- 『卒業式のあとで・・・』 作者:葉瀬 潤 / 未分類 未分類
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『卒業おめでとうございます』
慣れた手つきでボタンを押し、メールを送信した。
本当のわたしなら、こんな短い言葉では終わらせたくなかった。
君はもうメールを返してこない。
それを知っているから、こうも短くなってしまう。
君は卒業生。わたしは在校生。すごく遠くのほうにいて、制服姿の背中しかみえなかった。卒業する女の子たちは涙を流していたよ。君は、いつもと変わらぬ雰囲気で、速やかに退場していった。
わたしのほうが泣いてしまいそう。
たった半年間、君と親密な時間を過ごせることができて、嬉しかった。
泣いたり笑ったり、愛の言葉を耳元で囁き合ったり、二人寄り添って昼寝とかしてたね。わたしが先に起きたら、『もう一寝入り』しようって、腕を背中に回して引き寄せた君。
優しい眼差し。
目が合うと、どちらかが笑い出すまでにらめっこしてた。
温かい言葉。
友達が冗談で言ったことも真に受けてしまうわたしのハート。泣きそうになると、いつもそばに居てくれて、君がバイトの時間ギリギリまで、抱きしめてくれた。
別れて半年。お互いは他人。目を合わすことにいつのまにか怯えてしまった。同じ学校にいても、君をみることは少ない。いや、わたしは避けるようになった。
『お誕生日おめでとう!』ってメールを何気に送ってみた。
あれから一週間経つけど、もう返事がこないことに確信した。
さっきのメールを送って、あっという間の一時間。
わたしと君が共有した時間は、短いと感じる。
もっと時間があれば・・・なにか変化することがあったかな?
君はもう学校にいない。変な意味でホッとした。
わたしは期末テストに追われていた。
卒業式の翌日にテストがあるなんて、信じられない。
一人うずくまり、涙を止めようとした。
その数分後、携帯が鳴った。
『テスト頑張れよ! 俺も仕事頑張るわ!』
ねぇ、メール返ってくるの遅いよ。
『悪い、携帯を修理にだしてて、おまえから二通メール着てることに今気づいた』
なら、よかった
『俺はもういないから、おまえを苦しめることがなくなってよかった』
というと?
『いい恋しろよ! 俺よりカッコいい奴みつけてさ』
メールを返すのに悩んだ。なんて答えたらいいの?
『うん、わかった』というありきたりなものか。
「俺は、素直なおまえが好きだよ!」と、どこかの記憶の君が、照れながらこう言った。
わたしは笑みを浮かべて、こう返事した。
知ってた? カッコいいだけが男じゃないんだよ
わたしにとって、あなたは一番信頼できた彼氏だったよ!・・・・
この想いはどこかで消え失せる。
でも、君を心から好きだったのは嘘ではないはずだから。
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2004/03/01(Mon)14:05:42 公開 / 葉瀬 潤
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■作者からのメッセージ
わたしの学校で卒業式が行われました!お世話になった先輩たちともう会うことがないと思うと、泣けてきそうです・・・。また恋愛ストーリーを書いてしまいました・・・。。暗い画面から、一気に明るくなるという展開が、わたしの書き方なので、読み飽きた人はすみません。。。