『フェイル・クローズ ? 悪魔の指輪』作者:プリンス / t@^W[ - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角944文字
容量1888 bytes
原稿用紙約2.36枚
           〜第1章 脱獄〜

 フェイルは一人暗い牢爺にたたずんでいた。牢の右側には刺青をした強そうな男。左側には見飽きた顔、共犯者がいる。
 罪は連続殺人、十三歳の少年とはいえ八人も殺しては許されるはずが無い。しかし、フェイルは終身刑などという無駄なものには従うつもりは無い。警察がやって来て、罪を言い渡したときの姉貴の顔は見ものであった。

 なぜだか分からないが、フェイルは魔術のようなものを使える。尤も制御できる訳ではないが。できるときというものは、感覚で掴む。

 今だ!!そう感じたのは二分ほど前。未だ行動はせず。警官のクローディスが牢の前を通る。フェイルは体中に溜まったエネルギーを発散すべく、大声を揚げ、鉄格子に突っ込んだ。格子は折れ、クローディスは吹っ飛び、壁も破壊された。
 こうなってしまってはどうしようもない。警官が今に銃を持ってやってくるだろう。フェイルは火山口のような形の穴から飛び降りた。





           〜第2章 異世界〜

 フェイルは街の裏路地のゴミ箱の上に座り息を整えていた。これからどうするか考えなければならない。まずは衣服を入手しなければ。囚人服でうろうろするわけには行かない。走っているとき、左足の靴が脱げたため、足の裏を切っている。
フェイルは痛む足を左手で持ち、右手の人差し指で傷口をなぞった。フェイルは人目を避けるように歩き出した。また人を殺して衣服と金を手に入れるのもいいが、人の血にはうんざりだ。トボトボと歩いていると、聞きなれたパトロールカーの音が聞こえた。フェイルは歩調を速め、姉貴とよく行った綺麗な湖まで休みなしに歩いた。
 湖の名は「スデイ湖」
 昔、スデイという若者が、家と金と家族を亡くし、とうとう自殺を決心し、飛び込んだ湖がこれらしい。フェイルには飛び込むつもりはさらさら無いが。
 後ろの茂みでガサガサと音がし、びくりと振り向いたが最後、警官に腕を掴まれた。また牢爺に逆戻りならばいっそのこと…

 フェイルは暗い湖に沈んでいった。警官はすぐに腕をはずしたらしく、水面に顔が見える。

 フェイルは硬い地の上についていた。血が流れる。異世界で。
2009-08-04 10:16:38公開 / 作者:プリンス
■この作品の著作権はプリンスさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 ありがとうございます。少々短いですがまだまだ続くので楽しみにしてください。
 コメよろ^^
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。