『滲む空、片思い』作者:たっちゃん / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
空に向かってなら言えるのに。本当に、本当に大好きですと言えるのに。好きだけど、好きだから何もできない。そんな大学生の話です。
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 心臓の鼓動が、どくんと跳ねた。階段を上がって角を曲がった瞬間、目の前に、女の子の後ろ姿が見えた。黒髪をポニーテールにした背の高い女の子、僕が大学入学当初からずっと片思いをしている美空さんだった。
 美空さんは赤のチェック柄のリュックサックを背負って、一限の授業がある教室に向かっているようだった。僕は、その数メートル後ろ、手を伸ばしても届かないくらいの距離を、そろそろと歩いている。
 声をかけたい。さりげなく美空さんの横に行って、自然な感じで、おはようって言いたい。僕も一限は美空さんと同じ教室だ。だから、きっと、たぶん、声をかけても変じゃないはず、たぶん。
 さあ、行くぞ、行け。今日こそ、声をかけにいくんだ。さあ、勇気を出して、笑っておはようって言いにいくんだ。大丈夫だ。大丈夫、大丈夫……。
 そう自分に言い聞かせながら、歩くスピードを速めた途端、足がすくんでしまった。心臓の鼓動が、どんどんと、もがいた。
心拍数が上がるのと反比例して、僕の勇気は萎んでいく。美空さんは、当たり前だけど、僕に気づかず、そのまま教室に入っていってしまった。結局、僕は何もできないままだった。暴れていた心臓が、大人しくなり始めた。
 「おはよ」
 美空さんと少し遅れて教室に入った僕は、窓際に座っていた石田に声をかけて、一瞬、教室の真ん中あたり、美空さんがいつも座っている席に目を向けた。美空さんは数人の大人しいグループの女の子たちの話を、笑顔で、本当に可愛らしい笑顔で、聞いていた。その美空さんの笑顔を見ていると、誰かと楽しそうに話している笑顔を見ると、嫉妬ではないけど、男と話しているわけではないから、たぶん、いや、絶対嫉妬ではないと思うのだけど、胸が切なくなって、苦しくなって……。
 授業が始まるまで、あと十分ほど。教室の中は、まだ空席が目立つ。だから、僕の目は余計美空さんから離れなくなってしまう。美空さんは、たまにみんなのお喋りに参加しながら、授業の予習だろうか、机に向かってシャーペンを走らせていた。その真面目な顔が、たまらなく、可愛い。
 好きなのだ。大好きなのだ。僕は美空さんのことが。ずっと、ずっと大好きで、今、このときも大好きで、だから、やっぱり僕は美空さんのことが好きだ。だけど、大学を入学して、もう半年が経つ。僕はこの半年間ずっと好きなままで、そして、何もできないままだった。
 「日向くん、おはよう」
 湿ったため息を出しかけたとき、同じ水泳部の夏美が、僕の後ろの席について、にこりと笑った。美空さんと同じように控えめな夏美は、石田にもおはようと声をかけ、再び僕に向き直って、にこっと微笑む。
 僕が美空さんのことを好きだということは、誰も知らない。石田にも話していないし、夏美にも話していないし、他の人にも言おうとは思っていない。というより、恥ずかしくて、誰かに話すと僕の気持ちを美空さんに知られてしまうんじゃないかと怖くて、誰にも言えないだけなのだけど。
 窓の外に広がる空を見上げる。十月の空は、どの季節よりも澄んでいて、空の青が高く見える。秋の美空に吸い込まれるように、胸の中に溜まっていたため息が、滲み出た。
 いつか、この気持ちを伝えられる日が来るのだろうか。美空さんに好きですと、言える日が来るのだろうか。いや、そこまで高望みはしなくてもいい。美空さんと笑いあえる日が、いや、これも高望みなのかな、いつか、美空さんと話せる日が来たらいいな。いや、そうなるように頑張ろう。そうなれるように頑張りたい。

 二限目の授業が、あと十分で終わる。年老いた教授の話を黙って聞いて終わるこの授業は、嫌になるほどつまらない。隣の石田は、さっきからずっと机に突っ伏して眠っているし、周りを見回しても、半分以上の人は眠っている。でも、僕は寝ない。だって、横を見ると、美空さんは、つまらない話を真面目に聞いて、一所懸命にノートを取っているから。そんな真面目な美空さんを見ていると、どきどきしてしまって、美空さんの横顔に吸い寄せられてしまって、眠ろうにも眠れないし、美空さんと同じように、僕も頑張りたい。
 真面目なのだ、美空さんは。本当に。真面目で、大人しくて、頭も良くて、優しくて、人見知りで、恥ずかしがり屋で、とにかく、全部含めて、可愛い。頭が良いというところ以外、ほとんど僕と似ている――前に夏美にそう言われたことがあった。
 授業が終わって、教授がのろのろと教室を出て行く。僕は荷物をバッグにしまって、石田と夏美にご飯食べに行こうと声をかけて、立ち上がる。
 美空さんも立ち上がって、リュックサックを肩にかけたところだった。僕が、ぼうっと美空さんを見ていると、一瞬、美空さんがこっちを向いて、僕と目が合った――気がしたから、僕は慌てて目を逸らして、まだのろのろと支度をしている石田に、飯、何食べようか? と適当な話を振る。石田は、俺、唐揚げ丼食べたいなと、僕のバカみたいな質問に対して、正直すぎるくらいバカみたいに返答をするものだから、僕の吐く息はずんっと重くなる。
 美空さんは、いつの間にか教室からいなくなっていた。美空さんのいなくなった後の教室は、無性に寂しい。
 窓から見えた空は、悲しいほど澄んでいて、手が届かないくらい高く見えた。

 食堂に着くと、席は大方埋まっていた。食堂の一番奥に美空さんたちが座っているのが入り口からでも分かった。いつものように、同じグループの四人で食べている。
 「じゃあ、俺、とりあえず席取りしてくるから」
 石田がテーブル席の方に向かい、僕はカウンターから入り口付近まで伸びる長い列に夏美と二人で並んだ。入り口から入る風が、夏美の茶色いショートの髪の毛を、ふわりと流す。
 「ねえ、日向くん」
 夏美が僕の顔を見上げる。風が夏美の髪の毛から柔らかい匂いを届ける。夏美の小さな顔が柔らかくなる。
 「何か、こうやって二人で待っていると、周りの人から私たち付き合っているんじゃないかって、勘違いされそうだよね」
 僕は、そうだね、本当に勘違いされることあるからねと、苦笑いとも微笑みともとれない笑顔で返した。
 本当にたまに勘違いをされることがある。部活も同じで授業もいっしょに受けているからだと思うが、日向と夏美ちゃんって、付き合ってるの? とよく聞かれる。僕はそのたびに、違うよ、同じ部活で仲が良いだけと苦笑いを返す。もしも僕が夏美と付き合っているという噂が美空さんの耳に入ってしまうと、困ってしまうから。
 「夏美、好きな人いるんだっけ?」
 並んでいた列が少しずつ前に進む。夏美が、えっとね、と答えようとしたところで、石田がやけに嬉しそうな顔で帰ってきた。
 「悪い、俺、ちょっと彼女と昼飯食べるから、二人で食べてて。席はあそこにちゃんと取ってあるから」
 そう言って、石田は窓際の席を指差した。二人用の丸いテーブルの上に石田のバッグが置いてある。石田の彼女は、友達が今日は風邪で大学を休んだため、一人でご飯を食べていたのだという。そこにたまたま石田が通りかかったということだった。
 「じゃあ、二人でご飯食べようか」
 夏美が僕の目を覗き込んで言う。僕も、そうだねと笑顔を返した。
 石田には、夏休みから付き合っている彼女がいるのだ。大学の吹奏楽団でいっしょに活動している同い年の彼女だ。それが羨ましいということはないが、どうして石田に彼女ができるのか、不思議で仕方がない。

 僕は生姜焼き定食、夏美はカレーに野菜サラダを注文して、窓際の二人がけのテーブルに、夏美と向かい合うようにして腰かけた。遠くの方で、ご飯を食べ終わったのだろうか、美空さんたちがテーブルから立ち上がるのが見えた。美空さんのすらりとした背の高さと、まだ幼さの残る顔つきに、僕の頬は自然と緩む。
 「日向くんは、好きな人とか、いるの?」
 ゆっくりお茶を飲んでいた僕に、今度は夏美が聞いてくる。美空さんの笑顔が目蓋の裏に映り、遠くの方で赤色のリュックサックを背負った美空さんが視界に映る。僕は、ゆっくりと深呼吸をした。
 「うん。いるよ」
 夏美は、にこりと笑って、そっかと頷いた。それが誰かは聞いてこなかった。聞かれても、答えたかどうかは、分からない。けど、夏美はまだ何かを聞きたそうに、でも恥ずかしそうに頬を染めて、窓から差し込む光で、瞳が輝いて見えた、のは気のせいだろうか。
 「あれ? 夏美ちゃん、日向くんと二人きりなの?」
 美空さんのグループの一人、川田さんが隣にいた――だから、当然美空さんも、そこにいた。心臓が跳ね上がった。緊張とか美空さんが側にいて嬉しいとか、そんなことでは全くなくて、ただ動揺していた。
 美空さんは、夏美の顔を見ている。ただ夏美の顔を見ている。そこに、何の思い入れもないように見えた。例え、僕が夏美と付き合っていたとしても、美空さんには何も関係のないことだから。でも、それが、当たり前すぎて、たまらなく悲しい。
 「ねえ、前から思ってたんだけどさ」
 今度は、川田さんの隣で大沢さんが聞いた。他人の恋の話に胸を躍らせるように、目をきらきらさせて。背の低い大沢さんの後ろには、背の高い美空さんの小さな顔が、苦しいほどに見える。
 夏美は、違うよ、今日は石田くんが彼女とご飯食べてるからと、恥ずかしそうに手と顔を横に振った――その後に続くはずだった、日向くんと付き合っているの? という言葉を遮るように。
 夏美は、僕に、困っちゃうね、どうしようねと目で話しかけながら、川田さんと大沢さんが投げかけてくる質問に、とまどいながら答えていた。僕は、目と苦笑いで、そうだね、違うのにねと応え、コップに入ったお茶を啜った――手がかすかに震えていたのは、やっぱり美空さんに、僕が夏美と付き合っていると勘違いされるのが怖いからだろうか。
 コップを置くと、頬が震えた。美空さんと目が合った。気のせいでもない、自意識過剰でもない。美空さんが、確かに僕のことを見ている。美空さんの丸い瞳が、可愛くて、けどものすごく恥ずかしくて、僕はすぐに目を逸らしてしまった。恐る恐るもう一度美空さんの顔を覗き込むと、美空さんはもう俯いていた。美空さんの顔が赤く染まって、丸い瞳の中に色々な気持ちが溶け込んでいるように見えたのは、やっぱり気のせいなのだろうか、僕の自意識過剰なのだろうか。

 食堂から三時限目の講義がある教室に向かうと、遠くの教室の前の廊下に、美空さんと、知らない男がいた。たぶん、同じサークルの人だろう、美空さんは、僕の知らない男性と二人で並んで話をしている。背の高い美空さんよりも、長身で、だけどどこか頼りなさそうな、眼鏡をかけた優しそうな男。心臓が止まりそうだった。呼吸が乱れる。視点が定まらない。
 美空さんは、同じ学科の男の人とはほとんど、というより全く話をしない。今まで男の人と話している姿を見たこともなかったし、そういう影もなかった。だからこそ、どこかで安心していたところもあるのだ。美空さんは、誰かと付き合うとか、そういうことはないだろうなと、言い方は悪いかもしれないが、誰かに取られてしまうなんていうことは、おそらくないだろうなと、どこかにそういう気持ちもあったのも事実だった。
 でも、今、美空さんは、僕の知らない男性と話していて、話しているだけで、別に付き合っているとかそういうことはないのかもしれないけど、叫んでしまいそうだった。やめろ、やめてくれ、美空さんと話すな、頼むから、美空さんから離れてくれ……。
 「どうしたの? 日向くん」
 夏美が、立ち止まって呆然としていた僕の服の袖を引っ張った。乱れた呼吸をすうっと落ち着かせ、けど、落ち着きなど取り戻せるはずもない僕は、ゆっくりと、ううん、何でもないと笑った。頬が引きつり、視線は明らかに美空さんの方を向いているのが、自分でも分かった。そのとき、美空さんが僕と夏美の方向に顔を向け、一瞬、僕と目が合った。驚いたように、くりっとした目をさらに丸くした美空さんは、すぐに僕から目を逸らし、僕も逃げるように、石田、もう教室行ってるかなあ、まだ彼女といたりして、と夏美にぎこちない笑顔を見せた。
 美空さんは、さっきから相槌を打って、男に微笑んでいるだけで、自分からは男に話そうとしていない。それが救いなのかどうかは分からないが、笑って頷く美空さんの微笑みが、困っているようにも、恥ずかしそうにも見えた。

 夜空を見上げた。今日も、空は綺麗だ。そして、すごく広い。こうして夜空を見上げてみると、きっと、僕の空の上にも美空さんの空の上にも、同じ星が輝いているんだろうなあと思って、どこかで繋がっている感じがして、ちょっと嬉しくなって、だけど、ちょっと悲しくもなって、どうしても言えない一言が、夜空に吸い込まれるように、ため息となってこぼれる。
 美空さん、好きです。僕は、美空さんのことが、好きです。
 夜空に気持ちが溶け出していくのに、空に向かってなら言えるのに、恥ずかしいほど大きな気持ちをを空に向かってなら打ち開けられるのに、けど、そんな自分が悲しくなって、大きなため息がこぼれてしまう。
 声をかければよかったと何回も同じ後悔をし、いつもいつも同じように後悔してしまう自分が情けなくて、また後悔して、でも、声をかけられる勇気もないんだと分かっている自分もまた情けなくて、そんな情けない自分を変えられない自分も、とてつもなく情けなくて、泣きそうになってしまう。それでも、どうしようもなく美空さんが好きなんだという気持ちだけは、どれだけ泣きそうになっても、変わらない。
 この空に向かって叫んだなら、届かないだろうか。僕の気持ちがあの人のところまで届かないだろうか。そう思っても、夜空は溢れた僕の気持ちで、星たちが滲むだけだった。

 自分の目を、疑った。土曜日の、お昼。部活の昼休憩で夏美といっしょに食堂にご飯を食べに来た。土曜日とあって人は疎らだったが、美空さんが、いた。それも、この前のあの男と二人きりで。楽しそうに、嬉しそうに、そして、幸せそうに、笑っていた。
 夏美の声が、言葉にならないで、聞こえる。身体が動かなくなった。肺が苦しい。泣きそうになるのを、懸命にこらえた。瞳が熱くなった。
 美空さんって、付き合っている人、いたっけ? ――声が震える。
 「えっと、うん。確か、今週の水曜日から、だったと思うよ」
 水曜日、夏美と二人で食堂にいたのを見られた、その次の日だ。いや、そんなの関係ない。関係あるはずがない。
どうして、美空さんのこと、聞くの? 夏美の声が聞こえる。夏美の声も震えているように聞こえるのは、どうしてだろうか。分からない。ただ、景色が、滲んで、ぼやけて、美空さんしか見えない。
 男の手が、美空さんの頭を触った。美空さんが、微笑んだ。美空さんが、頬を赤く染めた。もう、耐え切れない。入り口を飛び出した。空を見上げた。涙が頬を転がった。嗚咽を、何とか堪えた。
 空は、残酷なほど綺麗で青く澄み切っていて、いくら手を伸ばしても、絶対に手が届かないくらい高くて、初めて秋の美しい空を見るのを、辛いと思った。会いたい人がいるなら、空を見上げてごらん。空はあの人のところまで繋がっているから。どこかで聞いたことのあるその言葉が、今は苦しすぎるくらい悲しくて、ずっと押し黙っていた気持ちが、溢れた。
 ずっと、好きだったんだ。美空さんのことが、ずっと。本気で、どうしようもないくらい好きで、でも、何も言えなかった。何もできなかった。何もしようとしなかった。ただ、綺麗な空を眺めるみたいに、美空さんのことを見つめているだけだった。それしかできなかった。だから、ただ自分が、臆病で、情けなくて、意気地なしで、弱虫で、バカで、アホで――。
 「日向くん?」
 夏美の声が、背中から聞こえた。今振り向いたら、泣いているところを見られてしまう。嗚咽をこらえ、声が震えないように、夏美に背を向けたまま、先ご飯食べてていいよ、ちょっと、先輩に呼ばれて――言い終える前に、夏美の頭が、僕の背中にのった。
 「日向くん、好きだったの? 美空ちゃんのこと、好きだったの?」
 夏美の声が、震えた。夏美の手が、僕のシャツの背中を掴む。僕は俯いて洟を啜る。それが、答えだった。そっか、と応える夏美も、洟を啜る。
 僕は、思わず振り向いた。目から大粒の涙をこぼしながら、嗚咽をこらえながら、夏美を振り向いた。夏美も、目から大粒の涙をこぼしていた。僕の涙を見ると、夏美は、しゃがみこんで、顔を両手で覆った。
 空を見上げた。滲んだ空が、太陽の光で今までにないくらい綺麗に見えて、僕は滲んだ空を見上げ続けた。
2011-12-06 18:01:51公開 / 作者:たっちゃん
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■作者からのメッセージ
初めて投稿させていただきます! よろしくお願いします。
この作品に対する感想 - 昇順
 はじめまして、たっちゃん様。上野文と申します。
 御作を読みました。
 短い中にも、ドラマがあって、タイトルを読み直してはっとしました。
 どちらにとっても、だったのか…。
 悲恋ですが爽やかな青春の輝きのようなものを感じました。
 面白かったです。
2011-12-08 21:47:12【★★★★☆】上野文
うまい! ほんとうにこういう感情の時があるんですよね!
はじめましてたっちゃん様。水山でさ。
この作品を読んで、大学が楽しみになってきました! 今からうきうきです!
大学生なんてもうナンパばっかしてる連中なんだろ……って思ってたらこれですもんね。なにこの滲むパソコン。
日向、石田、夏美、川田、大沢という名前の連なりが自然に頭に入ってきましたね。細かい格好の描写は美空さんしかされていないのに、あえてそれ以外の登場人物の風貌の描写をしていないところにセンスを感じました。それによって美空さんの存在が大きくなっていたし、読者の想像力をうまく利用しているなあ、と。
とてもよかったです!
2011-12-29 21:37:20【☆☆☆☆☆】水山 虎
計:4点
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