『停電の日のお楽しみ』作者:ナナ米 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
都会に来て初めて停電に遭遇した上に運が良いのか悪いのかベビーシッターまで経験している田舎者のお話。
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原稿用紙約8.77枚
 昔々、夕暮れの小さな公園の中で近所の悪餓鬼どもに殴って蹴られて滑り台のはしごのうえから突き落とされて片目に傷を負ってしまい次の日には身体の所々傷だらけで服はぼろぼろに乱れきっていて帰り道には大声で泣きながら大きな道上を歩いて目が真っ赤になるくらい大声で泣き叫びながら小さな男の子が一人で暗い夜道を歩いてお家へ帰りました。
ぼろぼろになったゴミの様な姿で帰ってきた男の子の姿を見てもお母さんは何も言ってくれませんし全く気づいてもらえません。
大丈夫だよって笑ってもくれません。
男の子は必死になけ叫んでお母さんに気づいてもらおうと必死で方や足を引っ張って引っ張ってしていたら急にその子のお母さんは顔色を悪くして背中を丸くした後にその場に倒れこんでしまいました。だけど男の子にはお母さんはどうしたのかが分からなくて、ただただお母さんの傍で大声を上げて泣きながら横たわったお母さんの身体に手を伸ばてみたんだけど――…男の子の小さな赤い手はお母さんの身体に触れる事ができなかったの。どうしてだと思う?
実はね。その男の子は……。

「嫌だああああああああ!!」
「って、まだ何も言ってないじゃん」
「電気電気電気ーーーっ!!」
「はいはい」
 暗闇に包まれた狭い中にぼんやりと浮かぶ小さな灯りの周りを二つの声が囲み片方は叫びもう片方は呆れた声が飛び交い今まで張り詰めていた緊張と何処からとも無く漂う冷気が一気に消え去りカチャッと音を立てて二つの声の前に照らされたのは部屋全体の電気ではなく蝋燭の灯よりも長持ちが期待される懐中電灯の光だった。
「って、違うーーーーッ!! 私が欲しいのは光ッ! ライツライツーーーッ!!」
 懐中電灯の光に恐怖と混乱で頭の中が爆発しそうなくらい焦っている声は日本語と英語読みを同時に言い放ちせっかく冷え込んで気持ちよくなってきた心と身体も暑苦しく熱を上昇させた。怪談話をするとその日の夜が眠れなくなって夜中のトイレも一人で行けなくて困るというのがこの暇つぶしの対談の怖さなんだと思う。
「……うっさいな」
 懐中電灯も灯に変わりないと思うよ。だって電灯は電気の灯って書くんだから。
 それなのに未だに焦って頭の中の整理がつかないのか暴走したままのソプラノよりの甲高い声が黙り込んでいる頭の中に響き渡り一言で言うとウザったい。右から流れ込んでくるソプラノ声が凄く煩い。
暗闇という中で声と声がぶつかり合ってお互いの熱と熱が何となく触れ合うようで嵐の夜にでも当てはめたような後日は停電が発生したのでした。
「だってえ〜……電気のない部屋にまさか一つ屋根のした二人きりのドキドキわくわくウフフな事になるなんて思っても…」
「思うな。ていうか、もしドキわくウフフな事に成ろうものなら俺は全力でお前を黙らしてやるから安心しろ」
「……ごめんなさい。本当にごめんなさい。マジで謝るからその殺意オーラだけは止めて」
 ある日の誰かがマジで謝ると言っていた。
 じゃあ謝ってみろよ。マジでマジでつけたって本心の半分しか使ってない本気と書いてマジと読んでオバンと書いてよく喋ると読む。
真面目な話も悪ふざけで総てが台無しになる日が来るだろうからマジだマジだつけても命かけるほどじゃない。
そんなことを知っていながらもいじると楽しい人にはとことん言葉で遊ぶのが凄く楽しい。マジで笑えるとか言っていた奴だけど本気なのか自分でも分からない。
マジでウケるんですけどってどのくらいだと問われたら言い返せない。
 これはマジだ超マジって古い人の表現を聞いたときマジの超マジだってどんなけ真面目な話なんだって思って仕方なくその人の話を聞いてやった時よりも面白いソプラノ声は男性パートなのにアルト声に近いといわれた声に対して反応する。
「……とまあ、これはこのくらいにして次は何する?」
「怪談はもう嫌! 嫌だから!!」
「だから次は何して暇を潰そうかって聞いてんの。あんた人の話をちゃんと聞いてました?」
 焦りだすとソプラノ声は暴走して人の話をぜんぜん聞いていなさそうな反応を返してくる。これが本気でもなければ真面目か糞真面目だろう。
糞真面目と書いて真のマジと読むと考え込んだら本気と書いてなんと読むんだろうか。真面目に話し訊けよって何度も同じ事を繰り返してもいざというときに案の定、人の話を聞いていないという事実にいくら対抗してもアルト声では甲高いソプラノ声に勝てない。
そういうあんたはどうなのよ、いつだって自分勝手じゃないか。
「……えっ。いいの!? 次ぎ言っちゃって!」
「………ああ」
 喜びに舞い上がるソプラノ声はいつも以上に音の低いアルトに利きなれた頭の中が痛くなってマイクの調子が悪くなってキーンッという音を発した後の様に頭の中に響いたて、こちらのテンションは梅雨入りの様に急降下で奈落の底へとこんにちは。
マジも糞も無いときに真顔でマジって言う事が多い言葉って言うのはそこらへん歩いていれば道端に大量生産されたばかりの言葉や古い言葉が一緒になってゴロゴロと転がっている様に思える街並みも今では擬音も出ないまま窓の外に広がる夜の景色は悪いものではない。
 停電が来るではいつもどおり街は擬音や濁音のゴミ溜めの様な投げやりの波が押し寄せていて騒音の高波が四方八方飛び交う都会は落ち着かない。
田舎者の耳には神も仏もあったもんじゃないと将来は永遠に魘される。
都会気取りなのか田舎にもそんな並が流れ込んできたのかいつの間にか本気と書いてマジと読む公式が浮き出てきたそんな中で都会に住み着いた田舎者の居候はマジでマジでつけたって半分本気の半分強気な世の中に少し呆れながら漫然と脳みその中に浮かんできたものは阿呆と書いてマシと読むなら馬鹿と書いてカバと読むんだろう。
特に目的のない言葉が浮かぶようになって半分本気なのか本気なのかその人の眼を見れば分かるらしいが元々目が死んだ魚の様に垂れ下がって気力が普段から抜けていそうなアルト声の主は本気な話もできないで会話の総てが台無しに感じてきた。

 *

 そんな昼間の小さな公園の前を通りかけた時、どうしても気に留めたことがある。
その園内でいい年をした大人が何を考えているのかさっぱりだが大人二人に脅されている幼い子供がいた。
もちろん都会の陰ではこういう行為は当たり前にあるのなら田舎ものがそれに手を出すという事は無いと思ってはいたが都会の男二人組みと目が合った時に奴等は命賭けてやるよとか言ってた都会に田舎者が口を挟んでけんかを買う事売ることになった日が無くもないからじゃあ賭けてみろよって喧嘩を買いマジで死ねるとかも言ってた馬鹿者にじゃあ死んでみろよっていう田舎者。
マジだマジだつけても命は減らない。
田舎者が口出しするなという都会の人間がその場の強気を見せるように怒鳴りつけた。
そんなに容易く命を減らして良いもんかって思ったら腹が立ってつい口を挟んでしまったのだから、これ乗りかけた船なんだという物だから逃げてはいけないと意識したら離れない。容易く見過ごして良いのかというのならそれは決していけないのだろうと田舎物の考えが働いて気付いたら手を出していた。
良いじゃない。マジなら別に良いんじゃない。
命が減ってもこの考えを貫き通せるならそれで良いんじゃない。
真面目な言葉も悪ふざけで総てが遊び半分な生活になる田舎者の意地で普段からマジだマジだつけても糞真面目じゃないけどマジの超マジだってどんなけ真面目な話なんだって都会の人間に聞かれたら糞真面目と書いてマジと読んで本気と書いてなんと読むと言う田舎者。
真面目に話し訊けよってそういうあんたはどうなのよ。
いつだって俺様気取りで自分勝手じゃないか。
そんなんじゃ本気の糞真面目でもいつか信じてもらえなくなる狼少年気取りの俺様前回にしている奴等もいる都会の人間は今日もマジだと言いふらしてる。
言いふらしても最後には神も仏もありゃしねえ。

 こうして田舎者は都会の幼い女の子を救った。

 そして今となってはその助けてもらった恩返しという事で田舎者はその都会の女の子の家に居候することになったのだが都会の家は直ぐに停電しだして長い長い都会での夜を過す事になった田舎者。
「次はねー……呪怨見ようよ!」
「そっちのほうがもっと怖エよ!!」

 都会の停電はまだまだ続く……。
2007-10-26 14:39:27公開 / 作者:ナナ米
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■作者からのメッセージ
七個目ではなく三個目のナナ米でした。停電って新ドラマとか特番がやってる最中に来ると違う意味で怖いです。
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