『くびき りんね』作者:模造の冠を被ったお犬さま / b - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
 ダイアログのつもり。でもたぶん搾取。
全角2356.5文字
容量4713 bytes
原稿用紙約5.89枚
くびき りんね







「死んでも、意識ってのはあるものなんですね」
「それが意識かどうか、俺にはなからないけどね」
 まれにある。
 死体に触れると、思惟が俺に流れ込んでくる。
「……びっくりした。死ぬと人間と話すこともできるのですか」
「独り言か。反応して悪かったな」
「いえ。死んだ後のことなんて考えたことがなかったのですが、漠然と、消えてなくなるものと思っていましたので。これはおいらの残りでしょうか。おいらはどうなるのでしょう」
「死んでも肉は残るさ。意識も、残っているのだろ。肉の行方はわかるが、意識がどこに行くのかは知らない」
「はぁ。人間にもわからないことがあるのですね。目が見えないまま歩くようで、おっかないです」
「俺の知っている限りではが小さくなってゆき、そして聞こえなくなる。それが消滅なのか、小さくなるばかりでなくなることはないのか、フェイドアウトしていってどこか別の場所にゆくのかはわからない」
「そうですか。……そんな感じでしょうね」
 言葉を反芻する姿を、容易に思い浮かべることができた。
 ウシと話をする経験は片手分だけある。
「物分かりがいいな。死んだものたちは総じてそんなものだが」
「死んでまでわがままを通そうとは思いませんよ」
「生きているときのことが俺にはわからないから、なんとも言えないな。憎くないか」
「殺されたことが、ですか」
「人間に殺されたことが。人間の俺が」
「あんたに殺されたわけじゃないでしょう。死ぬのは怖いし、死んだのは悲しいけど、殺されたことは特になんとも思いません」
 あれはいつのことだったか。
 間もない頃だったと思う。生まれてではなく、生まれ変わって
「あるカラスと話したことがある。人間のことを憎み憎み、憎み通していた」
「それだけ人間を憎むことができるとは。なぜ憎んだのでしょう」
「『人間が居場所を奪った。住処も餌場も何もかも。人間さえいなければ。せめて節度を守っていれば。こんなことにはならなかった』」
「わからなくもないです。でも、同じように感じることはありません」
「それは諦めか」
「たぶん、別物です。おいらには諦めるものがありませんから。憎むものもやっぱりないんです」
 わからない。
 何度、聞いてもわからない。言葉は通じているはずなのに。
「わかろうとしたってわからないことはありますですよ。おいらだって人間の考えることはわからない。わかろうとしたことも、ありました」
「知っていれば変えることが」
「『なぜ憎まなければならないのか』、それがおいらにわからない。自分がされたら憎いから。そんな思いでしょうか。だったら、おいらがあんたに思うのは『傲慢だな』です。おいらはあんたとは違う」
「俺は」
「諦めるものも、憎むものもない。命を与えられたから怖さと悲しみを感じたたけど、ほかにはなにもない。奪われるものはない。カラスは、奪われたのでしょう。居場所を奪われた。だから、奪った人間を憎んだ。おいらは最初からなにも持ってないんです。なにも奪われてない。どこに憎むところがあるでしょう。なにを負い目に感じているんですか。馬鹿にしているんですか」
「別に、俺は。──わからない。しかし、自由を」
「『自由を奪った』と。あんたは自分が自由だとでも言いたいんですか。『できないことも、してはいけないこともなかった』と、そう言いたいんですか。それが自由ですか。おいらにそんなものはなかった。これで満足ですか。おいらが不幸なら満足か」
「違う」
「なにが違うんです。あんたが自由ということか。それとも、この程度のおいらの不幸では満足しないということですか。じゃあ、これならどうです。おいらにはカラスのような翼がない。だから空を飛べない。空を飛べないから憎い。空を飛ぶことができるカラスが憎い。なんていう不幸だろう。とてつもない不幸だ。だが、あんたにも翼がない。翼がないあんたはカラスが憎いか。不幸だな」
「憎まない。不幸でもない」
「おいらは牧場で草を食み、飼料を摂り、牛舎で眠り、星を見上げ、目覚め、朝の光を浴び、朝の風に当たり、日なたの草地をゆっくり歩き、横になって日光浴をする。殺されるまでのあいだずっと」
「殺されることが不幸ではないと言うのか」
「生きていたいのに殺されてしまうことは不幸でしょう。でも、憎む相手はいない。運命でも憎んでおきますか。おいらにとっては、殺されたときが天命のとき。殺されるために生まれ、殺されるために生きてきた。やっぱり憎む相手なんていないんですよ」
「憎まないんだな」
「憎みません。だからどうぞ、食べてください」
 鉄皿の熱気はかなり冷めてしまっている。ソースが飛ぶこともない。
 フォークを肉に突き刺す。
「お願いがあります」
「一生のお願い、か」
「感謝はしなくていいです。でも、すべて食べてください」
「ここにあるのは一部だ。ウシだった頃の肉がすべて俺の前にあるんじゃない。だが、ここにあるだけでいいというなら約束しよう」
「ああ、もうおいらはウシではないんですね」
「ステーキだ」
「ステーキを、食べてください」
 切った肉を口へ運ぶ。咀嚼して、嚥下。
 切る。食べる。切る。食べる。切る。食べる。切る。食べる。切る。食べる。切る。食べる。切る。食べる。
 冷めている。固い。なにも言わなかった。なにも聞かなかった。
 「おいしい」と言うべきなんだろう。
 しかし、味を感じない。






2007-12-23 12:44:33公開 / 作者:模造の冠を被ったお犬さま
■この作品の著作権は模造の冠を被ったお犬さまさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 私の○○観。
 気分を悪くされたなら、ごめんなさい。謝ります。
 読み手になにかを考えさせる書き物というものを、ごくまっとうに書いたらどうなるか試してみました。
 ちなみに、この書き方はドンベさんから奪いました。勝手に奪って勝手に感謝します。ありがとう。
 ここの感想欄にはなにを書いてくださっても構いません。気付いた範囲ですべてリプライし、私の血肉にします。
 私もそうとう、悪食です。
この作品に対する感想 - 昇順
どうもはじめまして。不思議な読後感に浸っております。あと、久しく牛肉を口にしていません。
この牛の一部の方の無関心さに、何やら好感を抱いてしまいました。しかし、彼(あるいは彼女?)に問いたい。「どうして完食してほしいのですか?」
よく分からない感想をこれ以上書くのもどうかと思うので、これにて失礼します。
2007-12-23 21:36:18【☆☆☆☆☆】月影白兎
 拝読しましたっ。読み終えて最初、私は以前誰かに租借されたときどんなことを考えてたんだっけ、って思いました。訳のわかんないこと言ってごめんなさい。夢幻花です。

ものすごい小説だなぁって思いました。「ああ、もうおいらはウシではないんですね」のところでもういろんなものがこみあげてきて。 なんていえば良いんでしょう、悲しいとか気持ち悪いとかじゃなくて、ただ怖くなりました。生きるってやっぱり怖いなぁ、恐ろしいなぁ、哀しいなぁって再確認させられた感じです。
 それにしてもこれだけの分量で、こんな内容の物が書けるものなんですか。こういう、果てしなく長い輪廻のほんの一部分だけを切り取った小説の場合、何かが不足してたり余分だったりしてることが多いですけど、過不足無く表現されているというか、なんでしょう、言葉が見つかりません(笑)
 一つだけ、ただの夢幻花の好みの問題なのですが、下線は引かなくても別に良かったかなぁって思いました。でも引いてないとあそこを読み流す人もやっぱり出てくるのかなぁ。どうなんでしょう。戯言だと思って聞き流してくださいね。
 ほんとにいろんなことを考えさせられてお腹一杯です。ありがとうございましたっ。次回作もひっそり楽しみにお待ちしてますね。
 あ、あと多分誤字発見です。「それが意識かどうか、俺にはなからないけどね」のとこ、「わからない」ではないでしょうか。私が知らないだけでそういう言葉があったらどうしようとびくびくです(汗)
 
2007-12-24 00:42:33【★★★★★】夢幻花 彩
ステーキっていうのが気にいりませんでした(笑)個人の好みの問題でしょうか。誤字気になりましたが、このひとの場合わざと誤字にしてそう、とも思ったので内心恐怖に震えてます。ステーキまでは心にぐっとくる、共感だかなんだか説明しきれない感情がめぐりめぐっていました。
何回も読んで酔って味わう、みたいなのではなく、今回は一発でスコーンッと響くみたいな感じ。
なんかいろいろと書き手の思惑にはまってそうな予感がして、それが不快ですのことよ(笑)このー皮肉と腹黒の将軍め★
2007-12-24 01:19:52【★★★★☆】ゅぇ
 感想が入っていますね。バンザイです。

>月影雪兎さま

 もうしばらく牛肉を食べないほうがよいかもしれません。宗教勧誘ではなくて。
 ウシが無関心というか、“人間が物欲にまみれているあいだ動物たちは独自の人生観を作っているのだろうなあ”と私は考えていて、なので人間なんかよりよっぽど老成しています。
 それを踏まえて疑問にお答えしましょう。ウシは、死んで消えてしまうことに恐怖しているようです。意識のほうはどうなるのかわからないので、肉だけでも存在し続けてほしい。そう考えています。質量保存の法則を引用するまでもなく語り手が食べ残したところで微生物が処理するのでしょうけれど、ウシはそのことを知らないようなので「また肉になって生きたい。そのために食べられる」と考えています。捕食者を敵と認識していないため、語り手の肉になることになんら反発がないようです。
 このことを本文で伝え切れなかったと反省しています。

>夢幻花 彩さま

 彩さんっておいしそうですよね。
 犬もおだてると川を渡りますよ。失敗するけれど。狂犬病だから。
 『気持ち悪さではなかった』という感想にほっとしています。毎日の行いでありながら目を背けて逃げていることでもあって。いつもではなくてもたまには真正面から見つめることって大切だと思うのです。お肉は最初からパックに入っているわけではありません。
 タイトルの『りんね』について目を配っていただけたようですね。でも、どうだろう。書き手の私の感覚では『くびき』のほうが重きを置いていたつもりだったので意外でした。やっぱりこのふたつはセットで考えたほうがよいのかなあ。仏教も勉強したほうがいいかな。
 下線については、私もそう思います。はっきり言ってウザいですよね。重要な所だってことは「わかってるっちゅうの!」。でも、せっかく機能があるならそれを使ってみたくなる、私のサガです。
 誤字ですか? 【なから】というのは漢字では【半ら/中ら】と書いて、半分とか中途半端という意味になります。だから、「俺にはなからないけどね」という台詞は「俺にはあんまりないものだけどね」ということになります。意味がわかりませんね。誤字です。認めます。仰るとおり【わからない】のミスです。

>ゅぇさん

 牛肉というものは気付かなくても口にしていますから(月影雪兎さんを揶揄するわけではありませんよ)そこで生々しいステーキを持ち出す必要がない。わざわざ持ち出してきてわざとらしい、ということでしょうか。
 誤字は、そうですね。ありました。しょっぱなからあるとは、とんだ失敗です。一晩しか置いていないのでぜんっぜん駄目ですね。ただ、今回はスピード勝負をしかけていたということを弁解にしておこうと……駄目ですよね。ぐっすんおよよ。
 どうも、皮肉と腹黒の将軍です。また名前が増えました。英語にするとジェネラルオブサーカズムアンドマリスか。マリスの響きはいいけれど、サーカズムのほうがちょっとなあ。サタイアにしてみようか。短くなったけれど、全体としてまだ締りがない。ううん、あーでもないこーでもない……。
 英語が苦手なくせにがんばっちゃったじゃないか。このーレディオブラムアンドパッションめ★
2007-12-24 02:58:40【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
拝読しました。牛肉は生肉が一番でございます。生肉の表面を適度に炙っても良いですが、それでも生肉が一番美味いのではないでしょうか。牛さんの「憎みません、だからどうぞ食べてください」の一言が非情に印象に残りました。気分は別に悪くはなりませんでしたよ。通算三回読んだのですが、一回目はほぼなにも感じなかったです(多分個人の問題)。二回目で何となく解りかけ、三回目で自分の中で納得しました。お犬さまの話は美味しく頂きました。
2007-12-24 23:32:15【☆☆☆☆☆】水芭蕉猫
 かんそーかんそーっ!

>水芭蕉猫さま

 水芭蕉猫さんはアレだ、生きてるウシをそのまま齧ったらいいよ。
 一回目の【なにも感じなかった】ってのはどういうことだろうな、と考えました。伝え切れなかったのだろうか、魅力がなくて心を打たなかったのだろうか、どっちだろう。前者は書き手の、後者は読み手の問題だと思っています。個人の問題と書かれているということは後者なんだろうなあ。
 魅力を感じない理由として“自分からあまりに離れているから”が挙げられるけれど、水芭蕉猫さんの場合は“近すぎるから”だと思いました。
2007-12-25 00:47:02【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
うーむ、なんか、昔自分で打った『たかちゃんぐるめ』の一部を思い出したりもしてしまったのですが、たぶんお犬様はご覧になっていないでしょうし、感性もぜんぜん違いますし。ともあれ、味を感じないことの若さ素直さが羨ましいというか、そんな感慨を覚えました。ありゃ、これだと作品への感想ではなく、作者様への感想か?
2007-12-25 01:22:02【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
読ませていただきました。時間をおいて三回読みました。初回はあまり理解できませんでした。あえてそういう風になさっているので想定内だと思いますが、会話からも独白からも両者の関係がなかなか浮かんでこなかったからです。読み終わってから、ああ、こういうことだったのか、もう一度読まなければ、と思いました。メッセージ自体が強すぎて、小説として受け止められなかった気がします。つまらない感想ですみません。失礼します。
2007-12-25 21:21:52【☆☆☆☆☆】メイルマン
 わーい。感想。わーい。

>バニラダヌキさま
 私の弱点をよくわかっていらっしゃいますね。作者への感想でも構いませんよ。
 【たかちゃんぐるめ】は読んだような覚えがあります。カレーだったか鍋だったかを作る話ではありませんでしたか? 感想を書いたかまでは覚えていませんけれど。あれはスーパで食材が喋っていましたね。感想欄で仏教の単語を出してしまったから、余計に似てしまったのかもしれないですね。
 若さを保ちながら知識と経験を身に付けたいと考えています。不老長寿は無理でしょうけれど、好きなときにステップダウンして戻ってこられるような、そんなことができたらなあと。

>メイルマンさま
 三回という数になにか力が働いているのでしょうか。水芭蕉猫さんもそうでしたね、呪術的な力とか。
 独白によって相手が“死体である”ということがわかり(インパクトのある『起』)、次に“ウシである”ということがわかる(スムーズに運ぶべき『承』)。最後に“○○である”とわかり(驚きのある『転』)、これを三段オチというのかはわかりませんけれど、そんな形で終わります(『結』)。必要以上にわかりにかったとしたら、『承』が巧くつなぎの役割を果たしていなかったのかな、という気がします。
 小説ではない、かあ。その感想は深く刻み込んでおかないといけなさそうです。
2007-12-25 23:45:36【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
こんばんわ。祟られる者です。
現在クリスマス。一年で最も鶏肉の需要が高まる日ですね。チキンは美味しいです。

これだけの文量なのに飲み込むのに随分時間がかかりました。豚肉でも鶏肉でもない、
牛肉のようでした(ぉ 

肉類は残すと罪悪感があるが野菜は無いなぁ。とか、いろんな事を考えてしまいました。
そして何となく共感出来るんです。主人公じゃなくて、牛に。別に私は牛ではありませんが。
死んだなら仕方ない。折角なら残さず美味しく、と。

もし牛の立場ならば、一生のお願いは苦しまない死に方で。って言いますけどね。


……また良くわからない感じになってしまいました。乱文失礼しました次回作にも期待
2007-12-25 23:56:08【★★★★☆】祟られる者
あ、ごめんなさい。今過去ログを覗いてみたら、改名前のお犬様にも、狸の拙作にご感想をいただいていたではありませんか。とりあえず、失念お詫び申し上げます。しかし拙作の食材たちの、なんと脳天気なこと――やはり爺いの諦念ですかね。
2007-12-26 00:19:03【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
 やっほい感想。

>祟られる者さま
 メイルマンさんに続き、祟られる者さんも読みにくいと感じたとなると、重く捉えなければなりませんか。うーん。
 祟られる者さんもいろいろ考えたみたいですね。私は相手ががウシでなくても、ブタでもニワトリでも合わせのコーンでもなんでもよかったのです。映像として想像する場合を考えると、ウシだろうなと。
 実を言うと、この語り手がウシに対して「牧草だって生きている」と語り、ウシが「それはないでしょう」と返すやりとりも考えていたりしました。蛇足になりそうなので止めましたけれど、私の考えでは植物もまた命のひとつです。
 「一生のお願い、か」と語り手が言ったのは、いわゆるブラックジョークです。設定上では「苦しまずに殺してくれ」と言ってもすでに死んでいるのだからどうしたって遅いのですけれど、まあ、私も死ぬときは苦しみたくないです。
 苦しみます。クリスマス。──なんか冗談でも言おうと思ったけれど、暖房の設定温度を上げないといけなくなるのでやめました。
2007-12-26 00:26:30【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
 おや、すれ違い。

>バニラダヌキさま
 いえいえ、役に立たない感想なので覚えていなくても仕方のないことです。
 私も、【たかちゃんぐるめ】の内容を胡乱げにしか覚えていなくて申し訳ないです。
 食材が難しく物事を考えていたりしたら、食べるのに戸惑ってしまう。そんな、ちょっと一歩下がった目線を書いてみたかったのです。私なんかがそんなことを考えて食生活を送っていたら、やっぱり単純に「おいしい」とは言えなくなります。それでもなお「おいしい」というべきところなのでしょうけれど。
2007-12-26 00:39:14【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
はじめまして。山名と申します。
圧倒されました。会話文の連なりだけでここまで書けるとは。これだけメッセージ性のある文章を書ける感性がうらやましいです。ホント。
ちなみに私は今日、焼肉食べ放題に行ってきました。日頃の食生活の恨みを晴らすべく、食って食って食い散らかしてきましたけど、食べ放題ってどうなんですかね。何とも言えませんが、あれは、この文の牛が望むような形ではないような気がしました。
正直言いたい言葉が出てきません。もう一度拝読して、少しでもこの文を咀嚼し何かを得たいと思います。つまらないことを書いてすみません。
2007-12-29 01:36:43【★★★★★】山名春秋
作品を読ませていただきました。会話部分は興味深かったけど、物語そのものは似たようなのをマンガで読んだことがあったのでちょっと物足りなかったかな。
2007-12-29 11:22:01【☆☆☆☆☆】甘木
 おおっ。

>山名春秋さま
 私の感性なんて、ちぐはぐなだけで不恰好ですけれどね。心に引っかかったことをメモしておいて、メモをいくつかつなぎ合わせればだいたい出来上がりますよ。今回はメッセージ性を中心に、周辺をかき集めてみました。
 焼肉ですか、いいですね。お仲間と楽しく行ってらっしゃったんでしょうか。私は、お仲間がいないのでばら肉をフライパンで焼いて焼肉パーティを開いています。孤独に。で、ウシのお願いですけれど。私がこう言うのもなんです──でも、考えなくていいと思いますよ。そんなことをずっと考えていると身がもちませんからね。
「焼肉食べ放題は人間にとって幸福だ。私は人間だ。だから幸福だ」

>甘木さま
 あるのかー。ウシではなく『その後』とお話しするなんて結構、新しいと思ったのだけれどなあ。ま、それはそれでしょうがない。
 この話の元ネタは、牧場で飼われているブタとお話しするマンガなのです。本屋で立ち読みしただけでタイトルもわからないのですけれど、甘木さんが書いているマンガとは違うだろうな。
2007-12-29 15:17:07【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
これは……いわゆる「何か言ってるようで何も言ってねぇ作品」ではと思ってしまったんだが、いかがだろうか。いや、ばしばし点数つけておられる方もいるようなので、うーむ、これは私がズレちゃってんのかなと思って感想自重してたんですが、やっぱ何度読んでももにょり感が抜けません先生!
作品の形としては独立個々の二者によるダイアログでも、書いてる人間の脳みそは一個。どっちにもこれだけ書き手の頭やしっぽが見え隠れしてしまっては、ちょっとあざといよ。ちょっと俺の独り言聞いていけって言われてるようなもんだ。オ×××プレイってやつだよすいません真剣なとこで下ネタとかわざとじゃないんだが他にぴったりな単語が見つけられない。申し訳ない。言わずもがな、意図するところは『ひとりよがり』であってそれ以上の変な意味はないですよ。(義務教育中の方がたくさんおられる場所なので伏せ)
おかげで、あなたが本来意図してるであろうところにたどりつくのにえらく骨が折れる。

ちなみにこれがもにょり感の理由ではないのですが、最後の一行が予想と真逆でウヒョっとなりました。そか、味しないのか……!目からうろこ。
2008-01-04 11:41:34【☆☆☆☆☆】有栖川
 今度は先生とか呼ばれちゃってるよ。

>有栖川さま
 【何か言ってるようで何も言ってねぇ】なんて高度なこと、そう容易くできませんよ。それをやろうとすると、まず『冗長さ』が前面に出てきてしまって巧くない。これ以上ないくらいダイレクトに伝えているはずなのだけれどなあ。おかしいなあ。と言うことは、“私は空の人間だった”ということか。それなら私の正体とか真相なんてないな。空洞から漏れてくる残響みたいなものだ。
 普段だと「書き手が隠れていて、その人間性が見えてこない」と言われているので、その加工を引っぺがしてみたのだけれどやり過ぎたか。意見文・主張文になってしまったらしい。私自身も小説の形態で意見文が書かれているのを見ると「鼻持ちならない」と思う性質なので、反省。
 もにょり感ってなんだろう。意見文に対する反論をもっているものの、それを発揮できないためにもにょってるのかな。「だったら書いていけばいいよ」と誘っても書かないだろうな。ひとりならまだしもふたりで×ナニー×××は醜悪で見るに堪えない。ん? 私はそーゆー常識を敢えて冒す行為に興奮を覚えないわけでもな(有栖川さんに倣って伏せ)。
 予想と違ってたのは、私の地点をとうに一足飛びで通り越しちゃってるからじゃないですか。バニラダヌキさんみたいに。
2008-01-04 15:03:55【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
ぎゃー高速レス。正月休みなのであえてもっかいレスってみる。
だらだらと分厚い描写(だかなんだか分からん修飾の嵐)の肉ぶとんを着てるために、読み終えたとき『だから何やねん』ってなるのがテンプレ的『何か言ってるようで何も言ってない』冗長な作品だと思うけども、そうじゃない『何か言ってるようで〜』作品も存在するのではないかね。これがそれだとあたしは思うのでありんす。ちなみに私はあなたの作品ほど「書き手が隠れてなくて、その人間性がよく見える」やつもそうそう見ないような気がしますぜ。揚げ足を取るわけじゃなくてね。今回はたまたまダイアログ形式だったからそれがよいほうに作用していないと思ったのであって、ふだんのあなたの作品には、あなたらしさがよく出ていると思うんだけれどもどうだろうか。でもって、そういう物書きとしてのあなたの個性について、私はもちろん何も口出せねえですよ。
もにょり感って何だろな本当に。妙な擬音使って申し訳ない。なんか要領をえない独り言を聞かされたときの『……ホへぇ』だろうか。画面の前の私はヤバいほど顔芸してますが、この表情をどうお伝えしてよいやら。モ×ゾーとガ×ャピンを足して割……いやなんでも。
私はこれを『意見文』としてとらえていないので、『反論』はございませぬ。だって『意見文』ではないのでしょ?
2008-01-04 15:44:38【☆☆☆☆☆】有栖川
 を!(びっくりしたときの擬音)

>有栖川さま
 あーびっくらこいた……。バグったのかと思った。今回は引用式でリプライします。

>(修飾の嵐を着た作品じゃない)『何か言ってるようで〜』作品も存在するのではないかね。
 あるのだけれど書けない、そういう認識でいました。でも、これがそうですか。そのいったつもりで書いたということはなしんす(ありんすの反対語)。私はどんなものにも皮肉をふりたけたがるけれど、その芯まで皮肉ということはないですよ。

>あなたらしさがよく出ていると思うんだけれどもどうだろうか。
 それはたぶん、『私』らしさの根っこを掴んでいるからだと思います。「書き手が隠れていて、その人間性が見えてこない」と感想をくださった方も、登竜門の書き物以外での私の垂れ流し文を読み進めるうちに『私』らしさを掴んだと思います。
 ──捕まりました。逃げられません。もういくら尻尾切りをしても駄目ですね。ネガをとられてしまっている。名前を変えて投稿してもバレる自信がある。

>モ×ゾーとガ×ャピンを足して割……
 それはぜひとも見たい。ご尊顔を拝見したい。
 私の想像では土偶と埴輪を足して割……いやなんでも。

>だって『意見文』ではないのでしょ?
 啓発っぽいね。たぶん、自己啓発。だからオ×××プレイ。だからそれを見た有栖川さん「……ホへぇ」。
 って、なんか私が変態みたいじゃないか。いや、私は変態だけれども。そーゆー変態じゃないんだ!
2008-01-04 16:43:00【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
新年、動く気も起きないしヒマなので読みに来てあげました。本年もよろしくお願い申し上げます。
で、もにょりました(パクりました)。
いやあ、純真ですね。純真すぎて、自分のようにごく普通にすれてしまっている読者に何かを考えさせるのは実に難しいと思いますよこのテーマは。しかし考えさせようという意図の割に、会話で色々書きすぎている感はあります。一方で情景がわからない。この話はオチにビックリ仰天するタイプのものでないはずなので、最初から食事中とわかるような書き方をして何ら問題ないと思うのですが。その方が会話に集中できて作者の意図に沿うものになるのではないかと思いました。
これを生きているウシくんでやったら陳腐すぎて面白くないからといって、ウシくんを肉塊に代えたところで、それは「新しい」というより「だから何なのよ」という程度です。もしこの話が牛肉へのオマージュだったら見当違いの感想になるのですが、そうでないとしたらしょんべんカーブ的変化球に過ぎないと思います。
最後、旨かろうが味がなかろうが読後感は同じだったかもしれない。だったらいっそ、味の感想を一切省くのも手かと思いました。というか、そこは読者に委ねないのね。
2008-01-05 14:42:20【☆☆☆☆☆】明太子
 読みに来てもらいました。

>明太子さま
 そうか、最後は下手に下草を刈ってあげなくてもいいわけか。そこに至るまでの道程でもガイドをし過ぎたかなあ。ある種の洗脳だから途中までは強引に引っ張るにしても、ラストは突き放したほうがよかったかもしれない。
 途中までは、私の思考を踏み台にさせるつもりで書きました。もにょり感って、「登らされたから登ったけど、景色悪いよ?」かな。わからないな。後ろから突き落とすつもりで登らせたのですけれど、低かったのだろうか。なんだか、躱されて自分が落ちた気分。ひゅー……ぐちゃっ。
 ビックリ仰天も狙ってたんだよ。ホラーとしては二流の“突然現れて怖がらせる”っていうやつをやろうとしたんだ。どうも、からから空回りしているみたい。
2008-01-05 15:47:00【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
お犬様のお作品は初読ではないのですが、感想をつけるのははじめてでしょうか。本当は恐いから読むのよそうかと思ったのですが、読んでしまいました。で、私もにょもりました(ぱくった上に捩りました。これって著作権侵害ですか(聞くな))二回しか読んでないからかな。私も時間を置いてでもまた読んだら、なにかが分かるのかな。
タイトルの「くびき りんね」からして意味が分からず、思わず辞書をひいたりなんかしてしまいました。
根のかわいいウシさんなら、私もステーキになったそれと話してみたいな……!! なんとはなしに楽しそうです。
でも、味のないお肉なんて、悲しすぎます。想像しただけでも悲惨です。
二対の会話に関しては、私の読解力のないせいで本当に申し訳ないのですが、深く意味を考えずに、「分かるよ、その気持ち」などとうなずきながら読ませていただきました。
せっかく読ませていただいた作品を理解できないのって、本当に恐いです。
2008-01-13 20:18:44【☆☆☆☆☆】エテナ
 びっくらこいた。

>エテナさま
 怖いというのは私の性質でしょうか。だいぶ、角がとれたような気がしますけれど。私にとってはエテナさんの情感が怖いです。
 また来たか『にょもり』。しかも、今までと微かに形質が違う。みんな、共通了解して使っているのだろうか。私だけわからないの? 除け者なの? うーん、『にょもり』って上に向かって伸びようとしているのだけれど天井がつかえて巻き返っているイメージ。『もにょり』は恕が混じっていて、『にょもり』は代わりに哀が混じってる。
 タイトルは『くびき』だけにしようかとも思っていましたけれど、単語ひとつだけってよほどセンスある単語の選択でない限りは路傍の石になるので『りんね』をくっつけました。無駄に含蓄があるように見える。ないのに。
 辞書を引くのっていいですよね。たまに「これ使いたい!」って言葉が見つかる。実際の使いどころまで覚えていられたらさらにいいのですけれど(メモしておいても、そのメモがどこかに行ったりする)。特に音読みの二次熟語は、悩みだしたら止まらない。辞書とにらめっこすることしきり。
 私も文中のような形に限らず、動物と話をしてみたいです。生きた動物と話したいです。日常的に食べているお肉は輸入物ばかりですから、私は母国語しかできません。
 ごめん、二対ってなに? 二体の変換ミスか打ち間違い? 額面通り受け取ると、一体を精神と肉体で分けて四つで話し合いをしているような書き方は興味深かった。
 『にょもり』とか『もにょり』の感想って、私から見たら成功なのかもしれない。それって納得してないってことでしょ? 納得されちゃ駄目だもの。
2008-01-18 00:26:23【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
『二対』って、間違っていないつもりで使ったのに、思いっきり使い間違ってますよね……!! すみません。『二人の会話』って書こうと思ったんですけど、一方は人だとしても、もう一方は人じゃないし……と思って、ふと思い浮かんだのが『二対』という言葉なのでした。
全然関係ないかもしれませんが、某占いで、『恨みが人生の原動力』という診断をもらったことがあります。的確すぎる結果ですが、言い換えると、恨みがなくなったら私は生きていけないということになりますね。
『にょもり』に関しましては、有栖川様や明太子様が使っていらっしゃるのを見て、私も使ってみたい……!! と思って、使わせていただいただけだったりします。お二人と同じ感覚で使えていたら、そりゃうれしいですけど……!!
この、『分かりたいのに分からない』って、なんか恐いな、って思うのは私だけなのかな。お犬様の性質は全然恐くないんですけれども(仰るとおり、見違えるほど、まぁるくなられた感じがします)、『分からせてもらえない』のが恐いかな、という感じです(自分の未熟さを再発見するからかもしれません)。
辞書は類語辞書が好きです。新しい発見が次から次へと飛び出してきます。一つの単語を、音の響きや空気感、温度感にまでこだわろうと思うと、やっぱり普通の辞書だけでは足りないです。
2008-01-18 16:53:34【☆☆☆☆☆】エテナ
 やっほ。

>エテナさま
 類語辞典! いい類語辞典を探しています。お薦めがったら教えてください。
 『恨みが人生の原動力』か。ずけずけとものを言う占いだな。当たっているのでしょうけれど。あ、いや、悲観しない悲観しない。そーゆーことを私に言えちゃう辺りは素敵だと思うよ。
 私はあんまり感情が湧かない性質でして、私が怒りっぽく見えるのは、文章を書きながらだんだんと自分が不遇に立たされているとか相手がどんなに馬鹿かわかってきて怒り出すからであって、文章を書いて「よしこれなら怒れる」と確認してから自分に酔うようにして書かないと怒れません。「可哀想だね」と人に言われ続けてやっと、自分の境遇が『可哀想』なんだと気付くような人間です。主観がないね。
 もともと我欲が少ないという下地もあったのでしょうけれど、ここまで情感が凍結しているのは人生観もあるのでしょうね。──ううん、書いていることが青臭い!
 ということで、『恨み』でもなんでもエナジイをもてるというのはちょっと羨ましいのでした。

 私は『わかりたいけどわからない』のはたいていの場合、その責任を相手に押し付けます。私は謙虚な人間ではないので、自分に読解力がないということを考えないのです。わかりにくいのは相手のせいなので、不満はあっても怖さはないですね。誤解の怖さは常につきまといますけれど。
2008-01-20 01:13:44【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
計:18点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。