『桃と桜・・・1☆』作者:sarina / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約3.58枚
桃と桜
桃と桜は仲の良い姉妹だった。
桃は生まれつき体が丈夫ではなかった。
桜は対照的にスポーツ万能の健康少女。
桃は24歳、桜は17歳だった。
桃は近くの図書館に勤めていた。
朝9時から夕方5時まで働いていた。
桃の仕事は図書館の司書。いつも心優しく、本の事をよく知っている桃は、人気者だった。
一方、桜は近くの公立高校の二年生だった。
クラブはテニス部、真っ黒に日焼けをした肌がまぶしい元気いっぱいの女の子だ。

季節は秋。
桜はいつものように、クラブでひとあせ流し、帰路についていた。
肌寒い季節だったので心なしか桜の足もはやくなる。公園の時計は5時30分をさしていた。桜は、この時間ならばまだ桃が働く図書館に行けば桃の帰りに追いつくかも知れないと思った。桃と一緒に帰るといつも近くの喫茶店でコーヒーをごちそうしてくれる。桜は桃とすごすこの時間がとても好きだった、桜は小走りで図書館に向かった。

桃は図書館にいた。蔵書の整理が終わらず、定時で上がれずにいたので、桜の顔を見て、
にっこり微笑み、「桜ちゃん〜手伝って〜。」と声を掛けてきた。
桜は、桃のそばへ行き、整理を手伝った。「桃ちゃん、疲れてない?」桜は桃のことをいつもこうして気遣っている。桃もまた桜の気遣いが分かるので、「大丈夫だよ。」と言う。
整理が終わって、図書館を出るとあたりはすっかり暗くなっていた。
「桜ちゃん、今日はもう帰ろうか?おかあさんが心配するといけないから。」と桃が言うと、桜は、「大丈夫でしょう、桃ちゃん、いつもの喫茶店よって行こうよ〜。」と言った。「そうね・・じゃあおかあさんには私がメールしておくわ。」と言って桃は桜と歩き出した。
外の風はとても冷たかった。桜は桃が寒さに耐えているのに気が付いた。桜が桃の手を握るととても冷たかった。桜はそっと自分の手袋をはずし、桃の手にはめた。
「桜ちゃん?さむいんじゃない?」そういう桃に「ぜんぜ〜ん平気。ねぇ桃ちゃんやっぱりかえろっかぁ〜。桃ちゃんが疲れちゃうし。」と言った。

家に帰るとそこには母とおばあさんがいた。
もう6時半だったので、二人ともご飯の用意をしていた。
「あら、桃さん、桜、お帰りなさい。」
とおかあさんが言った。
「桜、またおねぇちゃんと喫茶店に行くっていたのね?まったくどうするのよ、風邪でも引かれたら、おとうさんにおこられちゃうわよ。桜ねぇあんたそろそろ本格的に勉強しないと、いつまでもそうやって遊んでるとねぇ・・・」
またいつもの小言が始まった。

今の会話からお分かりだろうか。実は桃は桜と母が違うのだ。
桃は、六歳のとき父が母と離婚し、桜の母と再婚したのだった。

「おかあさん、桜ちゃん、手伝ってくれてたんですよ、でも私の事気遣って喫茶店には寄らずに・・ね?桜ちゃん。」と桃が桜をかばってくれた。
おばあさんは無視してご飯の準備を進めていた。

「まぁいいわ、じゃあ手を洗っていらっしゃい、今晩は、カレーライスですよ。」とお母さんは仕方なくいった。

ご飯を食べた後、桜は自分の部屋で勉強をしていた。来年から受験生、おかあさんに言われなくてもすることはたくさんある。桃は少し顔色が悪かったので、先に寝てもらった。
といっても桜と桃は同じ部屋なので、桜は桃のことをいつも気に掛けながら勉強しなくてはならなかった。
2003-12-30 17:29:49公開 / 作者:sarina
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■作者からのメッセージ
こんな姉妹がいたらいいな、っていう感じで書いていきました。
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