『見え……』作者:人の火の粉 / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
誇り高い職を持った男性の話。
全角1518文字
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原稿用紙約3.8枚
 フラッシュが飛び交う先には黒いスーツを着た一人の男性。椅子に座り深刻そうに口を開いた。
『と言う経緯がありまして、私はこの誇り高い職から辞任させていただきます』
 フラッシュの勢いはさらに増し、立ち上がる記者さえもいる。
『何故、辞任なさるんですか。少しずつではありますが支持率が上がっているこの時期に何故このような辞任をなさるんですか』
 一人の記者がそう質問すると小さな録音機らしき物の取り出した。
『確かに支持率は上がっている。ですがそれだけではこの捻れ国会を打開する事が出来ないと判断したんです、どんなに良い案を取り上げても可決できないのであれば何も出来ない。この日本という国全体を取り纏める事が出来ない人物だと判断し、次の内閣総理大臣に任せようと考えた次第で御座います』
『それは、他力本願と言う物ではないのですか』
 違う記者が立ち上がり、そう質問すると男性は口を閉ざした。
『……』
『答えてください! 貴方は他人に任せる気』
『はい、今を持ちまして記者会見を終わりにします』
 記者が全部言い終える前にそう言われ、男性はゆっくりと立ち上がった。二人ほどの男性に背中を持たれてその場を退室していった。その姿は警察に捕まって補導されている犯罪者の様な惨めな姿であった。
 外に出ていっても記者の質問の嵐。男性はどんな質問にも答えず、車に乗り込んでどこかへ行ってしまった。

 と言うニュースを見ている私。私と言っても男。この職にいるとついつい私と言ってしまう癖が付いてしまったが、別に日常生活に支障をきだしていないからあんまり気にしていない。
 テレビには、市民がどう思っているかインタビューをしている画像が現れる。
『辞任したと聞いたときの気持ちはどうでしたか?』
 そう訊かれ、会社に勤めているサラリーマン風の男性は
『無責任だと思いますね、非常に無責任。あんな理由で辞任するぐらいなら、最初からやらなければよかったんですよ』
 と答えた。何処にでもいそうなおばちゃん風の女性は
『あたしも無責任だと思うわ〜。結局何も解決できなかったんでしょ〜。正直期待はずれだったわ』
 と答えた。
 私の心には反論の言葉が浮かんでいる。 
 誰も見えない様な所で必死扱いて頑張った奴に対してそれは酷いと言いたい。
 だってそうだろ? 大物になればなるほど表よりも裏で頑張ると言う事が多いのは当たり前の事。それなのに他の人は表しか見ない。あ、そうそう裏って言うのは一般的には見えないところの事で。私の職で言う国会の会議とか。
 たぶん私みたいな職に就いている人は絶対に解ってくれているだろう。そう信じたい。
 もし、全国に向かって言えるならこういいたい。

 批評を言うのは実に簡単だ。誰にだって出きる普通のことである。だがそれが出きるか出来ないかと問われると、出来ないと答える場合が多い、だからこそ自分の考えに近い人間を、出きる人間を立候補にし決める。進めていくときに失敗し辞任すると言ったときに、期待はずれなどと平然と答える人間は可笑しい。自分達が支持をしていったのに、失敗すればゴミみたいに言われるのは絶対に可笑しい。私は批評よりも暖かい物を言って欲しい訳ではない。ただ、批評をする前に考えて欲しい。何もせず辞任する人間は誰もいない。必ず見えないところで必死に頑張っていた者に対してあまりにも酷い仕打ちだと私は思う。

 っと。
 だが結局、私は全国から批評を受けなくてはならないのだろう。
 何故なら私は内閣総理大臣、あの記者会見をした辞任する人間なのだから。
2008-09-21 18:00:24公開 / 作者:人の火の粉
■この作品の著作権は人の火の粉さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ん〜どうなんだろ、前作のアドバイスを取り入れたと思うのですが……技量不足かもしれません。
それから、僕が書いているのは僕なりの思いと言う物です。
たぶん、前作よりは伝わりにくいかもしれません。
ですが、やはり誰かを批評する前に考えてください。
まぁ現実世界のだけですけどね。ネット世界ではあまり意味がありませんから。
特に僕の小説。バンバン批評して構いませんから。
この作品に対する感想 - 昇順
こんにちは!読ませて頂きました♪
前回のような不特定多数の誰かとは違い、その人物が絞られるだけに現実と相まって、小説の面白さは欠ける気がしました。もちろん、批判するだけでは良くないと言う事は伝わってきたし、私自信も少なくともそう思ってます。ショートショートなので難しいとは思いますが、もう少し何か小説ならではの、辞任する本当の理由はこんなのだったんですよーwとかあっても良かったかなと思いました。
では次回作も期待しています♪
2008-09-21 19:14:24【☆☆☆☆☆】羽堕
 こんばんは、人の火の粉様。上野文です。
 御作を読みました。
 ……確かに持ち上げるだけ持ち上げておいて、辞任の際には叩き潰す報道姿勢には、私も思うところがあります。
 が、それと小説の出来は別なわけで。前回も書きましたが、浅いんです。
 残念ながら本作には、人の火の粉様が調べまくった結果、自分自身の見解としてたどり着いたひとつの解釈・意見、とか。あるいはこの事件をネタにして、全力を筆に注いだワンエピソード、というのが見えません。
 ネタ→そのまま! というのでは、小説として成り立ちません。
 ちょっとした感想にすぎないなら、それこそ、記事を読むかコラムを読むか、というものです。
 むろん、現実の出来事を小説にするな、と言っているわけではありません。これまで先人達が何度も挑んできたように、現実こそネタの宝庫であり、虚構を生み出す源たるものです。でも、小説として発表するなら、どうか小説を書いてください。
2008-09-21 19:58:32【☆☆☆☆☆】上野文
 心情面での言いたいことは上野さんが書いてくれるから書かなくていいな、と思っていたら本当に書かれていました。書き物ではあっても読み物ではない、というのが感想です。最後のオチは、自然と読めていたのでいまさら感がありました。
2008-09-21 23:52:37【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
ふむ……やはり今回は駄作でした。と自分で言うとアレですね。
やはり浅いですか……向いてないのかな、僕って。

羽堕様
僕は非常に笑うなどの楽しい小説などが作れないんです。ショートで書かなければいつもシリアスで何だか……ね。
面白さに欠けているのは完璧にこっちの責任、さて、次回作こそ面白い物を! と考えている僕ですが案外期待はずれ的な物を作ってしまうかも知れません。

上野文様
ふむ……やはりアレかも、向いてないのかもニュースをネタにするのは。
いつも次回作はオリジナル! と思いながらも、結局テーマも設定も決められずに儚かった物で終わってしまうんですよね。
たぶん、貴方様がいなかったらこのままだったと思いますが、次回こそ本当の小説と呼べる物を書き上げたいです。
仏の顔も三度までと言うので、頑張りたいと思います。

次回作は正真正銘のオリジナルなのですが、リアルなのか異世界なのかはまだ一切決めていないので不明です。
たぶん、年に何度か来る名案が此処で来ればたぶん、近い内に来ます。来なければ当分此処には来ません。
と言う全てが不明の作者でした。
2008-09-21 23:57:22【☆☆☆☆☆】人の火の粉
おっと、返信しているうちに感想が……

模造の冠を被ったお犬さま様
ふむ……全ては僕の技量としょぼさで起きた事です。
次回作……次回作こそは、皆様が思っているイメージを吹っ飛ばす勢いにしたいです。
あ、イメージって言うのは、僕に対するイメージって事です。決して小説とかではないので。
2008-09-22 00:02:39【☆☆☆☆☆】人の火の粉
 こんにちは。

 僕の申し上げたかったことは全て他の皆さんがおっしゃってくださっているようです。オチは僕も分かりました。
 僕なりに一言だけ付け加えさせていただきますと、僕の信じているところによれば、

 小説とは、「何か」を分かりやすく伝えるための手段ではなくて、
 小説それ自体が、「何か」でなければならない

 ということです。

 それから、細かいことを言わせていただけば、

「録音機らしき物の取り出した」は「録音機らしき物を取り出した」の、
「支障をきだしていない」は「支障をきたしていない」の、

 それぞれ誤字だと思います。それから、

「私と言っても男。この職にいるとついつい私と言ってしまう癖が付いてしまった」

 という箇所は奇異な感じがしました。成人男性なら誰でも「私」という自称を用いる機会がいくらでもあるはずです。また、これは小さなことですが、このような会見は普通椅子には座らず、立って行うものだと思います。

 あとひとつ、「向いてないのかな」なんて、弱音を吐かれても困ります。僕もそうですし、たぶん他の皆様だって、自分が小説に向いているのかどうかなんて確信できていないと思います。向いているとか向いてないとか考えるのではなく、もし書きたいという気持ちをお持ちなら、研鑽を積むことを考えましょうよ。

 いろいろ批判めいたことばかり申し上げてすみません。国政に皮肉な視線を向けるばかりでなんら建設的な意見を出さない今日のマスコミへの疑念は、僕もまた共有しているところです。
2008-09-22 00:57:05【☆☆☆☆☆】中村ケイタロウ
技量は努力しないと付きませんが,ケアレスミスは注意すれば減らすことができるはずです.読まれることを前提にした推敲が足りません.投稿前の見直しをお勧めします.内容については前の方々と同意見です.あと,『』を使った意味が取れません,「」との対比でもないですし,効果ないので後者にしたほうが良いかと思います.
2008-09-24 21:08:24【☆☆☆☆☆】一読者
拝読させて頂きました。
テーマに関しては、非常に同意出来る部分があり、意外な部分を突いていていると思います。
現代の政治家に対するマスメディアの当たり方をその基盤とし、後から「批判する」という
行為への認識の表現へシフトさせているのは、巧いと思えたし、理解しやすかったです。

ただ、オチが今一でした。
一人称を語る人間がテレビに写る本人であったところで、物語に対してはなんら意味
を持たないと思います。

とにかく期待させてもらってます。これからも執筆頑張って下さい
2008-10-06 00:46:40【☆☆☆☆☆】赤山 松樹
計:0点
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