『World 第一〜二話』作者:疾風 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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『世界』と言うシステムがある。
それは神が地上を創造したときに創った、神の立場を守るシステム。
このシステムは地上の人間に、視覚的、物理的な修正を施す。
通常、ならばこれだけで地上の人間は天界に干渉を及ぼすことは不可能。
しかし、その中でもやはり異端は存在し、神をも危うくさせる事が起きる。
それを未然に防ぐのが、『監視者』と呼ばれる、天界に住む五人の神徒。
その監視者達はその能力に応じて、役割が決まっている。
『統率者』オーディン。
『策者』サキエル。
『勇者』シャムシェル。
『賢者』ラファエル。
『使者』ルシフェル。
これらの要素の総称が、『世界』。
 ◇
それは、とても悲惨で、絶望的で、自らも消えてしまいたいと思うほど、凄まじい光景だった。
目の前に広がるのは、先程まで自分と言葉を交わしていた友達の、変わり果てた姿。ただの肉塊になったソレを見て、何度か胃の中の内容物を戻した。

「君…大丈夫かい?」

突然、掛けられた言葉に、ビクリと身体を震わせ、恐る恐る声の主の方に目を向けると、警察官のおじさんが立っていた。

「そんな所に座ってないで。此処で何が起こったか、教えてくれないかい?」
「……そんなこと、自分が知りたいです」

震える喉から、やっと声を絞り出す。
警察官のおじさんは、にこりと笑うと、「とりあえず、こっちに来なさい」と僕を招き寄せた。
それから――僕は救急車に運ばれ、その中で僕の意識は深く沈んでいた。


二話

中学三年生の修学旅行中に起きた事件。
二泊三日のその旅行で、最後の夜を過ごすこととなるホテルでそれは起きた。
それは夕食をバイキング形式で食べている時だった。
気付くと、目の前に血飛沫が広がり、視界を赤に変えた。次々と悲鳴が響き、肉片へと変えられていく友人達。
ただ、自分は成すすべも無く立ち尽くしていた。
――わけがワカラナカッタ。
そのときの自分の思考は真っ白で、目の前は真っ赤だった。
そして、その後警察が来て――気付くと病院だった。
 ◇
「ラファエル。君はどう思う?」
「…人間が六十人余り同時に殺害された、と言う事件か?」
「そう。そして生存者はただ一人。その生存者でさえ、何が起こったか理解出来ていないようだ」

ラファエルは興味が無さそうな表情をしていたが、不意に、
「『世界』にも不良点があるからな」と漏らした。

「どういう事だ?」
「…『世界』の対象は人間のみだ。――そうか、新人のお前は知らないんだな。『世界』の対象にならない存在のことを」
「そんな存在、有り得るのか?」
「有り得るから言っているんだろう。良いか、人間を構成しているのは二つの要素からだ。一つは肉体。二つ目は魂。この両方が成り立って初めて人間と称される。しかし、肉体だけの人間や魂だけの人間、これらは『世界』にとって人間と認識されない。――おそらく、いや確実と言って良いだろう。その事件は、魂だけの人間の仕業だろうな」

そう言って、ラファエルは教会の長椅子の一つに腰掛けた。
丸眼鏡に鋭い目つき。太っても居なく痩せているわけじゃない知的な感じの彼は賢者。監視者の中で、地上に関する全ての知識を記憶している。
「そうか」とルシフェル。
一方、彼は使者。天界と地上を繋ぐ存在。
地上で起きている通常では有り得ない出来事を天界へと報告し、その出来事への対処法を検討したものを再び彼が地上の組織、「ヘヴン」へと通達する。
ヘヴンは神徒より各下の、天者によって構成されている組織。
その存在は極秘裏で、一般は勿論政府レベルでも掴みきれて居ない組織。
彼らは統率者オーディンに絶対服従し、地上の異端を消去する役目を負っている。

「…で、何で魂だけの人間と断定できるんだ?」
「質問の多い奴だな。良いか、地上では人間は死ぬと肉体と魂に分かれる。その内肉体は人間の目でも捉えられるが、魂は違う。
魂は『世界』によって視覚的に修正が行なわれ見えなくなる。同時に物理的な修正も行なわれ、触れなくなる。無論、修正を受けるのは人間だけだ。死んだ者はその対象に入らない。
だから――その生存者が――犯人を見ていないと言う事は、魂だけの人間になる訳だ」
「…なるほど、勉強になった」
「お前はこんなことを知らなくて良いだろ。さっさとサキエルに報告して、どうすれば良いか聞いて来い」
「分かってるよ」

ルシフェルはそう言うと、ラファエルの前から消えた。報告のため、天界へと向かったのだ。
ラファエルはその後教会で何かを呟いていたが、少しして天界へと向かった。

「…らしくない。他人に知識を与えるなんてな」












2004-02-15 21:50:56公開 / 作者:疾風
■この作品の著作権は疾風さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
二回目です。説明文多いです。
とりあえず天使の名前に関して指摘があったんで、説明しときます。
まったく神話などに関係なく名前を使っております。なので、ただの固有名詞として取ってくれたら幸いです。神話とか、あんま詳しくないんで。では。
この作品に対する感想 - 昇順
名前と題名にworldがつくところが似ていたので少し読んでみました。通常、ならば〜という文章は「、」は抜いて通常ならばとした方が読みやすいと感じました。僕が指摘できるところはこれぐらいしかないです。もう少し長い文章にしたら感想書きようがあるんですけど、次回に期待してます
2004-02-14 14:02:22【☆☆☆☆☆】風
何だかおもしろそうなお話ですね〜(^^)。設定に惹かれました。風様のご指摘通り、「通常、ならば」のところの「、」はいらないでしょう。でもその他の文章でも「、」の多さはやっぱり否めないかと思います。「突然、掛けられた言葉に」のところも、私の感覚からいくといらないかなと。「、」のつけるところは本当に難しいですが、上手く調整して使っていくようにしたいですね。では、続きも頑張って書いていってください。
2004-02-14 17:18:09【☆☆☆☆☆】エテナ
レス有難う御座いますwまさかくれるとは思ってなかったのでw 指摘、有難う御座います、「、」の多さに後から読んで大分変だったのに気付きました。これから続くかどうか分かりませんが、宜しくお願いしますw
2004-02-14 21:34:26【☆☆☆☆☆】疾風
初めまして、星月夜です。では…。設定としては面白いです。ですが、そういう知識を知っている人もいることを知っておいてください。そういう知識(つまりは天使やらの一般的な知識)を知った上で使っているのならばかまいません。オーディンは北欧神話の最高神、ルシフェルは始まりの天使という一般的な設定をあまり蔑ろにしますと、大変なことになりますよ。そういうことをしっている人間にしてみればこの設定は違和感そのものです。(人のこといえないんですけど(汗) あとは長さの問題と、さきのお二人が言ったような問題。これからどうなっていくのか、この設定がどういうふうに生かされていくのか愉しみです。未熟者が偉そうに、失礼しました。
2004-02-15 11:38:34【★★☆☆☆】星月夜 雪渓
「まったく神話などに関係なく名前を使っております。なので、ただの固有名詞として取ってくれたら幸いです。」とありますが、星月夜様のご意見を尊重した立場で言わせていただきますと、「それでは疾風様の造語でもよろしかったのでは?」と思います。例えば「オーディン」という言葉から「オデイオン」という固有名詞を作ってみるとか(変な名前ですみません(汗))。……それでこそ神話を蔑ろにした意見だと言われたら切に謝ります。でも名前を作るのにはこういう手もありますよ〜。ということをお伝えしたかっただけですので(^_^;)、あまり重くお取りにならないよう、お願いします。全然参考にならなくて申し訳ないです(沈)。
2004-02-17 00:47:06【☆☆☆☆☆】エテナ
エテナ様の言うとおりですね…造語またはまったく関係無い名前を使う方が良いかもしれません。いや、そうするべきか…。とりあえず何か考えてやってみます。では。
2004-02-17 14:39:46【☆☆☆☆☆】疾風
計:2点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。