『ちいさな星 - ひとつひとつの世界 -』作者:がらくた / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
知ってる地球(ほし)の色は青かった。
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原稿用紙約4.68枚
二百○年某月、この地球は広すぎた。
今居る僕のこの地球(ほし)は広くも狭すぎもせずに、ただ人ごみが増えるだけの大きな生産星(タンク)だと言い換えられた星があった。
それがこの青と緑の星『地球』である。
そこでは毎年毎週一生、休むまもなく年中無休で続くという入らないものだけが広がっていく周りに対し、入らなくなった。要らなくなった。それが原因になる事さえ知らないおろかな者たちの住む星なのだ。
新しいものが好き。新しい道が好き。
それは人それぞれでいいと思う。繰り返し「好き」を見つけて、いつしか「嫌い」に変換されていく。
気付いたときにはもう誰も傍にいない。
「要らなくなったもの」は「捨てればいい」。「新たな好き」を手に入れるために「前のこれは要らない」。
拾っては、ぽい。拾っては、ぽい。
「…もう、大事じゃなくなったんだ。ばいばい」
「……え、ちょっと…!」
 プツンッ。…プー……プー……。瞬間に切られる携帯電話の会話。唯一、表情が伺えないという声だけの恐怖もあり、また一つ。要らないものが増えた。
動物にあるのは食うか食われるかの食物連鎖で、物が失い増える繰り返しの人間の連鎖。
だから、権力争いが絶えないこの星の住人には同類の争いなど日常茶飯事的なものなんだろうか。
終わりがない。終わらない。
先が見えない。見えない。ううん。それは見ようとしていないだけなんだろうか?目を逸らすから見えない。納得がいくでしょ?



「よし。…後はこれと、これを整理してっと……ふー。片付いた」
 片付いた部屋を見渡してみる。それにしても僕のこの部屋は広すぎる。無駄にだだっ広い。無駄なものは捨てた。
あるのは要るものだけ。後は全部、手放した。手放したのに、何だろう? この悲しさ。この切なさ。



 僕はこの地球(ほし)に何を残したいんだろう。漫然と流れる白い雲を眺めていた。この青空は何色? 灰色?
僕が見るのは白と青の空。青い空。だから単純にこれが「青空」。
森の木はささやいてる。小鳥は唄って、緑に黄色の草原は揺れている。僕がいるこの場所はいわば安全地帯。
「……風が気持ちい……」
 教室の窓際に寄りかかり遠くを眺めている。その間だけが、僕だけの世界。それ以外は総て危険地帯。
人間という名も無い生物が住む、この大きな地球(ほし)。僕はこの星の誰よりものどかな場所を知っている。
僕が行くところは安全地帯。
だから生物が集い、楽しげに歌う盛大な宴が始まる。
「ほら。あの子、まだやってる…」
「変だよね」
 僕が見た世界(なかみ)は狭い。この地球(ほし)は黒くなっていく。だけどそれは眼に見えない。今はまだ眼に見えない。見ようとしない。
隠したままの幸せ。この上なく感じるだろう。
知らないほうが幸せという真実。裏社会。逃げてる。見えないフリをした世の中に住む住人。
「うわっ。こっち見てる! 無視しよ、無視」
「変な子よね〜」
 誰かが気付いてくれるまで、僕のほうも見えないだろう。目の前を吹き付ける透明で透き通るこの風と同じように、いつかは僕をも見てくれないだろう。
いや、見る気すらないだろう。見て欲しい。無視しないで。
分かったフリを表にしてる臆病なだけの心は隠した人類。
それでいいの? 本心を隠したままで。



「自分は神だ」と政治の何人かは威張るけれど、それもまた神が作り出した人類。
生まれてきてよかった、悪かった。
それは今後の良し悪し。運命的な感情。
皆、忘れてしまってる。
手放していいもの、悪いもの。今は容易く手放す命や財産。
今はもてあそぶ、命や財産。
それでいいの?
「好き」と「嫌い」の交差する世の中は大きなスクランブル交差点のよう。
今は「生きる意味」を上部で生きてる人類。
手放したくないという中で手放してる幼い命。悲しいと思う。
それが「要らなかった」なんて容易く手放す母親。母親失格、以前に、人間失格。
人類失格だと思う。
「要るものだけ」「要らないものだけ」交差させるマーブル色の青い地球(ほし)は休む事無く動いている。
休む事すら間もならない。
言葉と形の一生。生まれてから死ぬまでの一生。
この地球(ほし)はまだまだ生きているらしい。それでも僕はこの地球(せいめい)の最後を見た。
人口が増えるだけのこの大きな宇宙船は今現在、現時点の二百○年某月になっても未だに広すぎた。
2007-06-29 20:27:49公開 / 作者:がらくた
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■作者からのメッセージ
初めまして。がらくたと申します。
独り言のような調子で進めてしまう事が多く誤爆もちらほら。
ストップの聞かない気が短いという未熟者ですが、どうぞよろしくお願いします。
>すみません。次作(前作)※ではご迷惑をおかけいたしました。前作である「ちいさな星」を改めまして「小説」として、書いていこうと思います。
改めまして、よろしくお願いします。
(※「ブリキのマーチ」)
この作品に対する感想 - 昇順
作品を読ませていただきました。PVというかイメージ映像的な印象を受けました。伝えようとしている意図はなんとなく分かるのですが、小説としては成り立っていないですね。この作品に絵や写真などの映像媒体が付加されていると、何だか凄く心が動かされそうですが……。この作品を読んでE・C・タブのSF小説「神鯨」に出てきたオルガの公式 「gy=c」を思い出しました。戯れ言を失礼しました。では、次回作品を期待しています。
2007-06-24 10:59:55【☆☆☆☆☆】甘木
甘木様、初めまして。お褒めのお言葉、ありがとうございます。
お恥ずかしながら自分も甘木様のおっしゃるとおりだと思いました(苦笑)
甘木様のお言葉は未熟な自分の今後の架け橋に出会えた気がします。
2007-06-25 19:25:33【☆☆☆☆☆】がらくた
計:0点
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