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『空と地の間』 作者:洋介 / ファンタジー ファンタジー
全角9721文字
容量19442 bytes
原稿用紙約34.25枚
1、
人とは何か?精霊とは何か?

この世界に生きるものは生まれた時に誰もが護身獣という精霊と共に生まれてくる。護身獣とは、共に生まれた生物を主とし生涯その主を守り一緒に生活する
精霊の一種だ。なぜ、そのような精霊が存在するのか?その答えは誰もしらない・・。
そして、今日もまた精霊と共に生まれてきた人間が誕生した…・。
『ウギャーッギャーッ』
元気な赤ん坊の泣き声が家中に響き渡った。
『ノイルさん、元気な男の子ですよ。護身獣の方も元気です。』
と、うれしそうに医者が言った。
『そうですか…。良かったぁ・。』
医者の言葉を聞いたノイルは、はぁーとため息をつきながら喜んだ。
『ただ、ちょっと…』
医者が深刻そうに言った。その瞬間ノイルはベットからガバっと起きた。
『何かあるんですか!?』
ものすごい大声で聞かれた医者はびっくりしながらも落ち着いて説明した。
『いえ、お子さんの健康状態は全然大丈夫なんです。もちろん護身獣の方も
ただ、ちょっとこの護身獣の種類がみたこと無いものなんですよ。私は医者として護身獣の勉強もして、様々な護身獣を見てきたんですけど、この護身獣は一体どの分類に入るものなのかわからなくて・・。あ!でも、ちゃんとした護身獣なので安心してくださいね。』
医者はノイルに心配をかけまいとちょっと自信の無い事は力強く言った。
『そうなんですか・・。でも、ちゃんと生まれてきて良かった…。』
ノイルは大きなため息をついた。その時ベットの下にいたノイルの護身獣がひょこっと姿を現した。
『ノイル・・。大丈夫?』
一応護身獣は話せるのだ。
『大丈夫よ。ありがとうミント。ほら、あなたも見て頂戴あの元気な子たちを』
ミントは長い首をちょっと右に向けた。
『本当だ!とっても元気そう!』
ミントはうれしそうに言った。その時、家のドアが開いた。
父のタイボが息を切らせながら帰ってきた。
『子供と護身獣は元気に生まれたのか!?』
あまりに大きな声にミントはびっくりしてまたベットの下にかくれてしまった。
『おいおい、声でかすぎるぞ…。』
ダイボの護身獣のケレキが迷惑そうにつっこんだ。
『大丈夫よ。あなた。どっちも元気に生まれたわ。』
それを聞いた、タイボはその場に倒れこんでしまった。
『あぁー良かったー・・。』
そして、すぐに立ち上がり我が子の確認にいった。
『お!本当だ!かなり元気じゃないか』
ダイボはまた大きな声で叫んだ。そのせいで、ベットの下にいたミントがびっくりしてベットに頭をぶつけてしまった。
『ん!?』
ダイボはいきなり険しい表情になった。
『あなたどうしたの?』
ノイルが心配そうに聞く。
『あ、いや、なんでもない』
ダイボはちょっと慌てた感じで返答した。
『所で名前はどうしようか?』
ダイボは話題をすりかえた。
『どうしましょう?』
みんな、うー・・んと考え込んだ。
『ソウル、クロム…。』
ぼそりと名前あげたのは以外にもケレキだった。
『あっ!いや、なんでもない・・。』
ケレキは恥ずかしそうに言った。どうやら、本人は自分はこういうキャラじゃないとおもっているらしい。
『ソウル、クロム・・。良いじゃないか!それでいいよ!』
タイボが絶賛した。
『いや、やめたほうがいいって…。』
ケレキは小声で反対した。しかし、タイボの耳には届かなかった。
『良し!決定だ!子供にはソウル!護身獣にはクロム!これでいいよな!?ノイル!?』
タイボは、はきはきした声でノイルに聞いた。
『私もいいと思うわ。いい名前をありがとう!ケリキ!』
いきなりほめられたケレキはびくっとした。
『別に…礼なんてい、いいよ…。』
ケレキはかなり恥ずかしそうに言った。
(俺ってほめられるのいやなんだよなぁ・・。)
ケレキは心にもないこと思った。
この日はみんなでソウルとクロムの誕生パーティーを開いた。
しかし、これから起こる悲劇の戦いを知るものは作者以外いなかった。 
 
2、
人には逃げたくても逃げられない運命がある

ソウルとクロムが生まれてから早15年。2人とも元気にそしてたくましく育っていた。
最近では父であるダイボに無縁精霊に対する戦い方の訓練を受けていた。
無縁精霊とは人に悪意を持つ精霊のことでどこで誕生するのか、なぜ人に悪意を持つのかは不明である。ここでちょっと勉強。
精霊は大きく分けて三種類ある。一種はさっき勉強した無縁精霊。
そして二種目の精霊はみんなもよく知っている護身獣である。
護身獣と無縁精霊の大きな違いはまず一つさっき話した通り護身獣は人との距離が近いが無縁精霊は人との距離が離れているということ。そして、二つ目は戦い方。ここでも新しい知識を教えたいと思う。まず、護身獣の戦い方は個々の護身獣特有の武器の形に変形することができそれを主の体の一部にし、敵と戦う。これに対し無縁精霊も武器に変形する。そして、護身獣と違い命のないものを器として戦う。なぜこんな特殊な合体ができるかは謎である。この二つが二種の精霊の違いである。
そして、三種目は神種である。精霊の中で最も力がある精霊でこの世界には
六人の精霊がいると言われている。今まででも数々の神種を祭る聖壇が見つかっている。学者が聖壇を調べた所、火、水、雷、闇、光、時の神種がいるという事がわかった。もちろんそんなのいない!という学者もいる。
よし、勉強終了!
それではソウルとクロムの訓練の姿をご覧ください。

森の中から大人びた声が響く。
『良し!そんな感じだ!』
ダイボが昨日15歳になったソウルとクロムに言った。
『これ、疲れる・・。』
力のない声で言ったのはソウルだ。今日は合体の持続時間を一秒でも延ばすために合体状態で父であるダイボと実戦訓練をしていた。15歳という歳を考えると、まだ合体すらできないのにソウルとクロムは合体状態で十分間も戦闘ができる。ダイボはこんな息子たちを誇りに思っていると同時に不思議にとも思っていた。なぜなら、護身獣は武器にはなるけれども防具にはならない。なのに、クロムはソウルと合体するとソウルの体に鎧のようなものをつけることができるのである。しかも、武器の形も見たことのない形でまるで光輝く日本刀の様な感じだった。
(もしかして…?)
『おーい、父さん!もう、飯だから帰ろう!』
ソウルの声にダイボは一瞬びくっとした。
『ああ、そうだな。帰ろう。』
『早く帰ろう!お腹ペコペコだよ・・。お前もペコペコだろ?クロム?』
『そりゃもうペコペコだよ・・。』
『よし!家まで競争だ!勝ったらオカズちょっともらうからな!』
『え?いいの?俺勝っちゃうよ?』
と、クロムが自信満々に言ってるともうソウルは家に向かって走っていた。
『うぉい!?卑怯だ!』
クロムも全力で家に向かって走っていった。二人の影をみながらダイボはまた考え始めた。
(もし、そうだとすればなぜ?)
深刻な顔をしているダイボに対し護身獣であるケレキが話しかけた。
『あいつら、絶対強くなるよ。なんせね俺が名前をつけたんだからな。』
『ああ、そうだな・・。』
ダイボの顔が柔らかくなった。
この日は無縁精霊が現れなかった。そして、明くる日。
2人で森の中を散歩しているのはソウルとクロムだった。
『最近つまないなぁー。』
と、あくびしているのはソウルだ。どうやら、父との訓練より本当の訓練をしたいらしい。
『無縁精霊でもいればなぁ・・。』
『いたら、命狙われるんだよ。』
クロムが正論を言う。
『そりゃわかってるけど・・。』
その瞬間後ろからチャリッと音がした。2人が音の方向に顔をやると小さい熊のヌイグルミが鎖の付いた鎌を振り上げた状態でいた。
『ギャッーーーーーーーーーーー!!!!!』
2人が大声で叫ぶと同時に振り上げた鎌が2人めがけて襲ってきた。
『うわっ!』
ソウルの右頬がちょっと切れた。
(やばい!殺らなきゃ殺られる!)
そう、思ったソウルはクロムに向かって叫んだ。
『クロム戦うぞ!』
『よし、きた!』
クロムが光の珠になりソウルめがけて飛んでいった。しかし無縁精霊はお構いなしに鎌で切りかかってきた。
キーーーーッン!!
『あっぶねぇ・・!!』
なんとか刀で鎌をおさえた。しかし、無縁精霊の力の方が数段上だった。
鎌はソウルの顔めがけて少しづつちかづいてきた。
『うぉらぁ!』
ソウルは足で思いっきり無縁精霊の器である熊のヌイグルミを蹴った。
無縁精霊は一瞬宙に浮いた。ソウルはそこを見逃さなかった。
『せいっ!』
熊のヌイグルミの腹を刀で突いた。器を攻撃すれば無縁精霊にダメージをあたえられるのでこれは致命傷だった。鎌は一瞬光ったあと消えた・・。
『はぁはぁ、死ぬかと思った…。』
ソウルは合体を解いた。
『あんなことを言うから無縁精霊がくるんだよ!』
クロムが怒り気味に言った。
『そんなの関係ないだろ!』
ソウルも怒り気味に言った。
…ぐわぁ…
村のほうから人の声が聞こえた。
『今の何?』
クロムがびっくりしながら聞いた。
『とにかく行こう!』
2人は村に向かって走っていった。
村に着くと村の人たちが全員死んでいた。
『一体何があったんだよ・・!?』
ソウルが震える声で言った。ふと、クロムが気付いた。
『父さんたちは?!』
2人の頭に嫌な予感がよぎった。
『行くぞ!』
2人は全力で家に向かった。
『はぁはぁ・・。父さん!母さん!』
家のドアを開けるとそこには血だらけで倒れている母ノイルと護身獣のミントがいた。
『う!うぉぇ!』
ソウルはたまらず吐いてしまった。
『い、一体誰が・・?!』
クロムがぴくっと反応した。そして、すぐに近くの森に走ってった。ソウルも追うようにクロムを追いかける。
クロムが止まった。ソウルも追いつき、目をこらして森の中を見た。
森の中には父ダイボがいた。
『父さ・・』
ソウルが呼ぼうとした瞬間。
ズバッ
ダイボの体から血が吹き出た。思わずソウルが
『父さーーーん!!』
と、叫けびながら走っていった。クロムも走っていった。
父の横にはソウルと同い年ぐらいの少年が立っていた。
『よくも、父さんを…!』
ソウルはクロムと合体しようとした。その瞬間。
ズバッズバッ
ソウルとクロムの体から血が吹き出した。

3、 
弱いから守れないのか?弱いからこそ守れるのか?

吹き上がる血の中ソウルとクロムは意識を失った・・。
そんなソウルとクロムを無表情で見つめる少年。
はっと少年が息をのんだ。
(こいつは・・。)
ちょっと考えたあと少年は合体を解いた。
少年の護身精霊はクロムを見てにやついた。
「こいつぁ・・俺と同じ奴だ・・」
なんとも低い声で少年の護身精霊が言った。
少年の無表情が嬉しそうな顔になった。
「帰るぞ…」
少年が護身精霊に言った。
「え?いいの?こいつ持って帰んなくて?時間のおっちゃん喜ぶよ」
少年は険しい顔で答えた。
「あんな奴なんて関係ない。俺は強い奴と戦えればそれでいい。」
少年が言うと護身精霊はまたにやついた。
「なるほど…。」
「わかったら帰るぞ・・。」
少年はそのまま東の方に歩いて行った。

(…・。ここは…?俺死んだんじゃないの・・?はっ!父さんと母さんは!?痛っ!!)
ソウルが目を覚ました。隣にはクロムが寝ていた。
(ここは…。俺ん家?何故?そうだ!父さんと母さんが!!)
ソウルはすぐに立ち上がり母が倒れていた所に向かった。
「母さん!!」
しかし、そこに母の姿はなかった・・。残っているのは血だけ・・。
「うっ!!」
ソウルはたまらず吐いてしまった。
「そんな…本当に…?」
その時お香の匂いがかすかにした。
(何だろう…?)
ソウルはふらふらしながらお香の匂いをたどった。
村はそこらじゅう血だらけだったけれど死体は一つもない。
二分ぐらい歩いただろうか、広場に着いた。
ソウルは辺りを見回すと一人の大人の人と護身精霊が見えた。
(…・)
ソウルはもう声も出す力もなかった。
どうやら男の人は死体を土葬しているようだ。
そして、お香と花をそえ手を合わしている。
「っん?」
男の人が放心状態のソウルに気付いた。
ソウルもそれに気付き力を振り絞って声を出した。
「あんた…誰…・?」
今にも倒れそうなソウルに近づきながら男の人が答えた。
「私はヤシイ。一応医者だ。」
ソウルの横まで来るとヤシイはソウルに水を渡した。
ソウルはその水をごくっと飲むと不思議に落ち着いた。
「みんなは…?」
ソウルはこの現実を認めたくなかった。
「この村ではお前とお前の護身精霊しか生き残らなかった。」
ヤシイはストレートに言った。
「そう・・なんだ・・」
ソウルの目から涙が自然と出てきた。
「お前の名前は?」
ヤシイがソウルに聞いた。
「ソウル…」
ソウルが答えた。
「ソウル、お前はここに居ちゃいけない。また奴が襲ってくるかもしれない。」
ヤシイの言葉にソウルが敏感に反応した。
「なんかヤシイさん・・ここの村を襲った奴のこと知ってる感じですね・・。」
ヤシイの顔がぴくっと動いた。
「ああ・・。よく知っている。」
ソウルの顔が怒りに満ちた。
「誰なんですか!?あいつは!?なんで、こんな事を!!」
ヤシイはソウルをなだめるような口調で答えた。
「今は、知らないほうがいい。」
ソウルはまだ怒っていた。
「なぜ!?」
「知れば、生きる希望を失うからだ。」
ソウルはびくっとした。
顔がだんだん悲しげな顔になった。
「いいか、よく聞け。奴とお前は同じなんだ。」
ソウルの顔がまたもや厳しくなった。
「どういう意味だ!!」
口調もかなり厳しい。
ヤシイはとても落ち着いていた口調で話した。
「それは、お前がこれから自分で見つけないと事なんだ。俺からでは荷が重過ぎる。」
ソウルはヤシイからもらった水をまた一口飲み質問した。
「“それは、お前がこれから自分で見つけないと事なんだ”?旅でもしろって言うんですか!?」
「ああ、そうだ。ここにいつまでもいたら他の奴らが君を狙って来る。」
ヤシイは言った。
「他の奴ら?」
ソウルは疑問に思いながら聞いた。
「そう、ここを襲った奴はある組織に入っていてな。俺の推測だと奴は君と君の護身精霊を見て
自分と同じだと気付いたんだろうな。奴はなぜ組織に入ったかというと強い奴と戦けえるという事
だけで入った奴だ。つまり、君と君の護身精霊を野放しにしとけば強くなると考えていると
俺は思う。」
「ヤシイさん・・、他の奴らが来るとか言ってましたよね?あの黒い奴が俺を襲う理由はわかりましたが
なぜ、他の奴らまで俺を襲おうとするんですか?」
ヤシイの顔がちょっと暗くなった。
「それは、これからの旅でわかる。」
ヤシイの顔が厳しくなったのをソウルは見逃さなかった。
「俺たちはどこに行けばいいんですか?」
ソウルの顔も厳しくなった。
「まず、ここから西の方角にある神々渓谷に居るあやしいおじさんが居る。
その人に“頭上高くそびえる雲”と言えば後はどうにかなる。一応地図も渡しておく。」
ヤシイから地図を受け取ったソウルの手は震えていた。
無理もない。こんな状況にたたされては普通にいられるほうがおかしいくらいだ。
「なるべく、早くここから出た方がいい。」
「分かりました・・。すぐに準備して行きます・・。ヤシイさんはこの後どうするんですか?」
「俺は、やることがあるんでお前とま反対の方角に進む。また会うことを願う。」
ヤシイがそういうと、護身精霊の方に歩いてった。
(父さんと母さんの仇を絶対とってやる!!)
地図を握る手に力が入った…。

4、
力を手に入れて何を望む?

ガサッゴソッ。
部屋中を物色してるのはソウルだ。
「これは持ってった方がいいかなぁ・・?」
面倒くさがりやのソウルが慎重に荷造りしている。
それもそうだ。今から命を張った旅に出るのだから誰だって慎重になる。
「腐りにくい食べ物はやっぱたくさん持ってった方がいいよなぁ・・。」
そこら中を荒らす音にクロムが目を覚ました。
「…っ!!あいつは!?」
いきなり、クロムが大声を出した。
ソウルはそんなクロムを見てちょっと哀しくなった。
「あいつなら、どっか行ったよ・・。」
ソウルの返答にクロムは納得していないようだ。
しかし、ソウルはそんなクロムを見向きもせず、せっせと荷造りをしている。
そんなソウルを見てクロムが疑問を言い放った。
「一体何があったんだよ!!」
ソウルは一度荷造りをやめ真剣な顔でクロムを見つめた。
「いいか・・よく聞けよ・・。」
ソウルはなるべく簡潔に今までの出来事をクロムに話した。
「本当なの?それ?」
「本当だよ・・。」
ソウルが荷造りしながら答えた。
「神々渓谷にいる老人に会って何をするんだろう?」
「さぁな・・。」
シーンっと部屋の空気が重たくなる。
そんな空気を突き刺すように大きな音がなった。
ズドーーーーーンっ!!
あまりに大きな音に一瞬家が揺れた。
「何だ?!」
クロムは慌てながら言った。
「外だ!」
ソウルは急いで外に出た。
クロムも後を追いかける。
ドアを蹴るように開け外に出た二人にすさまじい光景が広がった。
なんと、一人の女の子が無縁精霊の大群をひるむことなく殺しているではないか。
15、20はいるだろうか無縁精霊を少女はあっという間に殺した。
「あー、おもしろかった♪」
少女は満足気な顔で笑っている。
すると、ソウルとクロムの方に顔を向けた。
「うあー!その護身精霊かわいいー♪」
ソウルが話す間もなく少女はクロムに飛びつく。
「君一体どうしたの?あんなに無縁精霊に囲まれて」
ソウルがクロムをなでなでする少女にちょっと怯えながら聞いた。
「えーとね、色が白い護身精霊を探し歩いてたらいきなり囲まれたの。」
ソウルとクロムがびくっとした。
(白い護身精霊?それってクロムじゃない?)
ソウルはそう思った。幸い少女はクロムのまん前にいるのにも関わらず
気付いてない様子だ。
「そういえば君には護身精霊がいないの?戦ってるときも護身精霊が見えなかったけど。」
ソウルは話題を出すことによりこの場をしのぐ作戦に出た。
「えー?護身精霊ならちゃんといるよ?」
しかし、護身精霊など見当たらない。
クロムは現在進行形でなでなでされている。
「ねぇー君たち見なかった?白い護身精霊。」
ソウルとクロムがまたびくっとした。
「あ、そういえばここから南の方にそんなのが居るって聞いたよ。」
ソウルが嘘わついた。
「え!?そうなの!?ありがとー♪」
どうやら完璧に信じたようだ。すると少女はクロムをなでなでするのをやめ
南の方角に走っていった。
「じゃーねー♪」
「ばいばーい・・。」
少女が見えなくなった。2人は大きく息を吐いた。
「普通気付くよね?」
クロムが震える声で聞いた。
「結果オーライ。でも、これで分かったことがあるな。」
「何?」
クロムが聞く。
「奴らの狙いはクロムみたいだ・・。」
クロムがはっと気付いた。
「そういえば、そうだよね。…どうしよう…?」
「とにかく神々渓谷にいくぞ。ここに長居はできないからな。」
ソウルとクロムは家に向かって走っていった。
テキパキと荷造りを済まし家を出た2人。
「で、どうやって行くの?」
クロムがソウルに言った。
「歩くしかないだろ…。」
2人はどうしてこんな事になってしまったんだろうと深いため息をついた。
「仕方ない・・いくぞ!」
2人は力強く大地を踏んで歩いた。
歩く事一時間、2人はなんと樹海に迷い込んでしまった。
「なんで地図持ってんのに迷うんだよ!」
クロムがソウルに怒りをぶつける。
「仕方ねーだろ!」
森の中にワーギャーと2人の声が空しく響く。
「どーすんだよ!樹海っつたら一度入ったら出られないんだろ!!」
クロムは本当に怒っている。
その時、
グルルルッ
一瞬にして、2人の声がなくなる。
2人は恐る恐る後ろを見た。
大木の後ろからのそりのそりとこちらに向かっているのはウッドドラゴという中型で緑色をしているドラゴンだ。この世界には精霊と人間以外にこういう動物(?)がいる。
「ギャーーーーーッ!!」
2人はいつかの様にびびった。
グオーーーーーッ!!
ウッドドラゴがおおきく吼えた。
「戦うぞクロム!」
もうそれしか手段がないとわかったソウルはクロムと合体して戦うことにした。
どうやら、ウッドドラゴは縄張りを荒らされたことに怒っているようだ。
ウッドドラゴはスピードこそは遅いもののパワーがものすごく生身の人間なら
棒のように折ることができる。しかも草木を自在に操る事もできる。
「うおおーーー!!」
クロムと合体したソウルがウッドドラゴに斬りにかかった。
グワーーーーーオ!!
ウッドドラゴが吼えると辺りの草木がソウルに向かって襲い掛かってきた。
「ぬをっ!?」
ギリギリでかわしまくるソウル。
グオオオオオッ!!
ウッドドラゴが宙に浮いてるソウルめがけてその巨体でタックルしてきた。
ズドンズドンズドンッ!!
「くそっ!」
ソウルはウッドドラゴの方に目が一瞬いってしまった。
シュルシュル
草木がソウルの手足をがっしり掴んだ。
(やばい!)
ボコーーーンッ!!!
ウッドドラゴの巨体がもろにソウルに当たった。
ズゴッ!バギバギッドーーンッ!!
ソウルは10mほども吹っ飛ばされた。
グウオオオーーーッ!!
ウッドドラゴの顔から血が噴き出した。
「ふぅーーっ本当ぎりぎりだった。」
ソウルが立ち上がった。どうやらソウルはぶつかる寸前に自分を縛っていた草木を
斬ってタックルして来たウッドドラゴの顔を斬りつけながらぎりぎりまでよけていたようだ。しかし、そんなことでウッドドラゴのタックルから生還などできるはずがない。
クロムが鎧になっていたのがソウルの命を救ったようだ。
ウッドドラゴはその場に倒れこんだ。
それを見てソウルは合体を解いた。
「本当危なかったー…。」
ホッと一息ついてるソウルにクロムは
「そんなことよりこの樹海からどう出るんだよ!!」
思えばそうである。樹海にはまだまだたくさんの生物がいる。
またいつ襲われるても不思議ではない。
「うー・・ん。」
ソウルは深く考えた。その時
「お主ら・・。」
かなり低く大きい声が聞こえた。
2人は顔を見合わせ声のするほうに顔を向けた。
するとそこにはさっき顔を斬りつけて倒したと思ったウッドドラゴが立っていた。
しかも傷がない。しかも喋っている。
「お主ら…。」
しかし、ウッドドラゴからは敵意は感じない。まるでストレスゼロだ。おまけに傷もゼロだ。
「はい!何でしょうか!?」
ソウルがびびりながら聞いた。
「この樹海から出たいのか?」
ウッドドラゴの声がなんだか優しい。
「うん・・。そうなんだ。」
クロムは友達の様に話しかけた。
「出口まで連れてってやろう・・。背中に乗れ…。」
2人は顔見合わせ不思議そうにウッドドラゴを見た。
「何・・。もう襲わん…。」
クロムは全然びびる様子もなくウッドドラゴの背中に乗った。
ソウルはちょっとためらいながらも背中に乗った。
ドシンドシン
2人を乗せたウッドドラゴは歩き始めた。
「なんで助けてくれるの?」
クロムがウッドドラゴに聞いた。
「お主らは光の救世主だからな…。」
「??何それ?」
「お主ら自分の存在も知らんのか?」
ウッドドラゴが呆れた感じに聞いた。
「知らないっていうか、なぁ?」
「うん。光の救世主って何?」
クロムがウッドドラゴに聞いた。
「光の救世主とはな…」
ヒュンッ
何かとんでもなく早いものが通った感じがした。
ズドンッ
ウッドドラゴがいきなり倒れた。
「どうしたの!?」
しかし、ウッドドラゴはもう死んでいた。
お腹には小さな針のようなものが突き刺さっている。
「あーあ、外しちゃった♪」
樹海の奥から声がした。声の方に目をやるとそこには村で会った少女が立っていた。
「びっくりしたよー、まさかあの時のかわいい子が光だっただなんて♪」
その無垢な顔から殺意が溢れていた。
「嘘なんか言っちゃって・・殺してやる…」
少女の顔が鬼のような顔になった。
(こいつ・・やばい!!)
そう思ったソウルはクロムに
「に、逃げるぞ!!」
と、大声で言った。
ヒュンッ
ソウルは何かが飛んでくるのがわかった。
顔の横を何かが通過した。
飛んできたものは後ろにあった大木に突き刺さった。
「!!?」
すると、みるみる大木は腐食していった。
「死亡率100%の毒針だよ♪」
沈黙の中少女は悪魔になった・・。
2005/03/11(Fri)23:32:35 公開 / 洋介
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初作品です。かなり長くなりそーだけど
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