『現実─リアル─』作者:紫音 / TXyX - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
この世界に疑問を持つ中学生、雛沢が不思議な能力を持ち友達と学校生活を繰り広げる話しです。そして第二章は5年後の世界を繰り広げていきたいと思います。
全角25611文字
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 人なんて皆同じような人生をおくっていくに決まってる。
 俺のような一般人は普通に結婚して普通に子供を作りそして普通の家庭を築いて最後には死んでいくのだろう。
 大体予想はつく、生きててもつまらないとよく思う。

 すると何か本のような物で軽くポンっと頭を叩かれた。

 「雛沢ボーっとしてるな」
 それは国語の教師が教科書を読みながら教室中を周っていたのだ。
 それで俺が授業をちゃんとうけていないのを見つけたのだろう。

 俺は国語の教科書に目をやった。
 長い物語だ、読む気も失せる
 死んだらどおなるんだろう?
 本当に天国や地獄はあるのだろうか?それとも何もない無の世界?
 死にたいとは思わないでも死んでみたい
 死の世界は誰だって気になるはずだ。
 こんなことを言ったらきりがないな
 俺がこんなことを考えるといつの間にか授業の終わりを告げる鐘が鳴っていた。
 腕を上に上げて伸びをする者や隣の者と話す者色々な者がいた。

 学級委員が起立と言うとダラダラしながら立つ者やきちんと立つ者がいる。
 礼と言うとみんな頭をさげてありがとうございましたと言って授業は本当に終わった。

 今日も何も頭に入らなかったな。

 「また先生に注意されたな」
 俺を馬鹿にすうるかのよに笑いながら俺の席に来る少年、親友の空だ。
 親友で俺の唯一の友達だ。
 少し茶髪のかかった短髪だ、肌の色はスポーツマンを想像させる色黒だ。
 男の俺が言うのも何だが顔もかっこよく背も高いそして誰にも優しく勉強もできて見た目どおりスポーツも出来る。
 まさに理想の男だ。

 「俺はこんな勉強に興味ない、もっと天国や地獄はどんな所かとか宇宙の向こうには何があるかとか……」
 俺が語っていたら空にもういいと言われて止められた。

 「お前がそのことについて語りついたら一日中話してそうだ」
 空が笑いながら言ってきた。
 「二日ぐらい喋ってやろうか?」
 「それは勘弁してくれ」
 二人で一斉に笑った。
 やっぱ空は最高だ、俺の性格をよく理解してくれている。
 
 他のクラスメイトいや学年の者達は皆俺と空の仲の良さに疑問を持っている。
 それは誰だって思うだろう、一人は女子の憧れの者で男子の中心にいる者。
 それに比べて片方は無愛想で女子とも全然喋らなく女子以前に一人を除いて人と全然喋らず
 無駄に髪が長く前髪は目をおおっている程だ。それが地味さを出している。

 勿論、前者が空で後者が俺だ。

 そして学校も終わり俺と空はいつものように二人で下校をした。
 空は他の男子などに誘われるがいつも断って俺と帰ってくれる、小学校からずっとだ。
 でも空のことだから多分同情などではないと思う。

 俺は空とくだらないような事を笑いながら話した。
 他の者達は俺の笑い顔を珍しそうに見る。
 それも当たり前だ、俺が笑うのは空といるときだけだ。
 それ以外は一切笑わない、いや笑えないと言った方が正しいだろう。

 空と一緒にいるとこのいつも通っている、道も飽きずに楽しい冷たい風が俺と空の体を過ぎる。
 「寒いなあ」
 空が自分の体を抱きしめるようにし震えている
 「あー寒いな」
 俺は右手を学ランの左の袖口に入れて左手を右の学ランの袖口に入れた、想像するならよくアニメに出てくる中国人だ。
 
 木には葉が少なくなり落ち葉になるためにどんどん落ちていく残された葉もいずれ落ちるのだろう。
 葉の色は緑から茶色や黄色赤茶と秋を想像させる色をしていた。

 もう秋がきたんだな。
 なんてことを思い、空と二人で下校していった。

 空とは途中の分かれ道でわかれる、その分かれ道からおよそ5分位で家に着く。
 俺は制服のズボンから家の鍵を出して、鍵口に鍵を差込んだ。
 半分回すと鍵はガチャっとなりドアを開いた。

 「ただいま」
 俺は誰もいるはずがない家にそう言って入った。
 俺はもともと一人っ子でそして両親共に俺が幼い頃に死んでしまった。
 よく学校でその事を言うと皆はわざとらしい同情をしてくる。
 そんな同情はいらない、ただ一人だけ同情もせず普通に皆と一緒にしたってくれる人がいる、空だ。
 何度も言うがあいつは本当に最高の友達だ。

 俺は階段を登り二階来ると4畳の自分の部屋に電気もつけずに入り鞄をそこらへんに置きシングルベッドに倒れると
 数秒たつと意識がなくなった。
 
 2.★
 今日もいつもと同じように空とくだらない話しをしながら来た。
 教室に入ると皆が喋っていてざわついていた。
 クラスの男子や女子に挨拶され笑顔で挨拶し返す空、やっぱ空は人気者だな。
 「なんだよそんなに人の顔を見つめて?はっ!まさか……そっち系!?」
 空が左の手の平で口を隠して驚いたように言う、俺はそれを無視して自分の席に戻った。
 「まてよまてよ、冗談だって!」
 空が俺の席に焦りながら駆け寄ってきた、なんか面白かった。
 「そんなに焦って急いで人の席に来て告白でもしにきたのか?」
 俺が笑って言うと空が笑い出した。
 こんな馬鹿みたいなやりとりをしていると朝のホームルームを告げるチャイムが鳴った。
 空は自分の席に戻って行った、すると教壇側のドアから先生と女の子が入ってきた。
 先生は教壇の前に立ち教壇の上に両手を置いた、少女は先生の横まで歩いてきた。
 「えー今日からこのクラスの仲間となる東條霞さんだ。みんな仲良くしてくれ」
 先生が大きい声で言うと少女、東條さんは頭をペコりと下げた。
 黒くて肩まで長さ前髪は眉と目蓋の間くらいでスカートの丈もミニスカートとなるくらい短くくなく長くもない標準だ。
 色白で目は大きく茶色い瞳だ。
 「背は160くらいで体重は45かな?スリーサイズは上から83・57・79ってとこかな?」
 空が馴れ馴れしく後ろから肩を組ながら言ってきた。
 俺が空に気づき横を見ると空が笑って俺を見た。
 「東條さんだろ?かわいいよな男子でもう狙ってる奴もいるぜ?他のクラスで知らないものはいない、だが女子は不服そうだが」
 「そおなんだあ」
 俺は前を向き肘を机に置き手で顎を支えて素っ気無く答えた。
 「そんな素っ気無く答えるなよ、さっき東條さん見てただろ」
 空が俺の視線にやってきて笑って言った。
 「転校生だから少し気になっただけだ、後はどうでもいい」
 これは本当だ、確かにかわいいとは思ったがそれは芸能人とかを見るような感覚で好きとかの感情はわかなかった。
 「あっそ、つまんないのー」
 空は両手で後頭部の辺りを抱えて上を見て言った。
 「つまんなくて悪かったな」
 「怒るなよ、人を好きになる感情は皆持ってるさ」
 笑顔で言った。
 俺は空の言葉を無視した。

 そして放課後になりほとんどの者は部活の姿勢になった。
 だが、俺と空はテニス部の幽霊部員だ。部活には行っていない、行ったことがない。
 俺達が帰えるときに人はまったく歩いていない、昨日は全部活がある日なのでたくさんいた。
 前に一人女の子が歩いていた、見たことない子だが制服はうちの学校のだ。1年生か2年生か?
 「前で歩いてるの東條さんじゃね?」
 空は言うと俺の襟を掴み前に歩いている東條さん横に並んだ。
 「東條さんもお帰り?」
 と空が言った。
 「ええ、はい……えーっと……」
 東條さんが焦りながら言った、きっと俺達の名前がわからないのだろう。
 「空です!風上空です。でこいつが俺の親友の雛沢風莉よ、通称雛沢、よろしく!」
 空は俺と肩を組み言った。
 「よろしくお願いします、東條霞です」
 東條さんは礼儀正しく頭を下げた。
 「いいよ、そんな固くなくて気軽に行こうよ」
 空が笑って言うと、東條さんは笑ってはいと言った。
 「東條さんは部活をやんないの?」
 と空が東條さんに問いかけた。
 「はい、あたしは小さい頃から両親がいなく、バイトをしていかないと生活していけないのです」
 と東條さんは複雑なことを笑って言った、その笑顔に偽りなし──凄いお人だ。
 「両親いないって……雛沢お前も同じじゃん」
 空は俺に顔を向けて言った。
 「雛沢さんもいないんですか?」
 東條さんが俺の方を見て言った。
 俺は前を向きやや下を見て顔が見えないようにした。
 「ええ……まあ……」
 呟くように俺は言った。
 「こいつ人見知りなんだよ、馬鹿だから」
 空は俺の背中を強く叩き笑って言った。
 「いってーな」
 俺はでかい声を出して空を見た。
 東條さんが笑いながら俺と空を見ていた、恥ずかしくなりさっきの姿になった。
 「でも、すげーいい奴だから仲良くしてやってくれ」
 空は俺に親指を向け東條さんを見て笑いながら言った。
 すると東條さんは、はい!と笑って笑って答えてくれた。
 しばらく空と東條さんと俺で話しをしながら帰った。
 俺はそんなに喋っていないが、東條さんは礼儀正しく優しくて少し抜けている人だった。
 こんな俺にも普通に接してくれる人だった。
 空とは分かれ道で別れた。
 東條さんと二人っきりになってしまった……俺は女の子と二人っきりになったことなんて一度もない。
 何を話せばいいんだ?何を……?
 すると東條さんが何か小さい声で歌っていた、それは今風の歌ではなく優しくて落ち着きのある歌で東條さんの声と合っている、いや東條さんのこの声でなければ再現できない歌だ。
 小鳥が一羽やってきて東條さんの肩に静かに乗った。
 しばらく俺は東條さんを見ていると東條さんはハッと!して歌うのをやめた。
 歌をやめたのと同時に小鳥は東條さんの肩から静かに飛び去って行った。
 「すみません」
 東條さんは申し訳なさそうに言う。
 「いえ、優しそうな歌でした」
 「ありがとうございます、物心が着いた頃からこの歌を口ずさんでいたんです」
 東條さんは優しそうな顔をしながら前を見て言った。
 「お母さんに教わったとかではなく?」
 「はい、何故か知っていたんです、、父と母がいなくなる前夜に見た夢で当時のあたしがこれを歌っていたんです」
 「夢ですか……」
 俺は何か思い出せそうだった、何か忘れていることがありそうな気分だ。
 「この歌を歌うと小鳥や小動物や虫が寄ってくるんです」
 東條さんは笑って言っていた。
 さっきの小鳥はそれでか……俺は納得した。
 その後、しばらく無言のまま二人で歩いていた、帰りに歩く並木道は紅葉が舞っていて傍から見たらカップルだろう。
 東條さんはうちの近くのアパートで立ち止まった、古く小さなアパートだ。
 「あたしはここで今日はありがとうございました。」
 東條さんは軽く頭を下げてアパートの階段を登って行った。
 俺は少し東條さんを見て5分くらい一本道を歩き自分の家の前に着くとドアの鍵を開けてドアを開いて中に入った。
 俺は昨日のように自分の部屋に入りベッドに寝転がった。
 何か思い出しそうなんだ……俺はそう考えていると眠りに着いた。

 目の前に10キロ20キロ30キロと100キロと刻まれていてまである形、大きさとりどりの石と俺がいた。
 小さい物から左に並んであった。
 周りの背景は黒いが昼間のように石ははっきりと見えた。
 目の前にいる俺と石の距離は10メートル位離れていた。
 目の前にいる俺は10キロの石を見ると親指を曲げて10キロの石は目の前にいる俺の視線くらいに浮かんだ。
 親指を離すと石は下に静かに落ちた。
 次は20キロの石を見ると親指と人差し指を曲げた。
 すると20キロの石は10キロの石と同じように宙に浮いた。
 そして指を元に戻すと石は落ちた。
 次は30キロの石を見ると親指、人差し指、中指を折り曲げた。
 すると30キロの石は先程の石と同様に俺の視線と同じくらいに宙に浮いた。
 俺は親指と人差し指と中指を元に戻すと石は同様に落ちた。
 そして目の前にいる俺は俺を見てこう言った。
 「思い出したいものは、思い出したか?」
 すると次に目の前に現れたのは見覚えのある風景、俺の部屋だ。
 夢か……思い出した、父さんと母さんが死ぬ前夜この夢を見たんだ……
 それで翌日父さんと母さんが死んで悲しくて辛くて、ショックを受けて前日のことは全部忘れてしまったんだ。
 俺は机の上に置いてあるボールペンを見て夢の俺の様に指を曲げてみせた、だが親指ではなく人差し指だ。
 すると机の上に置いてあるボールペンは少し宙に浮いた。
 
 3.★
 昨日、風呂に入っていないことを思い出してシャワーを浴びて洗顔をして歯を磨き朝食のトーストの表面にイチゴジャムを塗った物を食べてコーヒー牛乳を飲み朝の行事を終わらせて空との待ち合わせ場所に行くと空が待っていた。
 「おはよ」
 空は眠そうな顔で言った。
 「ああ、眠そうだな」
 俺が言うと空は1つあくびをかいた。
 「おう、徹夜して漫画読んでたさ」
 しょうもない理由だった。
 俺達は他の者から聞いたら本当にどうでもいい話しを笑いながら話して歩いていると前に見覚えのある人が歩いていた。
 「また、東條さん発見」
 空が笑みを浮かべて言った。
 「本当だ」
 昨日見たからすぐにわかった。
 俺と空は東條さんの隣に駆け寄った、東條さんを真ん中に左が俺右が空だ。
 「空さんと雛沢さんおはようございます」
 最初に俺を見て次に空を見て言った、ちゃんと覚えてくれていた。
 「おはよ」
 空が笑って言った。
 「おはようございます」
 俺は緊張してしまいぎここちなかった。
 「霞ちゃんは誰かと待ち合わせしてるの?」
 と空、二日目で下の名前は馴れ馴れしいだろと思った。
 「わー下の名前覚えてくれていたんですか?ありがとうございます。」
 嫌な顔をせずむしろ喜んでいるように見えた。
 「あったりまえじゃん!」
 空は笑って言った、こういう男がモテるのか、俺はまた新しい知識を身につけた。
 そして東條さんは空の質問に答えた。
 「いいえ、一人です。まだ新しい学校でもちゃんと喋れる方は空さんと雛沢さんしか、前の学校でもあまり友達がいないので……」
 話していた東條さんは悲しげな顔をしていた。
 「じゃあさあ、明日から今日から俺達と学校行かない?帰りも一緒にさ」
 空は笑って言った、こういう風に誰にでも気軽で話せる奴が女の子は好きになるんだろう。
 俺も空のこういう性格は好きだ。
 「いいんですか?」
 東條さんは驚いて空の顔を見た。
 「もっちろん!雛沢お前もいいだろ?」
 空は俺の顔を見て言った、答えは決まってるYESだ。
 「ああ、東條さんなら」
 そう他の人ならお断りだが東條さんは昨日でわかったが裏表がない純粋な人だ。
 そしてとても優しい人だ。
 「あと……アパートの前にいてくれれば俺が迎えに行きます、それから空と合流しましょう」
 俺は言った。
 「おっ!珍しいなあお前が長文言って積極的なんて」
 空が冷やかすように言った。
 「うるさいなあ」
 すると東條さんは笑って俺を見た。
 「ありがとうございます雛沢さん」
 「はい……」
 俺は小声で言った。
 「空さんと雛沢さんはこの学校であたしの初めてのお友達です」
 東條さんは前を見ながら笑顔で言った。
 「こいつの初めての女友達でもあるよ、東條さんは」
 空は笑いながら俺に親指を向けた。
 「うるせーな」
 俺は空に言った、それを笑いながら見る東條さん、東條さんといるとなんか落ち着く。
 しばらく3人で喋りながら話していると学校に着き教室に入るとクラスの男子と女子は驚いていた。
 そしてざわついた。
 「東條さんが空と雛沢と登校してる……できてんのかあいつら」
 みたいなことだ、男子も女子もこのことを話しているのが聞こえる。
 うるさい奴らだなんで異性と来ただけでこんなに騒がれなきゃいけないんだ。
 俺は不満だった。
 東條さんはギャル系の奴等と何か話していた、今日の登校のことだろう。
 まったくうるさい奴等だ、男子も空に何か喋りかけていた。空も同じことだろう。
 そして俺のもとにもクラスの男子二人が来た。
 「お前東條さんとどういう関係だ?」
 俺は机の上でうつ伏せになって答えた。
 「別にただの友達」
 するとまた男子が問いかけてくる、うるせーな
 「なあなあ、東條さんに好きなタイプ聞いてくれよ」
 と興奮しながら言う男子
 「自分で聞けばいいだろ」
 「それができないからお前に聞いてんだろ、頼むよ」
 「嫌だ」
 俺は即答で答えると男子生徒二人は俺から離れて行った、なんだよあいつせっかく話しかけてやったのにと愚痴を言いあいながら遠ざかって行くのがわかる。俺だってお前等なんかと話すことねーよ。
 
 そして時間は経って行き俺の席に自分の椅子を運びながら来る東條さんと弁当だけ持った空が来た。
 「本当に一緒に食べてよろしいんですか?」
 東條さんが言う。
 「当たり前です」
 俺は即答で言った。
 俺はコンビニで買った焼きに弁当を取り出した、いつ買ったかって?さっき
 空は俺の前の席の奴の椅子を俺側に向けて座った。
 東條さんも自分の椅子で同様にして座った。
 「お前またその弁当かよ、あきねーのかよ」
 空は言った。
 「飽きるも飽きないもこれしか食えるもんねーからな」
 俺はパンは嫌いだ、しかし焼きたてのトーストは別だ。あれはうまい。
 東條さんは可愛らしいピンクの弁当ケースから小さな二段の弁当箱を取り出した。
 一つはたまごのふりかけがかかったご飯でもう一つは卵焼きにたこさんウインナーなどと可愛らしいおかずが入っていておいしそうだった。
 「うわー東條さんの弁当おいしそう」
 空が目を光らせて見ていた。
 「ありがとうございます、練習したんです」
 東條さんは笑顔で言った。
 「うまそ……」
 俺も思わず言ってしまった。
 「あの……雛沢さん」
 東條さんが俺に話しかけてきた。
 「なんですか?」
 「ご迷惑でなかったらよろしいんですが……あたし雛沢さんのお弁当も作ってきましょうか?」
 俺は驚いた。
 「いいんですか?」
 「もちろんです、先程空さんがいつも同じお弁当と言っていたので栄養バランスを取らないといけませんから」
 東條さんは笑顔で言った、東條さんはいいお嫁さんになるぞきっと
 「はい、ありがとうございます。じゃあお願いします」
 「こちらこそ」
 「わあー恋人みたい」
 空が手を叩きながら八ッハッハと言いながら暢気そうに言った。
 俺は顔が赤くなっただろう。
 「ありがとうございます」
 東條さんは笑顔で言った、この人言ってる意味わかってるのか?
 昼飯も食い終わり授業まで色々と話していた。
 
 そして放課後になり3人で帰った。
 途中で空とわかれ二人になった、やはり緊張する。
 俺はどうしても聞きたいことが朝からあった。夢のことだ。
 東條さんが昨日話してくれた夢は俺が前夜思い出した夢と同じような物だった。
 俺は思い切って聞いてみた。
 「東條さん……」
 「はい?」
 東條さんは答えた。
 「あの……昨日の唄を歌うといつも小動物や小鳥達があつまるんですか?」
 「はい、外で歌っていればいつもです」
 東條さんは笑って答えた。
 「夢で見たんですよね……?」
 「はい、両親がいなくなる前夜に」
 「実は俺も両親が死ぬ前に見たんです……同じような夢をでも……両親の死のショックで忘れていて昨日東條さんから話しを聞いて思い出したんです」
 東條さんは驚いていた。
 「雛沢さんもですか?じゃあ雛沢さんも歌うと小鳥達や小動物が来るのですか?」
 「いいえ、俺の場合は」
 俺は周りを見渡し潰された缶コーヒーの空き缶を見つけた。
 「潰された缶コーヒーを見てください」
 俺は缶コーヒーに人差し指を向けると東條さんは少し探してすぐ見つけた。
 俺は右の中指を曲げて空き缶を宙に浮かせてみせた。
 すると東條さんは驚いていた。
 「あれ……雛沢さんがやってるのですか?」
 東條さんは驚いて言う、俺は中指を元に戻すと缶は地に落ちて音を鳴らし弾みで少しの間転がった。
 「はい、指を曲げると物を宙に浮かすことができるんです。一本で十キロで二本で二十キロと百キロまで可能です、それから範囲は十メートル以内1つの物だけ、自分の意思で動かすことができます。高さも十メートルまでならどこまででも浮かせられます。何故か知ったのではなく知っていたんです……腕や足を動かすのと同様に」
 東條さんはまた驚いた。
 「それもあたしと同じです……不思議ですね」
 東條さんは笑って言った。
 「ですね」
 「この夢の力と言えばいいのでしょうか?この力のせいであたしは気味が悪いと言われて虐めをうけたんです」
 東條さんがいきなり辛そうな顔で言った。
 「そおなんですか……じゃあこれは二人の秘密にしましょう」
 「二人だけのですね……空さんにはそうします?」
 俺は少し考えた、そして結論が出た。
 「空にも秘密で」
 俺は初めて東條さんの前で笑みを浮かべた。
 そして二人で車も滅多に通らない家ばかりの田舎道を歩いた。
 木も一本で生えていることはなく森や林があるようなところだ。
 森や林も葉は紅葉に茂っている。
 空は一面雲で太陽は薄く輝いていて直視できるほどだ。
 東條さんを自宅に送り5分程歩いて自分の家に着き入っていった。

 4.★
 今日も朝の行事、朝のお通じ歯を磨き洗顔をしてイチゴジャムを塗ったトーストとコーヒー牛乳そして制服に着替えて家を出た。
 今日は風が少なく気温も低くなくて寒くなかった、空も青く薄く透き通った雲が数えられるくらいの数だけだった。
 俺は5分ほど歩くとアパートの前で待っている東條さんを見つけた。東條さんは俺に気づくとにこやかな顔をしてくれた。
 そして近くまでくると東條さんが頭を少し下げて挨拶をしてくれた。
「おはようございます」
「おはようございます」
俺は素っ気無く返してしまった、女子とほとんど喋らない俺は何故か緊張してしまう。
二人で無言のまま歩いていると通りかかった、同じ中学の生徒が俺と東條さんをチラ見するかじーッと見てくる、きっと大きく分けて二つだ、1つ目はカップルだと勘違いしている者が興味本心で見ているのだろう、2つ目は東條さんのことをかわいいなあと思いながら見てその隣にいる俺のことを素っ気無い彼氏だなとか思うのだろう。
 まあ、気にしないが、東條さんも気にしていなかった。
「なんで、見られてるのでしょうね?あたし顔に何かついてますか?」
本気でそう言う東條さん、可愛らしかった。
「ついてないですよ、きっと俺と東條さんが……付き合ってると思ってるのでしょう……」
気にしていないつもりなのに顔が赤くなってしまうのがわかる、顔が熱いから
「あたしと雛沢さんは友達ですよ?」
東條さんは疑問そうな顔を浮かべる。
「二人きりで歩いていますから傍から見たら付き合っているように見えるでしょう」
「なるほどです」
東條さんは笑って言った。
 そんなことを言っていると空との待ち合わせ場所に着いた。あいかわらず空は眠そうに待っている。
「おはようございます空さん」
東條さんは軽く頭を下げていった。
「おはよ、霞ちゃんと雛沢」
「ああ、また眠そうだな」
「今日は肉まんはなんであんなにうまいのか考えてたら朝になったんだ」
空はあくびをしながら言った。
 3人で学校に向った、いつも空と話していたような話しをしながらだ。東條さんは楽しそうに笑ってくれていてよかった。
 学校に着いて教室に入ると次はそんなに騒いでいなかった、やはり何事も驚くのは最初の内だけだな。
 3人で朝のチャイムが鳴るまでずっと喋っていた。クラスの者達は俺が笑いながら喋っているのを見て不思議そうに見ているが気にしない。
 そしてチャイムが鳴ると同時に不良系の男子と女子が入ってきた、金髪や長い黒髪をして学ランのボタンは一つもついていない女子の方は髪の毛を茶色や金髪銀よりの黒に着色した髪にとても短いスカートだった、両方とも鞄は持っていなかった。
 クラスの雰囲気ががらりと変わった、前に一回こいつらのいる教室で騒いでいた男子が教室内でボコボコにされたことを皆知っているからだ。
 それ以来皆大きな声で喋らなくなった、先生達にも暴力を普通にするので手をやいている。
 教室に入る時に不良系の女子が東條さんをガンをとばすような鋭い目で睨んだのがわかった、東條さんはそれを何とも思わず笑顔で見返していた。
 それと言い忘れていたがこいつらは全然学校に来なく東條さんが転校してきていた初日もその次の日も休んでいた、何で休んでいたかはわからないがまず病気ではないだろう。
 そして次に担任が教室に入ってきた、不良達がいるのに気づき少し戸惑っていた。
担任が教壇の前に着くと学級委員が起立、礼、着席と言いクラスの皆は動作をそした、一部を除いて不良系の者達はロッカーの上に並んで座ってでかい声で喋っていた、担任はそれを無視していた。顔などには出していないがきっと怖いのだろう。
 ホームルームも終わり、授業も不良達を除けば順調に終わり昼飯の時間になった。
 すると東條さんが笑顔で俺に何かを差し出してくれた。
「はい、雛沢さんの分」
それは青い弁当ケースに入った二段式の弁当だった。よく見ると東條さんの物と色違いだ。
「ありがとうございます。」
俺は笑顔で答えた。
「いえ、中身はあたしのと同じですが」
「いえいえ、ありがとうございます」
 クラスの者達は俺を羨ましそうな顔をして見ていた、まだ空だったら納得がいくかもしれないが地味な人種にいる俺がクラスいや、学年のアイドル的存在の東條さんから弁当を貰ったのだ、イライラするのはしょうがない、自棄になって弁当を一気に食べている者もいる。
 俺は弁当ケースから弁当箱を取り出してそしてふたを開けると見た目も綺麗で美味しそうなおかずが沢山入っていた。
 俺は卵焼きを箸で掴み口へと運んだ、うまいとしか言いようがない。
「お味はどうですか?」
不安そうな顔で聞く東條さん
「とてもおいしいです」
「よかった」
安心したのか笑顔で言った。
 もう一つ卵焼きを食べようとしたら入っていなかった、あれ?二つあったはずだが?だがすぐ謎は解けた。
「霞ちゃんこの卵焼き凄くおいしいよ!」
空がこっそり取っていたのだ、よく見ると他のおかずも一つずつ取られているのがわかる。
 こんな喜びもつかの間だった。
「東條さんこっち来な」
不良系の女子の一人が手招きしながら東條さんに向って言う、その後ろには数人の不良達がいた。
「あたしですか?」
東條さんは人差し指で自分の顔を指した。
「あんたしかいないだろ、本当にムカつく奴だな」
不良系の女子の一人はイライラしながら言った。
 東條さんが椅子から立ち上がり不良系の女子のもとに行こうとすると空が東條さんの腕を掴んで止めた。
「いかなくていいよ」
空の顔は真剣だった。
「てめー風上、調子乗ってんじゃねーぞ」
不良系の男子が空に歩いて近づいて胸倉を掴んだ。凄い迫力だ。俺には何もできない
「どっちがだ」
空も鋭い眼差しで不良系の男の目を睨む、そして空の胸倉を掴んでいる腕を右腕で掴み力を入れると不良系の男は空の胸倉を掴んだ、空は喧嘩も強い。あいつら一人づつだったらまず勝てるだろう。
 そしていくらか小競り合になり空と東條さんと不良達は屋上にへと行った。
 情けないことに俺は不良達が怖くて見てることしか出来なかった。
 そして五時間目が始まったが一向に戻ってくる気配はなかった、このことを誰も先生には言おうとしない。もし言った奴は袋叩きにされるからだ。
 どうすればいいんだ?俺は頭を抱え込んで考えた。すると空と東條さんの笑った顔が頭の中に出てきた、俺のたった二人の友達……考えは決まった。
 俺は何も言わずに教室から急いで飛び出した、先生が何か言っているが気にしない、ただただ走って屋上に向った、疲れを感じなかった。
 俺は勢いよく屋上の扉を開けた。
 そこには顔が腫れて額から血を流し倒れている空に、不良系の女子に裸にされ髪を引っ張られていた東條さんそれを携帯で騒ぎながら撮っている男共。
 俺は初めて怒りを覚えた。 
「止めろ!」
俺は怒鳴って言うと不良達と震えて怯えそして泣いている東條さんに倒れている空が俺を見た。
「何のようだよ、キモ沢が!」
不良達が笑いながら言う、俺なんて怒る価値もないらしい
「手に持ってる携帯をしまえよ」
「キモ沢が俺達に命令すんなよ」
不良達が笑いながら言う、俺は右手の中指を曲げて不良の一人の携帯を見つめて宙に浮かせた、不良達は驚いていた。
俺はそのまま屋上の外に落とした、それを他の不良達の携帯も同じようにした。
「なにが起こったんだ?」
不良達は冷や汗をかきながら驚いていた。
 確か三本つまり30キロまでが限界だな、俺は東條さんの髪を掴んでいた、女子の不良を見た、あいつが首班だな、最低な事をしようとした。男として絶対にやってはいけないこと
 俺は女のもとに走っていき思いっきり顔を殴った、女は後ろに倒れた。俺を恐れた顔で見ていた。
「てめーふざけんなよ!」
俺は女の胸倉を掴んで怒鳴ってやった、そのうちに女は目から涙を流した。俺がもう一発殴ろうとすると後ろから誰かに殴られた。
「てめー調子乗ってんなよ」
不良達が倒れた俺を踏みつける、痛いが俺は我慢した。叫んではいけない泣いたら負けだ、あばら骨が折れたのが感覚でわかる……せめてあと……空の胸倉を掴んだ奴だけでも……俺はとっさに右手に拳を作り女を見た、そして宙に浮かせた限界の10メート上にだ不良系の女子は叫んでいた、浮いている本人もだ。
 男子はそれを見ると驚いていた。俺は男子の上に女を落とした。
 するととっさのことで男子は避けられず女の下敷きになった、俺には被害はなかったでも2人の男子も無事だ、俺は体に激痛が走ったのが分かった、蹴られた者よりもっと鋭い痛みが
 俺はその瞬間死を覚悟した……これで死んでも悔いはない、東條さんや空の仕返しはできた。これで死んでもここに来なかったよりはずっとマシだ。
 そして目の前が真っ暗になった。

5.★
 ここは真っ暗な場所周りには何もない、地獄か?俺は周りを見渡したがやはり何もない、すると後ろから声がした。  「五本曲げやがったたな」
そこにいたのは、俺だ。夢にでてきてあの力を使ってみせた俺だ。喋ってきたのはこれが初めてだ。てことはこれは夢か?
「いいか、これは警告だ。五本でお前が気絶したのは、これ以上使うなという警告だ」
俺はそう言うとどんどん薄くなって消えていった。
「おい!まてお前にはまだ聞きたいことがある!」
すると場所は保健室のベッドの上になっていた、やはり夢だったか。
「雛沢!」
 そこには椅子から立ち上がった、顔にいくつもの痣がある空がいた。それと保健室担当の先生だ。
「お前等無事だったか」
 俺はあの状況から抜け出せたことがなによりだった。
「お前がいきなり気絶しててびっくりしたよ、あいつら気絶させる程けりやがって」
 空が怒りながら言った、違う、気絶したのはあいつらに蹴られたからではない指を五本曲げたからだ。
「それで問題なのはその後よ、いきなり黒宮が浮いて不良連中の上に落ちたんだからな」
 空はびっくりした顔で語っていた、黒宮と言うのは東條さんを呼び出した、張本人のことだ。
「そおなんだ」
俺は笑いながら言った、多分苦笑いになってしまったと思う。
「お前信じてないだろ!」
「信じてるよ、お前がそんなに真剣に言うんだからさ、それより東條さんは?」
「霞ちゃんは入院してる……凄い怯えてたんだ……震えてて……俺が助けてあげられなかったから」
滅多に涙を流さない空が泣きながら言っていた、両手は太もものあたりのズボンを強く握っていた。
「それだったら俺だって同じだ、俺なんてただ殴られただけだぜ、じゃあ今日東條さんのお見舞いに行こう」
「ああ、だめだ。3日間は面会できないんだ。霞ちゃん男に凄い怯えてるらしいんだ、女だったら3日経てばお見舞いいけるが男は多分無理だ、最悪の場合男は一生合えないかもしれない……俺もお前も」
深刻な顔で空が言った、俺は不良共を今からでも殴りたい気分だった、もう東條さんに合えないなんて……信じられない、信じたくない。
「不良共はどうなったんだ?警察に捕まったのか?」
「いや、男の方は二人残して後は首の骨を折って重傷、黒宮は頭を打って死んだ」
空が真剣な顔で言った、俺が殺した……俺が殺した、俺が……俺は人殺し……うああああああああ俺は口から今まで食べた物が胃液とともに戻してしまった。
「大丈夫か!雛沢、先生雛沢が!!」
空がそう言うと先生はバケツを持ってきてくれた、その中で吐いた、思いっきりこれ以上出せない程にそして涙も出てきた。あいつらは酷い事をした。死んでもかまわないと思った、でもあいつらでも死んだら悲しむ人がいる。ごめんなさい、ごめんんなさい、ごめんなさい……謝罪の言葉が浮かんできた。
空が俺の背中を擦りながら心配してくれている、先生は俺が吐いた物を雑巾で拭いてくれた。二人に感謝する。
俺は吐き終わると空の肩を借りながら水道に行き水を飲んだ、結構楽になった。
 俺は家でゆっくりすることになり、先生の車に乗り家まで送ってもらった。
 家の前に送ってもらうと先生にありがとうございますと言った、すると先生は今日はゆっくり休めよと言って車を出した。
 俺は家の中に入り居間に行き電気をつけた、そしてすることもないのでテレビをつけるとニュースがやっていた、内容はターミナル建設、ターミナルとはとても高い建物らしい、まだ俺達一般人には教えてくれない、だが今の総理大臣が言うにはこの日本を大きく変えてくれると言っている、俺が小6の頃から作り始められて、あと4年後には完成されるらしい、日本だなんて大きいものではなくもっと身近なものから対応してもらいたい……今日のことといい、俺は自分の部屋に行きベッドに倒れるように寝転がった。

 俺の世界が変わった。

第二章 青い炎

「起きろ、風莉」
俺を呼ぶ声がする低くもなく高くもない声、俺は声の主が誰かわかる。
「ああ、おはようカラス」
俺は声の主カラスを見て挨拶をする、肩まである黒と言うより漆黒と言った方が似合う髪、サラサラで綺麗だ。肌の色が白めで脛の辺りまである黒いローブを羽織っている。年齢は俺と同じ位の18歳か19歳位だろう、性格は冷たいがそこに何か温かいものを感じ取る事ができる。
「ああ、市に行くぞ」
カラスはそう言うと反転して玄関に向って行った、俺もその後を追う。
「ねえ、カラス川に寄りたいんだけど?顔を洗いたいんだ」
「すぐすませろよ」
俺とカラスは玄関から出て外に出た、ここはもともと俺達が住んでいる家ではない、元々はここに住んでいた住民がいたがその住民はこの家を捨てた、いわゆるここは空き家だ。ここだけではない俺達がいるエリアの家は全部と言っていいほど空き家だ。
 外に出ると戦後のような荒地だ、どの家もどこか大きく破損している、俺とカラスが住んでいる家も然りだ、空は青くいい天気だ。洗濯を干すには最適だろう……と言いたいがそうではない、確かに空は青いだが、日は当たらない、大きな壁のせいで、壁の向こうには何も見えないただ1つを除いて、雲の近くにまで聳え立つターミナル壁の向こうで見えるのはこれだけだ。
 まず俺達が住んでいる場所と壁の向こうの場所の説明をしよう、まず壁の向こうというより壁の内側に存在する世界は主に中の世界と言われていて周りが大きな壁で塞がれている海からの侵入を防ぐためだ、だが数箇所貿易のために港がある。普通の一般市民からお偉いさんまでが住んでいる科学都市だ。そしてこの科学都市の中央に立つのがターミナル、これは中の世界では最高級の必需品だ。これがなければきっと滅ぶだろう。
 まずは家にはターミナルから電波が発信されている、家に入るには住民の指紋で鍵を開けることが出来る、他の物では絶対に開けることができない、もし無理矢理にでも開けようとするとそれをターミナルが感じ取りすぐに警備員がやってきて捕まる。他のビルなども然りだ。電気もターミナルから発信される目に見えない力で作っていてそれを家に発信している。車も同様で動いている、だからガソリンなんて使わない、そしてなんと言っても一番はロボットだ。警備員型やお手伝い型色々な種類の物がある。警備員型は知識力は通常の人のおよそ数倍はあるスピードもだ、だから犯罪は少ない、これが中の世界の基本的なことだ、他にもあるらしいが俺は知らない、そして外の世界は荒れ果てた地に広さは1つの市くらいだろう日にも当たらず食料も少なく犯罪などが多い、喧嘩なんて毎日のことだ。だがこの世界ではこれが当たり前皆生きるのに精一杯なのだ。
 小さな子供だってこの世界にはいる、栄養が取れず若いのに白髪の者だっている、骨と皮のような者が多い、この外の世界にいる者は犯罪者が多い、牢獄にいた者がここに野放しにされている、中の世界で犯罪を犯した者はこの世界に追放される。
 中の都市は科学都市であり理想都市なのだ、犯罪者などがいてはならない、そういう者がこの世界に来る、それや貧乏な者、理想都市の看板汚しなのように扱われるからだ。
 何故俺がこんなことを知っているかって?俺もまた中の世界に住んでいて外の世界に追放されたからだ、されたというより逃げてきたと言った方が合っているかもしれないな。
 地形を説明すると日本の一番下の市、俺はなんという市かはわからないがそれを除いた全てが大きな壁に囲まれている、壁の内側が中の世界だ。ちなみに付け足しておくが中の世界から外の世界にいくことは出来る、だが行くものなど滅多に、いやほとんどいない、行く奴なんか自殺志願者だけだろう。
「ほら、早く顔を洗え」
俺がこんなことを思いながら歩いているといつの間にか川に着いていた、小さな川だ、魚はいない。入っても脛くらいまでの浅さしかない。でもこの世界で一番綺麗な川だ。
 俺は水に写る自分の顔を見た、銀色の髪でカラスまではいかないが伸びた髪白目はなく黄色だ、背も178位ある。
 両手で川の水をそっとすくって顔を洗った、これを2・3回やった。
 ここに来て自分の顔を見るといつも思ってしまう、4年前に戻りたいと……昔はこんなんじゃなかった……と空は元気なんだろうか?東條さん……俺には何もわからない……
 4年程前の話しだ、俺がまだ雛沢だった時代だ。
 
「もう卒業か……なんか早かったな」
空が体育館に向う途中にしんみりとした顔で言った。
「そおだな……もしお前がいなかったら長かったな」
「嬉しいこと言ってくれんじゃねーか!」
空が笑いながら俺の肩に腕を回す、俺と空の二人だけだ。いつも一緒にいた少女の姿はない、東條さん……あの事件以来、男だけではなく女にも恐怖を覚えてしまったらしい、人間不信だ。だけら入院してから一度も会っていない、彼女が転校してくる前の俺と空の二人に戻ってしまった。
 卒業式だが俺にとっては時間が逆戻りした気分だ、一緒に卒業したかった。
 そして俺達3年生は今日の主役ステージに3列に並んだ、俺と空は一番後ろだ、1.2年生が卒業式ようの歌を歌いそれぞれの学級委員が俺達に言葉を送ってくれて俺達が歌を歌い卒業証書を授与して外に出て行った、拍手をされながらバックに歌が流れながら退場していく、泣いている者がいた。俺には理解不能だった。
 そして俺達も高校行くものは高校生、就職するものは社会人となった、俺は社会人だ。今までは親の遺産で生活していけたが高校に通えるほどもう残っていない、空は俺達の住んでいる市で一番偉い高校に入学する事になった。
「お前も社会人か、おめでとな」
空が笑って言った。
「お前も頑張れよ、高校生」
俺もそっと笑って言った。

 そして俺は一人で稼いで普通に過ごしていった、それから空と合うことはなかった、空の行く学校は本当に偉くて県で一番偉いと言ってもおかしくはない、だから遊んでいるは暇はないのだ、まあしょうがないだろう。俺は製紙工場で働く事になった、そして普通に稼いでいきそして月日は過ぎて行った。

 そして最近のことになる、この国を変えるとまで言われてきた、ターミナルが完成した。そしてあの大きな壁も俺達のような一般市民はただちに中の世界に住む事になった、と言ってももともと壁の中の世界に住んでいる者は必要はないがこの国の下の方に住んでいる者達は壁の中の世界に引越しを始めた。その国の一番下に住んでいた者達がいた市が今の外の世界になったのだ。
 外の世界と中の世界に繋がる門は1つしかなく厳重に警備されている、もし外の世界の者が中の世界に入ってくるとターミナルがそれを感じてすぐに警察に電波を送る仕組みになっている。何故外の世界の者と中の世界の者を区別できるかというと俺達のような中の世界の者はIDカードのような物を持っていてそれとターミナルに登録してある、俺達の履歴?がリンクされていて中の世界の者だと判断しているらしいだがそれが撤収されたらもう中の世界の者だと認識されず外の世界の者とされる。
 これが新しいこの国だ。
 
 2☆.
 俺もこの中の世界で暮らすことが決まった、家は小さなアパート暮らしだ。一人暮らしには十分な広さだ。結婚はする気もない、工場は見た目がそのままでそのまま運んできたのかと質問したくなるほど同じだった。
 一番驚いたのがロボットがそこらへんを歩いていることだった、俺は昔から夢がない子供で青い猫型ロボットのアニメを見ていたがこんなもの現実に存在するわけがないと思っていたが、もっと高性能なロボット達が歩いていた。
 ベースは人で大きさは俺と同じ位だろう見た目は鉄で出来ているから銀だ、体系も一般の人間と同じくらいだ、服も様々だ。着ていないものもいる。顔は統一されている。目は横向きの細い小さな長方形で赤く光っているきっと電源が入っているということだろう。
 さっきこの新しい国を散歩していたらロボットに片言だったが『コンニチハ』と挨拶された、普通に驚いた。合う人合う人に挨拶をしている。挨拶された人は俺と同じように驚いた、まあ最初は驚くよな。
 現在、俺は、居間で横になっている、この街はまだ慣れないそれにくらべて家の中は落ち着く、多少近代化しているがそれを取り除けば前と変わらない暮らしをしている。商品も安くなっているコンビニでも飲み物が147円から98円になるほどだ、他の商品も然りだ。
 俺はチャンネルでテレビの電源を点けた、暇つぶしにニュースでも見るか、ほとんどのニュースがこの近代化についてだ。つまらなかった。空はこんな国になっても勉強はしているのだろうか、まあしているだろうな、あいつは将来警察になりたいと言っていたからな、まあ頑張ってほしい、ちなみに俺は携帯やパソコンは持っていない、理由は簡単だ必要ない。ニュースとかだったらテレビを見ればいい、連絡なんてとる奴なんていない、いざとなったら家の電話がある。これで十分だ。
 俺は暇になりすぎて目蓋が重くなってきた、いつの間にか寝てしまった。
 
 ここはどこだ?周りは真っ暗だがはっきりと周りが見える不思議な場所不思議な感覚だ、俺はこの場所に一度来たことがある、4年前能力を思い出した日だ。なんで俺はこの場所にいるんだ?
 するといつの間にか目の前に能力を使っていた夢の中の俺がいた。
「東條霞助けてやれ」
いきなり無表情でそう言った、意味不明だ。
「なんなんだよ、いきなり。東條さんがどおしったていうんだよ!」
こいつは本気で物事を言うときの俺の表情をしていた、何か不安を覚えた。
「あいつは今暗い場所に閉じ込められている……心を失いかけている」
「だから意味わかんないんだよ!どうせこれ夢なんだろ?そんなこと本当はないんだろ?もし本当だったとしたらなんでお前がそんなこと知ってんだよ!」
「この世界で能力が使えるのはお前と東條霞だけ、俺と夢の中の東條霞はリンクされている。だからわかる」
「意味わかんねーよ」
「わかんなくていい、でも助けてやれ政府の奴等東條霞の能力のことを知っている、能力を欲しがってる」
俺は驚いた、なんで東條さんの能力を政府は知ってんだ?あの能力そんな簡単には知られるもんじゃないぞ?
「ターミナルに行け」
すると夢の中の俺は消えようとしていた、いや俺が起きようとしているんだ。
「最後に答えてくれ!お前は誰なんだ?」
夢の俺は無表情でこう答えた。
「俺はお前、お前は俺ではない、お前が死ねば俺は死ぬ、俺が死んでもお前は死なない」
夢の中の俺がそう答えると俺は目が覚めた。

 またあの夢を見た、夢の中で俺の意識がちゃんとあった。覚醒夢というやつだ。あいつが言う事が本当なら東條さんは今危険なのか?でも嘘っぽい、というより夢の中ではありえないことが現実に思えてしまう、あの感じがする。だが俺はこの覚醒夢を見たのは四年前と今だけだ。両親が死ぬ前夜にも見たかもしれないが思い出せない。そして何か胸騒ぎを感じた。
 俺は真実か否か調べるためターミナルに向った、もし真実だったら大変だ!
 俺は自転車に乗りペダルを漕いでターミナルにへと向った焦っているのか疲れを感じないが汗をかく、ターミナルは俺の住む市にあり下っていけば着く、帰りは大変だ。
 ターミナルの周りには人が混雑していた、俺は人を掻き分けて行くそして混雑している人達の先頭に立った、近くで見ると幅も大きく高く天辺が見えなかった。土台の部分は塔になっている部分より幅がより大きかった、迫力が凄い。いやいや、感心しにきたわけではない、俺は人ごみの中に戻り家に戻ろうとするとあるものが目に入った。制服を着ていて二つ縛りをしていた茶色のかかった黒をして前髪が眉毛と目蓋辺りの高校1年生か中学3年生くらいの女の子だ、その後ろに40後半位の短い髪のスーツで左手には皮の鞄を持っている仕事にでも使うのだろう、そしてマスクをしている。それだけではなんともないのだが男の右手が少女の服の中に入っているのだ胸を触っているのだろう、少女は嫌そうな顔をして泣いているが周りの人達はターミナルに夢中で気づいていなかった。少女は俺に助けを求めるかのように見てくる、いつもだったら見知らぬ振りをするが何故かできなかった、少女に何か知っている面影があった、何かはわからない。
 俺は痴漢している男に近づくと男は少女の服から手を出した、その手には殺菌ようの薄い手袋をしていた、指紋をとられないようにだろう、よく見ると左手にもしていた。
 俺は男の肩を掴んだ。
「あんた痴漢してたろ」
「何を言うんだわたしは何もしていない君の見間違いじゃないのか、青年?」
男は冷静に言う、動揺はしていなかった。
「見間違いなものがあるか!じゃあなんでこの子は泣いてるんだ!」
俺は怒鳴って言った、すると周りの人達は俺達のほうを見始めた、痴漢だってよと噂をする者もいる。
「この少女がなんで泣いているかなんてわたしが知るはずがないだろ」
「お前が胸を触ったからだろ!」
俺はカッとなって殴りかかりそうになった、腕はもう殴る状態になっている、その時男が喋った。
「いきなり殴ろうとするなんて近頃の青年は怖いなぁもしかしてお前等がわたしをハメようとしてるんじゃないのか?」
男がそう言うと周りもそう騒ぎ始めた、俺が殴ろうとしたからだろう、この男は見た目は真面目そうな会社員だ。
「なんて奴等だ警察に連れてってやる!」
男は怒鳴ると俺と少女の腕を掴んで引っ張る人達は男の道を作った、なんだよこれ……こいつが悪いのになんで……俺が不安そうな顔をすると少女が泣きながら小さな声で俺に話しかけてきた。
「あたしのせいで……ごめんなさい……」
この子はもっと辛いだろうな女性として一番とも言える嫌なことをされてそして警察に連れて行かれる、男は手袋をしているから指紋はつかない、警察は俺達のことを信じてくれるだろうか?いや……周りからの聞き込みをしたらきっと俺達が悪くなるな。助けよと思ったのに俺の方が迷惑をかけてしまった。
「ごめんね」
俺は少女に言った、なんで俺は殴ろうとしてしまったんだ。ちゃんと話してあいつに認めさせるべきだったんだ。
すると30代くらいの眼鏡をかけた黒いスーツの男がこちらに来た。
「どうなされたんですか?」
男は痴漢男に話しかけた。
「こいつらがわたしを痴漢呼ばわりするので警察に連れて行こうとしているんです。」
痴漢男は答える。
「違います!本当にこいつはしたんです!この女の子に」
俺は大きな声で言った。
「本当ですか?お嬢さん」
男は少女に優しく問いかけた。
「はい……されました……」
少女は小さな声で答えた。
「嘘をつくな!大体証拠はあるのか!」
男は怒鳴った、少女はまた泣いてしまった。
「証拠はありません……この男手袋をしているので」
俺は歯を食いしばって言った、悔しい
「ほら、見ろ!何もないじゃないか!ちなみにあんたはなんなんだ?」
痴漢男が男に向って言うと男は答えた。
「申し遅れました、わたしは警察の者ですちなみに警視です。たまたまこのこのターミナルを見ていましてね、そしたら貴方達の騒ぎがありましてね」
「あなた刑事さんですか、じゃあこいつらお願いしますよ」
痴漢男は刑事に向って言った。
「本当にやってないんですね?」
刑事は痴漢男に向って言う、真剣な眼差しだ。
「はい、やっていません」
痴漢男は堂々と答えた。
「わかりました、ではその手袋を貸してください」
「何故ですか?」
「鑑識に調べてもらうんです本当にやっていないかどうか、それとお嬢さんも署の方にきてくださいDNAを鑑識してこの手袋の物と一致するか調べます。あとこれは独り言ですがもし今自主すれば一ヶ月程で釈放されますがもし鑑識が調べてお嬢さんのDNAとこの手袋についているDNAが一致した場合は死刑確定ですよ」
警察は真剣でまた鋭い眼差しで痴漢男を睨むすると痴漢男は震えて鞄を下に落として土下座をした。
「すみませんでした」 
男は鳴き声で言った、男が土下座をすると刑事は携帯で電話をしたきっと仲間を呼んだのだろう、数分するとパトカーがサイレンを鳴らしながらやってきて男を乗せて行った。俺はとても気分が良かった。
「君達にも聞きたいことがあるから署に来てもらいたい、わたしの車で送ろう」
俺と少女は駐車場に行き刑事さんの車の後ろに乗り署に向った、刑事さんの車は黒のベンツだ。
 あっ!駐輪所に停めてある自転車をどうしよう……まあ後で取りに行こう今は気分がいいし。
 少女はまた泣いていた、きっと今は安心して泣いているのだろう、俺はその姿を見ると安心した。
 数分経ち署に着くと俺と少女は刑事の後に着き署の中に入って1つの部屋の前に来た。
「ではお嬢さんから」
刑事さんがそう言うと少女と刑事さんは部屋に入って行った、俺は近くにあったソファーに腰を降ろした。数分経つと少女と刑事さんが出てきた。
「じゃあ2人共帰っていいよ」
刑事さんはニコッと笑ってそう言った。
「俺からは聞かないんですか?」
「お嬢さんから聞ければ十分だよ」
「じゃあなんで俺をここによこしたんですか?」
「ああ、それは君にこの子を家まで送ってもらおう思ってだよ、私は今から仕事がある。ではっ」
刑事さんはニコッと言って廊下を歩いて行った。他の刑事に送らせればいいじゃんか!と思いながらも俺は少女を家まで送ることにした。
 俺と少女の間に沈黙が続いた、この子と話すことはない、そう言えばこんな体験を前にもしたことがあったな。
 そして沈黙の間が続き少女の家らしき一軒家に着いた。すると少女は礼儀正しく礼をした。
「今日はありがとうございました。あたしは岡本彩と言います」
少女は名前を名乗った。
「俺は雛沢……」
と名前を言いかけた瞬間少女が言葉を挟んだ。
「もしかして雛沢風莉さん?」
少女が驚いて聞く、聞きたいのはこっちだなんで俺を知っているんだ?
「なんで俺を知ってるの?」
「4年程前に姉から聞いたのです、あと風上空とう人のことを雛沢さんは姉から前髪が目にかかってて長い髪と聞かされていたのでもしやと思い」
驚いた、姉と言うと女だよな?女で俺と空と係わりがあった人……俺はある少女が思い浮かんだ。
「まさか……」
少女は俺の心を読んだかのように言った。
「はい、東條霞の妹です」
東條さんの妹……?てっきり兄弟もいないと思ってた……それよりこの子なら東條さんのこと何か知ってるんじゃないのか?

 3☆
「東條さんの妹さん?」
確かめるようにもう一度聞きなおした。
「はい、妹さんです、でも昔に妹ではありませんが……」
少女彩は無理矢理作ったかの笑顔で言った、これ以上探るのはこの子に悪い気がする……でも東條さんが危ないかもしれないんだ。
「というと?」
「両親が死んでしまい、あたしと姉は施設でお世話になっていたんです。そしてこの岡本さんがあたしを引き取ってくれたんです。ですからあたしの籍は岡本です、姉は東條です」
彩さんは右手で前髪をすきながら言う。
「そうなんですか……なぜお姉さんは引き取ってもらえなかったんですか?」
「岡本さんの奥さんは子供が作れない体なんです、実際裕福とも言えない暮らしをしていたのでどちらか一人ならということで姉があたしに彩幸せになってと言って引き取らせてもらいました。あたしたちがいた施設も設備があまりよくなくてあたしが施設を出て3年ほどで潰れてしまいました、姉は小学六年生で一人暮らしをしました、小学校、中学校でみんなからいじめを受けていて……一人だからってことだけで……それであたしと姉が姉妹ということが学校で噂され始めて……姉はもし本当に姉妹だとバレたらあたしもいじめの被害を受けるかもしれないということで……中学三年生で転校しました。実家に帰るという嘘の理由を使ってそれであたしは守られました……その転校した学校が雛沢さんの学校です、姉から最初で最後の手紙を貰ったときの内容には風上空さんと主に雛沢さんのことが書かれていました、それであたしは思いました、姉は雛沢さんのことが好きなんだなって……姉にも姉と仲良くしてくれた雛沢さんや風上空さんには本当に感謝しています……」
彩さんはいつのまにか泣きながら話していた、俺はもらい泣きしてしまった……東條さん……東條さんの笑顔が頭の中に浮かぶ。
「彩さん、霞さんの居場所わかりますか?」
俺が言うと彩さんは泣きながら首を横に振る。俺は考えた東條さんのことを知っていそうな人……
「あの……姉になにかあったんですか?」
「いや、心配ないよ」
俺は笑顔を作って言った、何も心配かけたくない。
 考えろ、考えろ……俺は脳をフル回転させた。するとあの刑事の顔が浮かんできた、刑事なら知ってるかもしれない。
「じゃあ彩さん俺はこれで」
俺は署に走って戻ろうとした、すると彩さんが俺をとめた。
「あの……あたしのことは彩でいいです。今度喫茶店で話しませんか?」
「いいよ、彩」
俺は笑って答えた、そしてすぐに反転させて署に走っていった、周りの人達が驚いた顔で俺を見る。だがそんなことは気にしない速く速く走らなきゃ、どのくらい走ったのだろうか、わからない止まると息が苦しくなる、汗も凄い流れる。
 俺は署に入ろうとすると警備員に止められた。
「なんのようだ?」
「中で聞きたいことがあるんです」
「関係者以外は立ち入り禁止だ」
「頼む!大事なようなんだよ」
俺と警備員がもめていると誰かが割って入ってきた。
「君は……あの時の青年じゃないか?」
その正体はあの時の警視だった、俺は真剣な眼で警視を見た。
「わたしの友人だ、入れてやってくれ」
警視が言うと警備員は失礼しましたと言った、俺は警視の後を歩きながら署に入って個室に入った。
「さっきはありがとうございます。」
「ああ、それでどうしたんだね?」
「はい、聞きたいことがあるんですが、東條霞という俺と同じ位の女の子を知りませんなか?」
俺が言うと警視の表情が変わった。
「お茶を入れよう」
警視はそう言うとティーカップを二つ用意して紅茶を入れているのが後姿だけだがわかる。
「まあ飲みなさい」
警視は俺の前のテーブルにに紅茶の入ったティーカップを置いた。
「ありがとうございます」
俺は走ってきたので喉が渇いていて半分以上いっきに飲んでしまった。
「東條霞のことは誰もがみんなどこかで暮らしているそう思っていればよいのだよ」
警視は笑ってそう言った、意味がわからない……絶対に何かある……だけど眠い、あいつ何か入れやがったな……目蓋が重くなり俺は意識がなくなった。
 ここはどこだ?俺はベッドの上で寝ていた、体が動かない首を起き上がらせて見ると腕と足、腰、胴。胸に鎖が縛ってあった。
「やっと起きたかね」
警視が笑みを浮かべて言う。
「これはどういうことだ!」
「君はこの国の裏のことを知りすぎた……君は死ななければいけない……と言いたいところだが、人を殺しては勿体無いなので君には実験体になってもらう」
「意味がわからない」
「わかる必要はない、君は今から人としての記憶を失い政府の為に戦う獣となるのだからね、まあ失敗に終われば死ぬがね」
「意味がわからない……政府は何故そんなことをする?それよりほどけよ!こんなことしていいと思ってるのか!」
「政府がそうしろと言っているのだ、それにさっきも言ったろ君はそんなことを知る必要はないと、では生きていたらまた合おう。その時はただの獣になっているがな」
警視は笑ってそう言い扉から出て行った、すると次は数人の白衣の者達が入ってきた、一人は注射を持っている。
「おい!止めろよ!止めてくれよ!」
俺は泣きながら言うが白衣の者達は問答無用に俺の左の腕に注射をして何かを注入し始めた。
「ああああああああああああああああああ!!!!!!!」
俺は叫んだ、体が熱い、燃える口から今まで食べてきたものが胃液と共に出てくる、血も混ざりながら血管が張って切れるような感じがする、頭が割れる、止めてくれ、死ぬ……いや死にたい、これじゃあ死んだほうがマシだ……死んだらダメだ。俺が死んだら東條さんを助けられる者はいなくなる。絶対に助けてやるんだ!俺は歯を食いしばった。どんな痛み我慢した歯茎から血が出てくるのがわかる。俺は意識がなくなった。

 ここはどこだ?俺は死んだのか?
「お前は生きてる」
またもや目の前に夢の中の俺が目の前にいた。
「生きてるのか俺は?」
「ああ、だから俺がここにいる」
「よかった」
俺は心から安心した。
「まあ、ここに新しい住人が出来ちまったがな」
「新しい住人?」
俺が聞き返すと闇の中から四足方向でゆっくりとこちらに歩いてくるものがいた、犬のようだが犬より大きく歯を見せていて歯の間からよだれを垂らしている、俺はすぐわかった狼だ。
「夢だから何が現れてもおかしくないだろ?」
「ここは夢ではない、お前の精神世界だ。ここで自分のことを自分だと判断出来ているからお前はその姿でいられる、だがもしあの狼がこの世界で俺とお前を殺したら、お前は自分は狼だと思い自分を失い狼となる」
「意味がわからない」
「とにかく、あの狼に殺されるな」
夢、いや精神世界の俺がそう言うと狼が精神世界の俺に襲い掛かる、精神世界の俺は指を五本曲げて狼を宙に浮かべた。
「お前もこの能力が使えたのか?」
「前も使って見せただろ、しかもこの能力の正体は俺だ、形も何も俺にはない、だけどお前の精神世界にいるからお前の今の姿でいるんだけどな、あと見た目はこれだが俺には内臓も何もないからこの能力に限界なんてない、俺がこの狼を抑えててやる、もう二度とこの世界には来るな、、いいな?念のためだ」
「来るなと言われても、寝たら勝手にこの世界にいるんだよ」
「いつもは俺がお前をこの世界に呼んでいる」
じゃあお前が呼ばなきゃいいことじゃねーかと思ったが口には出さなかった。
「そろそろ、お前が起きるぞ」
精神世界の俺がそう言うと俺は眼を覚ました。





2009-11-01 19:52:56公開 / 作者:紫音
■この作品の著作権は紫音さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めまして紫音です。
小説はほんの少しかじったことがある程度です、未熟者ですがよろしくお願いします。
批判、アドバイス等があったらよろしくお願いします。
この作品に対する感想 - 昇順
こんにちは! 羽堕です♪
 文章の雰囲気などよくて好きですが、少し改行を入れ過ぎているようにも感じます。とくに’。’ごとに改行する必要はないかなと。あと「 」の前の一文字分の字下げはいらないです。
 空と雛沢は、対照的だからこそか仲良さそうだなって思えました。東條のような噂になる程の転校生って、遭遇した事が無いのでピンとこないのですが、ちょっとズレてるけど良い子そうだなと。
 東條は隠す事の程でもないと思っているから雛沢の前でも平気でしていたけど、同じような経験から手に入れた力を雛沢は隠していて、この力って面白いなと思いました。ただ、あっさりと東條に雛沢が自分の事を告白していて吃驚しました。やっぱり誰かに話したかったんだろうか。
であ続きを楽しみにしています♪
2009-10-21 14:59:41【☆☆☆☆☆】羽堕
 ども!
 雰囲気がいいなぁと思いました。なんといいますか、主人公の心情をうつしてるような感じですかね。羽堕さんが改良するべき所はおっしゃっておられるのでそこは特に言いませんが、ときおり“、”を付けた方が読みやすいなぁと思いました。
 二人の能力が物語をどのように進めて行くのかが楽しみです^^
 ではっ。
2009-10-22 20:30:24【☆☆☆☆☆】湖悠
初めまして、鋏屋と申します。作品を読ませていただきました。
作品名がリアルなのに、分類がサスペンスとSF……?と思い興味が沸いて読んでみました。
超能力系の話、しかも主人公がPK能力で好きなパターンです。若干読みにくい部分もありましたが、モロ好みな設定なので期待が膨らみます。是非萌える展開になって欲しいなぁw
次回更新楽しみに待っています。
2009-10-23 16:53:05【☆☆☆☆☆】鋏屋

 羽堕さん
 東條のような転校生は実は僕も出会ったことはありません
 東條は僕の理想の女の子ですw
 雛沢が東條に話したのは、友達の真似して悪い事をしたらその友達にだけは言いたくなるではありませんか(俺だけかもしれませんが)まあそんな感じです、分かりにくくてすみません。東條が人前でしてしまうのは、性格があれだからです。
 アドバイス等ありがとうございます、これからも頑張っていくのでお願いします。
 
 湖悠さん
 雰囲気を褒めていただき感激です!
 東條の能力は後々使われるようになると思います。
 読んでいただきありがとうございます、これからも頑張るので見守っててやってください。
 
 ?屋さん(すみません、漢字が読めませんごめんなさい)
 読んでいただきありがとうございます。
 作品名は絶対にこれにしようと思ってつけましたw自分で頭の中で作品を考えていたらこの名がでてきたのです!
 これからも頑張っていくのでよろしくおねがいします。
2009-10-24 15:24:02【☆☆☆☆☆】紫音
こんにちは! 羽堕です♪
 最後の方ではニュースのターミナル建設と、政府も何か関与しているようの雰囲気で、すごく引き込まれる展開です。能力を限界まで、まだ使えないなどの制限もいい感じだなと思いました。そして故意にではなくとも、人を殺したという事実が、雛沢にどう影響してくるのか楽しみです。
 唯一の親友だと思ってる空が不良(人を平気で傷つける奴ら)と出て行ったら、特別な存在なのだろうから、どんなに怖くたって一緒に行くような気がしました。もしくは気づかれないように後をつけるとか。
であ続きを楽しみにしています♪
2009-10-24 16:12:35【☆☆☆☆☆】羽堕
どうも、鋏屋でございます。【ハサミヤ】と読んでくださいませ。
若干今回更新分が少な目だったので少し物足りなく感じています。が、この後の展開が、区切りが良いのかな?
最後のニュースを見るシーンが少しもったいない感じです。何というのかな、人を殺してしまったという後悔や自責の念、または恐怖といった感情を持った高校生が、その日のTVのニュースに感想なんか持てるのだろうか? というような妙な違和感を感じました。保健室でのシーンでは、いい感じですんなり入って行けたんですけどね。
家に帰ってからベッドに倒れ込む迄のシーンをリアルに肉付けすると深みが出ていい感じがしますw
面白そうな物語なのでつい戯言を書き綴ってしまい申し訳ありませんでした。次回更新お待ちしております。
鋏屋でした。
2009-10-24 18:15:06【☆☆☆☆☆】鋏屋
 どうも湖悠ですっ。
 調子に乗っている不良を懲らしめたい、というのはすごくわかりました。雛沢やっちまえ〜、というような応援もしてしまいましたねw
 描写がどこか淡々としており、もう少し何かが加えられたら……と思う所がいくつかありました。
 ターミナル。惹かれる響きです。某問題RPGを思い出しますね。何とも禍々しい響きです。政府が何をやらかそうとしているのか、とても楽しみですね。
 それではっ。
2009-10-24 23:04:21【☆☆☆☆☆】湖悠

 読んでくださった皆様本当にごめんなさい
 テストのせいで更新が全然できませんでした。
 これから頑張りますので皆さんお願いします。


   
2009-10-29 13:42:18【☆☆☆☆☆】紫音
こんにちは! 羽堕です♪
 四年後の世界が、今までと違う世界になっていて、何があったのかと戸惑いました。私は地形的には今の日本を想像していたのですが、ちょっと違うのかなと思ったり、それと「中の世界」の広さが分からないから、逆に「外の世界」の周りに壁(一つの市を囲むように)を作って、その中に必要ないと判断させた人々が閉じ込められているのかなと思いました。呼び方としては実際には逆なのかな? そうだと分かるきがします。もう少し書き溜めてから投稿されてもいいかと思います。
 物語としては新たな展開となり、この先がきになりました。
であ続きを楽しみにしています♪
2009-10-31 13:01:36【☆☆☆☆☆】羽堕

 羽堕さんアドバイスありがとうございます。
 はい、地形は今の日本です。
 自分は書いているからイメージできますが、読んでくださっている方にはわかりにくかったですか
 
 もっと読んでくださってくれている方の気持ちになって書いていきます。
 では羽堕さんのアドバイス通り修正させてもらいます。ありがとうございます。
 
 鋏屋さんアドバイスありがとうございます。
 もっと想像力を高めて書いていきたいと思います。
 自分なりに頑張ってみます!ありがとうございます。

 湖悠さん
 雛沢の応援ありがとうございます!
 ターミナルという単語は僕もなんか好きです。
 読んでくださってありがとうございます。

 皆さんこんな僕にアドバイスや感想をくれてありがとうございます。
 もっと皆さんに楽しく読んでもらえるように頑張ります。
 本当にありがとうございます。
 ※バイトや部活があるので更新は遅めですがそこはよろしくお願いします。
 
 
2009-11-01 02:10:25【☆☆☆☆☆】紫音
こんにちは! 羽堕です♪
 「中の世界」が出来た経緯などを読むと、反対や反発はなかったのだろうか? という疑問が出てきて、どういう風に国民を納得させたのかなって思いました。そして他国の干渉や反応なども、気になりました。それと躍進的な技術は、どこからきたのかというは、後々出てくるのかな? 凄い事が起きているだけに色々な疑問が出てきてしまいました。
 東條の妹の綾との出会いは、偶然なようで、そうでないよう物を感じて、雛沢とどう関わっていき、どうして雛沢が「外の世界」に行く羽目になったのかワクワクとします。冤罪も多いですが、本物の痴漢親父ですから撃退されて良かったですw 刑事さんもやり手って感じが出ていました。
であ続きを楽しみにしています♪
2009-11-01 13:38:05【☆☆☆☆☆】羽堕
はじめまして紫音様!登竜門の落ち武者、頼家と申します。
作品を読ませていただきました^^いやぁ……最初は現代物かと思って読んでいたのですが。どっこいSFのようですね^^ジャンルにも書いてあったのを失念しておりました^^;三角関係で展開するのか?っと思いきや、いきなり離別(?)……もはや先を予想できません。社会システムも大きく変わり、これから主人公と東條、妹の綾(……そして怪しげな警官)がどのように物語を作っていくのか?ドキドキしながら続きをお待ちしております!
                  頼家
2009-11-01 15:51:25【☆☆☆☆☆】有馬 頼家
どうも、鋏屋です。
まず、『、』と『。』の使い方がちょっと変でした。『〜だった』ってときは基本『。』でしょう。あとね『!、?、……』の後ろには1文字空け。地の文の改行後も1マス空けですよんw
ストーリーはちょっと予想外でした。こうきたか……! って感じです。 文章の表現が若干乏しいのが非常に惜しい気がする。それが上がると、この作品かなり良くなる気がするんです。いろいろなや、ここに投稿されてる他の方の作品を、『書き手側の目』で読むことをお勧めします。
スイマセン、失礼なことをつらつらと書き綴ってしまいました。お気を悪くしないでくださいねw
次回更新お待ちしております。
鋏屋でした。
 
2009-11-01 20:44:05【☆☆☆☆☆】鋏屋
こんにちは! 羽堕です♪
 もの凄い急展開だなと思いました。もう少し、じっくりと話を進めて行ってもいいんじゃないかなと。内容的は惹かれる部分も多くあるので、勿体ないなって私は感じました。
 「はい、妹さんです、でも昔に妹ではありませんが……」の綾の台詞の意味が、ちょっと分からなかったです。あと細かいのですが、署の前にいるのは警備員ではなく警察官と書いた方がいいかもです。ショックを受けている綾を家まで送るように言われて、途中で別れるのも。あと誤字だと思える所も、いくつかありました。
であ続きを楽しみにしています♪
2009-11-02 16:42:51【☆☆☆☆☆】羽堕
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。