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『死体と遊ぶ子どもたち 前編』 作者:森川雄二 / 恋愛小説
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 何もかもが色あせた風景だったように思う。ずいぶん前に壊れて錆付いてしまった自動販売機、めったに人の通ることのないじゃり道、電灯が少ないため月明かりがとても美しく感じられた夜道、それらは今でも鮮明に覚えている。
 ただ僕の記憶の中の風景はどれも白黒で色彩はなく、どこか悲しげで儚く、そして美しく感じられた。
 
 彼女は川内美奈といった。雪のように白い肌と、流れるようにきれいな長い黒髪がとても印象的だった。彼女は僕の隣の席に座っていた。僕は時々授業中に彼女のことを盗み見たが、いつも彼女はノートもとらずに頬杖をつきながらじっとどこかを眺めていた。
 でも彼女の瞳には何も映っていなかったように思う。ただその瞳はどこまでも深い闇のようで、ぞっとするほど空虚なのに、幼児のように純粋でとてもきれいだった。

 彼女は小さいころから体が弱く、実際学校に来る日より休んでいる日のほうが多かった。ほとんど学校に来てなかったからというのもあるけれど、無口でいつもつまらなさそうな顔をしている彼女にはおよそ友達といえる存在はなかった。
 僕は彼女が誰かと話しているところを見たことがないし、彼女自身それを望んでいるようにも思えた。
 
 内向的な僕は彼女に話しかけることはできなかった。一度だけ教科書を忘れたときに見せてくれるように頼んだときがあったけど、彼女は黙って教科書を僕に手渡すと、またいつものようにどこかをじっと眺めていた。

 ある日帰り道で川内美奈を見かけた。その道は彼女の家とは逆方向の道だったので僕は不思議に思いすこし後をつけてみた。彼女は道をはずれて傾斜面を降りていった。
 そこは木や草が生い茂っていて、誰も立ち寄らない場所だった。僕は彼女に気づかれないように木に隠れながら少しずつ斜面を降りていった。
 やがて彼女は小さな洞窟のような穴に入っていった。たぶん昔使われていた防空壕のあとだろう。僕はその穴をおそるおそるのぞいてみた。
「わっ!」
突然川内美奈の顔が目の前に現れたのでびっくりして思わず声をあげてしまった。
「ごめんね、びっくりした? 大橋くんだよね? 後をつけてきたの?」
僕が返答に困っていると、川内美奈はじろじろと僕の顔を眺めた。彼女の顔が近づいたので僕はすこしドキドキした。彼女はそれから何か納得したように頷くと言った。
「ねえ、絶対に誰にも言わないって約束してくれる?」
「ここのこと?」
「うん。約束してくれるならいいもの見せてあげる」
彼女はそう言ってすこし微笑んだ。彼女のそういった表情を見るのは初めてで、ずっとそんな顔をしていてくれたらいいのにと思った。僕が黙って頷くと彼女は僕の手を握った。彼女の体温が体中に伝わった気がした。
「それじゃあ、中に入って」
僕は彼女にいわれるがままに穴の中に入っていった。穴の中は真っ暗で、何かが腐ったようなひどい臭いがただよっていた。
「ちょっと待っててね。明かりつけるから」
彼女が懐中電灯をつけると、あたりがすこし明るくなった。そこにあったものを見て僕は思わず、声をあげそうになった。
 それは人間の死体だった。死後どれくらいたっているのかはわからないけど、もうだいぶ腐っていた。
2005/06/12(Sun)15:57:10 公開 / 森川雄二
■この作品の著作権は森川雄二さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
最近カルト映画しかみてない森川です。タイトルは某ゾンビ映画から。一応初の恋愛モノです。
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