『少女-1-』作者:みるる / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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ある夫婦がいた。
夫は精神科に通院していた。
夫婦で最後の面談、先生に
「もう大丈夫ですよ。もう通院もいいです。」
そう言って最後の薬を渡された。夫婦は喜んだ。

帰りにスーパーに行った。
妻は嬉しいのか笑顔で買い物を楽しんでいる。
夫は、苦労かけたな…これからは妻のために頑張らなければ、と思いながら妻のあとをついていった。

すると後ろから背中をトンッとあたられた。小さな少女だった。
年は8-9歳だろうか。えらくレトロな、白い大きな襟のついた紺のワンピース、レースの靴下、黒いエナメルの靴。少女は振り返ってクスッと笑って駆け足で去っていった。

男は少し間をおいて気づいた。あ、薬…
少女とぶつかった時に薬の袋を胸ポケットから落としたのだ。薬は何種類かあったし、数を間違えるとまた病院通いになるかもしれない…
男は足りない薬を探したがどこへどう飛んだのかどう探しても足りなかった。

男が困惑していると目の前に誰かが立っていた。
見上げると冷たい微笑みを浮かべる男がいた。
白の薄汚れたTシャツに黒いジャンパー、腰から足元まである汚れた白いエプロン、白のゴム長靴。これも清潔とは言い難い長靴だった。
このスーパーのある商店街のどこかの店主か…?と男は思った。

エプロンの男ははニヤリと笑って
「あんたの探してるのはこれだろ?」
と10個の繋がった錠剤を見せた。
「あ、そうです、それです。」
精神科で貰う薬なのですぐわかった。
「俺のだけどやるよ。いっぱい持ってるから。もしまたいるんならここに来たらいい。」と、薬と薄汚れた名刺を渡された。
名刺には[海老剥き屋]と書かれていた。
海老剥き屋…?男が顔をあげるともう、[海老剥き屋]はいなかった。
なんなんだろう?あの人も同じ病気なんだろうか…

「あなた、どうしたの?…大丈夫?」
妻がスーパーの袋を提げて心配そうに立っていた。
「ああ、ごめん、なんでもないよ。」
心配かけたくないので薬のこと、少女、[海老剥き屋]のことは言わなかった。今度は薬と名刺を内ポケットにしまい込み、妻とスーパーを出た。妻は夫の顔をちらっと見て、
「あなた、お腹空いたわね、今日は疲れたし、どこかで食べて帰りましょうか。」
「ああ、そうだな。」
商店街を歩きながらどの店に入ろうか…左右の店に目をやっていた。夫婦は異様な光景に気が付いた…
「あ、あなた…この商店街…いつもの商店街…よね…」
妻の夫の袖を掴む手に力が入った。夫は妻に答える余裕もなく困惑していた。
『なんだ、この光景は…!?』
2003-09-15 19:18:53公開 / 作者:みるる
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■作者からのメッセージ
今回はSF・ホラーっぽいです。(あくまで『っぽい』です^^;)
続きを書くのが自分でもどうなるか楽しみです。
この作品に対する感想 - 昇順
初めまして。梅林です。とても読みやすく、何だかドキドキします。これからの展開が楽しみです!お互い執筆頑張りましょう。
2003-09-17 16:56:16【★★★★☆】梅林 椎真
計:4点
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