『空を仰ぐ』作者:キイコ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
叶わない願いを抱えた主人公たちのSS三連作。お茶請けにでもなれば幸いです。(それぞれのお話に関連性はありません)
全角4101文字
容量8202 bytes
原稿用紙約10.25枚


(ひとつめ)サイダーとルーシィちゃん


 ルームメイトに荷物が送られてきた。青いロゴマーク入りの無骨な段ボール箱をえいやっと開けると、涼しげなガラスの壜がぎっしりと詰まっていた。エレベーターのない安アパートの四階までこれを運んだ宅配お兄さんの苦労を思いやってあたしは心の中で合掌し、ルームメイトの可愛いルーシィちゃんは無邪気に歓声を上げる。
「サイダーだ! ねぇねぇ、カオリも飲まない?」
 あたしの答えよりも先に、心優しいルーシィちゃんはグラスを二つ出してくる。
「いいよ、私は」
 炭酸は苦手だ。舌を刺す感じが痛くて嫌い。笑って答えると、可憐なルーシィちゃんは無邪気にぷくりと頬を膨らませた。

 それにしたってサイダーの泡がはじける音は、なんだってこんなに煩いのだろう。
 夜のベランダであたしは考える。おおらかで、人にも自分にも寛大なルーシィちゃんはおよそ片付けというものに興味を示さない。コップに半分ほどのサイダーを残して、さっさと寝入ってしまった。暗い部屋の中で、ぷちりぷちり、サイダーの泡が弾ける。
 煌々と明かりが点っているせいで、この国の都会の夜は東京と同じ色をしている。部屋の中のほうがよほど闇が濃いのだ。電気もつけずに、あたしはベランダから町を眺めている。ちこちこちこ、時計の秒針の音がやけに大きい。
 わからない。あたしは呟いた。可愛くて心優しくて可憐で無邪気でおおらかで寛大なルーシィちゃんには、この気持ちはきっとわからない。
 人が聞いたら理不尽だと思うだろう。あたしを自分勝手な女だというだろう。
 でもあたしは彼が好きなのだ。可愛くて心優しくて可憐で無邪気でおおらかで寛大なルーシィちゃんの、素敵なボーイフレンドが好きなのだ。
 日本からこっちへ留学してきて、スラングもへったくれもないジャパニーズ・イングリッシュを振り回して孤軍奮闘していたあたしに、ルーシィとその彼は優しく救いの手を差し伸べてくれた。ルーシィはもともとの友達との約束を反古にしてまであたしをこの部屋に迎え入れてくれたし、彼はあたしのこの国に対する無知をいつだって改めてくれた。
 二人ともあたしにとっては救世主だったのに、どうしてそのうちの一人だけをあたしは特別に胸へ刻み込んでしまったんだろう。
 ぷちりぷちり、ちこちこちこ。
 ああ消えてしまいたい。あたしは考える。手首に額を押し当てると、鼓動が直接頭に響いてくる。とくとくとく。煩い。
 サイダーの弾ける音、秒針の音、あたしの鼓動の音、似ているのにどうしてこんなにも違うのだろう。
 サイダーの泡は弾けて消えてしまえるのに、秒針の音は積み重なってあたしを圧迫するばかりだ。
 サイダーの泡は弾けて消えてしまえるのに、どうしてあたしはそうできないんだろう?
 あたしは部屋に戻って、コップに残ったサイダーを飲み干した。長い間放置されたそれはほとんど気が抜けてしまっていて、けれど消えていく僅かな泡はどんな針よりも鋭くあたしの舌を刺した。
「……カオリ? 寝ないの?」
 背後から世界一可愛い女の子の声が遠慮がちに聞こえて、あたしはそっとすすり泣く。






(ふたつめ)ハインリッヒはどこにもいない


 その男は錐のような眼をしていた。
 比喩などでなく、その眼で見つめられると、いつでも身体を刺し貫かれるような心持がした。
 二階が倉庫になっているせいで、ビルの一階から三階をまっすぐに貫くエスカレーター。眩暈を起こしそうな高さで、その無愛想な機械を両足で踏みしめて、マルガリーテは毎晩、その男とすれ違う。
 すれ違うときはいつでも、マルガリーテが降りて、男が登っている。彼女の姿を認めると、男はいつでも薄く笑った。三日月のように唇の端を吊り上げて、そして錐のような眼でマルガリーテの眼を潰した。本当に刺されるような痛みを感じて、彼女は眼を逸らせるしかなかった。
 同じ会社にいるはずなのに、社内で彼の姿を見掛けることはなかった。
 婚約者を亡くしたその六年後の夜、マルガリーテは初めて男に出会った。それから毎晩、マルガリーテは刺し貫かれ続けている。婚約者に生き写しなその男の眼で。あの日きらきらと金色に光る指輪をくれ、そのまま逝った恋人の面影。男はいつも、黒いスーツを着ていた。
 その晩、いつものようにエスカレーターの上で男を見つけ、その白いシャツに赤いものを認めて、マルガリーテはほとんど気を失いそうになった。
 責めてるの? 無意識に唇が動く。男はこちらを見て笑っている。錐のような眼でマルガリーテを見つめている。眩暈のするような高さで、その無愛想な機械を震える両足で踏みしめて、マルガリーテは初めてまともに男を見つめ返す。
 責めてるの?
 すれ違う刹那、マルガリーテは身を乗り出して男の額に口付けた。広い額に唇をつけた瞬間、かすかに鉄の臭気が鼻腔を刺した。白いシャツのその襟が、赤いもので紛れもなく汚れている。マルガリーテは緊張で乾いた唇の、その動きだけで問いかける。
 ねえメフィストフェレス、あなたのお名前は?
 男は片頬だけで嗤ってみせる。
 知りたければ、登っておいで、グレートヒェン。
 一瞬だけ息を呑み、マルガリーテはエスカレーターを駆け下りた。着いたフロアですぐさま踵を返し、反対側のエスカレーターを駆け上る。
 たどり着いたその白い床の上に、男はいない。自らの左手を――薬指の、鈍く銀色に光る指輪を――きつく掴んでマルガリーテは眼を閉じ、天を仰いだ。自分が押し込めてきた感情を、ようやく彼女は自覚する。かつての恋人を悪魔の名で呼び、自分を正当化した自らの深淵を。償おうと振り返っても、彼はそこにはいない。
 左手に抱えた書類がばさばさと床に落ち、その間から一枚の写真が滑り落ちた。白い衣装に包まれブーケを抱える女を見まいと、マルガリーテは必死に眼を逸らす。
 ねえ許してよ、
(悪魔に魂を売っても構わないから)








六月一日、僕達の家で


 六月一日に彼女は突然ケーキを買ってきて、誕生祝いをしよう、と言った。
 僕は驚いて彼女を見つめる。僕も彼女も、他に誕生日を知っている人たちの誰にも、今日生まれた人はいなかったから。
「だれの、って、ね」
 彼女は僕の思いを見透かしたように、おおまじめに答えた。僕の頭の長い毛に右手を埋め、くしゃくしゃとかき回す。くすぐったくて僕は思わずくしゃみをしてしまう。
「だれの、って、もちろん、六月のだよ」
 だから今日はいい日なの、彼女が言った。僕は困惑して、彼女の買ってきたケーキを眺める。まっしろなクリームと赤いいちごがいかにもおいしそうで、うすいピンクの、バラを模した砂糖細工が散りばめられている。チョコレートプレートにはよく見ると、Happy birthday,June、と書かれていた。
「六月の誕生日なんだから、お洒落しないと」
 彼女は楽しげにそう言うと、自分の部屋から化粧ポーチを取ってきた。僕にはただの棒にしか見えない道具を取り出して、爪の根元に押し当てた。うすい皮(甘皮、というらしい)が押されて、爪の面積がどんどん広くなる。痛そうだ。
「六月の誕生日なんだからね」
 黙っている僕に、有無を言わせない口調で、彼女はきっぱりと言った。僕はその頑なな横顔を見つめる。
 誕生日なんだから、今日はおめでたい日なんだから。つらいことなんて何もないの。なかったの。
 かなしみでいっぱいになりながら、僕はその頑なな横顔を見つめる。
 ねえ、甘皮なんて押さなくったって、僕は君が大好きだよ。
 視線にこめた思いは、どうしたって彼女に届かない。
 真剣な顔をして、彼女は手を動かし続ける。
 誰かの誕生日にかなしい事が起きるなんてはずないもの。だから私は平気。かなしくなんてないの。ないのないのないの。
 ダッシュボードの上には写真が一枚飾ってある。一年前までは何度も何度も僕たちの家にやってきて快活に笑っていた、男の人の写真だ。写真の端っこに小さく、JUN、とサインがしてある。黒い縁に囲まれたその笑顔を、僕はじっと見つめ続ける。
「六月の誕生日なんだよ、今日は」
 またひとり言い訳のように呟いて、彼女は棒を反対側の手に持ち替える。爪に押し当てたその手が震えて、白い人差し指の先に突然、ぷっくりと赤い色が滲んだ。
 そんなのただのこじつけでしょう、今日は誰の誕生日でもないでしょう、と言って欲しかった。僕には言えないから。誰か部屋に入ってきて、たとえばそう、あの男の人に。一年前の、あのかなしい事故なんてなかったことにして、今すぐ彼女を抱きしめて欲しかった。僕には出来ないから。
 黒い服を着た彼女はそうして、一人きりで小さなお別れをしている。かなしい事なんてなんにもないふりをして、いちごのケーキを目の前に置いて。
 ハッピィバースデイ・トゥ・ユー、彼女が小声で歌った。血の滲んだ人差し指を、口元に持っていきながら。
 ハッピィバースデイ・トゥ・ユー。それから右手をダッシュボードに伸ばし、黒縁の写真をそっと伏せた。
 僕は目線を下に向ける。首輪の赤い色と申し訳程度の革のリード。無性に泣きたくなって、でも泣けないから、僕は代わりにワンと鳴いた。強いふりしないでと鳴いた。
 彼女はもう一度、僕の頭をくしゃりと撫でた。あの男の人が好きだといった、長いキャメルの僕の毛並み。彼女が小さくしゃくりあげて、僕はその手を遠慮がちに舐めた。きれいに磨かれた爪の、硬くて乾いたはかない感触。
 ねえ、甘皮なんて押さなくったって、僕は君が大好きだよ。
 視線にこめた思いは、どうしたって彼女に届かない。
 彼女が微笑むふりをして、僕は鳴く代わりにしっぽで床を叩いて見せた。




2007-01-13 17:41:02公開 / 作者:キイコ
■この作品の著作権はキイコさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
SS初挑戦です。二つ目と三つ目の設定が似てしまって後悔。違う展開を次々思いつける方は一体どうなっているのでしょう(おい)。
時間のあるうちに、と書き急いでいる感が否めません。落ちのあるようなないような妙な仕上がりになりましたが、読んでくださった方に心から感謝を。

1月7日  いろいろ修正しました。ご意見ありがとうございます。まだまだ不十分かと思われますので、ご協力いただけると幸いです。

1月13日  二度目のマイナーチェンジ。ログを流すのも気が引けるので、これを最後の改稿とする予定です。アドバイスなど、次回へと生かしていけたらと思います。ありがとうございました。
この作品に対する感想 - 昇順
これはまたキュートで、しかもちょっと胸がせつない――昭和レトロ少女漫画で育った身なので、思わずしっぽで床を叩きたくなりました。
ただ、(ふたつめ)は、ショートにしても手がかりが少ないような気がします。『男のシャツの赤いもの』がなんであるか、ちょっと把握できません。自分の察しが悪いせいか……。
一番同調できたもは(みっつめ)でした。けして珍しいオチではないのですが、そしてこのなんというか古い言葉で申し訳ないのですが、胸キュン、という。
(ふたつめ)がすんなり把握できていたら(いえ、男の正体などは推測できるのですが)、間違いなくポイント入れてます。
2007-01-05 22:16:44【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
初めまして。
(ひとつめ)の擬音表現「ぷちりぷちり」「ちこちこ」が、ひらがなであるせいもあるのか、話の可愛い雰囲気にとても合っていると思いました。この表現の可愛さと主人公の切なさが、綺麗なコントラストを描いていて素敵です。
(ふたつめ)はちょっとホラーというか、ミステリーチックな感じですね。バニラダヌキさん同様しっかり理解できなかったのですが、(ひとつめ)がサイダーならこっちはブラックコーヒーとかお酒とか、ちょっと大人の感じがします。
(みっつめ)は、一番切なかったです。主人公の視点がとても温かく、読んでいるこっちまで優しい気持ちになりました。三つの中で一番幸せになってほしい主人公です。

掲載順も甘い→苦い→切ないで、最後がぎゅーっとなる感じで良かったと思います。

何か……偉そうなこと書いてごめんなさい。けど、読ませていただいてありがとうございました。
2007-01-06 00:34:03【★★★★☆】渡瀬カイリ
ひとつめの話は、カオルとルーシィーの年齢差に違和感を感じてなりません。カオルはルーシィーを「ちゃん」付けで呼んでいる事、カオルはサイダーを飲まない事、ルーシィーの彼氏をボーイフレンドと呼んでいる事、この三つから二人の年令差が感じられて、僕にはカオルは大人でルーシィーは子供のように思えるのですが…。カオルがルーシィーのボーイフレンドを好きになるのかなぁって、ちょっと考えづらく感じました。

ふたつめの話はなんだかおかしくないですか?主人公の婚約者に似ている男を見た主人公の態度から察すると、その男は悪魔だと思っているようですが、完全に拒絶しているわけでもない。婚約者が何故死んだのかは分かりませんが「責めてるの?」の言葉から、主人公が絡んでいたことは察することが出来ますが、最後に悪魔に魂を売っても構わないと言っている。あれ?じゃあ、なんで婚約者の死に絡んだんだ?って感じです。婚約者を殺した、あるいは見殺したならば、反応が薄すぎるし、それこそ最後の言葉が矛盾する。病死や事故死だとすれば、何故婚約者が悪魔として現われるのか、何故主人公は忌み嫌っているのか、と、また矛盾するような気がするのですが…。

みっつめの話も、「六月の誕生日」というのは、おそらくジュンという恋人の誕生日なのだと思いますが、なぜ犬は会ったことがあるジュンの誕生日を知らないのかなと思いました。「六月一日」と明言している以上、文中にある「一年前」は、一年前の六月一日を指すのではないかと思いました。そして、何故彼女はかつての恋人の誕生日をあえて六月の誕生日と言うのでしょうか…
2007-01-06 04:55:43【★☆☆☆☆】an
読ませていただきました。
(ひとつめ)は、「ぷちりぷちり」や「ちこちこちこ」など、敢えてひらがなを使ったり想像しやすい音に変えてくれるなど、キイコさんのこだわりを感じました。全体的に可愛らしいお話ですね。ですが、何となくカオリさんとルーシィさんの関係が最初の方に掴めず(ルームメイトはわかっていたんですが)、二度目に読み直してやっと理解できました(苦笑) 私はあまり頭がよろしくないので、もう少し丁寧に関係性を描いていただけるとより分かりやすかったかな、なんて思いました。ルーシィさんは名前からして日本人じゃなさそうだけど、カオリさんは日本人っぽいな。あ、でも“この国の都会の夜は東京と同じ色をしている”という描写から、やっぱり日本人じゃないですよね。

(ふたつめ)は、他の方がおっしゃるように、私もやっぱりわかりづらくて……。でも、“男のシャツの赤いもの”は女性の口紅だったのかな、なんて勝手に妄想しました。また、ハインリッヒが昔の彼だったのかな? なんて思うんですが、主人公→マルガリーテ。男→メフィストフェレス?? あれ、グレートヒェンとマルガリーテって一緒?? なんてことに……。ごめんなさい、登場人物と名前が一致しなかったのです;; 恐らく読み込みが浅いせいなので、読み返します。

(みっつめ)は、一番わかりやすくて、キイコさんの優しさがこちらまで伝わるようなお話でした。犬の従順な愛なのに、届かないのがもどかしかったです。

次回作にも期待しています。ではでは、失礼しました。
2007-01-07 01:59:53【☆☆☆☆☆】目黒小夜子
作品を読ませていただきました。(ひとつめ)を読んでいる時、片思いの同性愛者が書いた文章に「相手の1000の些細な仕草が、1000の針となって刺さってくる」というのを思い出しました。切なさがストレートに伝わってきますね。でも、もっと自身を突き刺す〈針〉の部分を書いて欲しかったです。(ふたつめ)は、ハッキリ言って状況が掴みかねる作品でした。(みっつめ)は、柔らかくって気持ちのよい作品でした。では、次回作品を期待しています。
2007-01-07 21:47:08【☆☆☆☆☆】甘木
バニラダヌキさん>そう言っていただけると書いたかいがございます。口角上がります。笑 ふたつめは謎な雰囲気を楽しんでいただけるようなものにしたいと思っていたのですが、物事には限度があることを痛感いたしました。改稿でオチなどすこしわかりやすくなっていればいいのですが。
みっつめは一番背伸びせずに書けました。笑
渡瀬カイリさん>漢字とひらがなに関しては自分なりに考えたりしているので嬉しいです。ふたつめ、背伸びして書いた感がにじみでてはいないかと少し不安だったのですが……。
うれしい感想、ありがとうございました。
anさん>そうですね、カオリとルーシィの個性差で「叶わぬ恋感」を出したかったのですが、少々やりすぎたようです。直してみました。真摯なご意見を頂いておいて重箱の隅をつつくのも失礼かとは思うのですが、登場人物の名前はきちんと覚えていただけると嬉しいです。
二つ目と三つ目、受けなかったギャグの説明をするようでかなりこっ恥ずかしいのですが、オチについて少し。
まずふたつめですが、私がオチをきちんと示しきれていなかったせいで誤解を生んでしまったようです。筆力不足ですね、申し訳ない。そうか……婚約指輪というセンもあったのか……。直しを見ていただければ分かるかと思いますが、主人公は恋人の死そのものないし死因について悔いているわけではありません。最後の独白は、この話がゲーテの詩劇「ファウスト」にひっかけてあることに基づきます。関連性を持たせるための台詞です。
みっつめ、六月一日は恋人の誕生日ではありません。『一年前までは何度も〜』というので分かるかと思うのですが、「一年前」は恋人の命日です。辛さを打ち消し、強がるためにわざと、主人公は誕生日というプラスのモチーフを使っています。これも分かりやすくなるように直しを入れました。
ご意見ありがとうございました。私が至らないために様々な齟齬を生んでしまったようで反省しきりです。
目黒さん>カオリとルーシィの関係性、やはり説明不足だったのですね。SSというものを書くにあたり、描写のディテールを粗くしないようにと考えすぎたせいで、状況説明などが少なくなってしまったようです。
ふたつめ、主人公の名前や題名などが上に書いた「ファウスト」にちなんだものなので、それでややこしくなってしまいました。反省。
ハインリッヒ:詩劇の主人公ファウストがヒロインの前で使う偽名。
マルガリーテ:詩劇のヒロインの名。
メフィストフェレス:主人公を陥れようとする悪魔の名。
グレートヒェン:ヒロインの愛称。
原典の説明を挟もうかと思ったのですが、話にまとまりがなくなるような気がして止めてしまいました。
みっつめは楽しんでいただけたようで幸いです。ありがとうございました。
甘木さん>「針」の部分、表現し切れなかったようで……。まだ足りないかとは思いますが、直させていただきました。
ふたつめ、基となったお話の説明は話の雰囲気から蛇足になるかと思い、付け加えていません。自分でも計りかねております。ごめんなさい。
2007-01-07 23:57:55【☆☆☆☆☆】キイコ
本当に申し訳ないです。僕の言ったことは、まともな批評になっていませんでした。ある一点しか見ずに、他の可能性を探ることを忘れて、批判するようなことを言い、その上登場人物の名前を間違えるなど、あってはならないことでした。本当にすいません。

僕は小説というのは、読者が全てだと思ってます。作者にどんな意図があるにしろ、どう捉えるかは全てが読者に委ねられると。
しかし、読者の方も、小説を読む上で様々な推測を並べ作者の隠された意図を探る。物語の面白さとは別の面白さを味わう。
こういったことをしなければならないと思うのです。
なので、僕は作者が作品について説明を述べるということは極力無い方がいいと思っています。

それなのに、自らそうしてしまったことが情けなくて甘かったと感じています。
この場を通じることで、読者と作者の距離を勝手に縮めてしまったために、あんなみっともない批評になってしまいました。
本当に申し訳ありませんでした。

一度書いてしまったことを取り消すわけにはいきませんが、点数だけでも取り消させてください。
2007-01-08 03:18:06【★★★★★】an
anさん>いいえ、きっぱりと指摘をくださったおかげで私も自分の実力不足、勉強不足を改めて知ることができました。感謝しています。
昨日(今日?)のレス(今見返すと言い訳にしか見えませんね……お恥ずかしい)での「作品の説明」は、私が至らなかったことの結果だと思っています。読んでくださる方の、anさんのお言葉をお借りすると「推測」を導けないような話を投稿してしまい、反省しています。
不快な気持ちにさせてしまったかと思い、正直これ以上のコメントは頂けないかと考えていたのですが、こうしてまたお返事をくださり、とても救われました。ありがとうございます。よろしければまた、お付き合いくださいませ。
2007-01-08 13:49:34【☆☆☆☆☆】キイコ
修正されたものを読ませていただいての感想なのですが、(ふたつめ)、以前の稿で充分察することのできた背景部分がテコ入れされており、自分の特定できなかった『シャツの襟の赤いもの』は、相変わらずビジュアルとして見えてきません。それをはっきりと描写したくないのなら、せめて漠然とでも形状を匂わせていただけると、ありがたいのですが。そうすれば、充分想像の手がかりになりますので。逆に、追加された『二ヶ月と少し前に撮った写真』は説明的すぎるような気もしました(そもそも書類に入れておくでしょうか)。前回の婚約指輪のほうが、鮮烈に「おう、そうか!」と感じました。
2007-01-08 21:50:12【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
バニラダヌキさん>ありがとうございます。本当に漠然となのですが、直してみました。うーん、今度はくどいのか……SSというのは奥が深いですね。「書類の間」は新婚ゆえの惚気の産物ということで、と逃げの一手。……すみません。
オチをさりげなく、しかし明確に示唆するというのはこんなに難しいことだったのですね。汗 勉強になりました。ありがとうございます。
2007-01-13 17:46:42【☆☆☆☆☆】キイコ
ああ、やっとビジュアルが浮かんだ。その種の赤い物だったのですね。こちらこそ、たび重なる改稿、ありがとうございました。最初の感想の時の、お約束を果たします。
2007-01-14 00:48:18【★★★★☆】バニラダヌキ
バニラダヌキさん>ああ、良かった。とりあえず一安心いたしました。笑
ポイントありがとうございます。励みになります。
2007-01-14 23:00:22【☆☆☆☆☆】キイコ
計:14点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。