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『ヴェイエーチルの丘』 作者:琥狼 / 未分類 未分類
全角5957文字
容量11914 bytes
原稿用紙約17.85枚


第一話
 

生き物は全て生態系と言うピラミッドに、当てはめられている。バッタはカエルにカエルはモズにモズは鷹に……その一番上に立っているのが人間。
その構図は何億年経とうとも変わる事がない。そう思い込み、延々とヒトという個体を増やし始め、五千万年と言う時を刻んだだけで高等な生き物であると思い込み、自らの意識内での地位を高める事で自身の欲求を満たす事で悦楽を覚えている。
だが、自然の摂理は逆らえない……数が増えれば食えば良い。そして数を調整する。
生態系ピラミッドが崩れるのであれば整えろ。さらに上を作ればいい。人間を上回る知識はなくても同等の知能を持つ者は居るだろう? そう……『ニンゲン』と言う者が。
コレを理不尽と言うならば、自らで自らを破壊しろ。それが自然の摂理なら。

『身体を動かすことなく、世界中の情報を知る事ができ、姿を知られる事なく意見を述べる事が出来る機械を使う事により、孤独から逃げる術を得る事が出来たら……それが数十年前の抱いていた夢だった。今では、その行為が当たり前の用に行われ、孤独から逃げる為の機械ではなく、孤独を求める為の機械となり……』
「コレが論文? 一昔前の考え方よ。単位取らないと私が怒られんだからね。茶出して」
「ウルサイなぁ。中学中退で文学なんてモノ、知らないんだから仕方ないだろ」
 カーテンで覆われた6畳ほどのアパートの部屋で後髪を結んでいる男が丸机に頬を押し付け、横に座って半分ほどしか書かれていない原稿用紙を不機嫌そうに読んでいる学校の制服を着た茶髪の女の前に、茶の入ったペットボトルを差し出す。
 男の手から強引にそれを奪い取ると、女は持っていた原稿用紙を男の顔に投げつけ、蓋を空けて茶を飲み干した。
「その中退男を親の金で大学に入れてやったのは、誰だか言ってみ!」
「頼んでないんすけど〜? っていうか、さり気に問題発言だよ。神坂(コウザカ)さん」
 ようは裏口入学。まぁ、金さえあれば世渡りできる時代なのだから仕方ないだろう。
 男は原稿用紙を受け取ると、机の上にあるスルメに手を出したが、神坂と呼ばれる女性の手が先に伸び横取りされた。
「うるさい。アンタは最初の一ヶ月以外は遅刻、無断欠席、無断早退。お酒ある?」
 神坂は男が答える前に立ち上がり、小さな冷蔵庫をあけた。
 缶ビールが6本に瓶に入った梅酒と冷蔵庫の上に日本酒が置かれているだけで、まともな食料が見当たらない。あるといえば、段ボール箱に積んであるインスタント食品の数々。
 コレだけの食料で生活しているのであれば、いつ栄養失調で倒れても不思議ではない。
 神坂は缶ビールを2本と段ボール箱からカップ麺を取り出すと、皿やコップが転がっている棚から古いやかんを取り出し、湯を沸かし始めた。
「そのカップ麺は待ってくれ。29個になっちまうと、一日分足りないんだ」
 まるで聞こえていないかのように、神坂は持って来た卵をカップ麺に乗せ、水が沸騰するのを水垢ひとつ無い綺麗なキッチンの前で待っている。
 勿論、汚れがないのは掃除をしているからではない。インスタントばかりのため、洗う食器が無いからである。つまり、自然に優しく人体には悪影響な生活を送っている訳だ。
「アンタ。野菜とか摂取してないの? 普通死んでるわよ」
「ちゃんと食べてるよ! 週に一回、人参と大根とタンポポ」
「火は通してるの? あと、雑草は食べるな」
 神坂の言葉に男は沈黙しながら、湯気を吐き出しているやかんを涙目で見た。
「じゃあ、光熱費はどうすれば良いんだよ! もう崖っぷち寸前だよ」
 むしろ落ちてる途中だと思う。
そう思いながらも、神坂は無言で沸騰した湯をカップ麺に流し込み、蓋を閉めて上に箸を置き、手元にあった砂時計をひっくり返して男の横に座った。
耳元にはラジオが置かれており国内のニュース常時、伝えられる。
婦女暴行事件や連続強盗、殺人事件なども一日で何万件も起き一般人にとっても、それが日常として見ているのだから、怖いものだ。
「あ〜つまんない……何でこんな軽犯罪ばっかなのかなぁ」
 世間一般では強盗でも重犯罪レベルなのだが、彼にとっては他人が金を幾ら盗られようが自分以外の者が一人死んでも十人死んでも、関係ないのだろう。
少なくとも、この部屋に住んでる限り、金目の物を盗られる事も無い。
「最近、固有バンクを狙った強盗が多発してるみたいだけど」
 神坂は、男に疑いの視線を向けながら、落ちきった砂時計を元の場所に戻して、カップ麺の蓋と缶ビールのプルトップを開ける。
 男は首を横に振り、机に残されているスルメの端を食べた。
 固有バンクは、個人運営で行われている銀行で充分なセキュリティーがある為、ベテランの強盗犯でも絶対に手を出す事は無いのである。
「違うよ、滅多に人ごみには入らねぇし」
「もしかして、引き篭もり? 社会の波についていけなくなって……」
「交友関係は充実してるし、波にもついて行けるっての!」
 神坂はビールに口を付けると、未だに机に頬を付けたまま叫んでいる男を睨んだ。
 なら、何故こんなトコでインスタント食品を食いながら一人で生き長らえているのだろうか。今もこうやって、神坂が生死を確認しに来ているだけである。
「それじゃあ、ちゃんとした職に就きなさいよ。アンタ学生として生きていけないから」
「一応、就いてるよ。個人的だから収入無いだけ」
 神坂はカップ麺に向かわせた箸を止め、男の頭を片手で掴み思いっきり机に打ち付けた。
 男の頭はミシミシという音を立て、机の上で小刻みに震えながら、動けなくなっている。
 ソレに気付き、神坂が頭から手を離して舌を出して笑いながら謝るが、男は涙目になりながら神坂を睨みつけている。
「あ〜ごめんごめん。でも、あんな危ない仕事はすぐ辞めなさいっての」
「酷いな。最近じゃ誰でも銃くらい持ってるよ」
 犯罪国家と呼ばれた日本で平和主義が通るわけが無い。
 ほとんどの者は拳銃を持ち防弾対策を取る。そして少数だが、平和主義と書かれた布を掲げながら街中を歩き、運が悪ければ射殺され警察へ駆け込む。
 そんな時代に生まれてきたのは、運が無かったと認めるしかないであろう。
 人の命が無くなっても、何とも思わない彼にとっては、どうでも良い事かもしれない。
「『大衆と同じように同じ事をする』一番嫌いな言葉じゃなかったの?」
「そうだよ。でも、この仕事は必要だし。アイツ等みたいに気が狂って、無差別に殺したりはしないよ。まぁ学校でオレは化物呼ばわりだったけど、殴られるだけで済んだし」
 暗くてよく見えないが、男の身体には確認できるだけでも、十数ヶ所にアザがある。
 神坂は深く息をつき、男の腕を抱えるようにして掴んだ。打身の他に、幾つもの切り傷や火傷まであり、学校での待遇が手に取る様に分かる。そして鞄の中から包帯や消毒剤を取り出して、手馴れた様子で男の手当をしていく。
 男は最初の内は嫌がっていたが、観念したのか無言で手当を受けている。
「この世に化物なんていないわ。人間が作り出した空想か幻想か……」
「北欧神話のファブニールは、財宝を手にするため家族を殺し、自らの姿を竜へと変え、最後は呆気なく殺された。人なんてのは欲で自分を化物に出来るんだよ」
 男はそう言うと神坂の手を振り解き、部屋を覆っていたカーテンを開ると、外に見える高層ビルやマンションの隙間から大陽の光が部屋に差込み、薄暗かった部屋が一気に明るみ、部屋中に舞っている埃が光を反射している。
 男は長い髪を結っていた紐を解き、神坂の方を向き微笑んだ。
「それも一昔の考えよ。今は不欲が化物を作る。子供の頃に厳しい教育受けたり、親から虐待されたり。そういう奴が腹いせに人を殺すの」
 それを聞いた男は困りながらも、笑顔を崩さずに頭を掻いている。
「どうかな。今の連中は目上に良いように使われて、自分が正義だと思ってる」
「そうやって、自分の価値を落とそうとしてる……じゃ、私帰るね」
 神坂が食べ終わったカップ麺と空き缶を机に置くと、鞄を肩に掛け玄関へと向かった。
 ラジオから緊急速報が流れ、いつもの様にノイズ音が部屋に響いている。
 ニュースの内容が気になったのか、神坂は再び机に駆け寄って、ラジオに耳を傾けるが周期的にノイズが聞こえる為、なかなか内容が把握できない。
 神坂は痺れを切らして、鞄の中から小型液晶テレビを取り出すと、ニュースチャンネルに合わせ、男に見えるように机に置く。
 男は面白そうに神坂の傍で立ったまま、小さな画面を覗き込んだ。
『午後4時半頃。20代の女性の遺体が鬼風町のD地区の…コ……ニ……で……かりま……人は逃走……遺体は上半……だけ……固有バンク2931の二千万円も盗まれました』
 途中だけ、テレビが何かに遮られるかのように、画面が歪みノイズが所々に入っている。
 神坂は血相を変えて立ち上がり、男のシャツを引っ張り顔を見るが、男も深刻そうな顔をしながら机に置かれている液晶テレビを見ていた。
「固有バンク2931って、私が親から盗んだ金入ってるんですけど」
 神坂は緊急速報が繰り返される液晶テレビの電源を切り、鞄に入れた。
「D地区は俺の縄張り(テリトリー)なんだよ。最近、音沙汰がないと思ったら! あ、犯人捕まえたら、200万は頂戴ね」
 この男の頭は、金のことしか考えていないのだろうか。
男は、床に落ちていたニット帽を手にすると玄関に行き、置いてあった靴箱を神坂に投げ渡すと、靴棚から拳銃と銃弾を取り出して玄関のドアを開け、9階の鉄格子にもたれ掛かって、ホルダーに銃弾を篭め始めた。
「俺が帰ってくるまで、絶対に外に出ないで。何かあったらソレ使って」
 靴箱を開けると、中には護身用の拳銃と30発の銃弾、そして説明書が入っていた。
 護身用に拳銃を持ち歩く者は少なくないが、大抵は外側だけで中身を入れる事は無いし、服を着込んで、雑誌を入れるだけでも、充分に身を守るための防弾チョッキとなる
 だが彼の場合は護身用の銃と、ライフルなどの規制が敷かれている銃器も持っているのだから、人を殺すことなど容易に出来るし、身を守る事も簡単である。
 しかし、これだけ持っているのなら売って金にすればいいと思うのだが。
 神坂は慌てて、玄関に放っていた靴を履き始めたが、男は鉄格子の上にバランスよく立ち、神坂を待っている。
「待って私も行く。そっち方が私も安全だし」
「どうぞ、ご自由に。でも、迷わないようにしてよね」
「D地区の地図は把握してるから大丈夫」
 玄関から出て来た神坂が、中身の無い護身用の拳銃を男に向け、微笑んだ。
 男の足が鉄格子から離れ、9階からコンクリートの道路に向かい、体が落ちていく。
「落下速度80キロ……最大速度まで6秒」
 アパートの2階辺りに差し掛かったとき、男は仰向けの状態になり、空気抵抗を受け易い状態を作ったが、このスピードで落ちれば間違いなく、即死であろう。
 神坂は身を乗り出して、男が落ちたであろう地点を見下ろすが、男は涼しい顔をして神坂に向かって手を振り、無事を知らせている。
「アイツは階段って言う、人間の知を知らないのかしらね」
 男は、呟きながら外側の螺旋階段をゆっくり下りてくる神坂を確認すると、到着を待たずに商店街が立ち並ぶD地区へと、時計を見ながら走り出した。
 4時50分。少し時間が経っているが、完全に逃げれる時間では無い。
「さて、隠蔽(いんぺい)は神坂に任せて、強盗狩りといきますか」
 電話ボックスに入り、男は無色のカードを取り込み口に入れ、受話器を上げた。
 高い声が受話器越しに聞こえる。
『D地区の3…4……6通りに足跡確認。ルートの予想は、8通りを通る予想』
 男は電話ボックスのドアを開けて、手にしていたニット帽を深々と被ると、人の流れとは反対の方向へと歩き始めた。
 西の空が赤色になり、少し遠くに見える高層ビルの窓ガラスが鮮やかに色付いている。
「夕暮れ時。調整者は笑い、目を見せぬまま捕食する」
 人が次々に減っていく商店街に、不気味に響き渡る男の足音。
 右手には護身用の拳銃が握られているが、都会に居る8割の人が持っているのだから、こんな見た目が弱そうな男なら持っていても、不思議ではないのだろう。
 店仕舞をしている白髪混じりの中年の男性が、こちらに向かい笑顔を浮かべている。
 商店街を抜けると広い空き地に出て、中心にはゴミ置き場がある。
「こうやって、追い込まれるとウサギの気持ちにならない?」
 黒いゴミ袋の隙間で震えながらサバイバルナイフを握っている男が居る。
 その男の目は正気ではなく、焦点が合っていない様に思える。髪も乱れており、全体的に白髪が目立っているが、おそらく年は25〜6であろう。
「知ってるぞ。数日前から俺の事見てただろ?」
 声質はしっかりしているが、話している間も右目と左目は別々の方向を向いている。
 震えている男は、ズボンのポケットからスタンガンを取り出すと、奇声をあげて飛び掛かると同時に左手に持っていたサバイバルナイフを首筋に当てた。
「数年前だよ。実が甘く熟すのを待っててね。君は今日で50人殺した」
「アイツ等のイカレた頭を治してたんだ。もう、俺のことをバカなんて言う奴は居ないんだ。アイツ等に生きてる価値なんてない。子供を平気で殺そうとする親なんて……」
 震えている男の左手が振り下ろされ、肩に突き刺さった。
 だが、ニット帽を被っている為か、しっかりと表情が分からないが、男の口元を見ると笑っているようである。
「オレの名は強盗狩り兼『間引き屋』新堂彰(シンドウ アキラ)覚えときなよ」
 ニット帽を被った男……彰は男の腕を掴んで、拳銃を男の左腕に付けた。
「俺を殺したら、殺人になるぜ? 50人の命と俺の命を天秤に乗せて」
「間引き屋ってのは、人を殺すのが仕事なんだよ。増えすぎないように、最小限に押とどめる為にね。ほら、お前殺したら51人間引きしたことになるだろ。だから」
 男が怯んでナイフを抜いた瞬間、彰は持っていた拳銃のトリガーを引いた。
 商店街に響き渡る悲鳴。男の左腕は肩から捥ぎ取られたように、ゴミの上に落ちて骨や関節の一部が肩から垂れ下がっている。
 悪夢のような光景に、男は二度目の悲鳴を上げ、その場に倒れこんだ。
「やめてくれぇ……死にたくない。俺だって生きる権利があるんだよぉ……」
「自分の権利を主張したいなら、他人の人権を尊ぶんだな」
 商店街に響いた二回目の銃声。時計は5時30分を指していた。
 
 
NEXT...
 
 
 
2004/07/23(Fri)18:56:16 公開 / 琥狼
■この作品の著作権は琥狼さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ

どうも、琥狼です。新連載となりますが、メインは『Risky』なので気まぐれ連載と成ってしまいます。
ネタが浮かんだら書きますし、浮かばなかったらネタが浮かぶまで違う小説書いてます。

この小説のジャンルは……一応、近未来?系の何かです。とても分かり難いですが、表現の仕方がわかりません。
ちなみに本編に出てくる町名は実際には無いと思います。多分
あと神坂の下の名前は藍(アイ)です。本編に出せなかったので一応。

アドバイスでも辛口でも宜しいので、感想を頂ければとても嬉しいです。
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この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
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