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創作小説 投稿掲示板『登竜門』 『入らなかったフリースロー 【読みきり】』
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- 『入らなかったフリースロー 【読みきり】』 作者：影舞踊 / 未分類 未分類
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全角4147文字
容量8294 bytes
原稿用紙約11.95枚
――頼りきった自分
――腐りきった自分
――これまでの自分
――これからの自分
――笑って見送りゃ、万事オッケー
◆
中学校から続いた俺のレール。気づいたらそのレールに乗っかったまんま大学卒業まで来てました。何一つ真面目に取り組んだものはなく、遊びほうけていた俺が順調にここまで来れたのはエスカレーター式の制度が大きな原因。よく考えてみれば努力はしたのかもしれない。中学校に入る時、それなりに勉強をした覚えがある。でも、その後は適当にやってて、適当に上がれた。
努力しようと思ったこともないし、努力することを強要されたこともない。そんなわけで適当適当、悠々自適に人生送って、来るもの拒まず追うもの去らず。友人関係だろうがなんだろうが、とにかくややこしいことが嫌いで、思うがままにいかなきゃふて腐れました。愛想笑いも、上辺の付き合いも意味不明。人に厳しく、自分に優しく。それでも電車とかじゃシルバーシートは避けてたりする。
ほんと、自分腐ってました。
でもまぁ、そんな俺も今年から社会人。頑張らなきゃなぁと口では言いつつ、心の隙間は怠け放題。そんなもんでしょ、頑張ったら見返りは大きく、努力は報われる。そりゃそうかもしんない。それでいいと思う。それが正しいと思う。でも中途半端に頑張って、俺頑張ってますみたいなのを示すやつは大嫌いだし、なりたくもない。傍から見たらそういうやつはほんと頑張ってるように見えて、皆してそいつを応援したり、ちやほやする。
俺だってそうするよ。でもね、そんなのかっこいいとは思わないし、俺にとってはそんな関係吐き気がするほど気色悪い。俺は多少辛辣な言葉を投げられても皆に本当の姿を見てもらいたい。俺がどんな人間で、それを見て皆がどう思うか、俺の感じることの十分の一でも伝わっているならばそれで満足。
自己完結の自己満足。捻くれてる考えはどこから来たんだろうか。
あぁ、ほんと自分腐ってます。
何一つ真面目に取り組んだことがない。そんな言葉も、俺の捻くれた考えから来てるのかもしれない。曖昧な勉強は大嫌いで、努力なんていうのも虫唾が走った。自分のことを天才だと思い、自分よりも下のやつを心の中で見下した。
勉強と遊びの両立ってのは不可能で、そもそも面白くないものと面白いもの、その二つ両方に気を回そうなんてのは業突く張りの此畜生だ。躍起になってそれを進めてくる先公なんて糞食らえ。人には人のやりたいこと、やるべきことがある。誰しも夢は持ち、その夢を掲げて努力する。俺の大嫌いな努力を。
俺が見下した下等な奴ですら、その夢なるものを持っていて、必死こいて努力してた。叶わないと理解できぬほど馬鹿なのか、叶うと信じる馬鹿なのか。
そんな馬鹿でも持てる夢。それを持てない俺って一体どうなのよ？ 努力できない俺って一体どうなのよ？
すいません。ほんと自分腐ってます。
勉強と遊びの両立は不可能。だが、例外もある。勉強の中で唯一俺が特化したもの。そう体育。ビバ！ 体育！ 体を動かし汗をかく。ごちゃごちゃ考えるということはいらないし、何より楽しい。真面目には取り組まない俺が、熱くなれる授業だった(もちろん体がね)。小・中・高・大と体育だけは好きだった。好きこそ物の上手なれで、俺の大嫌いな努力をしなくてもどんどん上達した。
そんで、俺は上達する頃になると飽き始める。いろんな部活も体験したが、どれも持って一年だった。サッカー、野球、柔道、水泳、卓球、アメフト、ラグビー、アイスホッケー、体操、ハンドボール、空手、バレー、アーチェリー、バトミントン、ドッジボール、ボクシング。
何かなぁ。やりすぎで、思い出すのがしんどくなってきますよ。俺にとっては遊びであり、まさに勉強と遊びの両立がそこには成立していた。もっとも、一般的には認めないんだろうけど。
でもね。飽き性も疲れってのがあるのかな。大学に入って、一つのスポーツをやり始めたら、それが大学通してずっとやってた。やめる時期を見過ごしたか、それとも仲間内が気に入ったか、そもそもその他の部活は全部やってたような気もするし……な〜んて、言い訳してる臭くてやってらんねぇ。
嘘つきは泥棒の始まりだろうがなんだろうが、……ほんと自分、腐ってますねぇ。
バスケットボール。めちゃめちゃ身近なスポーツで、俺が大学に入るまでも多々やる機会はあった。体育でもやったことはあったし、仲間内でも３オン３とかは結構やってた。でも部活に入んなかったのはなんでか。しいて言えばミーハーになりたくなかった？
小学校ぐらいの時、バスケット漫画が大流行して、俺の周りのやつらもかなりそれに影響されてた。我先にとバスケットルールを暗記し、密かな特訓。バスケット部は空前の大人気で、女子もキャアキャア言ってみんな騒いでた。
んまぁ、分かると思うけど、こんな捻くれ者ですよ俺は。そんなの関心全くなし。それに流されてるやつらが惨めで、自分の意志がないやつらの固まりに見えた。その漫画の主人公はちょっと悪いっぽいやつで、才能はないんだけど根性が凄い。素人満開でルール無視、それでもたまに結構すごいことやったりする。そんなやつに何を憧れると言うんじゃ。ライバルは天才で二枚目、口数少なくプレーで物言わせる。そんなやつには嫉妬心しか起こらんわ。
それでもさり気に体育の授業、バスケットの時はちょっと練習してたり。単行本は全巻読破しまくってたり。途中で何回か泣いてるのを親に見られたり。それでも俺は、全く何にも知りませんよ〜的な顔で日常過ごし、体育のバスケットではさらりと凄いプレーをやってのける。そんな妄想じみた考えで密かに憧れてたのは若気の至り。たまたまスリーポイントとっても、それが普通みたいな顔して試合を進める。でもって、聞こえた誉め言葉や、感嘆の言葉は漏らさず記憶し、後で便所で大爆笑。
――……キモ過ぎんなぁ俺。ほんと自分腐ってます、ね？
そんなこんなで避けてきた(密かにやりたかった？)バスケットボールを、あっという間にやってきた大学４年間。振り返ってみると、部活オンリーだったんですわ。試合もそれなりに出て、案外いい汗掻いた〜って経験はできた。
――俺さ、何やってたって言われたらほんとバスケしかなかったからさ。後のお前らには頑張って欲しいんだ
そんな臭い科白を吐いてくれる先輩もいたし、いい部活だったんじゃなかろうか。一年前に聞いた科白だけど、泣けるなぁ(笑)
……ええ、そうですよ。ほんと自分腐ってますから。
何かを得て、人は成長するんですよ。とか真面目臭く語ってみたら鳥肌が立ちました。
バスケやって、ほとんどの反則はしたし、ほとんどのプレーもした。ツーポイントなんて何本決めたかも覚えてないし、スリーポイントも同様。終了ギリギリのスーパーシュートも両手で数えるぐらいは決めた。でもね、ラストの試合でね。４年間やって初めての経験をやりましたよ。
フリースロー。
そんな風に呼ばれてます。普通のシュートと違って１本１点しか入らないそうで、それを２本打てるんです。１本１点でしかないそれを打つのに、ディフェンスの連中も味方の連中も目をぎらつかせてね。ダムダムとボールをバウンドさせる俺の方を見るんです。１本１点でしかないんですよ。しかも練習試合ですよ。２回もあるんですよ。
曖昧な気持ちは根っからで。天の邪鬼のくせに人の真似が下手で。そんな俺の手からくすんだ茶色のボールは弧を描きネットにパサッと、
かすっただけ。
失敗。
そうですよ。そりゃ失敗しますよ。初めての経験ですよ。まぁもう言うまでもないでしょ、２本目のことは。
もう自分がゾンビか何かかと思ってきましたよ。
別にそれが入んなかったから試合が負けたってわけじゃないですよ。確かに１点を争う試合でしたけどね。大して練習もしない俺達にそれ以上のものを望むのが、そもそもの間違いなんですよ。大体練習試合でしたしね。
言い訳ばっかりに聞こえるかもしれないですけど、本当のことですから仕方がないですよ。俺を責めるのはお門違いってやつです。俺の周りのやつらだってそんなことで俺を責めたりはしませんしね。負けたからって泣いたりもしませんしね。
ただね。時々思うんですよ。
こういう時に、責め合って文句を言い合ったり、悔し涙を流したり。負けたんだからその分練習して次は勝とう……みたいな、そういうのは、
もしかしたらそういうのは、高望みなのかなぁって……。
努力してないくせにね、そういうことだけは思うんですよ。う〜むやっぱり、俺ってゾンビじゃなくて、腐った天の邪鬼ですね。
学ぶべきことは多すぎて。生きてく上で大事なことは限られてるのに、ごまんとある膨大な事物は時とともに増えるんですよ。そんな中で生きていくのは大変ですよ、こんな感じで気ぃ抜かないと。学校の先生はあれこれ言い過ぎ。覚えられんっての。
必死こいて暗記して、覚えた気になって。いや、その時は確かに覚えてるんだろうけどね。すぐ忘れるよ、きっと。何かを得るのに努力したことのない俺が言うのもなんだけどさ。
努力を否定するわけじゃない。努力できたらどんなにいいかって、よく思うもの。でもね、やっぱり楽な方を選んじゃうのが俺で、ほんとどうしようもないやね。多分皆よりも知ってることは少ないだろうし、頭も悪い。いい加減な気持ちでしか取り組んだことなかったから。
ま、気づけただけでもいいんじゃないですか。こんな俺でもそれなりには学んできたって言えるしね。人はそれぞれ違う生き方があって、その過程で得るものがある。気づく順番も過程もばらばらだと思うんだけど、最終的に身につくものってやっぱり同じだと思うんよ。
……いや、月並みすぎて取るに足らない言葉になって申し訳ない。
まぁね。
何かに真剣に取り組むのがかっこいいことなんですって。余裕と油断と履き違えてたら、俺みたいな人間に成り下がりますよ。
あいや、長々と申し訳ない。
フリースローが２本じゃなかったら、こんなこと考えなかったでしょうにね。
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2005/04/02(Sat)03:03:26 公開 / 影舞踊
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■作者からのメッセージ
あっはっはっはっは(壊れ中……
……すいません。どうも、毎度謝りから入る影舞踊です。
これジャンルコメディじゃないの？ ってぐらいの勢いですね。久々に書いたショートがこんなんかい、という突っ込みには素直に謝ります。読み流してください。
軽い気持ちで読んでくだされば結構です。こういう独白調のを書きたくなりまして……。書いたことの一割でも意味がわかってくれれば有難いです(多謝
最近執筆をするのが停滞気味(いや、スランプとかじゃないんですが
感想、批評等頂ければ幸いです。
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