- 『猫』作者:色灯二位式 / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
- ものすごく短いショートショートの中にシュールな世界を盛り込んだ作品です。肩の力を抜いて、読んでください。
- 全角1038.5文字僕は猫が好きだ。何故かって?それは…
容量2077 bytes
原稿用紙約2.6枚
ある日、僕の家の近くのゴミ捨て場に、ちょっと目を引くものがあった。何だと思う?猫さ。段ボールに入ってて、ミャーミャーとかわいい泣き声で、次々と前を通る人達に、声をかけていた。だけど、みんながみんな、そいつを無視するんだ。可哀想だと思わないかい?確かに、こんなのに同情して、拾ったりしたら、餌代やら躾代やらで大変な目に合うのは判っているが。…う〜ん。どう言ったもんかな。まぁせめて、撫でたりとかはしてやろうよ。うん。そうだな。まぁとりあえず、猫がいたんだ。子猫だ。しかも1匹。僕は10分位、そいつを見てた。するとどこから来たか小僧の群れが、子猫を囲み、唾をかけたりしていじめ始めた。僕は家から飛び出した。そしていざ、声を掛けようとしたその時、一人の男の子が脇に飛びのいた。手首を押さえて、顔を歪めている。どうやら子猫が引っ掻いたらしい。それを合図に、男の子たちの猛攻が始まった。最初のうちは、猫の悲鳴が聞こえていたが、やがて、声はしなくなった。男の子たちも、はぁはぁと息を切らして、やがて男の子たちは、ちりちりばらばらになって逃げ出した。僕は今のうちに段ボールの中を見てみた。
家に帰って、僕はご飯を食べ、早めに寝た。おそらく、今日は今までで一番恐ろしい日だっただろう…
次の日、雨が降った。僕は子猫を思い出し、それからまた寝た。
次の次の日、雨は止んだ。子猫のいたところへ行くと、すでにそこには段ボールはなかった。僕はしょんぼりし、しばらくその辺りをうろついた。すると、1匹の猫に出会った。向こうは明らかにこっちを警戒している。そりゃそうだ。なんせ相手が僕なんだから。でも僕は心が優しいから、その猫に話しかけてみた。
「こんにちは」
…返事はない。
「今日はいい天気ですね」
すると、相手は答えた。
「あんただろう?この前、幼い猫を段ボールの中で殺したのは…」
僕は激しく首を横に振る。
「違います。僕じゃない…」
「嘘つき!犬の言うことなんて全部嘘っぱちさ!ちゃんと見てたんだよ!あんたがあの子猫を食べたとこを…」
「う…だって、可哀想だったから…」
「何が可哀想よ!馬鹿!ろくでなし!死んじゃえ!」
…いくら心の優しい僕でも、これにはカチンと来た。僕は次の瞬間、人間も驚くような速さで、相手を捕らえた…
僕は猫が好きだ。何故かって?それはあの時食べた肉が、僕の心を打ったからさ… - 2006-06-30 15:26:40公開 / 作者:色灯二位式
■この作品の著作権は色灯二位式さんにあります。無断転載は禁止です。 - ■作者からのメッセージ
短いけど、がんばりました。
この世界観が認められたらいいなと思っています。
感想をどうぞ。
よろしくお願いします。
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あなたのほかの作品はどういう感じであるのか、読んでみたいですね。というのは、ひとつの作品で書き手の全容を類推してしまうのは極めて危険なことであるとはいえ、もしかして「小説とはこういう形式のようなショートショートの妙を競うものだ」という先入観があまりに強固に頭の中にあるのじゃないだろうかという危惧を感じてしまったからなのですよ。
もちろんこういう作風を否定するつもりはないし、書き手の様々な引き出しの中のひとつとして位置づけることは結構なことだと思うのですけれど、自分の感動したことであるとか、伝えたいことを、それが一見して何の変哲もないものであったとしてもゆっくりと彫塑する、そういう作風もまた極めて重要であると思うのですね。またそういうものがあればこそ、軽妙な作品であってもどことなく味が出てくる。
そうでないものって、たとえ面白いアイディアがあったとしてもね、上滑りして見えるんですね。本当に奇怪であるとか、本当にシュールであるとかは、アイディアじゃないんですね。自分が真実それを感じたということを紙の上で謳い上げることなんですね。悲しいとか楽しいとか、言葉にすればほんのひとことで済んでしまうことの感覚の裏打ちを、きちんとイマジネーションし、それをひとつひとつ丁寧に表現していくことなんですね。
ちょっとね、イージーだと思う。2006-06-27 21:54:21【☆☆☆☆☆】タカハシジュン読ませていただきました。チェリーです。う〜ぁ〜、三枚ですかぁ。ちょっと短すぎる、と私は思いましたぁ。これでは利用規約に引っかかってしまいますぅ・・・・・・。どうかもっと長く、世界観を伝えたいのならばもっと文章でお伝えしていただければ光栄です。チェリーでしたぁ。2006-06-27 22:43:04【☆☆☆☆☆】チェリー読んでいただいて光栄です。まぁ、マイナスポイントが出なかっただけ有難いと思います。とりあえず僕の中の、ショートショートはすべて3枚くらいなので、ちょっとチェリーさんたちの価値観と合わなかったところもあると思います。
これから別の3枚作品をアップする予定なので、ぜひ、見かけたら読んでください。
アドバイスありがとうございました。2006-06-28 14:17:44【☆☆☆☆☆】色灯二位式シュールというより、グロさを感じました。イヌとネコの皮をかぶっているだけで、別にそれがヒトでもいいんじゃないか、と。イヌ・ネコは、ヒネリではなくグロさを和らげる手段でしょう、たぶん。根底にあるグロさは変化しない。で、根底にあるちゅうものは、つまり、書き手の主張・言いたいことだ。手前のグロい内面を、どうか?と提出されたら、一読者は引いちゃいます。
とですね、別に三枚でも問題はないかと。芸術(?、表現すること)に規約はないと思いますから。じゃあ、イスラムの神様をマンガにしてみたり、心のグロさを吐露しても、いいんじゃないのか?ときかれますと、困ります。
2006-06-28 17:54:55【☆☆☆☆☆】一読者計:0点 - お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。