『失敗作なレヴィアタン』作者:呪炎 / t@^W[ - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
世界は微弱にも変化を遂げ、人間は食物連鎖の頂点から退いた。その宿命から逃れようと戦う人間達。その存在は畏敬の念を持って呼ばれる「サモナー」と……アウトロー「カムセト」高校生「可無意 静斗(かむい せいと)」二つの名前を持つ、最低ランクのウエポンサモナーの少年。誰にも存在を知られない謎の神具「海斧レヴィアタン」間違いから現界させられた美しい少女を象る意思を持つ武具。困惑する二人はお互いを認識した時、物語が始まる。
全角8331文字
容量16662 bytes
原稿用紙約20.83枚
 どうしても暗闇から抜け出したかった。
 どんなに辛い出来事が待っていたとしても、こんな世界より外の方が遥かにマシ。
 そう…私は自由になりたかった。
 神に束縛され、世界を背中に背負い込み。最後には殺されるなんてあんまりだ。
 そのどうしようもない運命から解き放たれた時、私は本当の私になれるのだと信じている。お願い!どうか私を…


 目の前を光が支配する。
 五色の燐光が眩しく私の視界を奪い去り、同時に新たな光景を運んできた。
 薄汚れた工房。ボロボロのカーテンと、薄汚れ剥がれている壁紙が張られている部屋。中心には木製のテーブルとその上には様々な実験器具が所狭しと並べられていた。
 久しぶりに光臨した外の世界は私に初見から酷い物を見せてくれ、なんだかこっちの心まで荒んできてしまう。
 私の体は淡い瑠璃色の光に庇護され、その様子を一人の少年が見ていた。
 少年は点になっている瞳をパチクリさせて、私の姿に少なからず動揺しているのだろう。まともに声も出せないのかも知れない。私を呼び出した人間の大半は同じような反応を示す。そんな出来事を何度も経験した為に、私はこんな時の適切な対応だって自然と身についてしまっていた。相手が喋れないなら、きっかけを与えてやればいい。
「私を現界させたお前は資格を持つ。一つ、私を取得し使用する資格。二つ、私を支配し使役する資格。三つ、私を受諾し最期には破壊する資格。これらの他にも神具の扱いについては事細かに制約は存在するが、今は私の名前を名乗る方が先でしょうね」
「お…お前。本当に神具なのか!?」
 おいおい。相応の腕と資質がなければ神具なんて呼び出されないでしょ。この子…もしかして偶然私を現界させた?いや、それはありえない。明確な目的意識が容認されなければ私達があの世界から引き出される可能性はゼロだ。
 だとしたら、駄目もとで挑戦したのだろうか?神具の現界を…
「ええ。あなたの望んだ神具。万物の神秘とまで呼ばれ、他世界から召還される生きた生命武器。他にも色んな呼び方があるでしょうけど、とりあえず私はあなたの心に呼応して現界した。あなたに相応しい武器」
「なるほどね。それで?俺の望みに答えたってことは、アンタは俺が願った武器に間違いは無いんだな」
「その筈よ」
「おお!!!よっしゃ!よっしゃ!これで俺は半人前なんかじゃない!これで誰にも認められるウェポンサモナーの一人ってわけだ。さすが俺!」
「そうね。この『海斧レヴィアタン』を呼び出すサモナーなんてホンの一握り。その腕に自信を持っても恥じでは無いはずよ」
「………………は?」
 その瞬間彼の顔は大きく変化した。輝かせていた瞳は刹那で鋭くなり、声色に至っては低く重く変貌して…なんだか私の背筋に嫌な冷たさが走り抜けた。
「何よ……そんな怖い顔して」
「テメェ今なんて言った?もう一度リピートしてくんねぇか。よく聞こえなかったぜ」
「私を呼び出すことができるサモナーはそんなに居ない。だからアナタは自分の腕に自信を持っていい…って褒めたんだけど?」
「違う!もっと前!!」
「え……私の名前は『海斧レヴィアタン』」
 少年の膝がガクリと折れ、彼は私が声を掛ける暇さえなく、さらには床に両手を付いて俯いてしまった。予想外の出来事に私も困惑する。ってか何が起こってんの!?私なんか気に障ること言った?何なの今回のこのドッキリイベント!!
「間違えた…失敗した。そんな…」
「えっと…あのどうしたの?君」
 意味不明な少年はブツブツと独り言を呟き、見ているだけで哀愁を誘う背中を私に向けた。こっちも悪いことをした覚えもないので対処法が思いつかない。よってただ呆然と立ち尽くして少年の次のアクションに備えて心の準備をしておくことにした。
 でも…やっぱり気まずい。
「そうだ。名前」
「あん?」
「名前だよ。私は今日から彼方の神具になったんだから、使い手の名前くらい教えて欲しいな。ああ、私のことはそのままレヴィアタンと呼んでも良いし、違う名前を付けてくれても構わないわ!これからは二人で暮らすんだから遠慮は無し。でも、できるだけ可愛い名前にしてくれると愛着も沸くわね。それから…」


「名前なんて必要ない。俺たちには…」


 え?
 それはどういう意味?

「悪いんだけど還ってくんない?元の世界に」
「ど…どうして?」
 私は投げかけられた少年の言葉を理解することができずに、凍りついた思考のままに聞き返してしまった。
 失敗。
 彼の呟いた単語が頭の中で反芻し火種程度だった不安感は徐所に増大してゆく。
 少年は真っ直ぐに私を見つめて言い放つ。
「じゃあ用件まとめて一気に説明するわ。いいか?俺がアンタを呼び出したのは、間違い。俺が本当に現界させたかたった神具はエクスキャリバーなんですよハイ。だから、アンタが呼び出されたのは間違い。俺の大きなミステイク。だから大人しく元の世界に帰ってくれないかと言ってんだ。理解できた?できましたか?」
 小汚く小さな部屋の一角に現界させられた私に、この少年はそれだけ言うとつまらない様子でキッチンの方へと歩き出す。当然、私もそれで納得するわけが無い。してたまるもんですか!
 少年の服の袖を引っ張りその歩みを止める。
「ちょっと待ちなさいよ。私が呼び出す筈だった武器と違うことは分ったけど、自分の言い分だけ言い切ってそれで満足なの?随分と勝手じゃない。それに呼び出された私の気持ちはどうなるわけ」
「コーヒーと紅茶」
 唐突に変なことを少年は聞いてきた。
 話題が急に切り替えられたことに意標をつかれた私はその場暫し固まって、おまけにその表情が可笑しかったらしく少年は苦笑いで聞き返してきた。
「俺もアンタ言い分は聞くつもりさ。誰が今すぐに帰れって言った?まぁ立ち話もなんだから何か出すよ。んで?こーふぃーとこうちゃ…どっちかよろしいので?」
「彼方、言葉が足り無すぎるわよ。ちょっと意思の疎通を大事にしたらどう?ちなみにコーヒーでいいわ」
「あっそ」
 少年の態度は変わらない。…ってか私の言葉は全部無視かい!!


 私は木製のテーブルに置かれたステンレスのカップを手に取った。
 椅子の背もたれに体重を預けて暖かく香ばしい香りを漂わせるコーヒーを啜る。天性の猫舌はこれだから嫌だ。
「えっと…彼方はさっきから何をやっているの?」
 視線を少し横に移すと少年は、何やら部屋中に散らばっている薬品やら部品やらを眺め、そして吟味した物を自分の着ている皮のベストのポケットにねじ込んでいる。どう見ても部屋を整理しているようには見えない。これから旅行にでも出かける…いや、それなら荷物はカバンなどに入れるのが普通だろうか。
「どこかに出かけるの?」
「アンタには関係ないことだ」
「そう突っぱねることないでしょ。私が気に入らないことは分かるわ。それでも私はここに現界させられた以上、少し時間を置かないと元の世界には還れない。ディスペルを使うか、サモナーが死亡しない限り強制送還は行われることはないのよ。そのことは承知しているんでしょ」
「勿論。俺も一応ディスペルは用意していたがそれはエクスキャリバー専用の聖属性が封じ込められた霊水。アンタはレヴィアタンだから水属性のディスペルじゃないと適応しないんだろ。でも大丈夫。これから俺は出かけるけど、その後に変なじいさんがこの部屋にやってくるからその人と話でもしている内にアンタは元の世界に還れるよ」
「ちょ…それどういう意味」
「それよりもさ。アンタの顔。俺はどこかで見たことがあるような気がするんだけど、気のせいか?」
「しょ、初対面だと思う」
「どうかな。俺は一度見た女の顔を忘れたことがない。アンタ嘘を付いているんじゃないか?」
 また彼のペースに巻き込まれる。こんな人間は始めてだ。自己中心的で何も語ろうとしないし、こっちの疑問には何も答えない。
 まるで宇宙人とでも会話している気分だ。
「嘘ついてどうするのよ。私は彼方がどんな人間かも知らない。どんな生活を送っているかも知らない。だって彼方は教えてくれないんだもの。そんな人に嘘を付いてどんな意味があるのよ」
「なんだ。そんなことも分らねぇのか…神具って奴は呼び出されたサモナーの情報を予め召還の際に頭に叩き込まれるんじゃないのかよ?映像を媒介に焼き付けるみたいに」
「確かに呼び出される世界の一般常識は記憶しているわ。でもサモナーの個人情報、人格となると話は別よ。実際、自分を現界させたサモナーが気に食わなくて、即座に近くに存在した別のサモナーと契約した神具が居たって情報もあるし、今の私達の状況だってまだ仮契約。契約はサモナーの名前の公開と神具に仮名を付け、初めて言霊を持って武器化させることで初めて完了。…のはずなのに彼方が渋っているから話が進まないんじゃない」
「だから言っているだろう。アンタを呼び出したのは間違い、契約する気もないから元の世界に還ってくれよ。自分勝手なのは分っているが、俺はどうしてもエクスキャリバーを現界させなきゃならない理由があったんだ。それが失敗したんじゃどうにもならない」
「だからその理由を言いなさいよ!り・ゆ・う!」
 少年は腕を大げさに組んでウ〜ムと唸る。そして人差し指を天井に向けて嫌みったらしい笑顔全開でこう言いやがった。
「ただの気紛れってのはどうだ?」
「人のこと馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ少年」
 コメカミに欠陥が浮かぶのを何とか堪えながら私は冷静を装って笑みを浮かべた。相手は何だかんだ言ってもたった十年と少ししか生きていない人間の小僧。何百年もの記憶を持つ年長者の私がここでガキの口車にいちいち目くじらを立てる訳にはいくまい。

 …とここまでは思っていたんだけど

「そうだよなぁ〜無理しちゃって大人ぶってるお姉さんにそんなこと言っちゃお仕舞いだよな。いや〜悪かった悪かった。それともオバサンの方が正解か?」

 私の我慢もこの時点で堪忍袋の尾がプツンと切れたみたいだ。

「もういい!私は新しい契約者を探すわ。こんな生意気でデリカシーの無い奴は多分始めてよ。貴重な時間を割いて頂いて、さらに現界までして頂いてどうもありがとうございました。さようなら」
 私は部屋の出入り口に向かって立ち上がり、ほのかに暖かいステンレスカップをテーブルに残して歩き出す。
 早急に新しい契約者を探さなければならない。ようやく暗闇から抜け出せたのに、こんな事で元の世界に還って溜まるものか。少年に背を向けたまま、私は丸いドアノブを掴もうとした。
 しかし、その手は空を掴む。
 私が開けるよりも先に訪問者によって扉が開け放たれたからだ。
 少年の部屋の玄関を挟んで立っていたお客人は初老の男性。背はスラリと高く、艶やかな灰色の髪に、シックに決まった黒のタキシードを着込んだまさにザ・ジョントルマンと形容しても差し支えないような男だった。
「よう。遅かったじゃねぇか」
 私の横をすり抜けて何時の間にか少年は顔を出す。そして、さらにはジェントルマンの横さえも通過して、そそくさと外に飛び出してしまった。
「待ちなさいカムセト。この人は友達ですか、ガールフレンドにしては可愛らしい方じゃないですか。私にも紹介しなさい。それと神具現界の儀式のことですが…」
「あぁ〜悪い、今から出かけるからさ。話なら後にしてくんないか。アーキの聞きたい事はその人が答えてくれるよ。そんじゃ!」
 少年はさっさとその場を後にしてしまう。突然のことに私は反応することもできずに、結局目の前のジェントルマンと二人きりにされてしまった。本当なら私が出て行くはずだったのに、妙な展開になってしまった。
 ジェントルマンは少年が走り去った後を眺めて、ため息交じりに微笑んでいた。
「あ…あの」
「あの子は昔から本当に変わらない。いつも無鉄砲で周りの状況なんて気にせずに走り抜けてしまう。困ったものです」
 ジョントルマンは私に視線を移して、まるで昔からの友人のような自然な口調で優しく語りかけた。
「お茶を入れてくれませんかお嬢さん。私の名前はアーキ。あのカムセトの身元引受人です」

 洗練された動きには一切の淀みもなく、とかく私はジェントルマンの醸し出す柔和な空間に、ぬるま湯に浸かっているかのような感覚を思い出した。
 伝統的な洋館の主人を連想させる美しい動作。
 ノスタルジックな絵画でも横に並べたらさぞ似合うであろう。
 私は先ほどからこのジェントルマン、もとい少年がアーキと呼んでいたこの紳士に私を呼び出した少年のことについて色々と聞くつもりでいたのだが、何となくタイミングを外されている。私が少年に呼び出された神具であること、しかし少年にとってそれは失敗であったこと。私が呼び出されてからの僅かな時間に何があったのかアーキには大まかに説明したが私の中の不満は胸の奥で燻ったままだ。
 彼はそんな私の気持ちを汲み取ったのかもしれない。
 やや苦笑いをしながら少年の取った態度を私に詫びた。
「なるほど。それは随分と失礼を致しました」
「アーキさんが謝ることじゃありませんよ。ただ……ヤッパリ仕方が無かったのかもしれません。彼が呼び出したかったのはエクスキャリバーだったわけだし、私は儀式の失敗で呼び出された……いわば失敗作です」
 運が悪かったのだろう。
 今まで違う世界に現界して感情的になっていたので気が付かなかったが、少年の反応は当然と言えば当然だ。
 神具現界の儀式はそれ相応の理由が無ければ行うことは無い。
 なぜなら、この儀式は術者の魂を対価にする物だからだ。下手な人物が鎮撫な知識を持って軽い気持ちで実行に移せば神具は愚か、凶悪な錬魔を呼び出す結果にもなりえる代物なのだ。ついでに言うと準備までに費やす労力と資金も半端な額ではない。
 それが失敗したばかりか、望んでいなかった正体不明の武器を現界させたのでは当事者の落胆は大きいだろう。
 そう。
彼は決してアブノーマルでは無く。寧ろノーマルな態度を私に対して向けたのだ。
「いいえ。カムセトはお嬢さんを嫌っていたのでも、拒絶していたわけでもないと思います。ただ……彼は巻き込むことを恐れただけです」
「巻き込む……それはどういうことですか」
「お話しましょう。カムセトがどういう人物なのか、どうしてお嬢さんを現界させた儀式を行ったのか。そして、恐らく今日彼が死んでしまう理由も」



「失敗作なレヴィアタン」一章「仮名と真名」


 学校帰りに立ち寄った商店街の一角にひっそりと存在する自販機。
 その横に背を預けながら、人がアーケードを通る喧騒をひたすら眺める。
 今日は何となく考えも無しに時間を潰す。
 いつものように……
 飲みかけたコーヒーを無理やり自販機の横に鎮座するゴミ箱に放り投げた。まだ中身が多少残っていたのだが、そんなことは気にしない。
 上空は例の如くの快晴で、俺はそんな当たり前の風景も何の感慨も持たずに無機質な心で傍観。ポケットを探り小銭を取り出し再び自販機で先ほどと違う飲み物を買う。今度は炭酸系を飲みたい気分……
「世界はどこまでも澄み切っている。そして淀んでいるのは人の心だけに他ならない」
 あまりにも感傷的になっているのだろうか。小銭を自販機に入れる途中で口から突拍子もない言葉が飛び出した。誰かが俺に教えてくれた言葉なのだが、それは俺がまだ随分幼い頃の出来事だったようで性格に思い出すことは困難。しかし、鮮明にこの一言だけは記憶していた。
 自販機のボタンを押す。
 ガタンと缶が取り出し口に落ちる音がやけに大きく聞こえた。
 しかし、すぐ後にさらに大きな音が俺の耳に轟いたので俺は思わず手に取ろうとしていたコーラを掴み損ねてしまう。
 それは単調なリズムを奏でる携帯の着信メロで、俺はポケットから携帯端末を取り出して耳に当てる。
その間に残った腕で自販機からコーラを取り出してプルタブを開放。甘さの後に程よい炭酸の刺激が喉を潤した。
「玲野か……また説教ならすぐ切るぞ」
 それはクラスメートからの電話だった。
『彼方が頼んでおいた代物がようやく修繕できそうだから親切に教えてあげようと思って連絡したのにその態度なの……ムカついたから返してあげないわよ』
「それは困る。ついでに補足すると俺じゃなくて玲野が困るぞ。なんせあの幼少時のハズかしくも甘酸っぱいマル秘エピソード。それをお前の大好きな守山先生にじっくり聞かせてやらねばなるまい。そう……あれは玲野が始めて…」
『止めろ!分った。返す。返します!!』
「了解。それで俺の剣は直ったのか」
『ええ。随分と使い込まれていたから修復に結構手間取ったけどルーン文字の改善と材質の修復はして置いたわ。静斗(せいと)が持ってる唯一の成功作なんだから大事にしなさいよね』
「オーケー。手間だろうが俺の家まで届けて置いてくれ、帰り道だからいいだろ」
『まったく勝手なんだがら。さっきはあんなこと言って脅してくれたけど。静斗のことだから、学校来る気なんて無いんでしょ』
「だからどうした」
『いい加減普通に学校通いなさいよ。用事がある時だけ来るんじゃなくて毎日顔出しなさい。クラスメートで静斗の顔と名前覚えているの……もう私と一部の物好きだけよ』
「毎回言っているだろう。くだらないんだよ、学校なんて……物差しでしか物事を計ろうとしない場所に俺は興味はないし、何より俺にはやることがある」
『復讐なんて……ご両親だって望むはず無いよ』
「わーってる。だけどな、これは俺なりのケジメなんだよ」
 玲野はいつも俺に気づかってくれる数少ない友人の一人で、国家資格は持っていないが天才のポーションサモナーとしての呼び声高き、薬物調合と属性追加を得意としている秀才でもある。
 時々俺が作った武器や調度品の整備。その改善と強化を担当してくれているパートナー的存在だ。……まぁ口が五月蝿いところが玉に傷なのだが。

 この世は科学と魔術の飛躍的進化によって微弱にも人々の生活にも変化が及んでいる。
 全ての始まりは人間が繁栄を極めた世紀末。原因不明の人を脅かす新たな食物連座の頂点とも言える第二人類と呼ばれる化け物、『錬魔』の発生が引き金であろう。
 現在の所、彼らの正体は以前謎に包まれている。
その発生源も、彼らがなぜ人だけを捕食し食らうのかも、どこから来てどこへ向かっているのかも、国の研究機関が独自に研究を進めているらしいが、一向に究明の糸口すら見つかっていないのが現状だ。
 しかし、全くの無駄だったわけでもないらしい。
 練魔と対抗に戦うことを目的とした武器の開発は一方で向上し、それは独自の魔術製法を構築できる有能な知識と職人技とも比較できる技量を併せ持った武器使い「ウエポンサモナー」を生み出すことに成功したのだ。
 以前は研究機関の中でのみ存在していた彼らの存在は、練魔の脅威に脅かされていた当時の人々にとってこれ以上ありえない程の支えとなった。そしてウェポンサモナーの存在は瞬く間に全世界を駆け巡り、ついには一般人からも多くの有能な使い手が誕生していったのだ。
 そしてこの俺も機関から才能を認められ、一年前からつい先月までは軍所属のサモナーとして働いていたのだが……今はある事情により機関を脱退し、普通の高校生としての生活を送っている。
 いや、普通の高校生は間違いだろうな。非常識。これが一番条件に当て嵌まり、適切であろう。
 

「さてと、玲野が剣を届けてくれる前に色々と揃えて置かないとな」
 玲野との通話を切り上げ、俺は商店街を歩き始める。
 元々学校からの帰り道からここに立ち寄ったのは資材調達が目的だったのだ。
 この先起こる出来事を予想などせずに……
2006-09-01 01:32:38公開 / 作者:呪炎
■この作品の著作権は呪炎さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めての投稿なので不可解な点も多々あると思いますが、ご意見ご感想をお待ちしています。
…追伸
ヤバイくらいに緊張しています^^;
この作品に対する感想 - 昇順
文体も安定していて、読みずらい一文もない。それだけでアマチュアとしてはだいぶんいいとこいってますね。一つ丸です。
ただ、登場人物におけるキャラクターがまったく立っていないのが残念です。特に召喚された女の子ですが、威厳があるのか明るいのか……迷走しているように見えます。せっかく召喚された、という設定があるのなら、それを生かしてみたらいかがでしょう? よくあるタイプのキャラクターばかりのようにみえます。その上、あまりに常識的。もう少し突っ走らせてみましょう。自己中心的な少年なら、コーヒーすら出さずに自分の用件だけをまくしたてたりすると思います。そこに普通ではありえない面白さが生まれる……かな? 実はまだ僕もよくわかってないんですけどね(笑
ただ、最後の「死」の下りはやられました。だいぶん煽られ、次回に期待がもてました。(これはあくまでも僕個人の感想です。いろんな見方があると思いますので、たくさんある意見の一つとして聞いて下さい)
では、続きも頑張って下さいねm(_+_)m
2006-08-31 19:35:33【☆☆☆☆☆】無関心ネコ
やはりキャラの性格は考えていかないと駄目ですね^^;
主人公の性格は「自分勝手が良い!だって書きやすいし…」なんて理由だったりします。
女の子は初見の相手に対しては、威厳のある話し方をする設定があったのです。
で!す!!が!!!
そうですよね〜描写入れなければ読者に伝わるハズないですよね〜^^;
書き直しは、もう少しプロットが固まってからにしたいと思います。女の子はとにかく明るい性格のピンボケキャラにしたいですね。

「よくあるタイプのキャラクターばかりのようにみえます。」

ありがたや〜w
このような意見を待っていました。まったく持ってそのとおり、自分の甘さを痛感しています。
そりゃ……小説書いている時に何の脈絡も無しに新キャラ出したり、主人公の生活環境を頭に入れず、さらに何を言いたいのが分らずに説明に走る。
これでは駄目も駄目……あ〜駄目駄目の極みですな(キャラ変わってるし!?

そうだ…インパクトだ。そう、ドッカーンて感じの(仕舞いには一人言

とかく頑張ります^^貴重な感想ありがとうございましたw
ネコさんの作品はこれからも読ませていただきますね。
2006-09-01 01:46:06【☆☆☆☆☆】呪炎
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。