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『++Death fight++ 第1話〜第5話』 作者:哀葉 / 未分類 未分類
全角15000文字
容量30000 bytes
原稿用紙約73.5枚






第1話…異

夏休み 昼…―
軽いスキップをしながら1人の高校生らしき制服を着た男が活気付いた商店街を歩いていた。
彼の名は原田優(はらだゆう)。高校二年生で髪を染めピアスをしていた。とにかく見た目が派手。
「〜♪」
鼻歌も微かに聞こえる。でもその音も周りの様々な音で誰も耳にはしなかった。
そして、男は軽いスキップをしたまま『私立 松桜学園』と書かれた校門に入って行った。
男はそのまま『剣道部』と書かれた部室にさっきと同じ速さで行った。そしてドアノブに手を掛け、ドアを開けた。
「おーいお前ら、インターハイ出場決まったぞ。おっめでと〜!」
男は大声で叫んだ。部室の中には人が少々居た。
「優………ウザいからさ。それに皆それくらい知ってる」
隅っこにあるパイプ椅子に座った男が言った。
彼の名は有村涙(ありむらるい)。落ち着いた顔つきで髪の色は真っ黒。夢の無さそうな目つきをしていた。そしてずっと真顔のまま。高校二年生。
「優君、やりましたね。それも皆あなたのお陰です」
部室の掃除をせっせとやっている男。
彼の名は中乃涼(なかのりょう)。眼鏡を掛け、表情が優しそうだ。真面目な感じの雰囲気。高校二年生。
「いや〜、そっかなぁ?あはは〜!」
優がケタケタ笑いながら照れていた。
「調子に乗るな」
涙は優の頭を平手で軽く叩いた。
「何するんだよ〜?」
優が軽く涙を睨んだ。
「ま…優、お前は運が良かっただけだ。理解してるのか?相手が弱かっただけの事だ」
涙が優の前の言動を軽く流し話題を変えた。
「うわ〜、シカトかよ」
「そうですね。でもここの学校の剣道部は部員が三人だけしか居ないのに、良くもここまで来たって感じですよね」
涼が又もや優の言動を流した。
「……………―」
優がいじけたらしくソッポを向いた。
そして涙と涼が剣道について語っていた。
「そーさ、どうせ俺なんかこんな価値の奴さ…」
優がソッポを向いたままブツブツと呟くが二人がそちらを向く気配も無い。
「ケッ…」








五時間近く時間が経ったらしく、三人はいい加減家へ帰る事にした。
「明日は×××市の××でインターハイあるんで、八時に遅れないように来て下さいね。特に優君あなた厳重注意」
涼がまたもや笑顔で二人に爽やかに言った。








…―翌朝
「遅れるー!ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!」
優が涼の予想通り寝坊していつも通り活気付いた商店街の中歩いている。
商店街を出て、いつもと違う道を全力疾走した。
「オラオラオラオラオラ!」
わけの分からない叫び声を上げひたすら優は走る。
時計を見てみた。時間は7時55分。
優は少し頷きまたスピードを速め走った。
すると、ドーム型の体育館が見えてきた。
「よしっ!アレか?」
確かに体育館入り口付近には『剣道高校全国大会』とか書いた看板があった。
「よっしゃー、突っ走るぜー!」
優は誰もいない静まり返った入り口を突っき抜けてスピードを緩めずひたすら走る。



               バターン



本会場へ優は勢い良く入った。
「遅れてすみません!」
そして優は頭を深く下げた。
―…
30秒過ぎても誰からも反応が無い。
優がおかしく思いゆっくりと頭を上げた。
「………は?」
優が目を丸くして驚いた。
無理も無い。だってそこには…





誰も居なかったのだから―




「ちょっと………?は………?何々?涼!涙!居ないのか?返事しろよ」
優が叫んだが帰ってくるのはコダマした自分の声だけ。
「時間、間違えたかな…?でも、さっきの看板には確か八時に始まるっぽい事が書いてたような」
優は二人の携帯に電話したが留守電になっていた。自宅にも電話したがどちら共親が出て、結局二人とも居なかった。
しかも優は不信に思った。二人の親はどちら共、『うちの息子は大会に行った』と言っていた。
どう考えても不自然過ぎた。意味が分からない。だって、一人くらいここに学生が居ていい筈なのに。
「…………」
さすがの優も驚きのあまり体が硬直した。



すると、急に変な臭いがしてきた。
この世には無い臭い。初めて嗅ぐ変な臭い。
「次は、何だよ…?」
優はキレ気味に呟いた。
そしてその臭いはだんだん濃度を増していった。
濃度を増すごとに微かに低い声が聞こえた。



  ゲー…ム…ス…ター………ト




「…………っ」







優は、気を失ってしまった。





<つづく>






































++Death fight++
第2話…争




―ゲー…ム…ス…ター………ト





優の頭の中では低い声がいまだ続いていた。
繰り返し頭の底深くから聞こえる、奇妙な言葉。





―ゲー…ム…ス…ター………ト

―ゲーム…スター……ト

―ゲーム…スター…ト

―ゲームスタート




繰り返し聞こえてきていた声がはっきりと大きく優の中では聞こえた。

「…………―?っつー……」
優が目を覚ました。
頭を強く打ったようで右手で打撲した場所を撫でていた。
「…………。んだよ。さっきからさ、誰も居ないし、クセ―しよ……」
優がブツブツ、また愚痴を言い出した。

とりあえず優は落ち着いて辺りを見回してみる事にした。
「……!次は何だよさ?」
優の眉間に皺が寄った。それと同時に少し困った顔をした。
「…んで、次はジャングルなワケ?あ?」
そう。優の辺り一面緑、緑で覆い尽くされていた。言うまでも無い。ジャングルだった。
「俺、どっか変なとこでも打ったか?」
それと同時にフッと苦笑した。
そしてまたブツブツと愚痴を言い始めた。



「涼!涙!何処に居る?返事しろよ、分かってるんだよ!お前達が俺のことをハメようとしてるのは!」
優はとりあえず叫んだ。

―叫び続けて早30分。
優はまだ叫んでいた。もうヤケクソだろう、と言わんばかりに叫び続けていた。
すると…―
何処からか透き通るような綺麗な女の声が聞こえてきた。

「”選ばれし者達”よ……―」

優は驚き辺りを見回したが誰も居る気配さえしなかった。
その声は多分、空から聞こえてきていたのだった。

「戦場へようこそ」

「誰だよ?」
優が思わず叫んだ。

「”選ばれし者達”よ…、これで全員揃った」
優の言動を無視し女の声は続く。
「只今から乱闘をしてもらう」

「…………?」

「勝ち残った者は聖地へ。聖地へ行けば王の座に…―」
…………―

「心配はいらない。殺そうが内臓を抉ろうが好きにするが良い。それと、”選ばれし者達”の全ての関係者は汝の記憶を消し去るだろう」

「そして、武器は私の声が消えた瞬間足元へ現れるだろう。ルール制限は無い。私の意図…―
それは、汝の中から一人…強き者を定する」

「…………−」
女の声が消えた。


優はただ呆然と立ち尽くしていた。
足元には長めの剣が置かれていた。
そして、優が少し顔を顰め、その剣を拾った。
その瞬間…―


          

ギャー!…………―




何処から共無く異性の判断のつかない奇妙な鈍い叫び声が聞こえた。
「!」
優が激しく辺りを見回す。
確かにさっきのは人の声が聞こえた。誰も居ない―。
「もしかして……、ここに誰か居る?…………!」
優は行く当ても無くただひたすら走る。走って走って走って走って走って……―。
「誰か居る!」
優が誰か見つけたようで立ち止まった。微かだかそれは男だった。優と歳は一緒くらい。制服を着ていた。
「オイ、もしかして…お前も迷ってるの?」
でも、その男は手に掌サイズの拳銃を持っていた。
それでも、優は恐る恐る話し掛けた。
「…………」
男は気付いたらしく、俯いた顔を優の方へゆっくり向けた。
「お前、王を狙ってるんだろ?」
男はゆっくりと優の方へ歩く。
優は男の全体を眺めた。
「あっ………」
優は目を丸くし、驚いた。
無理も無い。男の制服は血塗れになり、赤一色に染まっていた。
「…………」
優は恐ろしさのあまり声が出て来ない。
男は優のところへ刻々と近づいてくる。
「…………―答えろ」
そして男は優の額に拳銃を突きつけた。
「お前はどっちにしろ死ぬ。俺は王だ。俺が王だ」
男は優の顔をもの凄い目つきで睨んだ。
そしてカチッという音が聞こえた。
「…………っ」
優がもうだめだ、と思った。
瞬間…―


      バンッ!


      ギャッ


拳銃が撃たれる音がした。
そして悲鳴ともならない声がした。

「……」

優が少しずつ目を開けた。
「生きてる…?」
優が外傷が無いか手探りで探した。

「大丈夫だったか?」
さっきの男とは違う、聞きなれた男の声がした。
「あ、涙だ」
優が上目使いで眺めた。
涙は本当に心配した感じで優を見ていた。
涙の手にはやっぱり、さっきより一回り大きい拳銃を持っていた。
「お前も、来たのか……」
「そ……」
優が下に俯いた。
「案ずるな。こいつは一応心臓を撃っておいた。もう動く事も無いだろう」
涙がある一つの木を指さした。

その木の影にはさっきの男がやはり心臓を撃たれ血塗れになり仰向けに倒れていた。
男の”身体”は”身体”と理解できない程、顔だけのこり首から下は例えきれない程グシャグシャになっていた。

「…………―」
優が”それ”を見てただ呆然としていた。
「……、優」
涙が小さく呟きかけた。
「これは命令だ。これから会う全ての者を殺せ」
「は?」
優が驚いた顔つきで涙を見た。
「ここに居る全ての奴がインターハイの出場者及び応援者だ。しかも子供だけ。もう戻れない、と殆どの奴が思ってるだろう。そして頭が狂う。どうせここにずっと残るなら王になろう、と。その気も無い奴も自分の身を守るのでいっぱいいっぱいでヤケクソで俺等を殺そうとする。どっち道、殺されるかもしれないといういう事だ。お前の腕ならその剣で一突きだろう」
涙が冷たい目で語る。
「なぁ」
優が唐突に口を開く。
「何だ」
「涙は人殺しても何も思わない?」
「…………―」
涙は黙りだした。

―…
「方法がそれしか無いなら、しょうがない」
「……、そう…か」
優が溜息を吐く、そして頭が混乱し呆然としていた。


「行くぞ。早く涼を見つけ出して帰ろう」
涙が優に微笑み掛けた。
涙の顔つきを見た優は少しホッ、としたのか、おう、と笑顔で涙の後へ続く。


「ねぇ、涙」
「何だ」
「ここへ来る時変な臭い、した?」
「あぁ、奇妙な臭いだったな」
涙は心にも無い言葉を並べた。


「涼とはいつ逸れた?」
「俺もそれは良く分からないんだ。俺も結構前に来た。お前と一緒で気を失っていて起きたら涼はいなかった。体育館では涼と一緒だったのに、いなかった。そして起きて周りにいたのが体育館にいた他の奴等だ。次に女の声が聞こえて、消えた瞬間…―周りの人間が狂い始めた。殺し合った。俺はこの地を逃げここに至る、と」
涙は、めんどくさそうに語る。
「じゃあ、何で涙は拳銃が使えるの?」
「独学だ。余計な事まで気にしなくていい」


―…
二人は誰も居ないジャングルを無言で歩く。
毒蜘蛛や蛙などが居たが二人に手は出さなかった。


一時間くらい歩いただろうか



      カサ……



何処からか草の掠る音がした。

「涙、今草の動く音が……―」
優が口を開く。
「そうか?俺には聞こえなかったけど。気のせいじゃ無いか?」
涙は一度立ち止まり辺りを見回す。
「何も居ない」
そう言い残してまた歩き出した。
優はその後を追いかけた。

それでこの話題は終わるハズだった。



       ガサッ!



また草が掠る音がした。

「!」
涙が後ろを素早く向き、拳銃を構えた。
「誰か居る。気をつけろ、人間じゃない」
涙の目が急に険しくなった。
「おう……」
優もヘっぴり腰で剣を構えた。



       ガサ…ガサ…



“音”はだんだんと近くなる。



       カサ…カサ…



優の足が震えてきた。



       カサ……―



        …………―


“音”が止まった。


「どうしたんだ」
「?」
二人はその姿勢のまま気を少し抜く。



すると…―



        ガサッ、ガサガサガサッ!



激しい草の掠る音がした。
「!」「!」
二人がその音が鳴った場所に目を向けた。


「ガー!」


獣の声が聞こえたと同時に銃声が聞こえた。



       バンッ!



「ギャーッッッッッ!」




       カタカタカタ



反動で涙の銃が地面へ落ちた。




―…
僅か一瞬の出来事だった。

優は怖かったのかその場で蹲っていた。
「おい…っ!お前、役に立たないな」
涙が優の肩を軽く叩いた。
「あ……、ごめん」
「相当大きな虎だった。撃った」
優が辺りを見回した。涙の言った通り大きな虎の死骸が一匹。
「あ……、ごめん」
「馬鹿かお前は。同じ事を何回も言うな。…………―っ、い…痛ッ」
涙が足首を手で抑えた。
「どうした?」
「捻挫……」
「え?捻挫…!嘘?見して」
涙が足首を見せた。
「………凄い。真っ赤に腫れてる!」
「大きい声出すな……。…っつー、ごめん後拳銃もさっきの反動で何処かへ飛んでいった」
「涙、とにかく少し休もう。誰か着たら俺が守るから」
「うん」


優は近くの沼でハンカチで水を湿らせ涙の足首にそれを当てた。

「ごめん…―」
「いいよ」

そんな会話を二人は続けた。



咲いた〜咲いた〜



何処からか女の人の歌声が聞こえた。
「優」
涙は優の名を呼び顎でその声の場所を指した。



          チューリップの花が〜



          な〜らんだ〜、な〜らんだ〜



          紅…―



歌が止まった。



そして―
木の影から制服を着た女子高生らしき女が出てきた。
手には…短刀を手にしていた。



その女と優の目が合った。



「七人目」



女は二ヤッ、と笑い、





ゆっくり、ゆっくりと……―













優の元へ―――



<つづく>









































++Death fight++
第3話…色





女は奇妙な笑みを浮かべ優へゆっくりと近づく。

優は硬直して動けない。涙も珍しく動けない。
とにかくオーラが凄かった。
今までジャングル内では鳥の鳴き声、草が風で掠る音がその女の歌声で一気に静まり返ってしまった。
つまり…―



        音が無い



「涙、あいつ誰?」
優は微かな声で涙に訊ねた。

「俺に聞くな。目を反らすな。とにかくその女を殺せ。迷うな。」

優が軽く頷く。

「あなたの血、どんな色?黄色?青?やっぱり…―紅?」
女はさっきの態勢を変えず呟く。やはりこちらにゆっくり迫ってくる。



「殺してあげるよ。楽に」



一歩、一歩踏み出すその足音さえも奇妙に聞こえた。



         咲いた〜咲いた〜



女はまた歌いだした。



優が震え出した。冷や汗までもが出てきた。
「涙……、こいつ怖いよ」
「何を言っている。殺せ。殺すんだ。心臓を、刺すんだ。相手は女だ」



         チューリップの花が〜



「早くしろ!」
涙が叫ぶ。
「分かってるよ。でも、身体が―」
優の顔は汗で覆い尽くされていた。



         並んだ〜並んだ〜



         …………―



女の歌がまた止んだ。



「殺せっ!早くっ!」
涙がさっきより大きく声を出し叫ぶ。
「できない!」
優が否定する。



女がさっきより顔をニヤつかせる。
優達と女の距離はわずか20メートルほど。
「さて、あなたは………―」
女は呟く。



「貸せっ!」
涙が無理矢理優から剣を奪った。







「何色かな?」
女は一言呟き、優達の方へ一直線に走ってきた。



「来る」
涙がダーツの矢を投げ構えるような動作をして剣を女の方へ向けた。



「アハハハハハッ!」
女は歓声と共に走る。



優は腰を抜かせてただ呆然としている。



女は音のないこの地を走る。
走る音と歓声が響く。



「そこだっ!」
涙が剣を女の方へ投げた。
剣は女の額へ向けて走る。
女はそれに気付いたがそのまま走る。



そして、女は飛んできた剣を額スレスレのところで顔を右へ傾けた。
剣はそのまま飛んでいき優達から40メートルくらい先の地面に垂直に刺さった。

「無理だよ」



「あ!」
涙が驚く。その顔は今まで何でも余裕でこなしてきた涙が初めて見せた顔だった。

そして女は優の元へ走る。


「まずは…、君」


「!」
優が逃げようとした。でも足が動かなかった。声も出ない。


優のすぐ横に居た涙も足が動かない。そして声もやはり……―



「コレで終わり!アハハハハハハッ!」
女は短刀を構え優の喉笛を刺そうした。



優が目をギュッ、と瞑った。



         


         グサッ



鈍い音が響く。




―…………

一瞬辺りが静まり返る。




優は刺されていなかった。
「あれ…?無事、だ」
優は目をゆっくり開いた。

「あれ…?」
優は上から滴ってくる”紅い液体”を目にした
不思議に思いもう少し上を覗いてみた。




「…………―」




優はその”紅い液体”のもとを見て一瞬固まった。




その、”もと”とは―











「る……い?」
優が震えた声で微かに口を開く。




涙は、優を庇い右腕の二の腕を深く刺されていた。
「く…っ」
二の腕からは真っ紅な血が大量に滴っていた。




「クスッ、フフ………フ…―アハハハハハ!哀れだね」




女は歓声をあげる。そして涙の血を手に取りそれを舐める。




「血の味……。おいしい」
女はまた微笑む。


「くっ………」
涙の目が空ろ空ろ閉じていく―
「涙、目覚ませ!」
優が叫び掛けた。
「…………―」
涙はそのまま目を閉じ、気を失った。
そして、倒れた。
「涙」
優が呼びかけた。
何の応答も無い。

「あーあ、もう終わりかー。次こそ…君」
女は優を見、奇妙に微笑む。
そして、短刀を振り上げ優の胃の部分を刺そうとした。
だが、外れた。後少しでも遅ければ刺されていたところだった。
そして優は垂直に刺さった自らの剣に目を向ける。

―あれを取れば―

優は女の隙を見てそこへ走る。
そして剣を手に取った。

「遅いよ。そして、君には無理」
女が優の真後ろで次こそは、と短刀を振り上げた。
優は手に取った剣を盾代わりに短刀を受け止めた。
そしてまた女の隙を見て木の影へ。


「何処にいる?」
女が問う。

「何処だ!何処だ!」
気が狂ったようにそこら辺を走り回り草陰や他の木の影を探しまわっていた。
「…………―」
優は隠れながらその様子をジックリと見ていた。
そして女が優の隠れている場所から近い草陰をあさくった。
「何処だ…、何処だ、何処だ、」
女はその言葉を連呼しながらその草陰をあさくりまくる。

優に対して女は後ろを向いている。

―チャンスだ―

優は思った。
そして女のところへ恐る恐る近づく。

―もう…ちょっと―

ある程度距離をとった状態で優は剣を振り上げた。
そして、女のうなじを深く、深く、深く……―







ギャッッッッ!









         バサバサバサッ―





女の声が響く。


それと同時に鳥の羽ばたく音が聞こえた。
草の掠る音がした。
風の流れる音がした。
音が再び蘇った―




さっきまでのオーラが消えた。




そして女が倒れた。

死んだ。

優の制服に返り血が大量に付いていた。

「ハァ…ハァ…ハァ…―」
優があまりの緊張のあまり息をきらせていた。
その状態のまま涙
「涙…―大丈夫……?」
優が呼び掛けたが何の応答も無い。
そして優は涙の心臓に自分の耳を当て、音を聞く。


まだ、鼓動がした。


「良かった。さて…どうしたら―」
優が考えた。
すると…―





「……!」
誰かが優の肩を叩いた。





      ドク、ドク、ドク





優の心拍数が段々と早くなる。



そして、後ろを振り返る。

























後ろを、振り返る―










<つづく>







































++Death fight++
第4話…変







「ハハ……、アハハハハ!」
優の目に映ったのはさっき殺した筈の女が立っていた。
やはり、首からは大量の血が出てきていた。

「…………―!」

「私、死ぬの?死ぬの?死ぬの?死ぬの?死ぬの?」
女が狂った様に問う。

優は涙を庇い、女を睨み威嚇した。

「アハハハハ!殺してやる!殺してやる!殺してやる!死ねっ、死ねっ、死ねよ!」
女が笑いながら涙を流す。
そして短刀を振り上げ、勢い良くそれを優の頭へ向かい振り下げる。
それと同時に女の口から吐血が流れ、首からさっきとは比べ物にならない程の血を出す。

「やめろ!」
優はそう言いながら涙を素早く抱えて必至に逃げる。
女はそれを追いかける。




深い、深いジャングル。
二人走る。
人の通った気配の無い道、地面が荒れていた。
蜘蛛の巣や洞穴などが所々あった。
その細い道を走る―




「なぁ!私―……」

女は何かを言い掛けた。そして急にその口の動作は止まった。
そして、その微笑を浮かべたまま足を止めた。
逃げてた優も不思議に思い、足を止める。

「アハハハハハ!キャハハッ!」
そして再び歓声を上げる。

「キャハハハハ―!」
歓声を上げ続ける。
そして歓声を上げたまま、只ひたすら優の方へゆっくり歩く。短刀は構えてなかった。

優の体が震えで動かない。
そして優の腕の力がフッ、と抜けた。


バタッ…


涙が地面に叩きつけられた。
それでも涙は目を覚まさない。
すでに、右二の腕から流れていた血は止まっていた。
優はまだ気付いていない。


女は歓声を上げ歩き続ける。
段々と女はヨレヨレ、と歩き出した。
それでも歓声を上げる。


優の額から冷や汗が流れる。


「キャッハッハッハッハッハ!」


近づく。
涙が漂う。
笑みが浮かぶ。
悲痛な顔。


血まみれの……―




「んっ…………」
涙が目を覚ました。
そして、捻挫した左足首を引きずり立ち上がる。


優はそれに気付いたが



体が動かない―
声が出ない―



涙はその女を見る。
「…………―」
あまりの体の酷さにさすがの涙も唖然とした。


女は涙や優はもう関係無しに歩く。

目が……―
完全に逝っていた。

それでも歓声を上げる。



二人の体は完全に硬直している。



女が今にも倒れそうな体を動かす。
女の身形は酷かった。
―体に蜘蛛の巣が付着し、垂れている。
―服は血塗れになり、痛々しい。
―泣き顔はグチャグチャになり
―正気を失い
―まるで…
――女に”何か”がとり憑いている用に



女は優達からある程度距離をとった状態で急に足を止める。
「……………」
女は同時に歓声も止める。



――……
女は体を止めたまま呆然と立っている。



「……………」



女はまるでビデオを止めたかの用に全く動かない。



サワ…、



一瞬風が吹く。



……―
「……。ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
女は悲鳴を上げる。
「!」「!」
「グアアアアアアアアッ!」
女は音の鈍い悲鳴を上げる。
そして、その悲鳴を上げたまま手で頭を抱える。
首から血が、まるで噴水の様に飛び出す。
吐血の量も滝の様に流れる。
女は顎が外れるくらい、口を縦に開ける。
そして、女は急に歳を喰った様に頭から下に向けて身体が白髪の老人の様な姿になる。
すると血は止まった。
だが、女の”老朽化”はまだまだ進み次は頭から下に向けて身体全体の皮が融け髪も抜け、人体模型の様に恐ろしい姿になる。
それでもまだまだ”老朽化”は続いた。
次は人体模型の様な姿はだんだんと骨だけになり始める。
骨以外の物質は紫の煙と共に消えていく。
それでも女は何故か悲鳴を続ける。
骨だけの姿なのに、まだ動く。声が続く。
確かにその”声”は女の中から聞こえる。
そして、悲鳴を上げてまま優達のところへゆっくり、ゆっくりと近づいて来る。

「―」「………」
二人は恐ろしさのあまり、腰が抜け、身体が震えた。
瞬きさえ出来ない状況だった。
女の姿が強烈過ぎた。

女は悲鳴を上げたまま、後一寸の距離をさっきより凄く遅いスピードでゆっくり、ゆっくり、ゆっくり近づく。


ザクッ、ザクッ、ザクッ


歩く。


すると、女の身体はまた”老朽化”し始める。
女の身体は頭から砂の様に骨が粉々になっていく。
まるで、砂時計の様に―


ザクッ、ザクッ、ザクッ


女はそれでも歩く。
“最後の老朽化”はもう太股の付け根辺りまで来ていた。


ザクッ、ザクッ、……………―


女の足が止まる。


サー……―


“最後の老朽化”が終わる。


―………
どれくらい時間が経っただろうか。
二人はまだ震えていた。


女の姿は跡形も無く消し去られていた。
地面の色もさっきと変わらないし、血もいつの間にか地面に染みて無くなっていた。
そして、短刀も何処かへ消えた。


「………………。涙」
優が”目覚めた”らしく、涙に話し掛ける。
「ああ」
涙が応える。
「さっきの……女は………?」
「多分、消えた………な」
「あんな死に方………アリなの?」
「俺に……聞くな―」
「―」



二人はまた黙る。
さっきの出来事が余程ショックだったらしい。



ザワ―



微風が吹く。
心地良い風。
映画に出てきそうな背景。
照り尽くす眩いばかりの太陽。
ありとあらゆる動物達の鳴き声。
川のせせらぎ。



二人には―

今の二人には―




聞こえない。



感じない。





<つづく>







































+Death fight+
第5話…笑



―……………
もう女が消えてから1時間くらい経った。
空間の中に“自然の音”が響く。
二人は腰を抜かし続けていた。
ただ、呆然としていた。


「ねえ」
優が唐突に口を開く。
「何だ」
涙がゆっくりと優の方へ頭を向ける。
「怪我、大丈夫?」
優が心配そうな顔をして言った。
「ああ。腕の痛みはもう無い。あの女良く分からんが少し刺す場所をずらしてくれたようだ。足は少し痛いが、心配するな。お前にしたらどうせ他人事だろう」
涙は少し溜息を吐きながら優から顔を反らした。
「ねえ」
優がしつこく話し掛ける。
「……、何だ」
涙が呆れた声で言った。
「俺達は、いつまでこんな場所に居なきゃいけないの?」
優が問う。
「………………」
涙が無言になった。
そして、動かなかった筈の体を起き上がらせた。
「な……なんだよ………?」
「………、頭…冷やして来る」
涙が冷たい顔色を一切替えず顔を真っ直ぐ向いたまま呟く。
「お……おい」
優の体はまだ動かないらしく、腰を抜かしたまま焦りだす。
「俺のせいでお前に不快感を与えた。俺の体にこんな負傷があったために、こんな事になった。だから頭冷やして来る」
そして涙が林の奥深くにゆっくりと捻挫した左足を引きずりながら痛々しそうに歩いて行った。
「はあ?意味分からねーよー!」
優が叫ぶが涙は優を完全無視し、痛々しそうに歩き続ける。






ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザク―

涙が顔を真っ直ぐ向け、全く人の通った形跡の無い泥道を歩く。
太陽の光は闇に染まる一方、涙は行く当ても無くそれでも歩く。


ジャングルの中は実に美しいものだった。
空の色は橙色染まり、美しい色の鳥の群れが舞う。
サーと風が吹き、静かに木々の葉達が揺れる。
動物達の鳴き声が聞こえる。“うるさい”という気持ちは誰にも浮かばない程とても綺麗な音に聞こえた。
川のせせらぎの音も微かに聞こえた。透明な音をしていた。


その中で涙は歩く。
一時したら涙の額には汗が流れ始めて来た。
「ハア、ハア、ハア―」
涙の息が荒くなり出した。
やはり、さっきの“痛く無い”と言ったのは優に対する強がりだったらしい。
涙は靴を泥塗れにして近くに有った木に捕まり一本一本手で伝い、ただ足を引きずり痛々しそうに歩く。
そして涙は歩き続け、やはり近くにあった川へ辿り着いた。

川の水は透明でサラサラと流れていた。
橙色の空が川に反射して実に美しかった。
川の幅は少し細く、水は果てしなく流れる。
周りは乾いた土になって、泥道が終わる。

涙は川へ向かいズルズルと歩く。
涙の腕からはまた血が流れ始めていた。
事実、“頭を冷やす”以外に理由が涙にはあった。
“心配”を優にかけたく無かったのも理由の一部に入っていたらしい。
いや、その理由の大半を占めていたのもそれなのかもしれない。

「っつー……」
ポタポタ、と血の雫が流れる。


バタッ―
涙は呆気無く倒れてしまった。

―…………
いつの間にか太陽は沈み周りは闇に染まっていた。
ジャングル内は“光の世界”とは違うまた“闇の世界”なりの美しさがあった。
細長い三日月がほんのりと地を照らしていた。
川のせせらぎの音と共に、月の光が川の水に反射し、キラキラと神秘的な光を放つ。


「………っ」
涙は額に何か冷たいものが当たり目を覚ました。
涙の目に最初に飛び込んできたのは、一人の人だった。
額にはやはり水で濡らしたタオルが置いてあった。
涙の腕には包帯代わりのハンカチが巻いていて、足首にはやはり包帯代わりにハンカチで固定されていた。
その人の近くで火が焚いてあった。
パチッ、パチッ、
と生草の油の跳ねる音が聞こえる。
その人の顔は火の影で見えない。
「お前……誰だ…」
「あ………。やっとお目覚めになりましたか」
透明な女の声が涙に対して問いに応える。
涙は急に危険感を感じたのか急に仰向けになっていた体を無理矢理起こした。

「止めてください!また出血します」
女の声は叫びながら涙の動きを弱々しそうな手で止める。
そうして女は涙の看病を続ける。

「………、何故俺を助ける?」
「何を言いますか。倒れてる人間を野放しにできるわけありません!」
「………………」

涙は女の方へ頭を向けた。
女は少し座る位置を替え、頭上に腰を下ろしタオルを替えた。
別に特徴の無い普通の顔だった。
少しポッチャリした体付きだった。
だが、ニコニコと暖かい笑みを浮かべていた。
涙はその女の顔が印象に残った。

「…………。殺せた筈だ」
「できません!無理ですよ」
女が看病を止め、涙の横へストン、と正坐する。
「……、ありがと」
涙が女から目を反らし呟く。
「いえ、構いませんよ」
女はニコッ、と微笑む。
「有村涙だ」
涙はまだ女と目を反らしたままだ。
多分、照れてるのだろう。
涙は、女に慣れていない。
さっきの短刀の女は別として、こういうタイプの女はどうも苦手だ。
また、その感情は惚れたとかそういうのじゃなかった。
それでも何故か鼓動が速くなる。

「森村舞(もりむらまい)です。宜しくお願いしますね。有村さん」
女はニコッとやはり微笑む。
涙の顔が赤く鳴り出した。
何だこいつは、と思いながらも一生懸命堪えていた。

「涙……でいい」
「え?」
「有村さんではなんか固いだろ。別に涙でいい。有村さんという呼び方は嫌いだ」
舞がクスッ、と微笑した。
「はい。じゃあ……、う〜ん………――」
舞は急に何かを考え出した。
「…………?」

―5分くらい経った。
「あ!そうだあっ!」
舞は何かを閃いたらしく急に立ち上がる。
「なっ、何だ」
涙が驚く。
「えっとですね、涙じゃしっくりこないじゃないですか。だから、閃いたんです!」
舞が満面の笑みで語る。
「だから、何が」
涙は内心、いや…別に涙でいいだろう、と一人で突っ込むがそっとして置く事にした。
「涙っち、ってのはどうですか?」
舞がさらに満面の笑みで叫び語る。
「………………」
涙は馬鹿馬鹿しくて突っ込む事も出来なかった。
「ど…どうですか?」
舞の顔が急変し、心配そうな顔をした。
涙もいままで目を合わせないようにしていたが舞の心配そうな声を聞き取り、サッ、と舞へ頭を向ける。
舞はずっと涙の方を見ている。
「………………、勝手にしろ……」
この言葉が涙にとって一杯一杯気を使ったつもりだ。
その後、舞の満面の笑みを見て涙の顔がさっきより真っ赤になったのは言うまでも無い。









やはり太陽は沈み辺りは闇に染まっていた。
細長い月が出ていて、木の葉の影が辺り一面に広がっていた。
動物の鳴き声はいつの間にか消えていた。
「ん〜、涙遅すぎー」
優は随分時間が経ったのにまだ腰が抜けたままだった。
涙が森の奥深くに入って行ってから相当の時間が過ぎていた。
その間優はボー、としていたのであった。
優は考えた。
涙の意味不明な言動。
何故自分が此処に居るか。
涼は一体何処へ行ったのか。
それだけずっと考えていたのだった。

そして今に至る。

優的予想はこうだった。
涙があんな事を言ったのは、良く分からない。
何故自分が此処に居るのか、それは、良く分からない。
涼は一体何処へ言ったか、それは、良く分からない。
優は心の中で自問自答しながら、こういう結果に繋がったのだった。

「……………―」
優は溜息を吐く。



くー………ん……―



何処からか人の声が聞こえた。
「っ!」
優はやはりその声が聞こえた。



…ゆ……ー……くー……ん

る……くー―



その声は段々と近づいて来た。
優は手に握り締めていた血塗れの「剣を腰を抜かしたまま構える。



ゆーく…ん

るいくー……ん



「あれ?」
優にとってこの声は何故か聞き覚えのある声だった。
そして、その声主の言葉が段々と分かってきた。



ガサ、ガサ、ガサ
しばらくすると近くの茂みが微かに動き出した。
暗闇の奥深くから誰か来る。


「…………」



ガサッ!



茂みから人が出てきた。
その人はまだ叫び続けていた。



「あっ!」



「……―。あー!」
茂みから現れた人物は優を見て指を指し、驚いた表情をした。

「…………、涼ー!うわー!」
優が涼以上に驚いた。
「何してたの、今まで!」
優が腰を抜かしたまま叫び問う。
「優君、あなた何があったのですか?服、血塗れですよ。その武器も」
涼が優の言葉を無視し問う。
「え?あー……これ?え……とね」
優が下を段々俯きだし、声の音量が小さくなっていった。
「…………、なるほど。後程お聞きします。今は喋らなくていいですので」
優が俯いたまま小さく頷く。
「……………」「……………」
二人は何も喋ろうとしない。

「涙君は何処に行きました?」
涼が唐突に口を開く。
「え?なんか『頭を冷やして来る』とか良く分からない事言ってあっち行って戻って来ないんだよ〜」
優が涙の歩いて行った方向を指で指しながら溜息を吐き言った。
「そうですか。それでは、理由は聞きませんが…ていうか、大体の想像は付きますが。そろそろ立ちましょうか」
涼が微笑みながら言った。
優は内心、無理〜、とか思いながらも渋々立ってみた。
すると、涼の言った通り体が動き、竦んでいた足も楽々と動き、立つ事ができた。
「うわ〜!立てたっ!」
優が歓声を上げる。
「良かったですね」
涼が再び二コリ、と笑った。
「それでは……」
涼が何かを決心したかのように言う。
「え?」
「行きましょうか」
「え?……、はあ?何処に?」
優が狂ったように聞き返す。
「涙君を探しにです」
「でも、真っ暗……―」
「何を言ってるんですか。月の明かりに頼ればいいでしょう。それに……、涙君が歩いて行った後の足跡がちゃんとついてるでしょう。」
涼が優の言葉に動じず微笑みながら当たり前のように言う。
「あー、そっか」
「だからあなたは馬鹿なんですよ」
涼が笑顔で毒を吐く。
「……………」
優が俯き黙る。
「ハハ。さあ、行きましょう」
涼が優の手を引き、サッサと涙の足跡を辿る。
優は“馬鹿”という言葉が余程ショックだったらしくまだ落ち込んでいた。
涼は優の態度がツボにハマッたらしく、一生懸命笑いを堪えていた。
しばらく歩くと、涼が話し掛けてきた。
「優君の武器は……剣ですかあ」
「ん………、そっちは?」
「え?僕のはですねー、ちょっと特殊な銃なんですけど、これです」
涼がなんの変哲も無い掌サイズの銃をポケットから取り出した。
それでも涼は足を止めず、スピードも緩めず、優の手を引っ張り歩き続ける。
「それが?」
「特殊な放射線を出すことができるんです。昔、広島と長崎に原子爆弾が落ちたでしょ?その爆弾の放射線をこの銃で出す事ができるんです。凄いでしょ?」
涼が力説する。
「………う…うん……―」
優は一応分かった振りをしたが多分、意味が分からないだろう。
「アハハ。優君には難し過ぎましたね」
涼が微笑する。





パチ、パチ、
焚火の音が聞こえる。
涙はまだ舞へ目を合わす事が出来なかった。
舞は飽きる事も無く微笑み続けていた。
「お前は何でここへ来た。やはりあの体育館からか?」
「えと…………、あはは…聞きたい…ですか?」
舞は苦笑しながら俯く。
「あ…、ああ」
涙は少し戸惑いながらも返事をした。
「……………」
舞は黙り“心の準備”をしていた。
「……………っ、ぐすっ」
舞の頬に涙が流れる。
「っ!」
涙が慌てて振り返る。涙は腰を起こし、焦り出した。
「だ…大丈夫…か?」
涙が戸惑う。
「はい……」
舞の頬からは既に大量の涙が流れていた。
その涙を袖で拭き取り、必至に笑顔をつくろうとしていた。
「話します」
「あ……、ああ」

舞が語り出した。



<つづく>
2004/05/07(Fri)00:24:42 公開 / 哀葉
■この作品の著作権は哀葉さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
お初デス!!
ココまで読んで頂き有難う御座います(^-^*))
ちょっとグロイですが…―
後、コメントとかして頂けると嬉しいですw


段々グロくなってきましたねぇ(^-^;))
私もコレを書いてる時何故か手が震えてました
まあ…どうでもいい話ですけどね…(TvT*))))



第5話更新ですw
ついに!ネタ切れ(T-T)
ヤバイです!
最初しか考えてなくて、もうネタ切れ…
頑張って妄想しまくってます!!(((危...
細か〜いところは突っ込まないで下さい;
でも突っ込んでも結構です!
参考になりますから!(意味フ...
涼の存在が少々(?)薄いですが………
頑張って覚えてくださいね!!(^^)(ぇ
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