『夢見る普通』作者:犬猫 / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
俺は普通の生活をしていた。しかしそれはどれだけ短く、そしてもろいものなのかを知らされた…
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少年がいた。

なぜか泣いている。

なぜ泣いているのだろう。

その近くからは二人の怒鳴り声が聞こえた。

あぁそうかこれは俺だったのか。

そして少年の俺は電話を手にして電話をしている。

誰に?

しばらくすると祖母がきた。

そして二人の仲の仲裁役として来た。

その時の俺はそれで良かったと思った。

それが原因でその後二人が離婚するとも知らずに。

俺は普通の家庭に生まれた。

いや普通のはずだった。

もともとは普通だったのだ。

保育園に通い、家に帰れば母がいて、そして友達と遊び、家に帰れば母の手作り料理が並び、父が帰ってくる。

それが普通だった。

しかしその普通は長くなかった。

あれはきっと小学一年の頃だろう。

母が友達の代理として仕事を始めたのだ。

それが全ての原因だったのかも知れない。

そこから徐々に俺の歯車は狂っていった。

それから半年、母の帰りが遅くなった。

そのため母が帰るまでは祖母の家に預けてもらった。

そして毎朝、車で家に帰りすぐに学校の支度をし、学校へ向かう。

母の顔を見るのはその車で帰る時くらいだった。

母が家にいたとしても、以前のように手料理を食べることはこの先二度となくなった。

当時の俺には毎日祖母の家に行けることがうれしかったのでそんなこと気にしなかった。

そして日にちがたつごとに親の喧嘩は激しくなっていった。

そんな生活が約1年半続いた。

俺は引っ越したのだ。

理由は解らないが母の親戚が建設業をやっていて家はその親戚に作ってもらった。

土地は母側の土地だった。

つまりローンを母の親つまり祖母、祖父に払っていた。

それを知るのはその3年後になる。

俺は引っ越してからは順調だった。

俺は前の学校ではおかしかった。

授業は抜け出し、眠くなったらすぐ保健室、小学一年生がやることではない行動だった。

それが引っ越したことにより改善されていった。

俺だけが良くなった。

家では母の行動はエスカレートしていった。

もはや酔って家に帰ってくるまでになった。

つまり母は水商売をしていた。

喧嘩の理由はそれだった。

しかしその頃の俺には理解できなかった。

そして妹はひどく病んだ。

毎晩夜になると母を探すのだ。

それを俺はなだめ寝ていた。

それから2年後くらいだろうか。

親が離婚した。

そのときの俺には全く理解できなかった。

母は最後まで仕事を辞めなかった。

やめるどころか男まで作っていたのだ。

そして俺らの金まで盗っていった。

母は泣きながら、助けてと俺らにせがんだ。

俺はどうすればいいのか分からずとまどった。

その時母は、お金貸してと言った。

母親としてはあり得ない行動だ。

しかし当時の俺はそれで母が助かると思いもらったばかりのお年玉を全額母にあげた。

そして出て行った。

その後はどんどん悲惨になっていった。

俺たちは父のほうに残ったのだが母が親権について裁判をおこしたのだ。

そして妹は心が壊れた。

学校を飛び出し、その後リストカットをした。

しかし傷は浅くただの傷にしかならなかった。

がしかしその後家を飛び出て母の下に行った。

俺は、そうたしたことはなかったが家庭は最悪だった。

そのまま中学になり俺はいじめの対象となった。

もはや生きている事が解らなくなった。

そして飛んだ、学校の屋上から飛んだ。

飛びおり自殺をしようとした。

もちろん遺書も書いた。

そのことは大事にはならなかったものの俺のいた地域では大騒ぎとなった。

そして目覚めたとき周りの人は泣いていた。

というより父や父側の祖母、祖父が泣いていた。

俺は生きていたのだ。

手の骨折だけで済んだのが意外だった。

人は意外と丈夫なものだなと感じ、

俺のために泣いてくれる人がいると初めて知った。

その後俺は転校し、新しい中学生活を送った。

そこでは皆暖かかった。

俺が前の学校でいじめを受けていたこと、俺の生涯について話したところ皆が優しくしてくれた。

そして今俺は友達に囲まれ、良い生活とまでは行かないが、笑いながら生活している。

それに頑張って生きて良くしていこうと思う。

しかし、普通の生活には二度と戻れないだろう。

家族は完全にバラバラになったままだ。

きっとこの先元のように家族そろって話すことはない。

普通の家族にはもうなれないのだ。

そして今でもあの時の夢を思い出す、その度に何故生きているのかと自問してしまう。

だけどそれでも頑張って行きたい、普通の生活に戻れないなら、せめて普通の学園生活だけでも過ごしてみたい。

そして俺の為に泣いてくれる人のため、俺と笑いあえる友達のために俺はこれからも過去の傷をおいながら生きていくのだろう。

そして今日も俺は生きている。

普通の生活を夢見て……
2010-04-16 18:04:21公開 / 作者:犬猫
■この作品の著作権は犬猫さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
えーと初投稿になります。
いろいろ読みづらいところもあるかもしれませんが大目に見てもらえれば幸いです。
この作品についてですが皆さんの過ごしている生活がどれほどよく、幸せなものかを感じてもらえればと思い作りました。
まぁいろいろと意味不明なところもあるかもしれないですがほんとに大目に見てやってください。
最後まで読んでくださった方本当にありがとうございました。
この作品に対する感想 - 昇順
はじめまして、Mr落ち武者・頼家と申します。作品を読ませていただきました^^
いや、切ないお話ですね。この家庭、日常が溶けていく姿というのは、やはり切ない。主人公の記憶の風景がここに蟠っているというのも、何だか悲しい気がしますね……。大変興味深かったです。
ただ身の程をわきまえず、あえて意見を申しあげるとすれば……まず、改行を頻繁に使われているのが非常に気になりました。どちらかというと詩的な印象があります。
主人公には負うところがあるようで、興味をそそられる内容でしたのでので、ぜひ一度規約を読んでもう一度組み立ててみては如何でしょうか?
それでは、次回作を心よりお待ちしております♪
              頼家
2010-04-17 02:14:53【☆☆☆☆☆】頼家
返事が遅れてすいません。

貴重な感想をありがとうございます。
組み立てては?との意見でしたが、すいませんその予定はないです。
まだ学生でこれを書くのにもなかなか時間がかかってしまったもので……すいません。
ただ次に書くときは、また規約を読み直してしっかり書きたいと思います。

感想ありがとうございました。
2010-04-18 23:46:17【☆☆☆☆☆】犬猫
はじめまして、あかあおきです。

短編なのでさっくりと読めました。物語の流れも一貫していたので、話がつかみやすかったです。
ただ、全体的に暗いだけで終わってしまったので、もう少し起伏があると面白さがぐっと増すように思えました。後改行ばかりだったので、小説というより詩としてのイメージが少し強かったです。 
 後、冒頭の電話をとって電話を――だと、意味が重なる?ので、受話器や電話機に変えるとつっかからずに読める気がしました。
 次の作品がどんなのか、期待しています
2010-06-10 22:33:25【☆☆☆☆☆】あかあおき
計:0点
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