みなきゃ気付かないんだよね」
 「……うん」
 「痛い目みたときにはいつだってあたしたちがついてるけど、とりあえずはゆずが後悔しないように行動しなさいよ」
 それから照れ隠しのように、残りのポテトチップスのカスをざぁっ、と(本当にざざざ、という音がした)口に流しこむ。彩が呆れたような顔をして皐月を見つめた。
 「……うん、分かった」
 ありがとさっちゃん――呟く。口は悪い。性格も悪そうにみえる。けれど昔から本当に、本当に思いやりのある優しい友達だった。


 けれど後悔しないように行動したいと思ったって、どうしようもないときもあるんだ。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 翌朝、本当は八時にはトマムを出て、アイヌの文化博物館に行く予定だった。それが突然朝食のときになって、予定が消えた。
 「誰ですか昨日の夕食のときレストランから食器盗んだのは!!」
 そんなことを学年主任が叫んだからである。盗まれた食器が出てくるまではホテルに留まります、なんてことを突然宣告されて、生徒たちはいささか騒然とした。
 「まぁ言いにくいと思いますからね、こっそり食器もって先生のところに持ってきてください」
 まーた猫かぶりやがって、と皐月が口ぎたなく罵った。暮原が満面の優しげな笑みで、優しげな教師を演じている。
 四組の面々はもうしっかりとその辺は承知していたし、そのほかのクラスの生徒にしても暗黙の了解に近いものがあるというか――暮原の破天荒っぷりが他の教師たちに洩れないようにつとめているのだった。だから他の教師たちはいつも言う。
 
 “暮原先生みたいな優しい先生でよかったね”
 
 そんなときには生徒たちは愛想笑いでごまかして、教室にもどってから腹をかかえて笑うのだった。
 「だいたいこんなとこまで来て、なぁんで食器なんか……ばっかじゃないの」
 自室待機、といわれて部屋まで戻る。聞いたところによると、そこのレストランはバイキングシステムだという。盗まれたのは、サラダ用のプラスチック、しかも白の無地の器だというのだから本当に何を考えているのか分からない。思わず柚乃も苦笑した。
 「ていうかホテル側もさ、何でいちいち器の数なんか数えてんのよね」
 どうせ自分から“私がやりました”とのこのこ出ていく生徒なんていないだろう。おそらくある程度待機させた挙句、犯人も分からないまま何事もなかったかのように出発するに決まっているのだ。無駄だなぁ、と柚乃でさえも思う。皐月は完全にふてくされ、ベッドにもぐりこんでしまった。頭洗お、と彩は彩でシャワールームへ入っていく。朝にシャワーなんて使っているのがばれたら、それはそれで叱られるのだけれど、四組の生徒がそんなことを気にするようなはずもない。残された柚乃もまたベッドに寝そべって、日程表を眺める。
 全生徒の宿泊室番号が書かれているページを、無意識のうちにひらいていた。
 
 【628号室:朝月 東条 南】
 
 (………………)
 
 【632号室:緒方 桧山 矢坂】
 
 昨夜少しだけ遊びにいったから、知っている。そこからまた、どうしても視線が動いた。
 
 【528号室:榛原 松林 吉野】
 
 (……下にいるんだ)
 今、このすぐ下に漣がいるんだ、と思った。そして思う。彼は――漣は、あたしがすぐ上にいることを知っているだろうか。
 
 ――きゅん。
 
 ときめきではなかった。ほんの少しだけ、胸が切なく痛んだ。
 「だめだわ」
 考えれば考えるほど混乱していく。幾度かいやいやをするように頭をふって、柚乃は日程表をぱたんと閉じた。

 

 ぱたんと閉じた、本当にちょうどそのとき。
 ぴんぽん、とチャイムが鳴った。
 「何なのよ……出発するときは電話じゃなかったの?」
 皐月がベッドの中から憎らしそうに呟く。あたしが出るからいいよ、と柚乃はベッドから立ち上がった。こういうときに柚乃は不用心である。覗き穴も何も確認せずにあっさり扉をあけて、そこで驚いて立ちすくんだ。
 「朝月さん、ちょっと話があるの。付き合って」
 ぐい、と手を引っ張られて、そのまま柚乃は連れ出される。来訪者の声音はけっして高いものでもなかったから、ベッドにもぐりこんでしまった皐月には届かない。
 「あ……あの、岡谷さん……」
 人気のないエレベーターホールに連れていかれる。心の準備も何もなく、たださらわれた格好の柚乃はつむぐ言葉が見つからない。混乱したままの柚乃に、怖れていた言葉があっさりと投げかけられた。
 「漣にこれ以上近づかないで。あたしには漣しかいないの。あたしの味方は漣しかいない」
 あたしは漣を愛してるの、と岡谷里鶴ははっきりと言った。家族もいなくて身寄りもなくて、あたしにはあの人しかいないの。そう言った。

 


 ――後悔しないように行動しなさいよね。

 (さっちゃん、)
 あんたむかつくのよ、と言われるよりもずっと胸に響いた。だって家族がいない切なさ、誰が味方か分からない不安、柚乃はよく知っている。
 (無理だよ、あたし無理)
 「……ごめんなさい……そんな、つもりはなかったんだけど……」
 口が勝手に動いていた。何で謝るんだろうと思いながら、なぜか心の底から謝っていた。胸がどきどき鼓動をうっている。
 「話はそれだけだから」
 やっぱり憎まれているんだ、と柚乃は思った。彼女の双眸のなかに、彼女本人ではどうしようもないほど強い光が宿っている。それは敵意だった。
 エレベーターホールに、かすかなクラシック音楽が流れている。静かなそこにクラシック音楽だけが大音量でかかっているような気がして、柚乃は眩暈をおぼえた。
 「…………」
 何もいえずに、柚乃はうなずいた。


 ――あたしが榛原くんに近づくことは、岡谷さんから彼を奪うことだ。

 (絶対やっちゃいけないことだ)
 家族も身寄りもいない柚乃だからこそ、鍵《ロック》がかかる。

 
 ――彼を奪うことは、岡谷さんから頼れるひとを奪うことだ。

 (絶対やっちゃ…………)
 二重、三重に鍵をかけよう。まだ数えるほどしか話したことのない相手だ。きっと大丈夫、『あたしはあのひとに、惹かれたりしない』。
 でも心の奥では分かっている。自分の意志とは裏腹に、心はどんどん動いてゆくこと。






  


   06


 

 ――何だかひどく切なかった。ふとした拍子に胸のずっと奥が、くっと締めつけられるのだった。それが榛原漣に恋している証拠なのか、それとも単に仲良くなることができないことへの切なさだったのか、まずそれが分からない。ただひどく切ない。
 結局、食器泥棒はあらわれないまま東久ヶ山校の生徒たちは無駄に時間をつぶし、アイヌの文化博物館をすっ飛ばして日高のケンタッキーファームへ来ていた。空は昨日よりも薄青く晴れわたり、緑の広大な牧場で点々と馬が草を食んでいるのが見える。
 「おぉ、馬だ」
 「牧場で馬とかはじめて見たしー!」
 他のクラスに先がけて騒ぎだす四組の男子生徒の耳もとで、暮原が「馬刺し」とささやいていく。
 「デリカシーってもんがないわけ」
 「ははは」
 皐月の毒舌を笑いとばしていく若い綺麗な担任教師を、柚乃はぼんやりと見つめた。あんなひとだったのだ――柚乃の母親は。さっぱりとしていて、けれど美女然としていて、女のわりに粘着質なところなんてなかった。柚乃はそんな母親に何でも相談できたし、母親もまたまるで友達のように相談に乗ってくれたものだった――もしもお母さんが生きていたら。
 柚乃の唇がほんの少しだけ震えた。お母さんに会いたい、と思った。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 
 「え?」
 「あたし、朝月さんに言ってきたから」
 けっして予測できないようなことではなかったけれど、それでも思わず漣は立ち尽くした。札幌のテレビ塔の下から、生徒たちが思い思いのほうへと散策に出かけていく。
 そのなかに、はやくも漣は柚乃の姿を見つけていた。いつもなら必ずといっていいほど視線が絡み合うのに、今日は一度も目があわない。おかしい、と思っていた矢先のできごとだった。
 「何を……」
 「あなたはあたしのものだから、絶対に盗らないでって」
 「…………」
 「悪い? あたしには漣しかいないの、漣が一番よく知ってるよね?」
 そう、ずっとずっと大切な幼馴染みだった。まるで同い年の妹のように思っていた。だから中学生のときに里鶴に告白されたときも、断るつもりだったのだ。
 「それで、朝月さんは?」
 「謝ってたわ、ごめんわかったって」
 だからだ。今日一日、何度も何度も柚乃の姿を見つけたのに目があわなかった理由。あわなかったのではない、柚乃が意図的に目をあわせなかったのだろう。
 (謝ってた……)
 それほどたくさんの言葉を交わしたわけでもないし、話をしたわけでもない。まともに顔をあわせたのは層雲峡に泊まったあの日だけだったし、お互い知らないことばかりだ。 けれど柚乃が謝っていたと聞いて、漣はなぜか彼女らしいと、そう思った。
 「漣……」
 「わかってる、大丈夫だよ。俺がちゃんと里鶴の傍にいるから」
 胸が痛む。
 

 ◇ ◇ ◇

 『里鶴のお父さんね、不倫してたのよ』

 『は?』

 『詳しいことは知らないけどさー、不倫相手の子供と里鶴が同じ日に生まれたんだって。そしたら里鶴のお父さん、自分の子んとこじゃなくって、不倫相手のところに駆けつけたらしいよ』

 『何それ、里鶴の親父よそに子供作ってたってこと?』

 『さあ、そこまではよく分かんないわよあたし。で、あたしらの父さんと母さんが里鶴の母親に付き添ってたらしいんだけど……ほら、うちの父さん間抜けじゃん。里鶴にこないだぽろっとやったらしくて』

 
 ◇ ◇ ◇

 里鶴に告白される前に、あんなことを聞かなければよかったのだ。里鶴がどれだけ強く自分に想いを寄せているか分かっていたから、だからもし告白されてもはっきりと断ろうと思っていたのに。
 
 『で、結局里鶴んとこ離婚したうえに、お母さん産後すぐ亡くなったでしょ。よっぽどつらかっただろうのに、うちの父親ってちょっと頭ばかになってんじゃない。ぽろっぽろ喋りやがってさ』
 
 おまえもそんなことぽろっぽろ喋んな。あのとき、姉にたいしてそう思ったのをよく覚えている。姉のせいではないと分かっているけれど、そんなことをいわれて大切な幼馴染みの告白を断るほどの勇気はなかった。

 
 ――好きなの、お願い傍にいて。

 
 菜月からあんなことを聞いた数日後、何であんなぴったりのタイミングで里鶴は告白してきたのだろう。漣の父親から聞いた自分の父親の秘密と、自分の漣への想いを。もう里鶴には身寄りがなくて、頼れる家族は榛原家しかなかった。それを漣も菜月もよく分かっていたから、里鶴にはどうしても無条件で優しくなった。
 幼いながらに、この子を守ってやりたいなんて庇護欲をかきたてられていたのかもしれない。
 (ほんと、最低だ)
 ひしひしと伝わってくる彼女の自分への想い。たしかに里鶴のことは大切で、好きか嫌いかと問われれば当然好きで――けれど恋愛感情ではなかった。

 
 ――お願い、漣しかいないの。

 
 あのときは人を好きになることも特になかった。男友達がいればそれで良かったし、これだけ美人で強烈な姉がいればそれ以外に目をやる余裕だってなかった。だから、どうせならこれだけ想ってくれる里鶴でいい、ともしかしたらそう思ったのかもしれない。

 
 ――お父さんもお母さんもいなくて、あたし漣しかいないの。漣が一緒にいてくれないなら、あたし生きてる意味なんてない。

 
 父親への恨み。お父さんがお母さんを殺したんだ、と里鶴は何度も言った。泣いた。他に好きな女の子もいなかった漣に、それを弾く気力はなかった。
 (どうすればよかったんだよ)
 あのときもし断っていれば、里鶴は自殺未遂くらいしていただろうと思う。それくらい激しい気性の少女だった。
 (断ってればよかった?)
 断っていれば、俺は誠実な男になれた? それとも今と同じ卑怯な男に? 大事な、大事な幼馴染みだった。
 「……漣?」
 まっすぐな里鶴の双眸をみると、すべてが萎える。独りにしてしまうと何をするかわからないという情けない恐怖と、自己満足かもしれない思いやりと。
 (この子をみると……)
 俺は何が真実で何が思いやりで――自分がどうすればいいのか分からなくなるんだ。
 想いのベクトルが違っていることだけは、こんなにも分かっているのに。
 最低だと思ったって、道が見えないんだ。
 それに予想もしていなかった――まさか自分が、あの朝月柚乃にこんなにも惹かれてゆくなんて。里鶴があんなにも憎んでいる朝月柚乃に、惹かれてゆくなんて。

 
 「漣? ねぇ」
 少し離れたところから、四組の担任である菜月がこちらを見つめているのが分かった。誰にも分からないように大丈夫と手をあげてみせ、里鶴のほうへ視線を戻す。
 「ん、悪い。ぼーっとしてた」
 (大丈夫だ)
 朝月柚乃とは知り合ったばかりだ。別に好きになったわけじゃない――これ以上好きになることもない。そう、あの子は好きになるべき相手ではない。言い聞かせる。
 鍵《ロック》はきちんと胸にある。
 好きにはならない、『あの子は里鶴の父親を奪った女の娘だ』、だから『好きになれるはずなんてない』。きちんと鍵さえかければ大丈夫だ。
 (大丈夫だ)
 でも心の奥では分かっている。
 自分の意志とは裏腹に、心はどんどん動いてゆくこと。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 「どしたの、ひーちゃん」
 定山渓のホテルに着くと、いきなり熊が出るからといって外出を止められた。食事までの自由時間をみはからって、柚乃は航介に呼び出された。ふかふかの赤い絨毯を通って、階段の踊り場まで連れていかれる。廊下はあれだけ綺麗で豪華なのに、階段の床はコンクリートの打ちっぱなしでどこか無機質だった。冷たい、と柚乃はふと思った。
 「メシ、何だろな」
 別にここまで連れてこなくても言えるようなことを言う。
 「何だろ、おいしいかな」
 ――予感はしていたのだ。本当にかすかなものだったけれど、予感はしていた。きっと彼と付き合うんだろう、という本当にかすかな予感。
 「榛原のこと気になるんだべ」
 航介が不意に苦笑した。いきなり突っ込まれて、柚乃は狼狽することもできずに彼の端整な顔を見上げる。見上げて視線がかちりとぶつかって、それからゆっくりと柚乃は視線を逸らしうつむいた。
 (気になったりなんか……)
 そう言いたかったけれど、あんまりにも嘘くさいだろうからやめておく。
 「ひーちゃん……あたし」
 「もういいじゃん、とりあえず俺と付き合お?」
 「………………」

 
 ――岡谷の父さんの不倫相手って、南中の朝月の母さんらしいぜ。

 
 柚乃は何も知らない。けれど漣や里鶴と三年間同じ中学で過ごしてきた航介は知っていた。柚乃は、何も知らない。

 
 「何だ、俺のこと嫌いかよ」
 (……ひーちゃんと付き合えば……もしかしたら榛原くんのことを、)
 「…………っ」
 「ゆず?」
 何だかひどく切なかった。心の中で思わず計算してしまった自分が、べつに誰かに露見したわけでもないのに恥ずかしかった。
 「何か知らんけど、榛原のこと忘れたいとかじゃないの?」
 航介を見つめる。
 「ちょっと、怖いからだんまりやめてくれる?」
 言葉を続けて、航介は悪戯っぽく柚乃の瞳を見つめかえした。だめだ、と柚乃は自制する――いや、自制したつもりだった。
 けれど気付いたら唇ははっきりと返事をしていた。
 


 「……あたしも好き」



 

 嘘じゃないもん。

 榛原くんのことなんかよりも、ひーちゃんのことのほうがよく知ってる。

 嘘じゃないもん。

 あたしは絶対に、榛原くんじゃなくてひーちゃんのことが好きなんだ。

 


2006/03/15(Wed)17:47:48 公開 / ゅぇ
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■作者からのメッセージ
だめだ――――!!!だめですごめんなさいホントにごめんなさい――――!!!終わらせなければと思えば思うほど話の展開が急になってきます!いやでも一応着地点といいますか、いろいろなものは見えているのですが、少々気が急いています、話の流れが分かりにくくなっていたら申し訳ありません。しかも誰が明るくほのぼののんびりなんて嘘を言ったんだ。嘘ですね、男と女のどろどろラブストーリーですか。反省しています。申し訳ありません。それでもどうか見捨てずに、ほんとどうかお付き合いいただければ嬉しい限りなのでございます。
この作品に対する感想 - 昇順
[簡易感想]セリフが多すぎる気がします。
2013/08/28(Wed)17:05:050点Janek
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