『僕らの季節1〜2』作者:あゆむ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角8480文字
容量16960 bytes
原稿用紙約21.2枚

「なぁなぁ、右ストレート?」

「・・・・・・は?」



最初にしゃべったのがこの一言
この時はね、こんな思いが眠ってるなんて思いもしなかった
まだちょっと寒い2月の始め
私の心の歯車を動かしたのは君
この話はこの一言で始まった

「右ストレートって何がよ」
その時不機嫌だった私はさらに不機嫌になりながら言った。

私の名前は小林萌子。
この桜木中学の2−2のクラスメイト。
特に特技もなく、好きな科目は英語、嫌いな科目は数学といかにも「女子」と言った感じで。
部活は硬式テニス部。身長157cm、体重42kg。平均より身長は小さい。


「いや、だからぁ高橋が『小林萌子は右ストレートが強い』って言うからさ。」と斎藤郁がいった。

「た〜〜〜か〜〜〜は〜〜〜し〜〜〜!!?だぁーれが右ストレートしたってぇ!?」
私は高橋をにらみながら言った。

「あっはっはっ。まぁ気にすんなって」

高橋は笑いながらそう言ったが、私は気分最悪だ。

「萌子ーーっ」

「ぇ、ちょちょっと、うっわぁ!!」

後ろから前川早苗が抱き着いてきた。


「もーっ!早苗ちゃんビックリするじゃん。やめてよねっ」

「いいじゃん。あんたちっこいし」

「ちっこいだとー!?」

「ちっこいじゃん。あんたは154cm。私は165cm。ほら、ちっこいじゃん」

「ひゃっ154じゃない!!157だよ!!」

「どっちにしても私よりは小さいじゃん」

ぐ、と言葉が詰まる。早苗ちゃんは何かと私をからかいに来るのだ。

「で、どうよ?」

「は?何がよっ」

「だぁいすきな斎藤くんの横になった感想は?」

「・・・いい加減にして」

 


僕 ら の 季 節     「 運 命 の 席 替 え 」 



 

元々、斎藤郁(かおる)は好きではなかった。
何故か知らないが結構モテている。顔がいいからか?確かにかっこいいけど私の好きな顔じゃない。
お調子者でバカなだけでしょ。しゃべったことはない。しゃべってみたいわけでもなかった。
斎藤の席の通路を挟んで横は1年の時から一緒の高橋一真。何かといやみを言ってくる。
嫌いではないがスキでもない。

「良かったじゃ〜ん」

ニヤニヤしながら言う早苗ちゃんが腹立たしい。


「ぜんっぜん良くない!!しかも大好きじゃないし!いいよねー早苗ちゃんは。雛とかと近いじゃん。何で私だけこうなの!!神様のバカヤロー!!!」

そう、機嫌が悪い原因はこれ。月に一回の席替えなのだ。
今までいい席になったことなど無かったから、あまり期待はしていなかったが1番前の真中ときたら我慢できない。
しかも斜め後ろは嫌いな斎藤の席だ。本当についてない。

「神様に当たるなバカタレ。いいじゃん別に〜斎藤が何したってわけじゃないんでしょ?あんまり嫌うなよー。雛だって言ってるよ〜?嫌いすぎじゃないのーって」

雛子(ひなこ)は私と早苗ちゃんといつも一緒に居る仲がいい子だ。
おとなしめで女の子〜って感じな子。
周りから見たら『変な組み合わせ』らしいけど、私たちは凄く仲がいい。

「・・・・・・・・・・・・」 

別にちゃんとした理由で嫌いになったわけじゃないけどさ〜・・・なんだか軽いし私と合わない気がするんだよね〜・・・

そんなことを考えながら私が黙っていると

「ま、いいや。あ、そうだ。あんた最後なんだからかぎ閉めヨロシクね。私帰るよ、ピアノあるし。んじゃよろしくねぇ♪あ、あと雛が後で電話するって!っじゃ!」

気づくといつの間にかみんないなくなっていたのだ。

「んなっ!?あ、自分日直じゃん!ずるいよ!」
私は廊下に顔を出して叫んだけど早苗ちゃんはもう居なかった。
廊下の向こうで早苗ちゃんの笑い声が聞こえる。

「ったくもぅ・・・・・ってか男子の日直誰?」
独り言を言いながら日直黒板を見た。


−−2月4日(火)前川早苗 斎藤郁−−


「早苗ちゃんはともかく・・・・・斎藤帰るなよっ!アホ!!」

私は1人で叫んで黒板消しを「斎藤郁」の名前のとこに思いっきり投げつけた。
名前はチョークの粉で見えにくくなった。
なんだか、急に虚しくなってきた。

「あ〜〜〜もういやっ。さっさと帰ろっと」

荒っぽくカバンをつかんで、「バンッ」と教室のドアを閉めた。
誰もいない廊下に、その音は大きく響いた。


「失礼しましたぁ」
カラカラカラ、と職員室のドアを閉めてふぅっと溜息をつく。

な、なんだか疲れた・・・

あーあ・・・明日からどうするよ・・・

人から見ると負のオーラが出ていたんじゃないだろうか。
それくらい私にとっては真剣なことなのだ。

1番前の真中+近くに斎藤郁=体に良くない

という変な公式まで出来上がる。


ふと気づくと、渡り廊下の向こうから人が走ってくるのが見えた。

「小林さんごめん!!ほんっとにごめん!!」


私の前に来るなりそう言った。

斎藤だった。


「マジでごめん!!俺、今日日直って忘れてて、さっき前川から聞いて・・・」

ビビビビ、ビックリした・・・
心臓が大きく音を立てる。

「あ、あぁ・・・さっ早苗ちゃん、かぁ」

なるべく冷静に答えたつもりだったけど、かなりどもってしまった。

きっと早苗ちゃんの事だ。斎藤に会うなり「あんた何やってんのさ!!日直でしょ!!萌子がやってくれてたけど、怒ってるだろうなぁ〜」とか何とか言ったんだろう。
人を使うのが上手いのだ。自分はどうなんだよって感じだけど。

「ほんと、に、ごめ、んな〜・・・」

斎藤はまだ息を切らしている。

「いいっていいって。じゃ、またね。」

私はそう言って斎藤の横をすり抜けた。

もう話すことなんてないし、早く帰らなきゃ怖い。今は冬だし、外は暗いの。

「え?ちょ、ちょっと待って!」

斎藤が叫んだ。

「・・・・・・な〜に〜?」

めんどくさそうに(実際めんどかった)返事をする。

「えーっと、送ってく、よ?」

「は?」

「あ、家まで!くっ暗いと怖いだろ!?」

なんでこの人がこんなに焦ってるんだろう。
でも、急に自分の顔が熱くなったのがわかった。

「ぃい!いい、いい!全然いい!こっ怖くなんか、ない、し」

顔の前でブンブン、と両手を振る。

「やー、俺のせいで遅くなっちまったんだし。送ってくって。な?」

別に斎藤のせいで遅くなったんじゃないんだけどなー・・・

「え、あ・・・じゃあ、お願い、します・・・」

男の子と2人で帰るなんて初めてで、最初は緊張して何を話せばいいのかわからなかった。
だけど斎藤が会話を絶やさないようにしてくれて、だんだん緊張がほぐれて・・・
いつの間にか自分から進んで話すようになっていた。


斎藤は話してくれた。

バスケが大好きなこと。

数学が苦手で、理科も苦手なこと。

友達のこと。


私も話した。

今のクラスのこと。

友達のこと。

勉強のこと。

好きなアーティストの話。

中3への不安。

こんなに人にいろんな事を話したのは、初めてかもしれない。

けど口が止まらなかった、もっともっと話していたい、と思った。



「ん」

そう言って斎藤が渡してくれたのは、缶コーヒーだった。
ビックリして、言葉を失ってしまった。

「あ、コーヒーダメ?俺のと取り替える?」

「あ、違うの!違うの・・・ただ、ビックリして。あの、ありが、とう」

斎藤は照れくさそうに笑った。

「まだ、時間大丈夫?」

「え?」

「公園、行かねぇ?」

・・・おかしいよ。だってさっきまではあんなに嫌っていたはずなのに。
なんで嬉しいと思ってしまうんだろう。

「うん、行こう」

そう答えた自分に戸惑いつつも、2人で公園へと向かった。

公園に着いて、冷たいベンチに座る。
コーヒーを開けると、白い湯気が目立つ。
公園は街灯が少なくて、まだ完全に暗くなりきっていない紺色の空は、海の底にいるような気分にさせた。

「冷てぇ」

斎藤の言葉に上を見上げると、白い雪が降りてきていた。
ふわふわの雪だ。暗い空から、たくさん舞い降りてくる。

ふいに、早苗ちゃんに言われた言葉を思い出す。

「実はスキなんじゃないの?で、あんなにモテてる斎藤をスキと認めるのが怖くて、嫌いって自分に言い聞かせてるだけ、とか」
 

「小林さんとこんなにしゃべるとはな」

「え?」

「なんか、俺嫌われてると思ってたよ」

バ、バレてたんだ・・・

「・・・嫌い、だったよ」

「『だった』?」

「・・・ん。何でこいつはこんなにお調子者なんだ、とか。何でこいつがモテるんだ、とか。『席が近くになっちゃった、体に良くない』とか」

「ひっでぇ」

斎藤が苦笑する。

「でも」

なんだか緊張してきた。
大きく息を吸い込むと、肺の中が冷たくなったように感じた。

「嫌いじゃ、なくなった、かも」

「あ?」

「・・・バスケ、頑張ってね」

「・・・・・話題ずらしたな」

「いーじゃんもう!恥ずかしいの!!わかってよ〜〜!」

恥ずかしくなって両手で顔を抑えた。


それからまたしばらく、また斎藤としゃべっていた。
よく会話が途切れなかったなって思う。

「そろそろ帰るかぁ」

「うん。・・・うわ、7時半だよ。・・・怒られるかな」

「・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」

斎藤がシュン、として言う。

「あー、いいっていいって!コーヒーおごってもらっちゃったし!」

「お母さんに怒られたら、『斎藤君に誘拐されてました』って言えよ。俺のせいにして良し」

「なにそれ〜」

笑いながらそう言って、斎藤とは別れた。


「ただいまぁ〜」

大きく言うと、奥からお母さんがバタバタと走ってきた。

「萌子ーっ!何してたのよ遅いじゃない心配したのよー!」

「うん、えっと・・・」


――――俺のせいにしていい

斎藤の言葉が浮かんできた。

「・・・・・ごめんなさーい。ちょっと公園ではしゃいじゃった。雪が降ってたからー」

そう言い残して私は自分の部屋へと駆け込む。
斎藤のせいなんかにしないよ。


今日は・・・幸せな日だったなぁ・・・・・
私はベットへ倒れこむ。
すっごく幸せな気分だなぁ。

「えへへ」

私は一人そう呟き一人頬を緩める。
明日斎藤の会ったらおはようって言ってみよっかな。
あ、黒板も直しとかなきゃ・・・

私はそのまま制服も着替えずに幸せな気分のまま寝た。

その日は夢を見たんだよ。

すっごく幸せな、夢。




斎藤に恋してる、と気づいたのは・・・
あの日から8日後のことだった。

「うっす」
そう言いながら斎藤が私の頭を軽くたたいてきた。

「あははっおはよー」
私も斎藤の頭を軽く小突きながら返事を返した。
斎藤は背がおっきいので背伸びをしなきゃ、届かない。

「今日の5時間目理科室だってさ。さっき職員室行ったら灰本センセが言ってた」

「そうなんだ。でもなんで職員室なの?」

「色々とあるんだよ。部長はっ」

斎藤は偉そうに言う。

「あー・・・バスケのことだ?」

「当たり」


斎藤は男子バスケ部の部長をやっている。うちのバスケ部は強いらしい。見たことないから全然知らないんだけど。
でも今日の斎藤はなんか眠そうだ・・・。疲れてるのかな?
そんなことを話していると、向こうから早苗ちゃんと雛が走ってきた。

「もえぇぇーっ!お・は・よーっ」

長い廊下に早苗ちゃんの声が響く。

「あ、早苗ちゃん達だ」

「おぉホントだ。朝から元気だなぁ。んじゃぁなー」

「うん」


「なぁーに話してたんだぁ?萌子ちゃぁ〜〜〜ん。」

早苗ちゃんがニヤニヤしながら言う。

「別にー?今日の話だよ。今日の5時間目理科室なんだって。実験かな?」

「最近やけに仲良しじゃん」

あの日の事は、まだ誰にも話していなかった。
だから、翌日私から斎藤へ話し掛けるとクラスの人たちは不思議そうに私を見た。

そんなに目立ってたのかな?私が斎藤を嫌がってること。

 

 

僕 ら の 季 節 2    「 恋 に 気 づ い た 日 」 





「・・・・・・早苗ちゃん・・・置いて、かないでよ・・・ひどいなぁ・・・もぅ・・・はぁ・・・」

早苗ちゃんと一緒に来ていたはずの雛がくたくたになりながら歩いてきた。

「あぁ、ごっめーん。萌子のことが気になってねー」

「早苗ちゃん。友達は大事にするもんだよ。」

私はすまして言う。

「だよねー。萌子ちゃん」

雛がニコっと笑いながらそう言った。

その瞬間、心から「かわいい」と思った。
雛は凄く女の子らしい。ふわふわの長い髪。くりくりとしたおっきな目。白い肌。
それに比べて私は、部活の時に邪魔になるから髪の毛はショート。たいして特徴も無い顔。見ていて悲しくなる。

(あ〜〜〜あ・・・私も雛みたいだったらきっと斎藤も・・・)

自分の胸の中に自然に浮かんできた言葉に、私はふ、と思った。
雛みたいっだったら・・・斎藤がなんなんだろう、と。
その時はわからなかった。いくら考えても心の中にもやもやが残るだけだ。
私はそのもやもやを振り払うように明るく笑って、雛達としゃべっていた。


昼休み、MDを聞きながら机にうつぶせている斎藤に話し掛けた。

「何聞いてるの?」

「んー・・・洋楽・・・」

「好きなの?私も好きだよー」

「んー・・・いいよねぇ・・・」

斎藤はちょっと笑いながら言った。あ、この顔カワイイ。

「他には入ってないの?洋楽だけ?」

「んー・・・」

「・・・・・・・・・眠いの?」

「んー・・・」

「何で?昨日寝た?」

「いや・・・緊張してあんまり眠れなかった」

「緊張〜?なんで?」

「んー・・・今日の放課後・・・東谷中と練習試合・・・負けたくねぇし・・・ずっと練習してたし・・・」

「東谷っていったら強いじゃんっ。私もテニスで負けたよー」

「・・・あははっ」

「・・・・・・・・・なんでそこで笑うの・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

斎藤は寝ていた。疲れてるのかな。私はそっとしておくことにした。

そうかぁー練習試合かぁ。頑張って欲しいなぁ。あ、そうだっ。部活終わったら、応援しに行こうかな。
迷惑にならない程度に・・・先に早苗ちゃんたちに帰ってもらって・・・よしっそうしよっと。

私は勝手に1人で計画を練っていた。もちろんこのことは斎藤には内緒。いきなり行ってビックリさせてやるんだ♪

「も・え・こ・ちゃ・ん?」
気づいたら目の前に雛の顔があった。

「っうぁぁあっっ」

ビ・・・ビックリした・・・いきなり現実に引き戻された私は頭が変な感じになっていた。

「そんなに驚かないでよ〜。それはそうと、大丈夫?ずーっと下を向いてたから・・・しんどい?保健室行く?」

まさか、斎藤のこと考えてたなんて言えない。

「ぅ、ううんっしんどくなんかないよ」

「そ〜ぉ?なら良いけど・・・無理しちゃダメだよ?」

「大丈夫!ひーなっ。次移動だよ。視聴覚室行こっ」


やっぱり複雑だ。この気持ちはなんだろう。
気になって授業どころじゃないよ・・・胸が変な感じ・・・
複雑な気持ちを抱えたまま授業が終わり、部活の時間になった。

「早苗ちゃーん。今日ちょっと残るから先に帰っててくれるかな?」

「んーオッケェ。何かあるの?」

「え、いや、ちょっと・・・」

「ふーん。まぁいいや。とにかくコートに行こ」

 

ど、どうしよう・・・

まさかとは思ったけど・・・
さっきのことが気になってテニスに集中できない。
いつもならキメれるボールも、ミスばっかしてしまった。
サーブも入らない、ストロークはアウトボールばっかり。
こんなことを2時間も繰り返していたら顧問も怒るだろう。
私は顧問に言われ、一人で自主練をすることになった。

1人で壁打ちは寂しいなぁ・・・・・・周りは暗い。
吐く息が白く見える。

「・・・・・帰ろう、かな」

無意識の体育館の方を見る。

斎藤の試合はもう終わっちゃったのかな・・・まだ残ってるかな。一応見に行こうかな。
見に行って・・・迷惑じゃないかなぁ。

でも、今・・・

「斎藤に・・・会いたい、なぁ」

ドキッとした。勝手に出てきた言葉。この言葉の意味は・・・
考えれば考えるほど、さっきの気持ちと同じでぐるぐると渦を巻くだけだった。
その瞬間、私は走り出していた。体育館へ、一刻も早く、早く、あいつの顔が見たい。
全速力で走って、体育館へ向かった。体育館の電気は消えていた。

「なんだぁ・・・もう終わっちゃったのか・・・」

独り言を言ってみる。体育館へ入ってみた。まだ熱気が残ってる。
きっと試合が終わってからそんなに時間はたってないのだろう。
何か視界の端に黒いものを感じて、視線をそっちへ向けると、入り口のところで、うずくまってる人が居た。

(誰・・・?こんなに暗いところで・・・東谷の人かな)

「あ、の〜・・・?」

声をかけてみた。

するとうずくまっている人の肩はビクッと揺れた。顔をみて私の体は固まった。

斎藤だ。斎藤が1人、うずくまっていた。
だけどいつもと違う・・・斎藤の頬は、涙でぬれていた。
男の人の涙は初めて見た。どうすればいいか困った。

「さ・・・斎藤、試合、は、終わったの・・・?」

斎藤は返事をしなかった。結果は聞かなくても分かる。

斎藤の涙が意味してるものは。


何て言えばいいの?何て言えばいい?
斎藤はまだ泣いている。泣き顔を見たくない、私まで泣きそうだ。

「・・・っ斎藤負けて悔しいのっ?泣くなんて斎藤らしくないよ〜っ??」

口調を軽く、わざとらしく明るく言ってみた。
私は後で後悔することになる。なんでこんなことを言ったのだろう。

斎藤はバッと顔をあげて言った。

「うるせぇなっ!負けて悔しいのは当たり前じゃねぇか!俺らしくないってどんなんだよ、男が泣いて悪いのかよ!!」

初めてだった。1年間一緒のクラスの中にいて、ケンカする奴はたくさんいたけど斎藤がこんなに怒鳴ったりするのは、見たことがなかった。

「あ、ご、めんなさい・・・」

「どっか行けよ!!お前の顔なんか見たくねぇ!!」

すぐ背中を向けて走り出した。泣きながら走った。涙が流れて止まらない。あとから、あとから流れてくる。

胸が苦しい、胸が苦しい、胸が苦しい、さっきの斎藤の言葉が頭に響く。

おまえの顔なんか見たくねぇ

胸が痛い、胸が痛い、こんなにも斎藤のことを想ってる。
ずっと考えていた答えがわかったような気がした。

「私は・・・っ・・・斎藤が・・・好き、なんだ・・・」

スキ、なんだなぁ。いつの間にこんなに好きになっていたんだろう。
あんなに嫌いだったのに。


泣きながら走る私は、どこに行こう。

涙を止めなきゃ。斎藤に謝らなきゃ。でも、怖い・・・・・・

そればかりを考えていた。

涙は止まらない。あなたに恋した、水曜日。
2004-02-19 18:24:49公開 / 作者:あゆむ
■この作品の著作権はあゆむさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
2話目アップです。この前感想をくれた方々、本当にありがとうございました。私が小説を書いていく上で、大きな力になりますvvこれからも頑張ります^^
この作品に対する感想 - 昇順
私的に好きな文ですwなんっつーか、ほのぼの系が好きだからでしょうか。
2004-02-16 18:15:56【★★★★☆】千華
夢の続きが読みたいです。あるのかな?
2004-02-16 18:17:09【☆☆☆☆☆】千華
面白いですね、すいすい読めましたよ。私も千華さんと同じで続きが読みたいです。次回作に期待します。
2004-02-16 22:38:38【★★★★☆】真由
はじめまして。藤崎的に、良いと思いますよ。
2004-02-17 16:23:08【☆☆☆☆☆】藤崎
うっわ、ごめんなさい。途中で……。 続き、楽しみにしていますね。
2004-02-17 16:24:32【★★★★☆】藤崎
はじめまして。。斉藤くんのような優しい感じの男の子をみて癒されました〜! 萌子ちゃんも可愛くて〜。これから二人の間に何が起こるのか、続きを楽しみにしています!
2004-02-17 17:05:21【★★★★☆】葉瀬 潤
わぁ、みなさん感想ありがとうございますvv次の話も頑張るのでよろしくお願いします^^
2004-02-17 22:51:07【☆☆☆☆☆】あゆむ
恋した時のモヤモヤ感がすごく伝わりました〜。。好きな人に拒絶されるなんてかなりのダメージ受けますよね〜 萌子ちゃん負けるな!
2004-02-19 23:22:27【★★★★☆】葉瀬 潤
計:20点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。