『満月の前、新月の後―中の上』作者:ヤブサメ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角22961文字
容量45922 bytes
原稿用紙約57.4枚

―その世界には月が二つあった
白い月と赤い月
物語はその世界で現れた、一人の少女から始まる―

メビリアウス国境にて

その日は―白い半月の昇る夜だった
月明かりに照らされ、蒸気を吐き出しながらレールの上を進む列車
その後ろには連結され、緑色の布で覆われた荷物を載せた貨車
列車は山脈の横を曲りくねりながら進んでいく
その先の、白い城壁に向かって

その様子を城壁の上、兵士の男ははぼんやり眺めていた。
あと五分もすれば交代の兵士がやってくる―そんな安心感からだ
しかし、聞こえてきた足音にそれは打ち砕かれた。
「ん?交代か?早いな」
男は振り向く―しかし、そこにいたのは見覚えの無い、黒いオーバーコートに身を包んだ長髪の少女だった。
「だ、誰だ貴様!」
少女はそれに答えることなく、黒塗りの鞘から一筋の刀を引き抜いた。
「て、敵襲だ!」
男は叫ぶと同時に腰のホルスターからリボルバー式の拳銃を抜き、そして少女に向けた。
少女はそんな事は気にせずコートを翻し、そのまま男に突っ込んでくる。
男は特に狙いもせずに拳銃の引き金を引いた。
轟音が立て続けに6回鳴り響き、弾丸が放たれる。
しかし、どれひとつとして当たることなく、虚空に飛び去っていった。
男は慌てて弾切れになった銃のシリンダーを横に出す―それと同時に少女は下から刀を切上げた。
金属同士がぶつかり合う甲高い音が空に響く拳銃は、金色に輝く薬莢を撒き散らしながら城壁の下へと落ちていった。
少女は腰を抜かして、尻餅をついた男に刀の切っ先を向ける。
「ひ、ひぃ」
男は銀色に輝くそれを見て小さく悲鳴を上げた。
刀をもう一押しさえすれば、その顔に刀が突き立てられる一歩寸前―まるで機関車が合図するかのように汽笛を鳴らした、次の瞬間―
「いたぞ!あそこだ!」
少女と男が顔だけ右を向く―そこには、男の叫びで集まってきたであろう、兵士たちの群れがあった。
少女は黙って刀を鞘に収めると欄干に手を掛けた。
「止まれ!」
そう言いながら兵士たちはライフルの照準を少女に合わせて撃つ。
自分をまるっきり無視した射撃にどうする事もできない男は身を捩じらせる。
少女はその横で体を空中へ躍らせた。
「!!」
兵士たちは慌てて射撃を止め、そして蹲った男を無視して城壁から身を乗り出して下を見た。
少女の姿は無かった
そこには、城壁をくぐり抜けた列車がゆっくりと進んでいっていた。
「お、おい!あれ!」
驚きの声を一人の兵士が指を差す。
他の兵士がその兵士の差す方向を向く―列車の最後尾の貨車の上に小さな人影が見えた―あの少女だった。
「な、何者だ?」
どうすることもできない兵士たちはただ呆然と、小さくなっていく人影を見つめた。


メビリアウス王国―首都ルゼ


昼―太陽が高く昇って白いレンガ造りの街は白く照っていた。
その傍らの停車場の一角―簡単な木製のプラットホームの横、列車は止まっていた。
兵士たちはその周りを調べ回っていた中には、貨車の下まで潜り込む者もいた。
「よーく調べろ。奴はまだいるかもしれん」
指揮官らしき男が励ますように言った
「絶対いないって・・・」
荷台に上りあがり、覆われた布を捲っては確かめていた縁付きの、太陽の陽を浴びて銀色に輝くヘルメットを被った兵士の1人は辟易した声で呟いた。
「城壁から飛び降りて平然としてる奴なんだろう・・・走ってる列車から飛び降りて大丈夫だろうに、きっと」
何も無いことを確かめ兵士は、布を再び元の様にきちんと整えると溜め息をつきながら、次の貨車へと移っていって同じ動作を繰り返していく。そんな兵士に声が掛かった。
「おい、ジューク!」
ジュークと呼ばれた兵士は布を捲ろうとした手を止めて、振り返る。
「司令部からお呼ばれだ!出頭しろ」
兵士―ジュークはヘルメットを脱ぐ、そこには、ぼさぼさの黒髪に精悍な顔つきの少年の顔が現れた。
「はーい」
ジュークはめんどくさそうに返事をしながらも、荷台から飛び降りてそのまま走り去っていった。

「ジューク、ジューク・バルセイ三等騎士だな」
ジュークと大量の書類の置かれた机を挟んで、老眼鏡を掛けた初老の男が言った
冷房の効いた部屋の窓は、薄く結露して水滴がついていた。
「君の耳にはもう届いているだろうが―メビリアウス第二城壁の件については知ってるな」
「今しがた、その件に関与したとされる車両についての検査をしてきたばかりです」
よろしい、と男は笑みを浮かべる。
「今から、君は情報収集及びそれを処理する任務に就いてもらいたい」
ジュークは男のその言葉を聞いて怪訝な表情になった。
「お言葉ですが・・・それは一等騎士以上の仕事ではないのですか?」
「この任務は一番君に適任だと私は考えたのだ。その事に等級など関係ない」
男は老眼鏡を親指と人差し指で挟んで掛けなおす。
「以上―報告書は後日、1週間後に正式文書としてまとめておく事」

最高指揮官室と黒のプレートに白文字で書かれたドアをバックに、ジュークは大きくため息をついた。
「どうせ、1等や2等の連中が嫌がったから、ただ単に3等に回されただけじゃないか?」
顔を俯け、一人で続ける。
「そうだよな〜大体こんな事件解決できるはず無いもんな〜証拠品皆無だし」
首を軽く回す。
「3等は失敗してもそれ以上落ちないからな〜」
そして顔を上げた。
「まあ、仕方ない。適当に“情報収集”にでも行くか」
ジュークは重い足取りで、木の床を軋ませながら廊下を抜けていった。

ルゼ―フク大路

通りは、異常な賑わいを見せていた。

様々な異様な商品を売る者
主に香料などを売りさばく者
豆を商人にする者―
それぞれ自由にテントを張り、店先に看板と商品を並べ通りがかる通行人に必死に声を張り上げて呼び込もうとしていた
フク大路は首都のメインストリートということもあるが、それ以上に収穫祭である事が大きかった。
収穫祭とは、メビリアウスの三大祭のひとつ―
それ故に
口から火を噴く者
笛を吹いて毒蛇を操る者
大小様々な物をお手玉の要領で投げる者
といった風に大道芸人もまた通りに人だかりを作って芸を披露していた。
「久々だな・・・町にくるのも・・・」
ジュークは人の流れに振り回されながら、通りを下っていった。今は詰襟式の軍服ではなく、カーキ色の布でできた簡素な服に身を包んでいた。
「まあ、どうせ有給休暇もらったようなもんだ。たまには楽しむか」
そして、ジュークは一軒の屋台のイスに腰掛ける。
「おじさーん」
ジュークが呼ぶと、程なくして白いエプロンが似合わない男がのっそりと出てきた。
「注文は?」
営業スマイルで尋ねてくる男に、ジュークは人差し指をひとつ立てて言った。
「フーメン一杯」
「あいよ」
男の姿が屋台の奥に消える。
ジュークは通りをぼんやりと眺めながら、注文の品が届くのを待った。
「お待ち」
そう言って、テーブルに琥珀色のスープに白く、細長い麺が浮いた器と箸が置かれるが置かれる。
「うちの食事はこれより劣るからな・・・」
そう呟きながら、口の中から溢れ出るよだれを抑えるか如く麺とスープを一緒に喉に流し込む。
「うん、うまい!」
そう小さく呟き、再び食べる事に専念する。器の中が、麺の欠片だけ残った時、ジュークは再び男を呼んだ。
「おーい、おっさん。勘定」
「あいよ、900パル」
出てきたなり、そう言って男は右手を差し出す。
「ん?」
腰の後ろ―ナプザックを漁りながらジュークは怪訝な声を上げた。
財布が―無い
「へっへ、おっさーん、これは有り難くもらっていくぜ!」
その声の方向に向く―茶色のベストを羽織った茶髪の少年が見覚えのある財布を弄びながら人ごみの中を駆けていった。
「くそ!」
ジュークは悪態をつくと、慌てて追い掛ける。
「おい!金!」
「わりぃ、後払いで」
それが後ろで叫ぶ男に聞こえたかはともかく、ジュークは人ごみを掻き分けて進んでいく。
「くそ!待て!」
そう叫ぶもののそれで止まるわけも無く、少年は小柄な体を利用して人と人の足下を潜り抜けて駆けていく。
ジュークはそれを追って通りの脇に入る。
騒がしい通りと対照的に小路は静かだった。
どこまでも伸びるその先に、既に少年の姿は無かった。
「くそ!」
再び悪態をつく、しかし、そこで諦めず再び追おうと駆け出そうとして―
「ここだよ」
突然、空から聞こえてきた声に急に止まれず足がつんのめって石畳と接吻する。
少年は脇に置かれていた木箱から飛び降りると、ジュークの前に立ちはだかった。
「おっさん、ドジだなー」
すっかり小馬鹿にした声に、ジュークは倒れたまま憮然とした表情で顔を上げる。
そこにはまだ10代半ばもいっていないであろう、幼い少年の姿があった。
「てめぇ」
ジュークが立ち上がると後ろに少しステップして下がる。
「おっと、おっさんここは温和的に解決しようぜ」
「人のもの盗んでおいてその口か・・・」
砂の入った唾を吐き出すと同時にジュークは少年の襟首掴もうと手を伸ばした。しかし、少年はそれを横に体を倒してかわす。
「くそ!」
再び掴みかかろうとして、止めた。少年の右手から何かが放たれる。ジュークが右手で受け取った時、それは自分の財布だという事がわかった。
「中身は取っちゃいないよ」
少年は嫌味に笑いを浮かべて言った。
何か納得いかないものを感じつつも、ジュークはその財布を元の場所に戻す。
「なあ、おっさん」
少年は横を通り過ぎようとするジュークに声を掛ける。
「俺も調査の特派員にしてくれないかな」
ジュークの足が止まる。振り返ると、少年の手の中で白い紙がペラペラとしていた。
メビリアウス王家紋章の冠を被った2つの頭を持った鷹が印刷された―
「お、お前!」
ジュークは取り戻そうと再び躍起になろうとして止め、諦めてため息をつく。
「お前、この内容を読めたのか?」
「へっへっへ、これを使って読んだよ」
そう言ってポケットから取り出した真鍮製の枠組みにはめ込まれた小さな水晶玉と一緒に紙を差し出す。
「機密ぶんしょーって奴でしょ?これ」
ジュークはそれを引っ手繰るように取ると懐に直した。
そして踵を返してその場を去ろうとする
「おーい、俺がばらしちゃってもいいのか?」
そしてその言葉に再び足を止めた。そしてゆっくりと振り向く。
「なあ、だから俺を特派員にしてくれよ。な?」
そこには勝利の笑みを浮かべる少年が一人、立っていた。


ジュークは憮然とした表情で通りを歩いていた
「へっへっへ」
その後ろでは嫌らしく笑いながら少年がついてきていた
「俺の名前はベリス、ベリス・チャンって言うんだ、よろしくな」
ジュークはその言葉には反応せずに、無視して通りを進んでいく
「で、これから俺はどうするんだ?」
「何もする事ねえよ」
ジュークは憮然と言い放った
「子供は家にでも帰ってな」
「帰る家があったら盗みなんてしないつーの」
ベリスは頬を膨らませながら言う
「せっかくマトモな稼ぎが見つかったんだ。何か仕事くれよ」
「誰もまだお前を特派員にするって言った覚えはないが?」
「ばらすぞ、こら」
「あー」
不毛なやり取りにジュークは髪を掻き揚げて唸った、そんな時だった
「お!」
ベリスが声を上げて、指差す
「おっさん、あそこあそこ!」
そして軽く跳躍してジュークの肩に乗っかる
「わ、重い、離れろ」
「何かいざこざやってんぜ、面白そう!言ってみようぜ!」
ベリスは肩の上で立ち上がり、飛び降りるとそのまま人ごみの中に走っていく
「あ、おい、待て!」
ジュークは慌ててその後姿を追った

「うわー」
ベリスは人ごみの中から首だけ出して驚きの声をあげた
同じくジュークも首だけ出す、そして驚きの声をあげた
そこには、軽そうな若い男の集団と対峙する少女の姿があった
「あの娘だ!」
「へーあんたってあの美人と知り合い?」
ベリスの問いかけを無視してジュークは人ごみから抜け出して前に出て言った
「おい、街中でのいざこざは許さん!私は三等騎士だ!何があった?」
ジュークは内心少女が怯えて助けを求めて抱きついてくるシチュエーションを思い浮かべたが
「あら、兵隊さん?病院代が無駄だからさっさとこいつらを逮捕しちゃってよ」
少女は冷たく言った。
「何だとこらぁ!!」
その発言が聞こえていたのか、半袖に短パンといった井出立ちの若い男が声を上げた。
「てめぇ、思い知らせてやる」
頭に派手なバンダナを付けた男が背中の鞘から両刃の剣を抜き出す―まさに一触即発
「まあまあ」
ジュークは少女のすぐ前に男達に手の平を見せながら歩き寄る。
「まあ、ここは落ち着いて」
「おりゃあ!」
制止を無視した男の一人が剣を振り上げながらジュークに突進してくる
「!?」
ジュークは咄嗟に避け、そして気付いた―避けた先には少女がいた
「危ない!」
叫びながら、少女に向かおうとして
飛んできて地面に刺さった男の剣に阻まれた。
―そこには、刀を振りかざした少女と、剣を失って尻餅をつく男の姿があった。
「あら、これでお終い?三枚目方?」
少女のその言葉に、一瞬怯んでいた男たちの怒りが境地に達した。
男たちは叫びながら次々に抜刀していく。
「ちょっと待てよ!」
同じく無視されて半分切れ気味にジュークは走ってくる男の一人を足を掛けて転ばせる。
それでも4人の男が少女に向かっていく。
少女は怯むことなく、それを全て迎えうった。
最初に突っ込んできた男の振り下ろされた剣を避け、勢い余ってそのまま人ごみに突っ込んでいこうとしたそのわき腹に柄を叩き込んで地面に伏しさせる。
次に突こうと剣を腰だめに突っ込んできた男に右足を蹴り上げて腹に蹴りを入れる。
少女は、次に刀を地面に突き刺すと棒高跳びの要領でジャンプする。
そして、短く息を吐いて前かがみ気味になった男の肩に両足をのっけて屈むと、そのまま肩の上で反動をつけて飛び上がった、次の瞬間
「!!」
残りの2人の男のその顔面に蹴りが入る。少女はさらに力を一押しして後ろに爆転して着地する。
男たちは反動で顔に赤く足跡を残したまま後ろに倒れこんだ。
少女が突きたてたままの刀を鞘に戻した時、男たちは無残に地面に伏せて気絶していた。
その様子を静かに見守っていた観衆から一斉に歓声が上がった。
「すげぇ・・・」
もちろん、ベリスもその1人だった。

「おい・・・ちょっと待て・・・」
少女にジュークは声を掛けた
「あら?一人倒してくれてありがとう、手間が省けたわ」
「君は一体何者なんだ?」
「さあ、ご想像に」
少女は呆然とみつめるジュークの脇を通り抜けていく
「おっさん。残念だけど、アウトオブ眼中だぜ」
ジュークが脇を振り向くとベリスが立っていた
「まあ、少なくともルックスは俺の方が上・・痛てェ!」
さらに続けようとするベリスの口を塞ぐように、ジュークはその頭に拳骨を入れた
そして、惜しみながらも彼女の背を見つめていた―その時だった
「そこの娘!止まれ!!」
全ての視線が声の方向に集まる―そこには、銀色に輝くヘルメットを被った、軍服に纏った男達が整列していた。それぞれの手には細長い弾装が横に飛び出した短機関銃が握られていた
「来客の多い日ね・・・」
少女は呟く
「ん?」
ジュークは男たちのヘルメットに書かれた紋章に気付いた―赤い二本線が引かれた側面
「ありゃ、国王直属の近衛兵だぞ」
「おい、おっさんあいつ等銃持ってるぜ、撃たれないか?」
ジュークの袖を引っ張りながら、ベリスが不安そうに言う
「大丈夫だ、俺だって3等と言えども一介の軍人・・・」
そして、思い出して青ざめた
「今日、俺の制服着てないし、認識票持ってきていないんだった」
しかし首を振って考え直す
「でも大丈夫だ、一般人が大量にいるんだ。撃ちやな・・・」
ジュークは気付いていなかった。引いていく観衆と、離れていくベリスの姿に
「撃ちかた構え!」
その叫ぶ声を上げたとき、前を見て目を丸くした
男たちは綺麗に二列に並んでこちらに銀色にちらつく銃口を向けていた
「うひゃ!」
ジュークは回れ右で慌てて駆け出す
そして、その銃口に一斉にフラッシュが灯った
耳元で弾丸が劈く
ジュークは一生懸命腕を振り上げ、そして走る
横を見ると、少女は屋台の屋根の上を飛び移るように走っていた
ジュークも慌ててそのあと追おうと屋台の屋根を柱伝いに攀じ登って駆け出す
しかし少女のように軽快とはいかず、時節屋台の布を突き破りながらおぼつかない足で駆けていく
「くそ」
近衛兵士たちは遠くなっていく2人の影を追いかけるため、隊列を乱して一斉に駆け出す
「待って、待ってくれ!」
ジュークはようやく少女に平走する事ができ話し掛ける
「何か用?」
「き、君は何をしたんだ?」
「国境越え」
少女は平然と言い返した
「ま、まさか君は!」
ジュークはいようと口を開いて、そこまでだった。とうとう左足で布を深く踏み抜いてしまいそのままつんのめる。そして脇では近衛兵が駆けていった。
「く、くそー」
遠くなっていく少女の後姿を見つめる―さすがに、この状況では再び追いかけるのは無理だった。
「おい、おっさん」
そんな時、救いの声が掛かった。
「何そんなとこで引っ掛かてんだよ」
ジュークが横を向く―そこには、ダチョウに跨ったベリスの姿があった。
「お、お前そのダチョウどこから」
「盗んできた」
さっきの娘といい、こいつといい、と思いつつもジュークは慌てて立ち上がるとそれに跨る。
「まあ、いい。あの娘を追ってくれ!」
「そのつもりで盗んできたんだよ!」
ベリスはそう言うと、一気に手綱を引く。ダチョウは、短く悲鳴を上げながら全速力で駆け出していった。

「しつこいわね・・・」
少女は下で未だに走ってくる男たちを見て呟く。
いっそのこと、全員打ち倒してしまおう―オーバーコートの下の鞘に触れた、その時だった。
「ぶひゃあ!」
近衛兵の1人がうめき声をあげて倒れる。
―踏まれたのだ
「おーい!」
そして、近衛兵を蹴散らしてダチョウに跨ったベリスとジュークの姿が現れる。
2人の乗ったダチョウは少女に平走するように並ぶ。
「飛び乗れ!」
ジュークが叫ぶ。が、少女はそのまま走り続ける。
「あんたが邪魔なんだよ」
ベリスはジュークを指差し、そして思いっきりそのまま押した。
「え?」
一瞬空中に浮いたジュークの手は辛うじてダチョウの尾羽を掴む。
ジュークの分だけスペースのできたダチョウの背に、少女は飛び乗った。
ダチョウは背に跨った少女とベリス、そしてジュークを引きずりながらそのまま通りを疾走していく。
近衛兵達は諦めて足を止め、そしてその中の一人は悔しげに叫んだ。
「くそ!」

三人を乗せたダチョウが門を通り抜け、砂漠に差し掛かった頃
「ここらでいいだろう」
ベリスは手綱を引く。
3人を乗せたダチョウは足を止めた。
「ありがとう。助かったわ」
「どうってことねえよ」
少女はダチョウから降りながらベリスに礼を言う。
「そして」
振り向いて言った。
「あなたもね」
「それは・・・どういたしまして・・・」
ジュークは埃塗れになった体を叩く。
「しかし、えらく遠くまで来ちまったな・・・」
振り向くと、街をぐるっと囲んだ城壁の全体が見えていた。
「位置からして、ここはマルス砂漠か・・・」
遠くに走る列車が見えた。―大陸横断鉄道だった。
「そういえば、あんた―」
ダチョウの首を摩っていた少女が振り返る。
「さっき“国境越え”とか言ってたよな?」
「ええ、そうよ」
少女は首を捻って尋ねる。
「あなたって、そういうこと気にするタイプ?」
「気にするも何も、俺も一介の軍人だからな・・・」
気にしたら、あんたに切られそうだ―とは言わずにジュークはため息をつきながらその場にへたり込む。
「まあ、いいや」
そして、そのまま砂の大地に転がった。
「見逃しとこう、どうせあんたの腕前じゃ俺に手に負えないし」
「そう?助かるわ」
少女は微笑を浮かべる。
「そーいや、あんた」
ベリスが尋ねる。
「これから、どうすんだ?俺も人のこと言えた義理じゃないけどさ」
「私は、する事があるの」
転がっていたジュークは体を起こしてそれを聞く。
「することって?」
少女は、凛とした声で言った。
「“月を壊す”」
一瞬の沈黙―それを聞いた二人は一斉に言った。
「はぁ!?」
遠くでは日が沈み、赤い半月と白い半月が仲良く並んで昇っていた

「なにも、あの月を壊そうって訳じゃないわよ?」
鍋の掲げられた焚き火を囲んで少女が言った。
「そりゃそうだろうな・・・月なんて壊せるはず無いもんな・・・」
地面に寝そべりながらジュークが言う。
「でもさあ、そしたら月って何のことなの?」
鍋の中身をかき混ぜながら、ベリスが尋ねた。
「月は、月なのよ」
少女は珍しく、目を伏せる。そして、顔を上げると話題を変えるように聞いた。
「そういえば、あなたたちの名前、まだ聞いてなかったわね」
「俺はベリス・チャンって言うんだ!よろしく!」
答えようと口を開いたジュークを尻目に、ベリスは待っていましたと言わんばかりに答えた。
「あなたは?」
「俺の名前は・・・ジューク・ハルゼイ・・・」
さきほどタイミングを外してしまい、バツが悪そうにジュークは言った。
「そう・・・私の名前はレイ・アマリアスよ」
そして手を差し出す。
「よろしく」
ジュークとベリスは顔を見合わせる。
「よろしく!」
そして、満面の笑顔で同時に差し出された手を握った。
「さあ、御三家方の友情も深まったところで、飯にしますか」
そう言いながらベリスは器に次々と鍋からシチューを注いでいく。
「大体分かるんだが・・・」
ジュークは器を受け取りながら尋ねる。
「お前、鍋とか野菜とかどっから調達してきた?」
「盗ってきたよ」
ジュークは思いっきりため息をつく。
「そうだと思ったよ・・・」
そして呟く
「だってよ、どうせ門が閉まったら帰れないんだぜ?野宿は必死だろ」
ベリスは眠っているダチョウの背に詰まれた幾つ物ナップザックを指して言う。
「勿論毛布とかもあるから安心だぜ」
―手際いいな、お前
ジュークがそう言おうとすると
「ん?このスープ結構美味しいわね?」
レイが感嘆の声を上げる。
それを聞いて、ジュークもスプーンですくってみた―
「ん?確かにうまいな」
そしてジュークも声を上げた。
「そうだろ?やっぱさすが俺!」
その2人を見てベリスは自慢げに胸をはる。
「なんでこんなに料理が得意なんだ?」
「んー?」
ベリスはジュークの質問に答える。
「それは、やっぱり―盗んだだけじゃ加工されちゃいないし、生で齧っても不味いからな―自然とうまくなっていったんだよ」
「ああ、納得」
少し落胆した声で言うと、ジュークは再びスープを飲むのに専念する。
「ん?今馬鹿にしたな!」
ベリスはジュークの後ろに回りこむとその首に右腕を回す。
「う!馬鹿になんかしてねーよ!」
ジュークは苦しさのあまり、しかしスープの器を放さないように手をじたばたと振り回す。
「いや、今の口調は絶対に馬鹿にしてた―子供の勘をなめんなよ!」
「それはお前の勝手な想像―ぐふぅ!」
少女は2人のじゃれ合うその様子を見て、微笑を浮かべた。
そんなこんなで、夜は更けていった―


毛布に包まれ、ジュークとベリスの二人が眠る中―レイは1人起き上がり、離れた場所に腰を下ろした。
そして、ベルトに挟んで差してある黒塗りの鞘から刀を取り出し、空に捧げ持つ
刀の鏡のような側面には、赤い月と白い月が映る。
「―眠れないのか」
そして突然声が掛かった。
刀を鞘に戻しながら、レイはジュークの方に向く。
「ええ、少し―」
レイの横にジュークは並んで腰掛ける。そして尋ねた。
「月を壊すって、どういうことだ?」
レイが驚いたようにジュークの横顔を見つめる。
「俺もそれが気になってさ―ぜひ、聞かせて欲しいね」
「話せないの」
今度はジュークがレイの方に向き直る―その顔は、どこか悲しさを称えていた。
「月を壊す、ただそれだけよ」
ふーん、とつまらなさそうにジュークは鼻を鳴らす。
「まあ」
そして白い月を見上げながら言った。
「まあ、言えない事情もあるだろうよ」
「本当はね」
レイは立ち上がりながら言う。
「今も、あなた達から別れようと思っていたの」
だけど、とレイ
「ひとつ質問してから、それから去ろうと思ったの」
「質問って?」
ジュークは立ち上がり、そして尋ねる。
「”私の目的は話せない。それでも、一緒に付いてきてくれる?”」
レイはそれだけ言うと、寂しく笑みを浮かべる。
「無理よね・・・目的の無い旅になんてついてくれるはずが無いわね・・・」
「いいぜ」
ベリスが答えた。
「お、お前」
「2人のデート邪魔しちゃって悪いな」
言葉とは裏腹に、たして悪気も無さそうに言った。
「ただ、目が覚めちゃってな」
「今の言葉、本当なの?」
レイは尋ねる。
「ああ、本当さ」
そんでもって、と
「邪魔しかできねえけど、それでもいいならあんたについてくぜ」
「俺も」
ジュークが言う。
「俺も、あんたについていく」
それらを聞いたレイは、驚いた表情浮かべ、そしてすぐに顔をほころばせて言った。
「ありがとう―2人とも」


―転章・マルス砂漠にて

砂の大地の上に、2人の少年と1匹、そして1人の少女がいた
少年達は、ダチョウに跨りその上から少女に声を掛けた
少女はそれに答えるように、微笑み、そしてダチョウへと跨った
三人を乗せたダチョウは駆け出す
果てしない砂の大地を
朝日に向かって

ダチョウは足を前に前にと突き出して砂を踏みしめながら進んでいっていた
背中で揺られながら、三人はその上にいた
「ベリコレル湖に向うわ」
レイは言った
「ベリコレル湖か・・・」
ジュークは頭を掻き揚げる
「なるべく、早くがいいわ―そうね、収穫祭が終わる頃までには」
レイが言う
「ベリコレルまで、結構な距離だ。鉄道だったら3日だけど」
「じゃあ、列車盗もうぜ」
ベリスは手綱を握り、後ろに振り向きながら言った
「却下」
ジュークが静かに言う
「えー」
「えー、じゃなかろうも。えー、じゃあ。これ以上罪を増やしてどうする」
「じゃあ」
レイが人差し指を上げて宣言する
「借りる、ってのは駄目かしら?」
「・・・あんたもか」
ジュークが諦めてため息をつく
「どっちも駄目だ」
とりあえず、と
「駅から鉄道に乗って、そこからベリコレルに向かおう」

―マルス砂漠、第34番駅

広大な砂漠を跨ぐ線路の脇、その駅はあった
駅といっても駅員はいない、いわゆる無人駅である。構内には、申し訳程度に水のタンクや石炭庫が置かれているだけだった
その簡単な日除けのためのトタンでできた屋根を支えるポールにダチョウの手綱を結びつけ、その下のベンチにレイとベリスは腰掛けていた
少し離れた場所では、ジュークと老人が話していた
「はぁ?列車は昨日出発したばかりだって?」
ジュークは声を上げた
「まあ、若人よ。そう声を上げるではない。行ってしまったものは行ってしまったのだ。諦めるが良い」
老人は人差し指を振りながら宥めるように言う
「次の列車は明後日じゃの」
老人はそれだけ言い残すと、そのまま去っていった。ジュークは仕方なく、肩を下げ、そして二人の元に戻る
「列車は、明後日しかないないらしい」
「それじゃあ」
レイが残念そうに言った
「収穫祭の終わる頃までには辿り着けないわね」
そしてベイスが声を上げる
「やっぱ列車をチャーターしようぜ!」
「馬鹿、チャーターも何も来るもんが来ないと意味無いぞ」
あ、そうかと小さく呟くと、ベイスは頭を抱え込む
「とりあえず」
ダチョウでいけるとこまでいくか、と言おうとした次の瞬間―その声は、突然聞こえてきた汽笛に掻き消された

「ん?」
ジュークは線路の向こうにやってくる影に目を凝らす
「なんだ、列車きてるじゃん」
ベリスもその影を確認して言った
「いや―あれは」
大きくなってくるその影―それは、いやに角張った列車だった
「いや、あれは装甲列車だ」
「装甲列車?」
レイが尋ねる
「軍用の武装した列車だ―有事でもないのにどうしてここを?」
「移送してんじゃねえの?」
「移送なら―遠回りだけど軍用の特別ルートを使う。一般の線路は使わないはずなのに」
そんな会話を交わしてるうちに、装甲列車は駅のプラットホームに横付けして止まった
そして、ハッチを開いて二人の男が出てくる。一人は制服に身を包み、もう1人は銃で武装し、さらにヘルメットを被っていた
男たちは給水管のホースを列車に繋ぐと、そのままバルブを捻って給水を開始する
「なんか妙だ」
その様子をみてジュークは呟く
「なんで、普通の給水じゃん」
「普通の給水なら、わざわざ銃で武装する事もないし」
そして列車の上に備え付けられた銃塔を指でさす
「わざわざ二人を狙う事も無いだろう」
確かに、銃塔の機関銃の銃口は二人の方向に向けられていた
「要は」
レイが言う
「私達が借りる前に借りられちゃったってことでしょ?」
「その言い方はちょっと・・・」
ジュークはため息をつく
「とりあえず、そうかもしれない・・・」
そう言った後、男たちは再び列車の中に戻った。そして、ハッチが閉まると同時に装甲列車は汽笛を鳴らして再び走り始めた
「それじゃあ、行きましょうか」
レイはベンチから立ち上がる
「へ?」
「私はね」
レイは、疑問符を浮かべる2人に言い放った
「派手な事が好きなのよ」

「こんな事をしても無駄だ」
両腕をあげて列車内の通路を進みながら短い茶髪の若い制服の男は言った
「・・・・・・」
ヘルメットを被り、茶髪の男の背中に緩くカーブした弾装がついた小銃を押し付けたまま、男は黙っていた
「今なら、まだ間に合う・・・だから」
「だから?」
ヘルメットの男は銃をさらに強く押し付ける
「ぐだぐだ言っていないで、お前はさっさと歩けばいい」
茶髪の男は諦めたようにため息をつき、それっきり黙りこんだ


家具らしき家具も無い部屋の中、床に胡座をかいた作業用のズボンに黒の機関士ようの黒ジャケットを着込んだ短い黒髪の女性は背伸びして欠伸をする
そんな時、その部屋のスライド式の扉―鋼鉄製のそれが開かれて、茶髪の男が入ってきた
そして、ふたたび扉は閉められる
「ご苦労さん」
隣に同じく胡座をかいて座る男に女性は声を掛ける
「少尉さんよ、俺達どうなるんだ?」
茶髪の男は胸ポケットからタバコの詰まった紙箱を取り出してその中から一本取り出して口にくわえて言った
「さあ」
女性は壁にもたれかかりがら言う
「なるようになるわよ」
「なるようになるね・・・」
男はライターを取り出し、そしてタバコに火をつける
そして、煙を口から溜め息と共に吐き出した
「あんたと組んでからろくな事ねえな・・・」
それを聞いて女性はこめかみに青筋をたてる
「それはあたしのセリフよ!あんたと組んでろくな事ないわ!」
茶髪の男もそれを聞いて切れる
「なにぃ!それって五年間組んでる相棒に対して言う事か?」
「あんたこそ!大体何でアンタと五年も組んでるかってのが不思議だわ」
「何だと!」
「何よ!」
そして2人のお腹も文句を言う
「はぁ〜」
同時にため息をつく
「とりあえず・・・怒鳴る事に体力消耗しきって死んだら元も子もないわね」
「そうだな・・・」
2人の意見は統一された

「御かしら、男はしっかりと牢獄に戻しました」
ヘルメットを被った男が銃を床に投げ捨てながら言った
「わかった」
通信装置の前の席に腰掛けながら、口ひげを生やした男―御かしらは大きく頷く
「しかし、ラッキーでしたね」
ヘルメットを被った男が言う
「まさか、軍用の装甲列車に護衛なし、そのうえ乗ってる兵士が2人だけって」
「そうだな」
御かしらは後ろに目を見やる―銃塔から外の様子を伺う男がいた
「俺達はラッキーだった」
確かに、その時まではラッキーだった。

「ん?」
銃塔の狭い覗き穴から男は列車の後方に追い上げてくる何かを確認した
やがて砂埃を立てて走ってくるそれは複数の人間が跨ったダチョウである事に気付いた
そして、首を捻りながらも男は警報装置のベルを押した

列車全体に響き渡るベルの音に女性と茶髪の男は驚く
「て、敵襲だ!」
男は慌てて起き上がって壁に頭をぶつけて転げ回る
「いや、違うわよ」
「は?」
頭を抑えたままの男に女性は嬉しさをたたえて言った
「この場合―味方がきたのよ」

「側面につけて!」
毛布をマントのように上半身に纏ったレイはダチョウから半ば立ち上がりながら叫ぶ
「あいよ!」
威勢良く返事をしながら、ベリスは徐々に走る列車に追いついてくるとその側面に徐々に近づいていった
そして、伸ばせば最後尾の梯子に手が届きそうな距離にまで近づいたところでレイはそれに飛びついた。
「よ!」
そして声を軽く上げると右手の反発だけで列車の屋根に登りあがった
―男はその様子を銃塔の窓越しに見ていた

男は機関銃の装填レバーを回す。弾が巻き取られ、装填部に入る―いつでも撃てる状態だ
『早く撃て!』
スピーカー越しに御かしらが叫ぶ―そういわれなくても、男は撃つ気満々だった
そして、マントを纏った人影に照準を合わせ、引き金の人差し指が掛かった瞬間―列車の屋根の上に立ったレイは毛布を右手で脱いだ
「!?」
男は目を見開いた。マントの下に現れたのが、少女だったからだ―その一瞬の躊躇が、男の悲運を招いた。レイはマントを左手に持ち替えると右手で鞘から刀を抜き出す―そして駆け出した。男は条件反射で引き金を引く。銃口にフラッシュが連続で焚かれ、その度に鉛の銃弾が発射され、床には金色の薬莢が転がっていった
男がようやく引き金から人差し指を放した後、穴だらけになった毛布が風に流されていくのを見た
『殺ったか?』
男は御かしらのその言葉に答えず、必死に死体を探す―が見つからない。
―落ちたのか?
男はそう思った

銃塔に回り込んだレイは、刀を銃塔のハッチの隙間に何回も差し込み、そして入り込んだ瞬間に、一気に刀を持ち上げた。金属のへしゃげる音を出してハッチが壊れる。取れたハッチは転がりながら列車の屋根から落ちていった。そして、無くなったそこに現れた驚愕した男の顔にレイは拳を叩き込む。男はそのまま列車の床に転げ落ちた
「このガキ」
立ち上がろうとした男の顔に今度は蹴りがはいる。さすがに男は気絶して床に倒れ伏した
『おい、何があった!?』
スピーカー越しに聞こえてくる声に、マイクを取ってレイは言った
「ええ、非常事態よ」

「くそ!」
壁にマイクを叩きつけながら御かしらは悪態をつく
「全員後部に向かえ!」
そして、部屋の中でおろおろとしている部下に大声で命令した

銃塔から散発的に射撃が開始される
銃弾の雨が降り注ぐ中、2人を乗せたダチョウは立ち上った砂埃に砂塗れになりながらも走り続ける
「ひゃっほう!盛り上がってきたね!」
ベリスは手綱を操りながら声を上げる
「盛り上がんなくていい・・・」
ジュークは小さく呟く
「それよりも、列車の後ろにつけろ。このままじゃ撃たれる」
「あいよ!」
ベリスは銃弾の雨を避けるようにスピードを落として、列車の後ろにつける
そしてジュークはダチョウから手を伸ばして梯子に手をかけた。そして、さらに列車後部のドアに飛び移ろうとして―バン!!
突然開かれた扉の下敷きになった
顔をバンダナで覆い隠した男はベリスの跨ったダチョウを確認すると小銃を構え―そして戻ってきた扉にノックアウトされた
ジュークは扉を乗り越え、そして車内に入る
「ナイス!おっさん」
ベリスは親指を立ててグーサインを作る
鼻を押さえながらも、ジュークもそれに答えて親指を立てた

レイは列車の通路を走る。2両目に差し掛かったところで、こちらに駆けてくる足音に気付いた。レイは都合よくあったスライド式の扉を開くと、その中の部屋に身を隠した
そして扉に耳を欹てていた、その時
「あの〜」
突然、レイに掛けられる声があった
振り返ると、そこに軍服に身を包んだ壁に寄りかかって座る男女の姿があった
「何?もしかして、あなた達ってこの列車の操縦士?」
「まあ、そんなところね」
女の方が言う
「そう」
レイはそう言うと
「じゃあ、ここで待ってて。危険だから」
「いや、あの」
レイが扉に手をかけようとして、男が言った
「この部屋の扉は、内側から開けれないんだ・・・」
「・・・」
部屋に沈黙が訪れた

「はぁ」
男女の隣に並んで座りながら、レイは溜め息をついた
「ねえ」
女性が尋ねる
「あなたって私達を助けに来てくれたの?」
「ええ」
「嘘ね」
レイの答えに、女性はキッパリと否定する
「制服着てないし、それに今時刀で乗り込んでくるなんて聞いた事無いわ―本当はどうなの?」
レイは少し戸惑って諦めたように、それでも遠まわしに言った
「ちょっと、この列車を拝借しようと思って」
「ああ―そう」
男女は同時に頷く。レイは驚いた表情を作った
「驚かないの?」
「あんたが先客じゃねえからな」
男は火のついてないタバコをくわえながら言う
「それに」
男は少女の顔を横目で見ながらいう
「あんた、結構美人になりそうだからな」
それを聞いて女性は怪訝な表情を作る
「ちょっと、何よそれ」
「何よって―この娘だった乗せていっても構わないかなって話だよ」
「それって不純よ、不純」
男と女は同時にキッなる
「何でだよ!」
「そうじゃないの!」
レイはその様子と見て微笑みを浮かべる
「仲良し、なのね」
そしてレイは言った。それを聞いた男女は不思議そうにお互いの顔を見合わせ同時に言った
「誰がこいつと」
そして、バツが悪そうに互いに顔をそっぽ向く。その時だった
ドアの外が急に騒がしくなる。銃声が響く―
「ひぃ」
すると、扉が開いて一人の少年―ジュークが飛び込んできた
「あ!」
男と女が同時に閉まりゆく扉を見て声を上げた
レイは慌てて立ち上がると右手に刀を持って刀を扉の隙間目掛けて突き入れた
金属同士がぶつかり合って甲高い音を出す―寸分の差で、レイが扉の隙間に刀が入った
「助かったわ・・・」
「急になんだよ!」
声を上げるジュークの方を向く―その顔には一筋の赤い切れ目が入っていた
「後もう少しずれてたら俺の顔に刺さっていたぞ!」
「ずれていたらの話でしょ?」
「そーいう問題じゃなくてな・・・ん?」
ジュークは室内の中で安堵の息を吐く男女2人の姿に気付いた
「あの・・・どちら様で?」
そして尋ねる
「説明してる暇は無いわ」
レイはそう一喝すると挟まれた刀によってできた扉の隙間に指を入れる
「とりあえず、パーティーの始まりよ」
そして一気に腕を引くと、開いた扉から銃弾が降り注いで壁に無数の穴を作った

「殺ったか?」
硝煙の立ち昇る小銃を構えたヘルメットの男は仲間の尋ねに答えず、無数の穴の開いた壁を見つめる
そして、中に入ろうとした次の刹那―
「!?」
男の構えている小銃の銃身をレイは握るとそのまま部屋の方向に引っ張る
銃を放すまいと握った男はそのまま部屋の中に連れ込まれる。そしてレイはその男の首に左腕を回すと、右手の刀の切っ先をその首に押し付ける
「ひ!ひぃ!」
「生きたかったら、大人しくしてなさい」
悲鳴を上げる男に、レイは冷たく言う。そしてこちらに銃口を向ける男の仲間に言い放つ
「仲間が惜しかったら、そのままで。動かないで」
「頼む!動かないで!」
半ば擦れた声で男は言う
仲間はその男のうったえに怯みながらも、それでも銃口を向けたまま銃を構えている
「そう・・・それでいいの」
レイは小さく呟くと、男から手を放し男達の方向に投げつける。男達は一瞬怯む
「くそ!」
気が抜けた男を払うように通路の脇にどけると、男達は慌てて銃をレイに向ける―しかし、そこにレイの姿は無かった
「ここよ」
呼びかけに、男達は顔を上げる―レイは壁に通されたパイプに掴まっていた
男の1人はは慌てて天井に銃口を向けるが、下りてきたレイの足に蹴られて通路に転がった
もう1人の男は照準を付けようとして、下から上に切上げられたレイの刀に銃を弾かれる。その間にレイは一気に間合いを詰めると男の首に刀を押し付けた
「ひぃ」
男は小さく悲鳴を上げて銃を落とすと、そのまま両手を上げる
「強い・・・」
その様子を見て、扉の影からジュークと男女は同時に呟く
「ほら、ぼさっとしてないで武器を取って」
レイは三人に言いながら、男の鳩尾に左腕の拳を叩き込むとその痛みに前かがみになった所を手で頭を押さえ、そして膝との間に挟んで気絶させた

男女はそれぞれ気絶した男の手から銃を拾う
「あんたって、凄腕の剣士なのか?」
男は弾がしっかり装填されていることを確かめながら尋ねる
「近衛兵から逃げられるぐらい凄腕だよ」
レイが答えるよりも早く、ジュークが答える
「こ、近衛兵に追われてるの、あなたたち」
女性が聞くと、レイは言う
「まあ、私だけだけどね」
「そういえば」
ジュークが話題を変えるように男女に尋ねる
「あんたたちって誰なんだ?あなたの方が少尉で、あんたのほうが三等でことは分かるけど」
ジュークは2人の詰襟の階級章を見て言った
「あー?お前って軍人か?」
男が驚いたように声を上げる
「ああ―一応三等だけど」
あら、と女性が声を上げる
「見習いなさいよ、パック。あんたもうこの歳にもなってまだ三等?」
「あんたと組んでるからなかなか昇進できないんだよ・・・」
「何よ!」
「そうだろうが!」
「あの・・・」
ジュークは自分を尻目に口喧嘩を始める2人におずおずと声をかける
「何よ?」
「何だよ!」
「と、とりあえず名前は?」
ああ、と男性が頷いて答える
「俺の名前はパック・イラスだ」
「私はカーニン・ジョシよ。よろしく」
そして女性は笑顔で答えた
「ジューク・ハルゼイ・・・」
「私はレイ・アマリアス・・・さあ、一通り自己紹介が終わった所で」
レイは鞘に戻しながら言った
「パーティーの再開をしましょうか?」

「後部からの音信が次々と途絶えていってます!」
その報告を聞いて御かしらは壁を思いっきり叩いた
「くそ!一体何がどうなってる!」
そして、おろおろしている部下に向かって言い放った
「ここを最後の砦に構えるぞ!背水の陣だ!」

「変ねえ」
通路を駆け抜けながらレイは首を傾げる
「何が?」
すぐ前を走るジュークが尋ねる
「敵がいないってことよ」
そしてさらに前を走るパックとカーニンに尋ねる
「襲われた時、相手の人数ってどれくらいだった?」
「確か・・・」
パックが答える
「10人ぐらいだったかな?」
レイは
「今までに私は4人倒したから・・・」
「俺も1人倒したぞ」
ジュークも負けじという
じゃあ、とカーニン
「残り5人っていたところね?」
「そういうことになるわね」レイが同意する
そんなやり取りをしてる内に機関室と黒文字で書かれた扉が見えてくる
「それじゃあ!突撃しましょうか!」
「あ・・・」
レイが何か言おうとする前に、カーニンは扉を開いた
部屋には自分達に向けられる銃口の数々があった
「ああ、やっぱり」
硬直する3人を見て、レイは嘆息した

列車の床が音を立てて開く
「ふぅ〜窮屈だな」
金属板を両手で持ち上げてベリスが顔を出し、そして通路の見渡して誰もいないことを確認した
「レイ達はもう列車奪還したのかな?」
そして前の方から足音が響いてくるのに気付き、慌てて潜りなおした
「全くとんだ騒ぎだったな」
低い声―レイ達ではないことは確実だった
「ほんと、ほんと」
もう1つの低い声が同意した
「とりあえず、後ろで寝ている奴らを起こしにいくか」
「まったく、弱い連中だぜ・・・」
2つの声は段々と遠のいていった
「レイ達、捕まちゃったのか・・・」
そう呟き、そして手を握り締めて言った
「こういう時こそ、俺の出番だよな!」
そして、再び床を持ち上げた次の瞬間
走ってきた男がベリスが持ち上げた金属板を踏みつけた
男はそのまま気づかずに去っていく
「痛てぇ・・・」
狭い床の中、ベリスは頭を抱え蹲った

「はぁ〜」
ロープで後ろに両手を縛られたレイは溜め息をついた
「結局、状況が悪化しただけだな・・・」
同じく縛られたジュークが呟く
「大体、お前が無鉄砲に扉を開けるからいけないんだぜ?」
パックが言う
「何よ!あんただって止めなかったじゃない!」
レイが言い返す
「人に責任なすりつけんな!」
「別にいいじゃない!」
「うるさい!」
男は小銃を振り回す
「お前ら、人質なら人質らしくしてろ!」
男に一喝されて、パックとカーニンは口を噤んだ
「たく・・・」
悪態をつくこの男と男達が御かしらと呼ぶ男、そして残りに1人いた
「とりあえず・・・このままじゃどうしようにもないな・・・ん?」
ジュークは自分の下の床が動いてる事に気付いた。少し腰を浮かすと、僅かに床板が開き―そこにベリスの顔が現れた。
「なんだ、おっさんか」
「お、お前どこから」
残念そうに呟くベリスにジュークは小声で尋ねる
「床下を通ってきたんだよ。しゃあねえ、あんたでもいいから縄解いてやるよ」
そう言うとベリスは隙間から両腕を出し、ジュークの縄の結び目を解こうとするジュークはそれが男達に見えないように体を反らして隠す
「ん?どうした?」
そのジュークの不可解な動きに男が怪訝気に尋ねる
「ちょ、ちょっと背中が痒くて・・・」
ジュークは何とかそれだけ言って誤魔化す
「早く、早く解けよ」
そしてベリスに小声で急かした
「うるさいな、もうすぐ解ける・・・よし!」
縄が緩み、両手の自由が利くようになる
「ナイスだ!ベリス!」
ジュークは立ち上がった
その行動に車内の全員が驚く
男たちは慌ててジュークに銃口を突きつける
「あ」
ジュークは自分の取った行動に後悔していた時、車内に暗闇が訪れた

「!トンネルか」
男の1人が叫ぶ。そして誰かが引き金を引き―車内に銃声が響く
それに驚きジュークは慌てて床に伏せる―反対に、レイは足だけの力で立ち上がった。そして、レイは暗闇の中、1人の男のわき腹に蹴りを入れる。男は短く悲鳴を上げると前に倒れこむ瞬間に顔にレイのつま先が食い込み後ろ向きに倒れた
「撃つな!同士討ちになるぞ!」
男はそう叫んだ瞬間―レイの足払いを受け列車の床と接吻を交わす
「くそ!慌てるな!急げ!」
突発的な出来事に支離滅裂な言葉を叫ぶ御かしらに、レイは回し蹴りを食らわした。御かしらはそのまま勢いで壁とレイの足に挟まれて悶絶した
再び列車がトンネルから出たとき、列車の中には床に呆然と立ち尽くすジュークと床に倒れ伏した三人の男、そして両腕をロープで結ばれたまま立っているレイの姿があった
ベリスは何が起きたか分からなかったが、とりあえずジュークの仕業ではない事は理解していた。
「な、何があった?」
そして、狼狽しているジュークに言った
「おっさん、情けないな・・・」

列車は車輪とレールの鉄が擦りあう音をたてて止った。一匹走っていたダチョウもそれに合わせて止った

「何とか、列車は奪還したわね」
カーニンは、ロープで縛られて床に蹲った男達を見て言った。御かしらが捕まった後、男たちはあっさりとレイ達に御用となった
「まったく、手間かかせやがって・・・でも」
パックは扉を閉じながら言った
「もう騒ぎの種は収まったから、いいか」
そして堅い金属音が響き扉が閉まった
「あの・・・御かしら・・・」
そして男はおずおずと御かしらに尋ねる
「何だ」
御かしらは不機嫌そうに聞き返す
「このダチョウって・・・何なんでしょうね?」
御かしらは傍らには眠るダチョウの羽毛に揉まれながら、憮然と言った
「・・・知るか」

「ベリコレル湖に向かってほしいの?」
カーニンは上半身の制服を脱ぎ、白シャツ姿で機関をスパナを片手に整備しながらレイの尋ねに反応する
「ええ―駄目かしら?」
「良いわよ、行ってあげる」
あっさりとカーニンは了承した
「本当にいいの?」
「ああ、あんた達には礼があるからな」
再び尋ねるレイに、同じくシャツ姿で整備するパックが同意する
「でも―ベリコレル湖方面の路線は封鎖されているんだ」
「封鎖?どうして?」
ジュークが聞き返す
「さあ、な。俺達はそこの封鎖を強化するために派遣されてた途中なんだよ」
肩をすくめながら、パックは言った
「―何とかして、そこを通れないかしら?」
「無理ね―使用済みでも秘匿文章用の紙があれば何とかなるかもしれないかも―」
そしたら、と
「偽造が出来るのにね―」
禁止行為を平然とカーニンが言ってのけた、次の瞬間ジュークは慌てて服の裾から1つの紙から引っ張り上げた
その手には、1枚の紙が握られていた―メビリアウス王家紋章の印刷された
「あら、あんた持ってたの?」
「こ、これで駄目なんでしょうか?」
ジュークからカーニンはそれを引っ手繰るとポケットの中から真鍮製の枠にはまった水晶玉越しに翳しみた
「いいわ―ちょっと、くしゃってるけど」
そして、笑みを浮かべて言った

まだ、高く昇る日によってできた列車の陰にジュークとレイ、そしてベリスの姿があった
「書類を偽造とは―なかなかの荒くれ者だな、あの人」
砂の上に、胡座で座りながらジュークが呟く
「そうね」
列車に寄りかかってレイが
「俺より悪だな」
そしてジュークも同意する
「でも」
レイが言う
「もし、ばれたらあの人たちに迷惑が掛からないかしら―」
「今さら何言ってんだよ」
レイの発言にベリスが言った
「だって、レイのやろうとしてる事はどうしても迷惑の掛かる事なんだろ―そしたら、その目的をちゃんと成し遂げさえすれば、迷惑だって忘れるよ」
レイはそれを聞きながら驚きの表情を作っていたが
「ええ―そうね」
レイは微笑を浮かべると、ジュークとベリスに言った
「あなた達にも迷惑をかけていくかもしれないけれど―それでもよろしくね、2人とも」
「うん」
「どうってこと無いさ!」
ジュークとベリスは元気良く答えた
「出発の準備、できたわよ!」
カーニンがそんな3人に大声で呼びかけた
「さあ、行くか」
ジュークは立ち上がりながら言った

「うぇ、臭い」
機関室に入って、ベリスは異臭に思わず鼻を摘んだ
「何の臭いです?少尉」
ジュークが尋ねる
「あら、普通にカーニンで良いわよ―これはね、書類の文字を落とすための薬品の臭いよ―まだしばらくは匂ってるわね」
カーニンは気にしていないのか、何でもないことのように言った
「で、こっちは新しく作り直した書類よ」
そして、右手に握った紙を三人に見せる―そこには、何も書かれていなかった
「何も書かれていないけど」
「ああ、これは」
ジュークは疑問符を浮かべるレイに真鍮製の枠にはまった水晶玉を書類に翳して言った
「この“眼”を通さなきゃ見えないんだ」
そして、水晶玉に文字が浮かび上がって見える
「そうなの・・・」
レイはそれをまじまじと見つめながら感嘆した
「でも、この内容って」
ジュークがカーニンに尋ねる
「カーニンさん、“通信将校ヲ『ベリコレル湖』マデ護送故ニ”・・・通信将校って誰の事なんですか?」
「もちろん決まってるじゃない」
カーニンは右から順にベリス、レイ、そしてジュークを指して言った
「あなた達がなるのよ」
三人は一斉に疑問符を浮かべた

「なるほど・・・」
列車の一角に設置された将校用の待機所の中で、ジュークは目の前の様々な階級の制服が収められたクローゼットを見つめながら呟いた
着ている服は簡素な布の服ではなく、通信士を表す“雷”のワッペンの付いた詰襟、暗い緑色の制服に身を包んでいた―その襟の階級は中尉を示していた
「結構窮屈ね」
ジュークと同じ階級と制服に身を包んだレイ、その腰にはベルトに無造作に差し込んで鞘が下がっていた
「これ、サイズに合ってないぜ・・・」
余った裾を、無理矢理ベルトで縛った制服を着込んだベリス
「ふふ、これで通信将校3人―完成ね」
カーニンは満足そうに3人を見て呟いた
「ばれませんかね・・・」
ジュークが呟く
「検査で話し掛けられても、黙っとくか適当に“貴様に答える義務は無い”と言っておけば大丈夫よ」
それじゃあ、と3人に手を振るとカーニンは部屋のドアに手を掛けた
「あ、ギュースで一旦停車するわ―着くのは多分夕方になるから。それから1日近く休息をとるから」
そう言い残すと、カーニンは部屋から出た
「ギュースね・・・」
レイは小さく呟いた
「ん?ギュースに何かあるのか?」
ジュークが尋ねると
「いや、この刀をね・・・」
レイは鞘から刀を取り出した―刃の部分が所々欠けていた
「打ち直すところが丁度あるから、そこに寄ろうと思って・・・」
ジュークは成るほど、と頷いた
「それに」
レイは小さく呟いた
「どうせ、最後だから・・・」
「え?」
ジュークは思わず聞き返すと、レイは微笑む
「大丈夫、何でもないわ」
そう言うものの、浮かべる微笑みはどこか寂しげだった
それから辿り着くまで、3人は黙って部屋の中で過ごした


2004-02-09 20:47:05公開 / 作者:ヤブサメ
■この作品の著作権はヤブサメさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ようやく最後に向けて話が進んできたのですが―何分、行き当たりばったりで書いているのでこれからの展開は本人にも良く分かりません(汗
まあ、それでも最後まで書き上げたいと思いますので、どうかよろしくお願いします
この作品に対する感想 - 昇順
キャラクターも生き生きしてて、設定も素敵な感じだし、よかったです★これからの展開が楽しみデス。。
2004-02-01 14:44:49【★★★★☆】黒子
設定がしっかりしていらっしゃるのでしょうね。ありありと目に浮かびます。それからレイ。カッコイイですね! 文章もテンポが良くて読みやすいです。月を壊す・・・気になる所ですねぇ。
2004-02-01 18:38:23【★★★★☆】月城里菜
リアルさがすごく伝わってきます!ちょっと面白い文章が好きです〜
2004-02-05 22:15:21【★★★★☆】葉瀬 潤
長らく―といより、アクセス制限がようやく解けたので改めてアップしました
2004-02-07 21:13:39【☆☆☆☆☆】ヤブサメ
迫力あるアクションが面白いです!パックとカーニンという新しいキャラもでてきて、本当に目が離せません!!
2004-02-07 22:02:41【★★★★☆】葉瀬 潤
カーニンさんのキャラ最高です!書類を偽造とは、やりますね〜!読んでいると、三人の絆が少しずつ強くなってきているように感じます!早く続きが読みたいです!
2004-02-09 23:02:41【★★★★☆】葉瀬 潤
まだ途中までなのですが、読ませていただきました。私の好きな感じのお話なので、楽しく読んでます。文章の最後に「。」のないものがいくつか見られましたが、お付けになった方がよろしいかと思います。続きも楽しみにしていますので、頑張って書いていってください。
2004-02-10 23:47:52【☆☆☆☆☆】エテナ
アクションの表現が上手いですね! これからも頑張ってください!
2004-02-11 19:36:24【★★★★☆】水柳
計:24点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。