『だから。』作者:エラ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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「ねぇっ!」
私は前を歩く二人を呼び止める。
「何さ平川ー、あっし早く帰って風呂入りたいんだけどー」
「あぁっ!その前に一緒にマック行こうっつったじゃん!朝マックしようよ!!」
「だぁーっうるっせ分かってるってばだからひっつくなー!!!」
「本当に分かってんのー?池澤いつも忘れるじゃん!!」
面倒臭そうに言う池澤に、丸井が丸一日前に交わした約束を突き出す。
こんな二人の遣り取りは、そこいらを歩く女子大生と変わりない。

ほんの三十分前まで、麻薬関係の危ないサン達と闘っていたとは、とても想像がつかない。

「そんなんじゃなくてッ!人の話は聞く!!」
私はもう一度叫ぶ。
…一時間程前の池澤の台詞が鮮明に思い出され、私は段々とムカムカしてきた。

「…だぁーら何だっての〜、用があるなら早くしてちょんまげ」
「ちょんまげー!」
心底ダルそうに答える池澤。
それを嬉々として真似する丸井。

嗚呼…あの池澤の台詞を丸井が聞いたら、どんなに悲しむだろう。
悲しそうな丸井の顔を想像していたら、居た堪れない気分になってきたが…こういう事はハッキリしておいた方がいい。
このままだと、後々丸井は傷付く事になるからね。

いらぬおせっかいかもしれないけど、私には黙っておく事は出来なかった。
私は意を決して、口を開く。


「…ねぇ、丸井。アンタ、池澤の事なんて言ってた?」
「へ?」
私の質問が脳に浸透していないらしく、首を傾げる丸井。
私はさっきより、口調を強くして言い放つ。
「だからアンタは、池澤の事が好きか嫌いかって話!」
言われて丸井は、にっこりと微笑む。
そして、さも当然じゃん・と言わんばかりに、口を開く。
「あったりまえじゃ〜ん?池澤の嫌いな所なんか欠片も無いよ〜☆」

その言葉を聞いて、私は更に気が重くなる。
しかし…と、私はニコニコしている丸井に向かって言葉を続ける。

「その池澤がアンタの事なんて思ってるかって、聞いた事ある?」
「平川ー、何か目つき怖い…」
「聞いた事あるかって訊いてるの!」
笑顔を崩そうとしない丸井に対しても、とうとう怒鳴ってしまった。
丸井は何故私が声を荒げているのかも分からない・といった様子で、きょとんと私をみつめてる。
「ぁんだよ、ンなこと」
そんな丸井の肩を引っ掴んで、池澤が出てくる。
その表情は先程と同じく面倒そうで、更に私の逆鱗に触れようともする。
コイツはなかなかもって勇敢なヤツだ。

池澤はけふんっ、と咳払いをし。
「私は丸井の嫌な所はイッパイあるね。つーか嫌な部分の集合体?って感じ」
はっきりきっぱりと、そう言い放った。
私は今度こそ彼女に殴りかかろうとしたが、私よりも先に池澤の口が動いた。


「そんな丸井だからこそ、愛せるんだよな」


彼女は、誇らしげにそう言った。



何を言っているのかが分からなかった。

ワケが分からない、何矛盾した事言ってるワケ?

そう言おうとしたが、言葉にならなかった。


それはお互いをみつめ、にぃっと笑いあう二人を見て。
私の心の中で。
この二人が何故にこれほどまでに信頼しあっているのかが。
感じ取れたような気がしたから。



私がこいつらの間に入り込む余地なんて、無さげだねぇ。
2003-03-19 22:54:47公開 / 作者:エラ
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■作者からのメッセージ
こういう掲示板初めてなので、ドキドキしました!
良かったら、駄目出ししてやって下さい☆
楽しかったです!
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