『発展途上文明生物』作者:藍紫蒼世 / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角832文字
容量1664 bytes
原稿用紙約2.08枚
 この星には確かに文明が存在した。彼らは道具を使い、火を利用している。すなわち石器を用いて狩りを行い、薪に火を灯して生活しているのだ。彼らの文明を文章に書き尽くすなら、これだけで十分だ。
 おそらく体系的な言語は存在しないのだろう。この星で私の用意した新品の翻訳機は機能しなかった。
 言葉の通じない彼らを前にして私は戸惑った。異星の住人を前にして必死に時刻の言語で呼びかけてみた。私の周りに集まった彼らは、何も声らしき声をたてずにたた見守っているように見えた。
 埒の開かない状況を打開したのは彼らの方だった。そして今に至る。彼らに招かれた集落で、私はこうして生きながらえることができた。
 彼らの施しに言葉を伴わない。最初は感謝の言葉を並べてもみた。それが意味をなさないことを改めて確認した後、宇宙船にあった可視光望遠鏡のレンズを取り出し、それによって彼らよりも効率よく火を灯してみせた。そしてレンズを彼らに与えた。
 もう時期宇宙船の修理は完了する。そのときは何も言わず立ち去ろう。私が彼らに与えるものはもうなにもなければ、お礼という言葉で誤魔化すなんてことはできないのだ。
 その時、けたたましい電子音が鳴り響いた。考え事をしていた私は現実に引き戻される。久しく聞くことのなかった類の音は、次第に大きくなり音源らしき銀色の塊が凄まじい勢いでこちらに接近していた。
 驚き立ち上がったときには、すでにそれは私の目前に異様な圧迫感をたたえて存在していた。
 その中から数名、一目で文明を持つと分かる格好をした者が出てきて、あっという間に私は彼らに拘束されてしまった。
 翻訳機がこの星に来てはじめて声を出した。
「発展途上文明生物保護法違反であなたを逮捕します。同法律でここは立ち入り禁止になっているにも関わらず、あなたはここに滞在し、途上生物に違法な文明干渉をしました」
 翻訳機は発展し終えた文明生物の言葉を、とても正しく私に伝えた。
2007-01-03 10:26:43公開 / 作者:藍紫蒼世
■この作品の著作権は藍紫蒼世さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めまして、藍紫蒼世です。ここでは初投稿になりますが。よろしくお願いします。

誤解があったようなので付け足しておきます。
この作品はSSであり、これで完結しております。プロローグではないのでご了承くださいませ。
この作品に対する感想 - 昇順
[簡易感想]短すぎです。短すぎっ!
2007-01-03 00:09:47【☆☆☆☆☆】アナハイム
もちろん読みましたよ。ショートショートは例外では?
2007-01-03 01:21:13【☆☆☆☆☆】藍紫蒼世
追記
無論この作品はこれで完結しており、起承転結のはっきりとしたショートショートにとなっております。これがまだ続くと考え違反とおっしゃったのでしょうか? 詳しい理由を教えて頂ければ幸いです。
2007-01-03 01:40:56【☆☆☆☆☆】藍紫蒼世
初めまして、rathiと申します。
一応、ジャンルは「ショートショート」になっているので、まぁ規約違反ではないかと思います。
 ただ原因としては、最後に「完」という終わりを告げる文字が無かったのと、結局物語として何一つ完結していないからではないかと思います。
 無論、読んだ上での発言なのですが、これではプロローグと見間違えられてもおかしくないかと。
 辛口で申し訳ないんですが、正直、起承転結の起の部分で終わっているようにしか思えません。
 もう少し何かストーリーがあったらなぁと思います。

 ではでは〜
2007-01-03 02:20:16【☆☆☆☆☆】rathi
はじめまして。藍川と申します。

確かに短いかもしれませんが、しっかり起承転結の四部構成で作られていますよ。ただひとつひとつが非常に短いというだけのことです。

率直な感想としましては、私個人の嗜好ではこの小説は非常に好きです。
藍紫蒼世さんがどのような考えで書いたかまでは計れませんが、私の考えが正しければ、この小説はしっかり完成していると思います。
むしろ、きっとこれ以上の説明は無粋でしょう。

説明が少ないので起承転結を読み取られず規約違反と思われてしまったのかもしれませんが、少し考えれば状況や世界観など、必要なものは全て推測できます。
確かに一度読んだだけでは少し判りづらいですが、この長さであれば何度でもすぐに読み直すことができます。
そこまで考えた上でこの小説を書いたとすれば、非常に素晴らしいものと思います。
小説は、ただ情景の描写が連続して物語が作られているだけでは語れない奥深さもあるはずです。
2007-01-03 03:44:17【★★★★☆】藍川サイ
rathiさん、藍川さん、返信ありがとうございます。
ここでは初投稿だからこそ、とっても短い文章にして読みやすくしようと思ったのですが、いきなり規約違反宣告で驚きました。

rathiさんへ

「完」の文字がないことが原因、なるほど、確かにありません。しかし、完結していると自信を持って言うことができます。それにショートショートに「完」は普通つけないので、これで終わりと推測してほしかったです。
星新一氏の作品なんかに比べると、それはもうとてつもなく面白くないかもしれませんが、SFショートショートとして語るべき世界観とふさわしいオチを用意しています。rathiさんは長大な物語がお好きで、もし短いお話を読み慣れていなかったら、そのように勘違いしてもしかたないのかもしれません。読んだことがなければ星新一氏はおすすめです。
弁解がましくなりましたが、指摘ありがとうございました。

藍川さんへ

はい、もちろん完結完成していますとも。ここにきて初めて、この作品を小説と見て感想をいただけてうれしいです。
上にも書いたように、最近星新一氏のショートショートが好きで、少々その影響を受けています。また、今回は原稿用紙二枚を目安として書きました。それにしては少しだけ長くなってしまいましたが。そのため、表現を可能な限りコンパクトにまとめました。
主人公の心情はあえてその行動や考察の様子に表現し、あえて直接的な言葉では表していません。主人公が途上生物に感じたことは、読者にも同時に考え、感じてもらうしようとなっています。感想ありがとうございました。
2007-01-03 09:37:34【☆☆☆☆☆】藍紫蒼世
こんにちは。薄羽蜻蛉です。
SSとして確かに成り立ってはいますが、落ちが弱いというか落ちにいたるまでの過程が弱いという印象を受けました。主人公の文明干渉による影響を書いたほうがラストの落ちをもっと生かせたのでは?
SSにおいて無駄な肉付けを省くというのは定石ですが、必要な骨まで省くと(それがなくても話としてなりたつとしても)小説として弱くなってしまうと思います。
SSというジャンルも星新一だけでも千作以上あるぐらいですから、様々なパターンがあるわけです。それを踏まえたうえでこの作品を読むとあまり目新しさは感じられませんでした。
SSというジャンルは斬新なアイディアと予想のつかない落ちが特徴なわけですから、もっと落ちを予想のつかない方向に持っていくか、そこにいたるまでの過程をつくりこまないといけないと思います。
では、次回作も期待しています。ではでは。

2007-01-03 13:56:30【☆☆☆☆☆】薄羽蜻蛉
なんで主人公は発展途上生物保護法を知らなかったんですか?
2007-01-03 15:22:16【☆☆☆☆☆】匿名
薄羽蜻蛉さんへ

携帯からなので短文になりますが返信します。
批評していただきありがとうございます。SSとして新しさがない、ということが実感できました。新鮮さがなければ描写で勝負すべきなのですが、今回は自己制限のためそれすらも欠けてしまいました。読者に感じてもらうという点でもしかしたら詩的な内容になっているのかもしれません。今回の反省点をもとに、次回は短文制限解除していきます。


匿名さんへ
ヒント:宇宙船 異星
2007-01-03 15:38:09【☆☆☆☆☆】藍紫蒼世
文明を持った人達は、どうやって立ち入り禁止の区域にいる主人公の存在を知ったのですか?
2007-01-03 17:32:34【☆☆☆☆☆】匿名
匿名さんへ

私の返信を無視して質問を重ねるのはやめてくださいな。
2007-01-03 20:11:21【☆☆☆☆☆】藍紫蒼世
もうしわけありません。主人公は星の外から来た人間だったので、その星のルールを知らなかったのですね。ありがとうございます。それと、文明を持った人達はどうやって立ち入り禁止の区域にいる主人公の存在を知ったのですか?墜落した宇宙船を見たのなら、来るのが遅すぎですし、そもそも宇宙船の存在を知っていたのなら、宇宙のほかの人類に自身の星のルールを報せているだろうしなぁ、と思いまして。
無作法者で申し訳ありません。もし設定がありましたら、お教え下さい。
2007-01-03 20:18:18【☆☆☆☆☆】匿名
はじめまして、読ませていただきました。さらりとして読みやすかったです。けれど、落ちにびっくりするよりも先に、「え、終わり!?」となってしまいました。他の方も仰っていますが、もう一押しプロセスが欲しかったです。
SSは好きな分野ですし、藍紫さんの文体もとても素敵だと思うので、次回作も楽しみに待っています。それでは。
2007-01-03 20:58:01【☆☆☆☆☆】キイコ
匿名さんへ

お答えします。主人公は宇宙船が故障していることからわかるように、この星には不時着しました。その上、この星と主人公の星とは文化交流はない設定となっています。もちろん宇宙船墜落を探知した後、彼らはやってきました。しかし、正体不明な機体に対し不用意に近づくのは危険です。着陸した星における、「本当の」文明生物たちは主人公が最初に出会った生物よりも高度な技術をもっていることは言うまでもありません。頭脳があるからこそ警戒し、まずは素性を遠方から調べました。そして、爆発物や毒物が存在せず、危険性がないと判断した上で、探知によって発覚した異星生物の犯行をおさえたのです。もちろん、匿名さんがおっしゃるように、この星において宇宙船は認知されており、異星間との交流もあるため、こういった異星人の犯行も例外ではないというわけです。
説明するとなれば上記のようになります。しかし、SFなわけですからすべてに説明を入れるのも野暮な事だと思います。翻訳機なんてどんな仕組みになってるかわかりません。
ご理解いただけたでしょうか。このように興味をもってくださってありがたいのですが、投稿が匿名なのがすこし残念です。酷評は受け付けているので、矛盾点の指摘をされたくらいでは怒ったり落ち込んだりしないので、匿名で投稿なさらなくてもよかったですよ。むしろ、矛盾があれば指摘してほしいくらいです。

キイコさんへ

感想ありがとうございます。当初は規約違反云々でどうなることかと思いましたが、こうして多くの人から感想をいただけてうれしく思います。
プロセス、確かに必要でした。初投稿→とりあえずここの人に読んでもらおう→んじゃ短く→二枚にまとめよう、ってことでとても短くなった本作ですが、やはりその短さ相応に物語りが薄くなってしまったようです。
次回作、その時は初投稿ではないのだから、もっと長い文章を投稿しようと思います。
2007-01-03 21:11:15【☆☆☆☆☆】藍紫蒼世
ありがとうございます。しっかりとした裏づけですねぇ(汗
指摘して欲しいとのことですので、それになるかどうかは分かりませんがもう一つ。自分達以外の人類の存在を知っていて、不時着したそれらの身元調査まで出来る彼等が、なぜ他の惑星に自身らの惑星のルールを報せないのでしょう?それを知らずに逮捕された主人公はきっと釈然としないと思います。
2007-01-03 21:16:43【☆☆☆☆☆】匿名
匿名さんへ

携帯から失礼します。
鋭い指摘ありがとうございます。すなわちそこまで考えていませんでした。またしても作り込みの甘さを実感させられました。理不尽な点があったのは反省します。
あえてその点について返答するなら、ご想像におまかせします、ですね。見苦しい解答で申し訳ございません。
2007-01-03 21:40:24【☆☆☆☆☆】藍紫蒼世
 初めまして、座席です。
 短いながらも凝縮された物語を感じることができましたが、やや圧縮しすぎたような気もします。特にこの掲示板だと連編五枚以下禁止、ショート十枚未満程度の規約があるので、短すぎるとあまり読まれない傾向もありますし、いっそこれならば五枚程度に仕上げればちょうどよかったかもしれません。
 作品に大しての感想は他の方が言っておられることと同じような内容ですが、やはり短い、というより縮小しすぎだと思います。設定の根本にSFがあるのでやや読解が難しく(それがSFのよさなんですが)文量も少ないですから、ショートショートとしては少し読みづらく、SF作品としては短すぎたという感がありました。オーソドックスなジャンルなら受け入れられやすいと思うのですが、私はそれなりに楽しめました。
 次回作品に期待しています。
2007-01-04 14:31:52【☆☆☆☆☆】座席
座席さんへ

感想ありがとうございます。今回も携帯からなので少し短くなりますが返答します。
なるほど、5枚程度がベストでしたか。再三指摘をいただきこの作品の短さは理解しましたが、具体的な提案参考になりました。
次回はおそらくショートショートはやめて、ここでは短編と定義される長さのものを投稿したいと思います。
2007-01-04 15:15:34【☆☆☆☆☆】藍紫蒼世
計:4点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。