『友(智)との別れ』作者:鶴少尉 / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約10.79枚
それは、あるすみわたった青い空の日の事。
少年の名はケイ。
その日、ケイと友達の坂川(さかかわ)智仁(ともひと)がケンカをしていた。
それは珍しいもの。本気のケンカだった。
ケンカになった理由。それは誰も知らない。
当人同士もエスカレートしすぎて覚えていない。
いつものおふざけがなく、ほかの人にも手が出せないほどだった。
「ふざけんなよケイ。真面目にいってるのかよ」
「真面目に決まってんだろこのバカヤろう」
とまあこんな感じの言いあいでした。
その日の帰り道、智仁は反省していた。
(言い過ぎたな。おれも悪かったモンな。明日謝ろう。)
そう心の中で思い走り出した。
一方ケイのほうは、まだ怒っていた。
(なんだよ智仁のやつは。ッタクあんなやつ死んでしまえばいいんだ)
そう思い家に帰った。
だが、ケイは家に帰った後、深く反省していた。
原因についても考えた。
(だいたい発端はなんだったんだ?俺がやっぱり悪かったのか?ジャなきゃ怒んないよな。うん明日謝ろう。)
そう思いケイは寝た。
その夢の中ケイは悪夢を見た。いつになく怖い夢。
悪夢でいつもより早く起きたケイ。いつもより早く学校へ行った。
さすがに早かった。学校の教室には誰もいなかった。
一人で椅子に座ってしばらくボーっとしていたら、どんどん人がやってきた。
「オイ、ケイ。今日智仁に謝っとけよ。昨日のはお前が悪いぞ」
と、笑って話しかける人もいた。
俺が早いのに少し驚きながらも、黙々と席に着き勉強を始める人もいた。
たくさん来た。そして朝のチャイムがなった。みんな来ていた。
だが、智仁だけはいなった。ケイは、(遅刻かな?休みなのかな?)と思っていた。
その後、先生がいつになく、暗い雰囲気で入ってきた。
先生は入ってきてすぐ、いつより重苦しい声で話した。
「実は、智仁なんだが、……」
「どうしたんですか?智になんかあったんすか?」
クラスの人の問いかけに先生は重い口を開いた。
「昨日、帰り道に、…信号無視のダンプカーに轢かれて(ひかれて)、亡くなった」
その言葉に、クラスは一瞬凍りついた。
その後クラス全体がが声を上げた。
「えーーーー!!!」
ケイは凍りついたままだった。
「うそだろ。……うそだろ…うそだろ。…うそだろ先生!」
思わず叫んでしまった。
「うそじゃない。気持ちはわかるが、落ち着け」
「落ち着けるわけねえだろこの野郎!」
今度叫んだのは、小林だった。小林は、智仁の幼稚園の頃からの友達。
中学からの友達のケイからより、ずっと昔から仲がよく、ケイよりだいぶショックなはずだ。
「まあ、落ち着けっていってるんだ。無理かもしれないが、わかってくれ」
ケイはその後の話が頭に入らなかった。
「ケイ…おいケイ!聞いてるか?」
ケイは、先生にいきなり呼ばれた。いや、頭に入らず呼ばれたのに気づかなかったから叫ばれたのだ。
「は!はい。なんですか?」
「しょうがないな。モウ一度説明する」
説明の内容は、明後日の葬式に、小林とケイでクラス代表として行くことに決まった。ということだ。
「わかったか?いってくれるか?」
「はい」
そうしてケイと小林が行くことに決まった。
その後先生は続けた。
「それで、今週と来週は休みにする。2週間で、頭を落ち着かせて来い」
「…はい」
それは、動揺を隠せない、クラス全体の弱々しい返事だった。
智仁はクラスの人気者。智仁はすごく明るくて、皆に好かれるタイプの人間だった。
クラスの原動力の1つだった智仁がいなくなり、このクラスに覇気がなくなっていた。
その日は、それで解散となった。
ケイは家に帰る途中、何も考えれなった。
車に轢かれそうにもなった。
家に着いた時、悲しみと悔しさが一気に出た。
ずっと泣き続けた。

葬式当日。ケイは、先生の車で小林と一緒に智仁の家へと向かった。
家に着いて、智仁の家族と話した。
「ケイ君。智仁が、死にぎわに、…謝りたいっていってました。」
「そうなんですか」
ケイは、散々泣いたが、また涙が出そうになった。
小林とも会話していたが、聞こえなかった。
その後、最後の対面といわれ、死んだ智仁の顔を見に行った。
そこで、ケイの悲しみは再び盛り返した。
「おい!智人、何で死んじゃったんだよ、俺、謝れないジャン。
最後にケンカで分かれるなんて寂しいよ、ねえ、死んだなんてうそだろ?
俺が悪かったんだよ。おれがお前なんて死んでしまえなんて思ったから。
ケンカも俺が悪かったんだ!いつもみたいに笑って起き上がれよ!
何とかいえよ!…なんとかいえよ!智!!!」
ケイは泣き続けた。先生にその場から話されても泣き続けた。
小林は、我慢していた。遺族の人たちも泣いていた。
小林は、ケイを慰めてくれた。
「ケイ、お前は悪くない。事故なんだ。誰も悪くない。智はお前を恨んじゃいない」
小林はどこまでも強い男だ。
やがて、智の葬式は始まった。

その日の帰り道、先生にいわれた。
「二人とも、休みの期間、ゆっくりすごせ。ショックは大きいだろうけど、しょうがないんだ」
「はい」
そういって、先生は車に乗った。
ケイと小林も乗った。
そして、それぞれ家路に着いた。



2週間の休みの間。
葬式後の3日間ほど、ケイはずっと泣き続けていた。
その後から、ケイはけんかの理由を思い出そうとしていた。
(やっぱり俺が悪いよな。それにしても普段から俺は自分勝手なんだよ。
そんな俺に、いつも仲良く接してくれていたのが智なんだよな。小学校の頃はこんないいやついなかったよな。)
智との思い出にふけて、ケンカの理由を思い出すことを忘れていた。
(俺が転校してきて、なかなか友人ができなかったときに、声をかけてくれたのが智と小林なんだよな)
実はケイは転校生だった。
(智とはそれから、土日も一緒に遊んだり、智の家に泊まったりしたなぁ〜。…はぁ〜、いかんいかん。ケンカの理由を思い出そう)
ケイは、智にただならぬ信頼を置いているようで、もっとも大切にしている人のようだ。
ケンカについては、ずっと思い出せなかった。
しかし休み終了の2日前、ケイは思い出した。
(そうだ!あの時俺が、あんなことを言ったから…。
智はあんないいやつだったのに。あの時も自分勝手な発言だったな)

ケンカのときの状況を再現しよう。

ケイは、普段道理の時間に学校に来た。その日、智は珍しく遅刻をした。
「お、智。珍しいな。お前が遅刻か」
「いやーまいったまいった。目の前で事故があって、話を聞かれてな」
「マジかよ。大丈夫だったか?」
「おう、心配しなくていいぜ小林」
実は遅刻の原因は事情聴取だったらしい。
小林と智の会話を聞いていたケイは言った。
「本当か?冗談はよして本当の事言っちゃえよ」
ケイは智のいったことを信じず、いつものようにふざけた感じで喋った。
「大体さ、智はそういう嘘が下手なんだからやめとけって」
智は少し怒った。
「お前さ、そういうこと言うのやめろって」
「うるさいよ智。大体さ、智は時々うざい嘘とかつくしさ。
馬鹿みたいなこと言い出すし、何考えてっか分かんないんだよね」
そのときに、智が完全に怒りケンカが始まったのだ。

全てを思い出したケイは思った
(はぁ〜。あんな事いわなきゃよかったよ。やっぱり俺が悪かったんじゃん。)
思い出してまた涙が出てきた。


二週間後、休みが終わり、皆がまたこの教室にそろった。
たった一人。小林を除いて。
小林は、あの後、体を壊し入院している。
相当ショックだたのだろう。強いところを見せていたが、やはり相当こらえたらしい。
その後、小林は1ヶ月入院した。
1ヶ月の間にケイはお見舞いに何度か行っていた。
そこで見た小林は、見たことないほど衰弱していた。
1ヵ月後、小林が退院したとき、みんなで迎えにいった。
智仁の死からマダ1ヶ月半。クラスのみんなの心には傷が付いたままだ。
そのため、「智の死」という言葉は、学年全体でタブーとなった。
そのすぐ後に、このクラスにまたも悲しみがやって来た。
小林が、その1週間後、自殺したのだ。
衝撃的だった。
遺書にはこう書かれていた。
小林の字で「俺には、たえきれない。智のいない生活は苦痛だ。俺は智の下へ行く」
と、書かれていた。
自殺したのは、夜。次の日の朝に発見された。
「そんなこと言って、自殺なんかするなよ。なんで智の分も、少しでも多く生きようと思わないんだ」
ケイは嘆いていた。
クラスの皆も泣いていた。
1ヵ月半のうちにクラスメイトが2人も死んだんだ。悲しく思わないほうがおかしい。
その後の調べによると、小林の入院も、智の死による自殺の未遂で入院。
その後、精神状態がやばくなり1ヶ月入院していたのだ。
「友(智)との別れ」は、小林の自殺で、クラスに印象を決定付けた。
小林は、かけがえのない友人の死という重圧に耐え切れず、自殺した。
ケイは3人の中で一人だけ死んでいなかった。
ケイは誓った
「この二人の分も生きてやる」と。
そうして、半年後。二人の死を忘れられてはいないが、クラスに元気が戻り始めた。
ケイも無理にでも笑って明るく振舞っていた。
クラスの皆も、ケイが、無理に明るく振舞っているのには気づいていた。
だから、皆も明るく振舞った。
だが、それが続いたのも、今日までだった。


今日の帰り道、ケイが智や小林のことを考えながら帰っていた。
その日は、智が死んだ道を通っていた。
「やっぱりここにくると悲しいな」
そう独り言を言いながら帰った。
ケイ自身も、その独り言が最後の言葉になるとは、思わなかった。
その直後信号無視のダンプカーに轢き殺された…。
そう、まったく智の死と、同じシュチュエーション。同じ場所での事故死だった。
次の日、先生の口から、ケイの死が知らされた。
ケイの死を知ったこのクラスは、色を失った用に、元気・明るさを失った。
 


                                     〜END〜
2007-12-16 14:51:21公開 / 作者:鶴少尉
■この作品の著作権は鶴少尉さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初の投稿で、よくかけたかわかりませんが
よくあるシュチュエーション?めざしてがんばりました。
この作品に対する感想 - 昇順
 う〜ん、話の流れは悪くないと思います。小林の死はさすがに驚きましたし。
 しかし、何かが、味付けが足りないのだと思います。たとえば、せっかく二週間の休日があるのに、その間の描写が全く無いこと。ケイという人間を描く上で、智の死の大きさを描く上で、これ以上ないタイミングだと思うのです。ケンカの原因も不明なままですし。ところで、ケイだけ本名不明の片仮名であるのは何故なのでしょう? それも気になりました。
 あと、場面転換を行間を空けることで表現している点。これ自体には問題はないのですが、このような用い方をするのなら、もう少しその効果に気を使うべきだと思います。具体例のひとつとして、ケイの最期の場面の前も空けるなど。ここは間をおいた方が良いのではないでしょうか? 流れが(悪い意味)でストレートなので、「あっ、やっぱり死んじゃった」程度の印象しか受けませんでした。
 酷評ばかりで申し訳ありませんが、素材はそろっていると思うので、味付けを頑張ってください。
2007-12-15 21:50:43【☆☆☆☆☆】月影白兎
ありがとうございます。これから参考にします。
味付けには僕も悩んでました。
そういう空間の使い方とかも教えていただきうれしいです
2007-12-15 22:14:00【☆☆☆☆☆】鶴少尉
 初稿に比べ、だいぶいい感じだと思います。実は前回書きこまなかったことなのですが、小林の思い詰め方がまるで理解できませんでした。「何でそこまで?」と。追加されたシーンにより、小林がケイ以上に智に深い友情を感じていたことも分かりました。
 気になる点を列挙していくと、
「正規表現がしっかりとは守れていない」「ひとつひとつの言葉が洗練されていない」
ですね。「まだ深みが足りない」は、ひとまず置いといても構わないでしょう。上記二点は、鶴少尉さんに不足していると感じます。しっかりと煮込んでみてください。それでは。
2007-12-16 19:13:47【☆☆☆☆☆】月影白兎
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