『金魚』作者:ももこ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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あさ、金魚に餌をあげるのが日課です。毎日、7粒。金魚は、おいしそうに食べてくれます。かわいい金魚ちゃん。私の唯一のお友達。昔は3匹いたけれど。一匹は、水草にからまって死にました。一匹は、朝起きたら浮いていました。
『今日のご飯は、かたいな。』
喋るのは、金魚ではなく。主人。朝から、ご飯がかたい、魚が焦げてる、野菜が足りない。文句ばっかり。
『ごめんなさい。』
笑顔で言うのは、疲れました。もう、私を自由にしてください。3年間、彼のわがままを聞いてきました。でも、今日ついに耐えられなくなりました。

次の日から、金魚は餌を食べているでしょうか?主人は毎朝、金魚に餌をあげるでしょうか?私が、旅に出て、一番心配しているのはそのことです。金魚は、かわいくて、かわいくてしょうがないのです。私達には、子供がいなかったから。

私が貯めたへそくりは、10万くらいあります。専業主婦の私が、こっそりそして、必死に貯めたお金です。私には行きたいところがありました。昔、一度だけ行った長崎です。修学旅行で行きました。もう、20年位前。それだけではありません。そこには、私の初恋の人が住んでます。この前の同窓会のときに、仕入れた情報です。
『あら、こんにちわ。どなた様でしょう?』
彼の、家に訪ねたら、当然のように奥さんが出てきました。
『あっ。いえ、なんでもありません。』
私は、初恋の人に会えずじまいでした。
初恋は、最後まで苦い味がしました。

次に私が行ったのは、実家です。実家は遠くて、もう、5年は帰っていませんでした。
『あら、孫でもつれてきたかと思ったわ。』
もう、90歳近い祖母にいやみを言われた。そういえば、若い頃は無茶ばっかりしていたな。私は、出されたお茶も飲まずに、実家をあとにした。もっと、優しくして欲しかった。

そのあと、親友の家に行ってみた。
『ごめん、忙しいんだ。せっかく来てくれたのにごめんね。』
親友にも、見放された。久しぶりに会った親友は、もう子供が2人もいた。友情は、思ったよりもろかった。

結局、私の居場所はあの、主人の待つ家しかないことに気づいた。帰ったら、一番に金魚に餌をあげよう。今日は、日曜日。旅に出たのは、水曜日。久しぶりに帰る家。

玄関を開けると、見慣れないミュールがおいてあった。靴のサイズは、私と同じで、箱から出したばかりと思われる靴。私は、主人からのプレゼントだと思った。
『ただいま、、、、』
違った。プレゼントじゃなかった。家の中に、私よりずっと若い女がいた。
『おばさん誰?』
生意気。あの主人は、煙草を吸ってそっぽを向いていた。勘付いてはいたんだ、浮気してるって事。ここも、私の居場所じゃなかったんだ。

金魚鉢の金魚は、口をパクパクさせていた。

2004-03-01 16:19:35公開 / 作者:ももこ
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■作者からのメッセージ
金魚に希望を感じてください(笑)
この作品に対する感想 - 昇順
It's great to read something that's both enjoyable and provides pargamtisdc solutions.
2012-05-17 15:13:10【★★☆☆☆】Arimanana
[簡易感想]もう少し細かい描写が欲しかったです。
2013-08-28 09:13:57【☆☆☆☆☆】Dylan
計:2点
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