『僕と、僕達のお姫様』作者:神夜 / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
僕と、僕達のお姫様の、ある夏の出来事。
全角9476文字
容量18952 bytes
原稿用紙約23.69枚





 近年稀に見る大型台風が日本列島を横切る中、ニュースではアナウンサーが頻りに「命を守る行動を」と繰り返しており、手持ちのスマートフォンはうおんうおんと緊急警報を飛ばしていることから、「実は今日、仕事に行かなくてもいいんじゃないか」と淡い気持ちを込めて上司にメールで「お疲れ様です。台風が凄いですね。今日の休日出勤は如何致しましょう」と送ったところ、無常にも「頑張れ」と一言だけ返ってきた。
 雨にも風にも負けずに走り続けるのは近鉄電車の悪いところで、少しはJRを見習って欲しい。いつもなら人がそれなりに居る電車の中は、お盆休みということを差し引いても人気がほとんどなかった。目的の駅に到着し、改札から外に出たところで木を薙ぎ払わんとする横殴りの風と、世界を覆うかのような土砂降りの雨に立ち往生し、とりあえず構内にあるドーナッツ屋で馴染みのおばちゃん店員と世間話をしながら時間を潰して、雨風の勢力が弱まった隙に何とかバスに乗り込んで、ようやっと会社へ到着できた。
 世間はお盆休みで、おまけに台風がほぼ直撃している中、連休明けでもどうとでもなるような案件を終わらすための嫌々出勤であったし、おまけにびしょ濡れの身体ではやはりこれっぽっちもやる気が出て来なくて、給料泥棒よろしく、適当に仕事をこなし、適当に時間を潰し、適当に定時を迎えるのだった。
 帰る頃には天気はすっかり治まり、晴れ間も覗いていた。鞄の中に入れっぱなしにしていたスマートフォンを取り出して、お姫様に「今から帰る」とのメールを送ろうとしたところ、新着メールが三十五件も入っていた。いつものことである。上から順に流し読みで確認していく。
『雨がすごい!』『風もすごい!』『窓が割れる音がする!』『卵の賞味期限が今日まで!』『卵焼き作る!』『窓から少し水が入ってる!』『外の靴がどっか飛んでった!』『砂糖がもう残りすくない!』『サイレンがすっごい鳴ってる!』『町内放送が何か言ってる!』『ぜんぜん聞こえない!』『麦茶つくった!』『少し風が落ち着いてきた!』『でも雨はすごい!』『ニュースばっか!』『テレビつまらない!』 ――そんな、他愛のない状況報告が、絵文字いっぱいのメールとして三十五件、入っている。思わず顔が綻ぶ。お姫様は、この台風の中でも元気に活動中であるらしい。
『今から帰ります。晩御飯は何がいいですか?』
 そうメールで送ると、返事はすぐに返ってきた。
『ハンバーグ!』
 ハンバーグか、と僕は思う。
 挽肉は確かまだ冷蔵庫にあったはずで、卵もお姫様が使い切っていなければ大丈夫だろう。玉葱のストックがあるかどうかは怪しい、牛乳は昨日に全部消化してしまった。どっちにしても買出しには行かなければならない。お姫様は煮込みハンバーグにして、こっちは大根おろしのポン酢ハンバーグにしよう。家に帰ったら、お姫様を連れて買出しだ。今日は家に缶詰だっただろうし、お菓子は好きなものを二つまで許可してあげることにする。
 会社を出て、夏の気温を取り戻しつつある空を見上げ、僕は小さく笑った。

 明日からようやくお盆休みだ。
 この夏は、お姫様を連れていろんな所へ出掛けよう。



     「僕と、僕達のお姫様」



 お姫様の朝は早い。
 僕も朝には強く、仕事で六時半に起きる習慣がついているから、休日でも八時までには起床する身体になってしまっているが、お姫様はそれよりももっと早い。僕の仕事の日は六時前には起きているし、なぜか休日には五時くらいから活動を開始している。子供特有の早起き体質なのかもしれない。朝からテレビを流しつつ、お姫様はせっせと朝ごはんを作ったり、てきぱきと洗濯をしたりする。この辺のことについて言えば、妻ではなく、僕自身の血を色濃く受け継いだ結果なのかもしれない。
 起床してリビングへ行くと、味噌汁の匂いに脳が少しだけ活発化して、顔を洗ったら本格的に目覚めた。
 お姫様の向かいに腰掛け、お姫様の作ってくれた朝ごはんを食べる。
 卵焼きに味付け海苔に納豆に豆腐の味噌汁。簡素だが、朝はそんなに食べる方でもないから、これくらいがちょうど良かった。
 納豆を箸で掻き混ぜながら、僕は言った。
「今日はどこへ行きたいですか」
 卵焼きを食べながら、お姫様は言った。
「水族館!」
 水族館か、と僕は思う。
 この辺りで言えば、鳥羽水族館や名古屋港水族館だろうか。そう言えば学生の頃、妻と初めてデートらしいデートをしたのは、確か名古屋港水族館だった。記憶はもう曖昧となってしまったが、探せば写真の一枚や二枚出て来ると思う。思い出に浸る訳ではないが、鳥羽よりも名古屋の方がその後にもいろいろ見て回れるし、交通の便も楽だ。だから目的地は名古屋港水族館にしよう。
 朝ごはんを食べ終わり、食器を洗って、日差しの強くなってきたベランダに洗濯物を干す。僕の準備なんて服を着替えて身なりを整えるだけだから十分も掛からない。お姫様だってまだ化粧のけの字も知らないから、あっという間だ。車のキーを持って、電気のチェックと戸締りの確認だけして、僕はお姫様と一緒にアパートを出た。
 乗用車に乗り込んでシートベルトをする。悪いことであるのだが、つい最近まで、どうにもシートベルトが煩わしくてあまり締めたことがなく、散々に小言を言われ続けてきたがそれでも締めずにいたのだが、三ヵ月ほど前に国道でオービスを光らせた頃から、ようやく法定速度とシートベルトを厳守するようになった。その際にお姫様からめちゃくちゃ怒られたのも、ひとつの原因かもしれない。
「シートベルトよし!」
 助手席に座ったお姫様は、自分と僕のシートベルトを確認して笑った。
 車を発進させる。高速にさえ乗ってしまえば、自宅から名古屋港水族館まではそう時間は掛からない。夏の日差しに汗が流れたので、車のクーラーをつけようとしたところ、お姫様が窓を開けて走りたいと言い出したから、それに従った。
 高速に入った辺りで窓から吹き込む風はその勢いを増し、お姫様のさらさらの髪がすごいことになっている。風になびく髪を左手で押さえながら、それでもきゃっきゃと楽しそうに声を上げるお姫様を横目で見つつも、僕は車を走らせ続けた。
 到着した名古屋港水族館は、営業開始直後だと言うのにそれなりの人が居て、やはり今日がお盆休みであることを実感させた。そう言えばここに来る前に明日の予定も決まってしまった。高速道路の途中で見えた、長島スパーランドの海水プールへ行きたいとお姫様は言った。だから、明日は海水プールだ。
 大人と子供のチケットを一枚ずつ買って、中に入る。最初に迎えるのは海中トンネルで、無数の魚が頭上を泳ぎ回っていた。
 お姫様は大喜びで、人ごみの中を弾丸のように突っ走っていく。あっという間に姿の見えなくなったお姫様を捜索すること約十分、ようやく発見したのはイルカの泳ぐ巨大な水槽の前だった。そこではダイバーがちょうどイルカにエサをやっている時間で、子供も大人も大勢が集まっており、水の中に居るダイバーがイルカと戯れながらいろいろな見世物を披露していた。
 目をきらきらと輝かせながら、お姫様は言った。
「すごいっ! わたしもやりたいっ!」
 その言葉にふと思い出した。
「そう言えば。僕の子供の頃の夢は、水族館の職員さんだったよ」
「どうしてならなかったの?」
 純粋にそう聞かれて、少し答えに困った。
「うーん、どうしてかなぁ。いつの間にか、その夢は無くなっちゃったんだよね」
 子供の頃の夢なんて、所詮はそんなものなのだろう。
 ただ、今でも水族館とかペットショップの熱帯魚売り場とか、そういう魚の居る所は大好きだった。ただそこで働きたいとか、そこで魚の世話をしたいとか、そういうことを思うのと、そこで生きていくことを決意するための現実社会のしがらみは、また別問題なのだ。それに子供の頃の自分では、オフィスの机の上で、日がな一日PCに向き合っている仕事をするなんて、それこそ夢にも思っていなかった。
 いつの間にか、お姫様と手を繋いでいた。
 視線を向けると、僕を見上げていたお姫様と目が合った。
 そして、お姫様は悪戯っぽく笑う。
「じゃあわたしが代わりになってあげる!」
 悪戯っぽく、僕は笑い返す。
「それは楽しみだね。いつか、イルカと遊べるといいね」
「うんっ」
 嬉しそうに笑うお姫様を見ながら、思う。
 この娘には、純粋に夢を追って欲しかった。切っ掛けは何でも良い。軽い気持ちであれ何であれ、この娘にはやりたいことを、好きなだけして欲しかった。その障害と成るべき現実社会のしがらみが目の前で邪魔をするというのなら、その時は僕が自分の命と引き換えにしても、それを排除してみせる。お姫様が翼をめいっぱい広げ、空に羽ばたいていくためには誰かが泥水を被らなければならないのなら、その時は僕がお姫様の知らないところで、喜んで泥に塗れよう。
 僕の宝物。僕の生きる意味。僕の、道標。
 この握った手を、この小さな手を、僕は、絶対に離したりなんてしない。

 お昼はフードコートでウミガメのメロンパンなるものと、オーソドックスなたこ焼きを食べた。
 午後一時から始まるイルカとアシカのショーのために早目に会場へ赴き、最前列のそれなりに良い場所を確保した。ただ、イルカショーのそれなりに良い場所、と言えば結果は判り切っていたはずだった。案の定、イルカの尻尾から放たれた海水で、僕とお姫様は水浸しになってしまった。それでもお姫様が相当に喜んでいたので、まぁ良しとする。
 お土産コーナーでイルカのキーホルダーと、アザラシのぬいぐるみを買った。その二つを手にしてご機嫌のお姫様と出口を目指して歩いていると、最後のところで記念撮影をやっていた。天井から吊るされた大きなサメの前に立って、専用のカメラマンが専用のカメラで写真を撮ってくれて、それがその場で専用の縁に入れて一枚千円ぽっきりで売ってくれる、定番の記念撮影だった。
 昔はこんな写真一枚が千円もするのが馬鹿らしくて買うことも無かったのだが、妻との約束で、「子供が出来たら、必ず買うようにしよう」と決めていた。白状すると、その約束にも実は乗り気ではなかったのだが、いざ子供が出来て、そしていざその場面に立つと、写真一枚が千円でも、記念としてなら財布の紐は簡単に解けてしまった。これでもう何枚目になるかも判らない。こういう時は必ず、写真を買うようにしていた。
 キーホルダーとぬいぐるみと写真を持って、さらにご機嫌となったお姫様と一緒に水族館を後にする。
 遊び倒した反動か、車に乗って少し走るとすぐに、お姫様は助手席で眠りに落ちてしまった。お姫様を起こさないようにゆっくりと車を運転しながら、その手にしっかりと握り締めたままのイルカのキーホルダーに視線を移す。海に落ち始めた夕日に照らされたそれは、キラキラと輝いている。
 お姫様には言っていないが、実はそれの色違いをあと二つ、こっそり買ってある。ひとつは僕の分と、もうひとつは妻の分。これくらいの小さな喜びは、お姫様に内緒でこっそり楽しんでも、罰は当たらないであろう。
 夕暮れの迫った湾岸高速を、ゆっくりと走って行く。

     ◎

 プールに行くことにはまったく問題なかったのだが、ただ、お姫様の水着が無いことに気づいた。
 去年のはもう着れなくなっていたし、スクール水着で行くのは嫌だとお姫様はぷりぷり怒る。そのため、プールへ行くのは一日ずらして、今日はショッピングセンターへ水着を買いに行くことにした。大量に並ぶ水着に、あれやこれやと一喜一憂しながら物色を続けるお姫様を遠目に眺めながら考える。こうして服などを選ぶ時にとんでもなく長い時間をかける様は、女の子特有なのか、あるいは妻の血を色濃く受け継いだ結果か。
 散々に迷った挙句、お姫様は水色のフリルの付いた水着を選んだ。ついでに浮き輪と、空気を入れるための玩具のようなポンプも買うことにする。それらの会計を済まし、せっかくだし他の服も見て回ることにする。子供の成長は驚くほど早く、去年に買ったばかりの服は、半分くらいがもう着れなくなってしまっていた。しかし着れなくなってしまった服を捨てたりすることがどうしても出来ず、両親に茶化されながらも、それらはどんどん実家に溜まっていってしまっている。いつかどこかで決断しなければならないのだが、今はまだ、このままにしておいて欲しいと僕は思う。

 明くる日の朝、いつも通りにお姫様の作った朝食を食べ、意気揚々と長島スパーランドの海水プールへと向かう。
 駐車場にはもうかなりの数の車が停まっており、溢れかえっている子供たちはもうすでに水着に着替え、浮き輪に身体を通したままアスファルトの上を走り回っていたりする。イルカの形をした大きな浮き輪を持っている男の子を見て、お姫様が目を輝かせていたが、さすがにあれは空気を入れるのもしまうのも大変だから、我慢して貰うことにする。
 プールは凄い人だった。芋洗い、なんて表現をよく聞くけど、まさにそれだった。連日の猛暑と、お盆休みの二つが重なった結果の必然であるのだろう。それでもプールの水は冷たかったし、はしゃぎ回るお姫様を見ると、これもまた、まぁ良いかと思えてしまうのだった。
 流れるプールに浮き輪を浮かべ、そこにお尻を入れるように座り込んでぷかぷかと浮かぶお姫様。その浮き輪の端に捕まって流れに身を任す僕。久々ののんびりした時間であった。昔、妻とここに来た時のことを思い出す。今と同じように、妻は浮き輪に座り込んでぷかぷかと浮かび、僕はその端に捕まって流れていた。その時、ふと悪戯を思いついて、思いっきり浮き輪を反転させて、プールに妻を落としたことがある。烈火の如く怒られて、しばらく口を利いてくれなかった。今に同じことをしたら、お姫様はどんな反応をするのだろう。
 悪戯心に火がつきそうだったのだが、実際に実行して、お姫様が怒って口を利いてくれなくなったり、もし万が一に泣かれでもしたら、僕の心に受けるダメージが半端ではなさそうだったので、思い留まることにする。
 海水プールは一定時間に大きな波が起きるような仕様になっていて、その時を待ち侘びる人でごった返していた。お姫様がもっと奥が良いと駄々をこねるので、浮き輪に座ったままのお姫様を、人ごみを掻き分けて何とか奥へと押し込んでいく。ちょうど最深部近くに達した頃、水深は結構な深さになっていて、大人の僕の足でさえ、もうほとんど底につかないくらいだった。その時、急に波が立ち始めた。
 見る見る内に波は大きさを増し、辺りから歓喜の声が上がる。お姫様も例外ではなく、ものすごく喜んでいる。しかし僕はそれどころじゃない。足がほとんどつかない中、波が起こるせいでバランスは失われ、おまけに波が思いっきり頭の上から降ってくる。やがて一際大きな波が起きて、僕が心の隅で溺れることを覚悟した瞬間、
 それより早く、お姫様の乗る浮き輪がひっくり返った。
 あっという間にお姫様がプールに放り出される。
 お姫様よりも、僕がパニックに陥った。
 死に物狂いで慌てて水を掻き分け、ばたばたと水面でもがくお姫様を必死に抱かかえる。するとお姫様はすぐさまこっちの首に手を回して抱きついて来て、耳元で声を上げて笑った。
「楽しいっ! もっともっとっ!」
 こっちの心配など露知らず、お姫様は大喜びである。
 あまりの安堵に気が抜けた時、再び襲った大波に、今度は二人揃ってひっくり返ってしまった。

 すっかりびしょ濡れになってしまった身体をそのままに、売店で特盛りの焼きそばを買い、確保してあった休憩所のスペースに戻って二人で食べる。
 お姫様はまだまだ遊び足りないらしく、食べ終わると同時に再びプールへ飛び出していく。それについていくと、お姫様は急にぴたりと立ち止まり、
「あれやりたい!」
 お姫様が指差したのは、巨大なウォータースライダーだった。物凄く高いところから、物凄い急角度で伸びているスライダーである。端から見ても凄そうなそのスライダーを、若いお兄さんが猛スピードで滑り落ちて来る。水を弾き飛ばして滑り落ちたそのお兄さんは、下で待っていた仲間たちにガッツポーズをしながら笑いあっている。
「あれやりたい!」
 お姫様はもう一度言う。
 言うが、これは無理だと思う。下手をするとお姫様は体重の問題で、滑り降りる前にそのまま飛んで行ってしまうのではないかと心配になる。しかしここでダメと言うと機嫌を損ねる可能性もある。どうしようか、と悩んでいる間にもお姫様はスライダーの入場ゲートまで走り寄って行く。
 ここは心を鬼にしてでも、と思ったが、それ以前の問題として、お姫様の身長ではこのスライダーは使用できないことが判明した。胸を撫で下ろしながら、「仕方が無いよ。他のにしよう」と声を掛けた僕に対し、お姫様はぷりぷり怒ったまま、「じゃあ代わりにやって!」と言った。反論出来なかった。
 死ぬほど怖かった。下から見上げればある程度の角度はあったはずなのに、上からだとそれはもう、ほとんど垂直に思えた。スライダー係りのバイトのお兄さんが冗談交じりに、「腕は胸の前で交差しておいてください。手を出すと吹っ飛びますよ」と笑うのが、余計に怖かった。
 スライダーの下の方で、豆粒くらいの大きさのお姫様がこっちに手を振っているのがかろうじで見えた。怖い。死ぬほど怖い。死ぬほど怖いのだが、お姫様に格好悪い姿を見られるのは、それ以上に嫌だった。
 意を決する。手を胸の前で交差して、歯を食い縛る。覚悟を決めて、一気に走った。
 一瞬の出来事過ぎて、結局何がどうなったのかは、よく憶えていない。
 ただ、いつの間にかお姫様がスライダーを囲う柵のすぐそこに居て、目を輝かせて「すごい! すごい!」と大喜びしている。どうやら父親としてのメンツは保てたらしい。それに安堵しながらも、しかし僕はいつまで経ってもスライダーのコースからは立ち上がろうとはしない。足の震えが止まらないことを、お姫様に気づかれてはならないのだ。

 プールで遊び倒し、夕暮れが迫りつつあった時分に退散することにした。
 帰りに長島スパーランドの敷地内にあるアウトレッドを少しだけぶらぶらする。ちょうどアイスクリーム屋を見つけたので、火照った身体を冷ますのにもちょうどいいと思い、二人でアイスを買うことにする。そのアイスクリーム屋は鉄板でアイスを少しだけ焼きながら、店員が歌を歌うことで有名らしい。歌を歌いながらアイスを作るその姿に、お姫様はご満悦である。
 アイスを食べながら帰路に着く。
 いつものように、車に乗るとお姫様は眠りに落ちてしまった。
 その寝顔を見ながら、思う。
 平和な時間。幸せな時間。こんな時間が、いつまでも続いて欲しいと思う。
 でも、日が落ちて再び昇れば一日が過ぎ、一日が過ぎれば曜日は変わり、曜日が変わればやがてお盆休みも終わる。もう明後日からは、仕事が始まってしまう。だから、僕とお姫様が存分に遊べる夏休みは、もう終わってしまったのだ。
 
 明日は、お姫様と二人で、行かなければならない所がある。

     ◎

 目的地は、すぐ近所にある。歩いて二十分も掛からない。
 蝉の鳴き声が響き渡る並木道を、麦藁帽子を被ったお姫様と並んで歩く。途中でお花と、妻の好きだったみたらし団子を買った。
 他愛の無い話を繰り返しながら歩き、やがて見えて来るのは小さなお寺で、門の前で掃除をしていた住職さんに挨拶を交わし、裏手に回る。迷うことはなかった。足繁く通っているため、もう目を瞑っていてもそこに辿り着ける自信がある。
 一歩前に踏み出して、お姫様は笑った。
「――お母さん。元気ですか」
 目の前にあるのは墓石だった。
 僕の家の墓石。僕の妻、お姫様の母が眠る場所。
 お姫様が花束を差し出しながら、
「今からお掃除をします。少しだけ待っててね」
 てきぱきと掃除の準備を始めるお姫様。
 お姫様は、妻の顔を写真でしか知らない。妻は、お姫様が産まれて間もなく、病気でこの世を去った。
 残されたのは、途方に暮れる僕と、まだ言葉も話せない幼いお姫様だけだった。
 途方に暮れていた。絶望の中に叩き落された気分だった。生きる意味も目的も、一気に失ってしまったかのようだった。そんな僕に、再び歩き出す切っ掛けをくれたのは、他の誰でもない、このお姫様だった。薄暗い部屋の中で、状況なんてこれっぽっちも判らないだろうその中で、四つん這いで近寄ってきたお姫様は、僕の裾を引っ張って、笑った。
 その笑顔が、絶望の中にいた僕を引っ張り上げてくれた。
 何とか、立ち上がれた。立ち上がることが出来た。だから、もう二度と倒れないように、頑張った。頑張り続けた。妻のために。そして、お姫様のために、頑張り続けた。
 その結果として、お姫様は、僕が胸を張れるくらい立派に育った。
 僕の宝物。僕の生きる意味。僕の、道標。
 お姫様がこちらを振り返る。
「お水汲んでくる」
 バケツを持って駆け出して行くお姫様を見送った後、その場に腰掛けた。
 目の前の墓石に、笑いかける。
「――久しぶりだね。元気かい」
 返事は無い。判っている。判っているからこそ、続ける。
「僕達のお姫様も随分立派になっただろう。僕にも似てるし、君にも似てる。時折、お姫様を見てると君を思い出すこともあるんだよ。やっぱり親子っていうのは、すごいね」
 ポケットの中に手を入れ、それを取り出して、墓石の前に置いた。
「二日前に、水族館へ行ったんだ。お姫様には内緒だけど、これは三人お揃い。言ってもいいんだけど、少しくらい、お姫様には内緒で、僕と君の秘密を作っても良いと思うから、これは内緒にしてる。小さいことを内緒にするなって、君は怒るかもしれないけど」
 苦笑しながら、僕は空を見上げる。
 透き通るような蒼い空。夏の空だった。
「もっと胸を張れるよう、僕はまだ頑張るよ。だから、もう少しだけ、見守っててくれないかな」
 遠くから、僕を呼ぶお姫様の声がする。
 見ると、バケツを持ちながらふらふらと歩くお姫様がいる。
 腰を上げてお姫様を助けに行こうと歩き出そうとしたその時、置きっぱなしになっていたイルカのキーホルダーが少しだけ、光り輝いた気がした。
 太陽の反射だったのかもしれない。だけど僕には、それが――
 僕は、笑った。心の底から、笑った。
「――僕達のお姫様が困ってる。助けて来るよ」
 そう言って、僕は、僕達のお姫様の所へ、歩き出した。









2014-08-31 16:25:11公開 / 作者:神夜
■この作品の著作権は神夜さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めましての方は初めまして、お久しぶりの方はお久しぶり、いつも付き合ってくれる方はどうもどうも、給料泥棒の神夜です。
このお盆は、日月火水と仕事でした。特に出なくても何とかなったのに、いろいろあって出る羽目になりました。日曜日なんてこの物語の冒頭そのまんまです。死にたくなりました。ようやく明日から四日間だけ、休みです。だから今日はもういいんや、全部ほっぽり出すんや、ということで、朝からこれ書いてた。
構想時間は奇跡の零分、書き出しから書き終わりまでは過去最速の二時間半。短いけど、ひとつの物語を三時間も掛からずに書いたのは初めてだ。その分、何回か読み直しても誤字脱字がまったく減らないんだけど。残ってたらすんません。ところで、皆様って短編書く時、どれくらいの時間を要するのだろうか。神夜としては脅威的なスピードだったんだけど。
この物語は「いつもの神夜」と、「いつもじゃない神夜」の作品を足して割った感じだと思われる。物語性より、どちからと言えばお姫様とのきゃっきゃうふふであったり、何となく醸し出しているであろう、優しい雰囲気を読み取って頂ければと思います。うん。出てるか知らないけど。そして前作の「雀」で、年齢を明確化しろと何人にも言われたのに、主人公どころかお姫様の年齢すらぼかして突っ走る神夜って、なんて素敵――いや違う、違うんだ。今回はこれでいいと思ってるんだ。だから書いてないんだ。でもダメだったらごめんなさい。
本当は「なっきー奮闘記」の楠木の過去話とか、「残骸置き場」の90%OFFとか、そういうの書いてたんだけど力尽きた。もう知らん。知らんようひひ。
ちなみに神夜の嫁の中に子供がいることが判明しました。こんな可愛い娘だったらいいな。でも太郎だったらどうしよう。ゆっくり出来るであろう最後の盆休み、あと四日間はパーッと散在するぜヒャッハー。
そんなこんなで、誰か一人でも楽しんで頂けばと思い、神夜でした。

※誤字修正
この作品に対する感想 - 昇順
こっちも、JRは全部止まってるのに近鉄含む私鉄はほぼ全部動いてましたねー。仕事は休みでしたが。

さて、作品読ませていただきました。夏のデートはやっぱり水族館とプールだよなあと改めて思いました。スパーランドのスライダーってのはSKEだかの子がCMやってるあれですね。ちょうど僕の連載してるやつにも水族館とプールが出てくる(有希ちゃんwwとのデート)ので、個人的にはその辺を比べてみるのも面白かったです。
僕はお盆休みは特にないんですが、仕事帰りに駅のカフェでボサノバ聴きながら読んでたら、何だかとても夏っぽい気分に浸れて良かったです。しかし、この作品はついに完全に一般小説の短編として読めるところまで来てますね。びっくりしてます。この前も書きましたが、こうして書ける物の幅が広がるのは非常に良いことだと思います。

良い小説だと思いますが、技術的な観点から言うと、タイトルの通り小説のキモであろうと思われる妻との絆的な部分が少々弱いかもしれません。オチ(と言っていいのかどうかあれですが)は早いうちから判っているわけなので、もうちょっと小出しで感傷的な描写を入れてもいいかなと思いました。誤字としては、「日長一日」というのがありましたが、これは「日がな一日」でしょうね。

そうそう、奥様の中の人(違う)おめでとうございます。でもきっと太郎ですよ太郎。夏は太郎とプールだ!
2014-08-14 19:09:51【★★★★☆】天野橋立
読ませて頂きました。
二時間半て、凄いですね。自分は筆が遅いので羨ましい限りです。
先ず、一読して感じたのは『幸せ』でした。所謂、愛を随所に感じる作品でした。コメント欄を見て、成る程と思いましたが、リアルが幸せそうで、何よりです。物語としては、天野様も仰っている部分、(奥さんとのストーリー)があれば、感動的になるかと。個人的には奥さんが亡くなった時のエピソードが有れば、幸福の裏の悲しみで、よりこの物語の深みが増す様に思います。
所で、誤字と思われる部分について。『溢れかえっている子供たちははもうすでに水着に着替え』→は、が一つ多いのと、『連日に続く猛暑と』→は、続くが余計、『再びに襲った大波に』→は、再びにのにが余計、と思われます。
良作を有り難うございました。柏木の過去話、面白そうですね。お待ちしております。
2014-08-15 21:06:31【★★★★☆】半獣
柏木じゃない、楠木ですよね。失礼しました。
2014-08-16 14:07:42【☆☆☆☆☆】半獣
おお、神夜様が、いつのまにか立派な大人の話を書いている。天野様同様、かなり驚いております。思わず陽水の『いつのまにか少女は』なんか口ずさんだりして、感慨にふける狸。♪君は季節が〜〜変わるみたいに〜〜大人に〜なあったあ〜〜〜♪
閑話休題。
狸としては、奥さんとのアレコレは、これでも充分に思えました。お姫様が愛しければ愛しいほど、そのお姫様を授けてくれた人の存在も常に感じられますし、この青年の好ましい語り口からは、その人とその不在に対するすがすがしい寛容も感じられ、無論過去にあったであろう苦悩や絶望も、この現在のお姫様の能天気がきれいに晴らしてくれている。仮にオチがズブドロ離婚とかであったにしても、このろりがすべてを浄化している。実に好ましいろり小説、いや一般小説ではないですか。主人公やお姫様の年齢設定などは、今回はこれでOKです。読んでる内に自然と目に浮かびますから。
ところで、最後に狸も重箱の隅をホジホジと。『晴れ間』は覗くものであり、『射す』のは晴れ間からの陽光です。

2014-08-17 02:24:58【★★★★☆】バニラダヌキ
 こんにちは。あっ、今回は幸せなお話だ。
 前回はまともに感想を書かなかったので、今回はちゃんと書こうと思います。ぼくが感じた限りでは、これはいわゆる「いつもじゃない神夜」のほうに近いんじゃないかと。明確なストーリーがあるわけでなく、大きく盛り上がる所があるわけでもなく、という点がそう感じさせました。いえ、『なっきー』と比べればという話なんですが。
 二時間半は速いですね。ぼくは一旦ざっと書いて、それから修正とか伏線張りとかをちまちま重ねて完成させるタイプなので、時間としてはけっこうかけていると思います。
 やっぱり今回も父と娘の話ですね。内容について意見するとすれば、そうですね……。優しい雰囲気を重視した分、ちょっと味気なくなってしまっている、ということでしょうか。父親の決意や愛情は言葉として表現されているんですが、具体性がないというか。たぶん幸せな場面ばかり切り取ったためにそうなったので、見当はずれのいちゃもんなのかもしれませんが、やっぱりそこが物足りなかったです。この作品はぼくを和やかな気持ちにさせてくれたんですが、欲をいえば、少しでも葛藤なり何なり、胸に迫るものがほしかったかなと思います。
 年齢が明確にされていなかったのは気になりませんでしたが、日付が明確でなかったのがちょっと気になりました。だいたいお盆のころ、というのはわかるのですが。もしかして、あえてお盆とお墓参りの関係をぼかして書かれたんでしょうか。
 それはともかく。お姫様のメールがかわいい。最初は奥さんのメールかなと思ったんですよね。もしそうだったらもっとぼく好みのお話になっていたのですが……。
 最後になりましたが、奥さまのご懐妊、おめでとうございます。
2014-08-19 19:22:27【★★★★☆】ゆうら 佑
返事が遅れて申し訳ありません。お盆最終日に風邪引いて、会社休んで二日寝込んでる間に事態が一変して死ぬ思いをしておりました。すんませんすません。

天野橋立さん>
ね。なんでJRを見習ってくれないのか不思議でならんのです。しかし天野さんに言われてから初めてそのCMを見た気がする。見てたけど記憶にすら残っていなかったんだろうか。そうそう、あれです。あれなんですけど、このロリコン野郎、神夜のトコにまであのアマの話持ち出してきやがって、喧嘩売ってるのか。
びっくりしてくれて何よりです。そして実を言うと今回のこの物語の描写、かなり天野さんの書き方を真似てるんだ。一回やってみるか、と思って書いたら案外落ち着いた感じになって、あれこれ結構良い線いってるんじゃね、と思ってた。だから読んでてもしどこかに共感的なものを頂いて貰ってたら大成功だ。
言い訳をさせてもらうのなら、あとがきにも書いた通り、構想時間零分のツケみたいなものです。メールの内容を書いていた当初、あれ実はお姫様じゃなくて嫁からのメールだったんだ。ただメール内容を途中まで書いたところで、「いやこれは妻より娘の方が可愛いな」とか、そういう行き当たりばったりでそのまま変更してる。そして水族館エピソードの最後まで、妻が死んでるとかそういうのは一切考えてなかったから、気づいた時にはもう、入れ込む余地がなかった、というのが正しい。言い訳ですけど。最後まで書き終わってから、弱いかなぁとは思ってたんですけど、勢いがあり過ぎてどうすることも出来ず。すんませんすんません。
太郎だったらどうしよう。何ヶ月くらいで判るんだろうか。ところで天野さんてどっかで見たけど京都に住んでるんでしたっけ。今度飯奢ってください飯。超高級な京都懐石ご馳走してください。
読んで頂き、誠にありがとうございました。

半獣さん>
早く書ける半面、その勢いが失われるともう二度と書くことが出来なくなってしまう病気があったりするんですけどね。だから楠木の過去話、あれ途中で行き詰って止まってしまったから、投稿出来るかどうかすらもう判らない。書きたいんだけど、あれはもうダメかもわからんね。
『幸せ』を感じて頂ければそれだけで神夜は満足です。どうもありがとう。感動、というものを演出するシチュエーションを、まったく考えてなかったのがそのご指摘の要因です。天野さんの所にも書きましたが、何も考えてなかったから、それを入れる余地すらなかったんです。だって書いてて「お姫様きゃっきゃうふふ」としか思ってなかったんだもの。着地点を探してたらああなったんだ。深みを入れる余地なんてなかったんや、すんませんすんません、、、。誤字指摘いっぱいありがとう、しっかり直させて頂きます。
読んで頂き、誠にありがとうございました。

バニラダヌキさん>
昔、もう十年前に比べたら、そらもう神夜の能力は格段に上がっているはず。成長を感じて頂けておりますか。昔はなんでバニラダヌキさんが自分に構ってくれてたのかはよくわかりませんが、今ならほんの少しは胸を張れる作品を提供出来ているのではないかと思っております。感慨にふけってください。そして見捨てないでください。加えて狸さんの新作はよ。
さすが狸さんやで。もうそうよ、そうっすよ。お姫様が可愛ければもうそれだけで万事OKなんですよ。むしろそれだけを楽しんで書いてた小説だから、共感して頂けて何よりです。晴らすとか浄化とか、意図的にはまったくないんですけれども、狸さんがそう思ったのならそうなのだろう、問題無しや!
あれ。そうか。晴れ間は覗くのか。雲の隙間から太陽の光が射す、とかの表現だったら良かったのか。直しますどうもありがとう勉強になりました。
読んで頂き、誠にありがとうございました。

ゆうら 佑さん>
幸せなお話なんです。前回が異例なんですごめんなさい。言われてみればそうかもしれません。内容としては「いつもじゃない神夜」にかなり近いと思います。ふむ。明確なストーリーも盛り上がりもない。その通りですね。言われてハッとした訳ですが、しかし「いつもじゃない神夜」の物語なんてこれくらいの分量だから、明確なストーリーも盛り上がりも捻じ込めないのが正直なところだろうか。しかしすごいな、神夜は一度書いたら手直しとかほとんど出来ない人間なんだけど。重ねる努力なんてほとんどしたことがないぞ、、、
いや、見当外れとかそういうことはまったく無く、どちらかと言えば神夜が何も考えていないのが原因かもしれない。人を「感動させたい」とか「胸を打ちたい」とか、そういうコンセプトが一切無いんだ。あるのはあとがきにも書いたたった二点、「優しさ」と「きゃっきゃうふふ」だけ。だから、そういう視点ではなく、普通の視点で見れば味気なく感じるのかもしれない。ただ深みを入れ込もうと思うとかなり枚数膨らみそうだったので、今の神夜としてはこれが限界だったりします。ごめんなさい。
日付を明確にしていなかったり、お墓参りとの関連云々については、二つの理由があります。?この物語を書いたのがお盆だったから、明確化していないだけ。現実世界とリンクさせてた。 ?途中まで書いている段階でお墓参り以前に、妻の生死を神夜自身がまったく考えていないから。  蓋を開ければこんないい加減な理由なんです。本当にすんません。
いいところを突いてきた。実は最初、妻からのメールを想定して書いてた。だけどダメだ、ゆうら 佑さんとは相容れないことになるんだけど、こんなメールが妻から送られてきたら、神夜はマジギレする。ただ、お姫様ならニコニコすると思う。だから急遽お姫様になった、という裏話です。
読んで頂き、誠にありがとうございました。
2014-08-31 16:25:32【☆☆☆☆☆】神夜
こんにちはこんばんは。
かつてここで顔見知りだった者ですが、名を明かすのが死ぬ程恥ずかしいので安直な名前でごまかしつつ、お久しぶりです(一方的)。
わかるはずもありませんが、もし正体がわかっても、心の中で小馬鹿にする程度で我慢して頂けると幸いです。
しかしご結婚なされてお子様もできたとは……おめでとうございます。
当時思春期のアホな少年だった自分もすれた汚い大人になりましたが、時間というものは怖いですね。


さて作品についてですが、読みやすい文体で心情や風景が想像しやすく、あっという間に読み終えました。
なんだか上から目線で申し訳ないのですが、昔からの神夜さんの良さを残しつつ、文が精錬されているのがわかります。
妻の死という不幸な題材を使っていながら、あまり悲壮感が伝わってこないのはお姫様の無邪気さゆえか、白乙一みたいなぽわっとしたものがお腹に溜まってきました。
でもその無邪気さが一周回って悲壮感を漂わせてるという見方もできるかも(?)
読む度に感想が変わりそうな作品ですが、とても面白かったです。
これからも通りすがりとしてひっそり応援しています。執筆も私生活もお仕事も頑張ってください!
2014-09-03 23:37:40【★★★★☆】通りすがりD
御作、拝読しました。
なんだか時間の流れを感じるなぁと正直思いました。そうかぁ、もう神夜さんを知ってから10年以上になりますか(別HN時代も含めて)。
大人な作品ですねというとおかしいですが、まとまりがあって客観性があって冷静な筆致で、昔を思い出すと感慨無量です。あの頃私も若かった(苦笑
お姫様が可愛らしくてほのぼのしてしまいました。子供というのは無邪気でイイですね。その無邪気さがありありと感じられて、短い作品ながら魅力的な御作でございました。文章の組み方にも素直さと巧さが共存していて、誠に読み易く、作品の中に人生が感じられるというとやや大袈裟ですか、そうですね。
ともかく、良作に出逢えた喜びを与えて下さった神夜さんへの感謝にたえません。ありがとうございました。
奥様の御懐妊おめでとうございます。幸せな御家庭を築かれて下さいね。
2014-09-04 19:55:55【★★★★☆】夏海
お返事が遅れても申し訳ありません。

通りすがりDさん>
お久しぶりです。D、というとこから記憶を思い返すと、真っ先に浮かんだのがD○N○現さんだったのだが、違うだろうか。あと何人かDで心当たりはあるんだけれども、正解は如何に。いつか機会があれば教えて頂ければと思います。しかし登竜門全盛期組なら本当に十年近く前か。同時のメンバーは今現在、何をしているのだろう。そして小説を書き続けてる人はどれくらいいるのだろう。
いえいえ。あの頃に比べたら神夜の能力はそらもう進化レベルで上達していると自分でも思う。自画自賛してもいいくらい。うん。だからそう言って頂けると認識が間違っていないと嬉しくなります。どうもありがとう。悲壮感は前作の「雀」で書いてしまったから、今回はどこまでも無邪気で明るい物語にしようと思っておりました。きゃっきゃうふふで優しさが感じ取れたらそれでOKだ。
また顔をお見せ頂ければと思います。そしてまた作品を書いて読ませてください。
読んで頂き、ありがとうございました。

夏海さん>
え。ごめん。え。夏海さんて通りすがりDさんと同じ全盛期組だったの。うそ。別HNって何だったのだろうか。ごめんなさい全然知らなかった。前に初めましてとか言ってたよ自分。なんかごめんなさい。
昔を知っている方々からそう言われると嬉しい反面、ケツが痒くなったりする訳ですが、それでもずっと昔から付き合って頂きどうもありがとう。あの頃は一部の実力者を除き、本当にみんな若かったからなぁ。作風も内容も技術もどんぐりの背比べだったと思う。それでも書き続けてれば能力は上がるんだと、神夜がソースになるんや!
お姫様の可愛さを感じ取って頂ければそれだけで神夜は満足です。おまけにそこまでお褒めの言葉を入れてくれるとか、もう神夜は感無量です。本当にありがとうございます。
読んで頂き、ありがとうございました。
2014-09-08 10:03:04【☆☆☆☆☆】神夜
計:24点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。