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『サムライ組』 作者:セーフラッチャー / 未分類 未分類
全角2131.5文字
容量4263 bytes
原稿用紙約6.95枚
「啓太・・・・・まだか?」

「まだらしいな。依頼人が言っていたところにヤツがやって来てねぇ。そろそろ時間のハズなんだけどな・・・・・」

俺の名前は春日部啓太。俺を呼んだのは、親友の伊束克美。俺たちは、サムライ組という殺し屋をやっている。今は、ある会社の社長をやってくれと言う依頼を受けて、実行中だ。

「!! しっ、来たぞ!」

克美の声を聞いて、俺たちは息を殺してチャンスをうかがう。

(こういう家には、防犯用のベルがあるからな・・・・・それの電源を切るか、引っかからないようにしていかねぇと・・・・・)

「おい、啓太!ヤツが部屋の中へ入っていったぞ!チャンスだ!」

克美のひそひそとした声もちゃんと俺の耳には届いている。

俺は静かにその部屋の様子をうかがう。

(今、ヤツは椅子に座ってテレビを見ながらタバコを吸っている、か・・・・。この部屋には・・・・ヤツ一人だな)

俺はこの情報を克美にも伝えた。

克美が手で合図を送ってくる。部屋へ突入という合図だ。

(よしっ行くぞ!!)

俺も克美に同じ合図を送り、一気に突入した。

バタン!!

「なっなんだ?!」

ヤツは驚いて吸っていたタバコが不意に口から落ち、床にぱたんと倒れる。

「俺たちはサムライ組、俗に言う殺し屋だ」

俺たちは、そう言って約2秒後、ヤツを殺った。

返り血を見ないように服にはビニールをかぶり、その後ビニールを燃やす。それが俺たちのやり方だ。

「よっし、仕事終了。啓太、メール」

「おう、分かってる。」

そう言って俺はポケットから携帯を出し、依頼者にメールを送る。

”今殺った。料金を払ってもらうため、この間のカフェへ”

そうメールを送ったあと、俺たちは誰にも見つからぬようにその家を出た。



「っていっても、金持ちらしいなぁあの社長。」

克美のいつもの平凡な話には俺もついていけない。今人を殺したばかりだというのに、克美はその本人の話をするのだから。

「・・・・おまえなぁ、なんでそうデリカシーがないんだよ」

「でりかしー?なんだそりゃ??」

そんな普通の会話を繰り返しながら歩いていると、俺のポケットが震えた。

「お、メールだ」

さっきの依頼者かららしい。

”それはありがとうサムライ組くん。この間のカフェだね。悪いが今仕事中だから今すぐには行けないよ。夜の8時はどうだろうか?”

「・・・・・だってよ。どうする克美?」

「8時かー。別にいんじゃね?金はいるわけだし。」

ま、いいか。俺はそう思いOKの返事を送った。

「つっても、やっぱ腹減ったな〜・・・・。」

俺はそう呟いた。いつもそうだ。俺は人を殺ると腹が減る体質らしい。

「マック行くか?」

「克美のおごり?」

「何言ってんだ、バァカ!啓太のおごりだろー。」

そんな些細なことも、俺にとってはかけがえのないモノだった。

マックに行ったり、いろいろな店に入って遊んでいるうちに、約束の時間となった。

「げっ、もうこんな時間じゃねぇか!」

「マジで??」

気がつけば周りはもう真っ暗になっていた。

「早く行こうぜ」

俺は克美の言葉につられて走っていった。

ハァハァと息を切らせながらカフェへ入っていくと、もう依頼人が来ていた。メガネをかけたスーツ姿の、45歳ぐらいの男性だ。

「おやおや、お疲れさま。ずいぶん走ってきてくれたみたいだねぇ。ごめん、私が来るのが少し早かったのかな?」

依頼人はずいぶん嬉しそうな顔をして俺たちを見ていた。きっと、ヤツが死んだことをずいぶん嬉しく思っているのだろう。

「それじゃ、お金だね。いくらだい?」

にこにこと笑顔で話してくるものだから、俺たちも気をよくして高い値を付けた。それでも依頼人はにっこりとその分の金を渡してくれた。

(よっぽど嬉しいんだな、そいつが死んだことが)

俺はそう思いながら、金を勘定していた。

「さて、このコーヒー代は私が出すよ。ほかにも頼みたいものはないかい?」

そう言ってくる依頼人は、俺にとっては少し優しすぎて嫌だった。

克美は喜んでいろいろなものを頼んでいる。甘いモノが好きな克美は、パフェ、クレープなど甘いモノばかり頼んでいる。

「あれ?頼まねぇの?」

俺の方を見てきた克美に、俺は首を横に振った。

「遠慮しなくて良いんだよ?君たちには世話になったんだからね」

そう言って店員を呼んで克美の頼んだものを注文した。

「いいです、こいつの分少し分けてもらうだけで」

俺が嫌がっているということにも気付かず、克美は普通にケンカを売ってきた。

「えぇ〜、やんないよ!?」

「おめぇはいちいちウッせぇんだよ」

そんな俺たちのケンカを見て、店員も依頼人も笑っていた。

気がつけば、もう10時になる。

「それじゃ、俺たちそろそろ帰ります。」

俺はそう言って克美を立たせてお礼をした。

「あ、そうだね。ほんとにありがとうねぇ。お世話になりました。じゃぁ。」

そう言って俺たちの最後の仕事が終わった。

「もうちょっと、クレープ食いたかったな・・・・」

克美がまた呟く。

「馬鹿、もう死ぬほど食っただろ」

「あんだけじゃ足りねぇもン!!」

またそんなしょうもねぇケンカをしながら、俺たちは歩いていく。
2003/12/31(Wed)17:19:08 公開 / セーフラッチャー
■この作品の著作権はセーフラッチャーさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
やっとちゃんとしたテーマを作って、書きました。まだ続きがあるので書いていこうと思います。よろしくお願いします。(-_-)
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