『BABY IN MEN 2』作者:吉河なさ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約3.65枚

あれから四ヶ月が過ぎ、お腹も目立ちはじめてきた。
恥かしいからなんなんだと開き直って赤ん坊と接している。
あのふたり以外にこの真実を知っていないはずだけど。
でも僕の体の中では着々と変化がおきている。

勤務先のラジオ局に入った瞬間、なにか不思議な空気に包まれた。
「サム」
みんなが僕を見つめる。
「妊娠したそうね」
「あ・・・ああ、これには理由があって」
僕は戸惑ったが
「おめでとう!素晴らしい事よ、元気な子を産んでね」
「そうよ。うちのラジオ局でも取り上げられるし」
「みんな・・・驚かないのかい?」
「驚くも何もないだろ。君は初の男性妊娠者だぞ、もっと自信を持て」
喜んでいいのか。
「ありがとう」
「さあじゃあ今日は9:00のニュース担当ジャック、9:05のトークはサム。
 妊娠したこと言っちゃいなさいよ」
「は・・・はあ、はい」
これは言ってしまっていいのだろうか。
しかし時間は過ぎ、もうトークの番組が始まってしまった。
『ハーイ、今日のMCはサム。今日はみんなに伝えたいことがある。
 えーっと、それは僕の中に新しい命がいることです。嘘じゃないよ。
 妊娠です。それじゃあ始まります、モーニングトーク!』
言ってしまった。
アメリカ全土で放送しているこのラジオ。マスコミはどう動くんだろうか。

その日の夜、仕事が終わってラジオ局から出るときだった。
ドアが開いた瞬間眩いばかりのカメラのフラッシュが差す。
「サムさん、おめでとうございます。これはどういうことですか?」
「サムさん、まだお腹に変化は無いみたいですけど本当ですか」
やはり取材がきた。でも僕を疑ったのか3組の記者団。
こんなところだから近くのレストランで答える事にした。
「はい、確かに僕は妊娠しました」
そういって僕はTシャツをめくりお腹を出した。
お腹にはピンクの線、妊娠線が入っており妊婦独特の膨らみ方だった。
そして下腹には毛が生えてはじめている。
「あらこれは本当のようだわ。私妊娠経験ありなんだけどこんな感じよ」
「ほう・・・では何故妊娠を」
「子供が欲しいと強く念じたからです」
嘘をついた。でも僕は子供が欲しかった。
薬を使ったなどといったら万が一逮捕されるかもしれないし。
取材は三十分ぐらい続き、せっかくだからレストランで食事をした。
僕は無性にお腹がすきたくさん注文してしまった。
食って食って食いまくってしまう。しかし最後には嘔吐。
やはり妊娠の症状。でも子供が元気な印だと受け止めている。
「では、元気な子供をお産み下さい」

夜、僕はドクの研究所へ寄った。
「ドク、お腹の中が見てみたい」
ドクはわかったと頷き、僕を診察台の上にのせる。
そして機械を引っ張り出してきた。
僕のお腹にジェル状の物体をつけ、ドクは機械でお腹をスキャンした。
「ほら横を見てごらん」
僕は横を見た。白黒の動く物体が見えた。確かに動いている。
「これが僕の赤ちゃんかい?」
「ああ、君の産む子供だよ。まだ心臓ぐらいしか見えないけれどね」
「すごい」
僕はじっと見つめた。これが僕の胎内に入っているのだ。
不思議な気持ちになったけれど喜んだ。
お腹を見ると、つるっと緩やかなカーブをしている。

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2004-03-03 18:39:49公開 / 作者:吉河なさ
■この作品の著作権は吉河なささんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
いや・・・もっとほのぼの路線でいくつもりだったんですけどね。
こういう男の妊娠に興味がある方はメール下さい。
この作品に対する感想 - 昇順
奇抜です。奇抜なストーリーは・・・GOOD!!!!頑張ってください。
2004-03-03 21:33:03【★★★★☆】湖南堂 偉柳
続編ですね。。サムさんはもうお腹に赤ちゃんいることにはさほど動揺してませんね〜 周りの仲間たちもいい人たちで、楽しそうです!
2004-03-05 11:44:00【★★★★☆】葉瀬 潤
明るい系の洋画を見ているかのような独特の雰囲気。前回に続いて、面白いです。あと気になったのですが、男の妊娠に興味がある人というのは一体……?
2004-03-06 18:59:30【★★★★☆】境 裕次郎
計:12点
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