『まほうのくれよん』作者:かっとらす / b - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約5.08枚
 雨が降っていました。そこには、傘をさした小さな男の子が居ました。男の子の名前は、ジョンです。
 ジョンは、今日悲しい出来事がありました。お母さんが、病気で倒れてしまったのです。前から病気になりがちでしたが、倒れるまでにはいたりませんでした。
 雨にぬれながら、ジョンは家を目指します。長靴が水たまりにボチャンと浸かりました。ゆらゆらと動く自分の影が、自分の心中を表しているように見えました。それが嫌で水たまりを蹴って、走り出しました。

 ジョンは利口な子供でした。理解するのも早かったし、駄々をこねるような子でもありませんでした。泣き喚きもしませんでした。そんなことをしても事実が変わることがないと分かっていたからです。
 お母さんが倒れたときも同じです。ジョンは泣きませんでした。お父さんに頭をポンポンと撫でられました。


 べちゃ
 ジョンは転びました。傘が少し遠くに落ちます。雨は降り続け、ジョンを水浸しにします。ジョンはなかなか起き上がりません。
 転んだことによって、お母さんが倒れたことの悲しみをだんだんと思い出してしまったのです。
 ――お母さんは治るかな
 ――いつ、帰ってくるのかな
 ――もしかしたら、帰ってこないかもしれない

 だんだんと悲しみは膨らんで、視界がボヤけました。
 頬に涙が伝いました。

 ジョンは泣きました。沢山泣きました。道に倒れながら泣きました。

「おやおや大丈夫かい?」
 声がしました。ジョンは、声がしたほうを向いてみました。そこには、自分が倒れているすぐ隣の家の窓から、ジョンを優しく見下ろしているおばあさんがいました。
「転んだのかい、そうかそうか。痛そうに。いまそっちへ行くからね」
 そういっておばあさんは居なくなりました。少しすると、タオルを持ったおばあさんが、玄関から出てきました。
「こっちへおいで」
 ジョンはゆっくりたって、小走りでおばあさんのところへ行きました。傘は、いつの間にか風で飛ばされていました。おばあさんは、ジョンをタオルで拭いてくれました。なんとなくお母さんの温もりを感じたような気がしました。


「僕、お名前は?」
「ジョン。ジョンっていうんだ」
 そういうとおばあさんは目を細めて、優しく笑いました。
「そう、ジョンっていうのかい。そうかそうか。ジョンか」
 ジョンもつられて笑いました。優しい気持ちになりました。
 雨が止むまで居させてもらうことにしました。雨はさっきより止んできていました。
 ジョンとおばあさんは、クレヨンでお絵かきをすることにしました。ジョンはクレヨンで花を描を描きました。上手ね、と褒められて嬉しくなりました。沢山お絵かきをしました。
 ジョンはおばあさんが好きになりました。沢山の時間居たわけではないけど、いつもにこにこと笑って、優しいおばあさんがすきになりました。

「ジョン、これをあげるわ」
 おばあさんは、一緒に描いていたクレヨンではなく、違うクレヨンをくれました。開けてみると、一度も使っていない新品です。
「いいの?」
 ジョンが心配になって聞くと
「いいのよ。そのかわりジョン。大切に使ってね」
 おばあさんは、やっぱり優しく笑いながら言いました。ジョンも一緒に笑いました。雨は止んでしまいました。

「おばあさんありがとう。クレヨン、大切に使うね!
 また来てもいい?」
 ジョンが笑いながらいうと、おばあさんは今度はいつものように答えてくれませんでした。
「……ええ、いつでも来ていいわよ」
 悲しそうに笑いながら、そう言いました。

「またねー」
 大きく手を振りながら、お互いに笑いあいながら、ジョンは帰りました。
「……さようなら、ジョン」
 おばあさんは優しく目を細めて笑いました。すぅ、とおばあさんと家が透けていきます。そして、消えてしまいました。

 ジョンは帰り道、上機嫌でした。水たまりを踏みました。ゆらゆらとゆれる自分の影は、自分の楽しいという心中を表しているようで、蹴らないで残したまま帰りました。水たまりには虹が写っていました。

 家に帰ると、ジョンは早速おばあさんにもらったクレヨンをつかってお絵かきを始めました。
 最初に書いたのはチューリップです。すると、どうでしょう。その絵に描いたチューリップが消えて、現実に現れたのです。
「わぁ!!」
 ジョンは思わず叫びました。お父さんが駆けつけて「どうした!?」といいました。
「なんだ、チューリップじゃないか。自分で持ってきたのか?」
「違うんだ、見ててね」
 ジョンはまた、チューリップを描き始めました。すると、またチューリップが消えて、現実に現れました。
「わぁ!!」
 お父さんもつい、叫びました。

2008-04-26 16:52:09公開 / 作者:かっとらす
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■作者からのメッセージ
はじめましてかっとらすです。まだ規約を覚えきれてませんので何かありましたら教えてくれるとありがたいです
でも、けっこう脆かったりするので優しく言ってもらえれば光栄です
この作品に対する感想 - 昇順
 これは話が完結しているという前提ですが、「まほうのくれよんで、なにが変わったのだろう」というのが私の感想です。
 最初にお母さんの話を出したのだから、それにまったく触れずに終わらせるのは良くないです。
 ジョンのもやもやがなくなる話なら、友達と喧嘩をした程度のもう少し軽いもののほうがいいのではないでしょうか。
 お母さんの話を出すなら、最後にチューリップをあげて喜んでもらう、または高価で買えなかった薬をくれよんで書いて病気が治るなどが必要かと思います。(薬のほうの場合は、簡単にくれよんを手にしていると読者が納得できないので、おばあさんから課題のようなものを与えられる必要がありそうです)
 規約違反はないと思います。 
2008-05-02 14:42:41【☆☆☆☆☆】翼
計:0点
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