- 『四曲の愛の唄』作者:桜貝 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約2.71枚
「情が欲しい」
これを口にしたのは、僕が10歳の小学4年生の時だった。
生まれてすぐに母親は亡くなった。もちろん父親も兄弟もみんな居ない。
今はかろうじて一人で生活しているのだけれども、学校では虐めの的だ。
それでも頑張って生きているんだけども・・・・。
その気はしない。
かといって、死にたくもないんだ。
そう―僕に足りないのは「情」
愛情。友情。恩情。私情。人情。
どれを取っても、それは僕の中には存在しなかった。
平凡な毎日を過ごしているとも言えないし、極度に辛い訳でもない。
他人からみると、僕は「ぬけがら」なんだろう。
そんな僕も、今年、中学2年になった。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
「そっちいったぞ〜!走れぇ!」
サッカー部員の声がグラウンド中に響き渡る。
バタバタと砂煙を立てて、監督の前を横切ったりする。
「ゴォーーーール!」
ホイッスルの音がきこえる。
「やったな、翔(かける)!」
部員の言葉の後に、遅れて返事をした。
「あぁ・・・・・。」
この少年は、親が居ない。人情が薄いで有名な、サッカー部員の「翔」
今日はゴールを決めたようである。
もう夜だ。解散の号令があると、みんなはさっさと学校を出た。
翔も一人自転車に乗り、夜道を駆け抜けていった。
そして見かけたのが電柱の張り紙。
「あなたも自分の気持ちを唄にしてみませんか?
自分の心の整理してみませんか?・・・・」
すると翔は少し自転車を止め、張り紙をよく見た。
気になっているようだ。
「うた・・・・・か」
その一言を残し、自宅へ急いで帰った。
そして自宅へ帰るとカップ麺を食べて、机に向かった。
机の上にあるのは、宿題の山ではなく、普通の紙切れだった。
「俺が・・・書けるなら・・・詩でも良い・・・」
そうブツブツ呟きながら、熱心に紙切れと向き合った。
できた――――
何時間かかったのだろう・・・。
時計はすでに12時を回っている。
ふぅ〜。とため息をつき、椅子を引いて顔をそらした。
いつもと違う笑顔を浮かべ、改めて自分の書いた紙切れを見てみた。
「・・・・・ッ」
翔はとっさに目を疑った。
険しい顔が、焦りにも見えた。
「なんだよ・・・・俺の書いた詩は・・・・!!!」
そう言って紙をビリッと破き捨てた。
(続く) - 2004-02-06 21:07:54公開 / 作者:桜貝
■この作品の著作権は桜貝さんにあります。無断転載は禁止です。 - ■作者からのメッセージ
全然体験談ではないのですが、ふと思い浮かんだお話です。
はじめはちょっと暗い話になりそうです(汗)
がんばりますので、良かったら読んでください。
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タイトルの素敵さに惹かれて読ませて頂きました。お話も劣らず魅力的ですね!いいトコで終わっちゃたので次回が楽しみです。
2004-02-07 22:57:16【☆☆☆☆☆】risun計:0点
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