『ある小説家とその弟子』作者:COYN / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約1.82枚
 男、テーブルの本を手に取り、そっと開く。
 数ページめくり、閉じる。
 そして……ため息。
 数分後、小さく頭を振り、先ほどよりいくらか重くなった本のページをめくる。
「……うう」
 紙が水滴を吸い込み、文字が滲んでいく。
 男はもはや字など読めない状態であるが、その本を読む分にはまるで問題がない様子だ。
 内容を、一字一句違わず覚えているかのように。
 やがて、男は再び本を閉じる。
 少しの間を挟み、机の向こうに向かって、話し始める。
「……とてもいい話ですね。あ、いや――こんな言い方だと良くないな。なんだかお世辞みたいで。私が読んだ中では最高の話でしたよ」
 男は、真っ赤になった顔を拭う。
「どうしたらこんな話が書けるんです? これは、この本は、私の目標そのものだと言っていい。目標……しかし、実際にこの目で読めるとは思いませんでしたけれど」
 テーブルに、本を乱暴に放り投げる。
 男の目に映る者が、微かにうなずく。だが、それだけだ。
 男が続ける。
「この本を読んで、それからというもの、私は全く小説が書けなくなってしまいました。今まで私が書いてきたものは何だったのか……そればかり考えています。貴方は私を飲み込んでしまいましたよ。圧倒的に、手遅れな程に」
 男、再びため息をつく。
「やはり、間違いだったんですよ」
 そして男はまた、本を手に取る。
 目を瞑りながら、そして小刻みに震えながらページをめくっていく。
 しばらくして……やっとの思いで、男は呟く。
「貴方が私の弟子だったのは」
 
 机の向こうで、微かに花が揺れている。
 時間が止まった部屋の中で、男は一人、泣いている。
2004-01-09 21:47:20公開 / 作者:COYN
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■作者からのメッセージ
はじめましてー。
長い長いスランプ中に、何か知らんけど、つまらんSSを書いてみました。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございます。さぞ苦痛だったことでしょう。
…オチよえぇぇぇぇ!!
つまんねえぇぇぇぇ!!
この作品に対する感想 - 昇順
レスが付かないところを見ると、つまらなさ過ぎたということでしょうか…。お目汚し失礼しました、出直してきます…(T_T)
2004-01-12 01:07:05【☆☆☆☆☆】COYN
えッ、続きを載せないんですか?てっきり連載ものだと…。えーと、これだけでは感想を述べるのは難しいデス。
2004-01-15 15:09:44【☆☆☆☆☆】K伸
作者さん自身、わかっていらっしゃいますね。SSとしては、致命的と言えるほどオチが弱いです。
2004-01-16 00:58:31【★★☆☆☆】黒男
はい、これで完結なんです。そうですよね、オチ自体分かりにくいでしょうし…。SSの才能はないと自覚しました。次回はちょっと長めのファンタジー系を書こうと思っています。そちらの方も読んでいただけたら幸いです。K伸さん、黒男さん、感想ありがとうございました。
2004-01-16 05:28:35【☆☆☆☆☆】COYN
計:2点
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