『漆黒の語り部のおはなし・8【後編】』作者:夜天深月 / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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 御機嫌よう。またお会いしましたね。さてはて、皆様。凄く眼をギラつかせてますね。正直なところ、かなり恐いですよ。ですので、その眼はおやめになって下さい。皆様は私を中心ににして円のように立っていらっしゃっているのですから、中心に立っている私をかなり怖がらせていると言うことを解って下さい。え? ……酷いですねぇ。そんな話どうでもいい、なんて言うことはないでしょう? ……ハァ、解りました。要はサッサと質問をさせろと言うことですね。
 では……、威勢良く手を挙げてらっしゃる貴男。そう、貴男です。それでは、質問をどうぞ。……いきなり答えにくい質問をしてきましたねぇ。『平凡な生活をしていた私達が此処に招かれることとなったが、どのようにして選ばれたのか?』、ですか……。正直なところを申し上げますと、特に皆様を選んだ理由はないのです。おっと、皆様そう怒らずに。まだ話の続きはあります。
 ……それでは気を取り直して。それで、皆様を選んだ理由ですが、強いて申し上げるならあまり世の中を知らなさそうだったからです。だって、そうでしょう? 世の中をどういうものか知っている人に、世の中のことを話したって意味がないじゃないですか。これで、納得頂けたでしょうか?
 さて、次は……そこの貴女。そうです、貴女です。それではしつも―――おっと、まだ言い終わってませんよ? そんなに急がなくてもいいのですけど……。まあ、細かいことは気にしないでおきましょう。では、質問ですが『私たちに世の中を教えようとしている理由は、約束したからと言ったが誰と約束をしたのか?』。これでよろしかったですよね?
 さてはて、どうしましょうかねぇ? この質問はいつか聞かれると思っていましたが、正直あまり答えたくはありませんねぇ……。実は、約束した相手がかなり恥ずかしい相手なんですよねぇ……。ま、仕方ないですね。約束を前回の時してしまいましたからね。それで、約束した相手ですが―――自分自身です。あ、皆様かなりクサイ台詞だと今思ったでしょう? はは、別にいいです。私自身思っていることですから。まあ、私にもそんな時期があったということです。
 さて、そろそろおはなしの方にいきましょうか。まだ続きがありましたからね。
 それではおはなしの始まり、始まりぃ。

 蛇の睨み。今さっきも、今日の朝も私はそのような感じで睨んでいたのだろうな、とソファにうつ伏せで寝転がりながら心の片隅で綾乃は呟く。
 ぼんやりと辺りを見回す。十畳のリビング。食卓テーブルがキッチンの手前にあって、その食卓テーブルの手前に自分が寝そべっているソファがあるというリビング。今は異様にこの部屋が広くて何もない空間に見えた。からっぽな空間。このマンションのどこにいても全部かっらぽな空間に見えてしまうのかな? 綾乃はそう思う。
 そもそもの始まりはなんだっけ? ふと、綾乃は思う。
「馬鹿みたい……。本当は知ってるクセに……」
 本当は知ってる。始まりが、昨日の諍いだったことなんて知ってる。ただ、逃げたくなった。どうしようもなく逃げたくなった。辛い現実から、逃げたくなった。
―――ねむい……。
 前方にある、南側の窓から午後の暖かな風が吹き込む。その風が綾乃を眠りへ誘った。いっそのことずっと寝てしまおうか、と眠りにつく前に脳の片隅で思う。
 世界が真っ黒になった。

 神妙な面持ちで綾乃と、浩二が食卓テーブルをはさんで椅子に座って向き合っていた。二人を取り巻く空気は何故か刺々しいが、二人の姿はパジャマ着で、二人の頭髪は寝癖ではねている。そんなところが、張りつめた空気とちぐはぐだった。
「どうしそんなこと言うの? 我が儘は言わないで」
 まるで、我が子を諭すように綾乃は言う。だが、刺々しいものがあり、意志の強さが感じられたその言葉にはあった。
「我が儘はどちっだよ? それと、俺は、やりたいことをやりたい」
 対し、浩二もきっぱりと言う。その言葉には意志の強さが感じられる。だが、綾乃の言葉とは違い刺々しいものはない。静かな響きさえあった。
「アンタは正しいと思っていてるのかもしれないけど、私はそんなこと間違ってると思う」
 そう言い、綾乃は浩二を睨む。蛇の睨み。それを思わせるほど、鋭く冷たい睨みだった。
 浩二は、その睨みに怯んでしまったのか顔を俯かせる。だが、直ぐに顔を持ち上げて向かい合っている綾乃を見据える。
「ああ、確かに間違ってるかもしれない。本来なら、姉貴の言うとおりにするのが正しいのかもしれない。……でも、俺は、やりたいことをやりたい。だから―――」
 その続きは言うことが出来なかった。浩二は手を振り上げた綾乃を見て、あっと思った直後には熱い衝撃が右頬に喰らっていた。そして、痛い、と思考する時間すら与えず綾乃は浩二に怒鳴った。
「なんで、そんなこと言うの? 六年前のあの日―――母さんと父さんが亡くなったあの日、約束したじゃない! なんでアンタは、そう我が儘なの!? 言ってみなさいよ! どうして、アンタは我が儘なの!? ふざけ―――」
 ふざけないで。そう怒鳴ろうとしていた。だが、その言葉は遮られる。遮った、ダンッ! という無機質な音が響き、コップと食べかけのトーストが床に落ちる。そして、
「俺が何をやろうと俺の勝手だろ!」
 憤りが込められた声は響く。その声は、綾乃の胸の内側を大きく揺さぶらせた。思考を停止させるぐらい、大きく揺さぶった。だから、大きな足音をたててリビングから出て行く―――きっと自室に行ったのだろう―――浩二を止めることが出来なかった。

「んー……」
 なんとも間の抜けた声だ、と寝ぼけている頭で思う。嫌な諍いの夢を見たのに、いつもおきる時とほとんど変わってない。現実ってこんなものなのかな? と思いながら、仰向けに寝転んでいる身体を起こす。その途端に、綾乃は呆けた顔をさらす。
 真っ白。
 冗談のような真っ白が何処までも続いていた。なにもない。何処を見ても、真っ白、真っ白、真っ白。本当に真っ白だけが周りに存在しているだけだった。一面真っ白だった。
「なに……これ……?」
 そうよ。なに、これは? 一面真っ白。一体なんなの? こんな場所私は知らない。何処だろう、此処は……? 私はいつの間にか寝て、それで今日の口論の夢を見た……。それで、目が覚めたら……。目が覚めたら? 本当に目が覚めてる? 本当は夢じゃないのか? そうだ、まだ夢を見てる。夢を見てるだけなん―――
「目が覚めましたか?」
 声が背後から聞こえ、思考は中断される。その声にどこか聞き覚えがある、と思いつつ振り向く。振り向いた先には午前中に会った少年だ。小首を傾げて、目を丸くさせていた。
「君、何でここに……?」
 夢。言ってから綾乃はその一単語が頭に浮かぶ。そう、夢なんだ。だから、ここにこの子がいる理由なんて無い。ただ、私はこの子に聞いて貰いたい。今日の朝の口論を。
 少年は肩を竦めながら、綾乃の問いに答える。肩を竦める動作は演技のように見えた。
「何でって、ここは僕の家のような場所ですからね。ついでに言えば、貴女を此処に来させたのも僕です」
 綾乃はその答えに首を傾げた。そして、何も躊躇わず思ったことを口にする。
「君って、孤児院で育ったって言ったよね? それって―――」
「ああ、あれは違います。嘘です」
 少年は綾乃の言葉を遮り、事も無げに言った。ニコニコと微笑みながら言ったとは裏腹に、その言葉はあまりに唐突で突き放すようだったから耳の奥にこびりつく。
「あ、でも今まで通り汚い世界を見続けるか、その世界の一部である綺麗な物を見るかっていうあの話は本当ですよ。」
「残念、全く信用できないわぁ。ウソつきの言うことは二度と信じない主義なのぉ」
 騙したの? 冷たくそう言ってこの少年を突き放したい衝動に駆られるが、喉の奥でその言葉を飲み込み、別の言葉と入れ替える。自分でも馬鹿馬鹿しいと思う、戯けた口調で言った。だらしないヘラヘラした笑みを浮かべた。
 だが、少年はさっきの微笑む表情をひっくり返したように、無表情になる。そして、澄みきった瞳が馬鹿馬鹿しいと言うような見下すような冷たさを帯びる。
「しんどいだけですよ、そんなコトをすると」
 見透かした一言に、綾乃は一瞬身体を強張らせる。だが、直ぐに身体はほぐれる。
 綾乃はホッと息をつく。その途端、綾乃は驚きで僅かに眼を見開く。怖がっていた? 一瞬でも私は怖がっていたの? 年の差が十以上も離れているこんな子供に。驚きは恥と悔しさに変わり、いつの間にか綾乃は下唇噛み締めていた。
 少しの間そうしていたが、綾乃は息をスゥッと吸い込み口を開く。
「私ね、昨日ちょっと弟と口論になっちゃってね。口論の時は自分が正しいんだって思ってたけど、今日になって自分が正しかったのかどうか迷っちゃたのよねぇ……。いっつも細かいところまで解るように近いところから見ていたんだけどね」
 そこまで言うと、溜息をつき綾乃は立ち上がる。そして、少年と向かい合う。
 意外にも少年は、いきなり話し始めた綾乃に対してなにも思ってないらしくさっきと変わらない無表情を浮かべていた。好都合だ。夢であれ、今の私は話を聞いてくれる人が欲しい。全部吐き出してしまいたい。この夢が終わらないうちに、全て吐き出さないと。
「昔―――私が十八で弟が十一歳の時両親を事故でなくちゃってね。その時は悲しかった。弟にすがりついて一緒に泣き合った。その時に弟にいわれたのよ。『大人に、僕が大人になったら僕がお姉ちゃん助けるから』って。その時に決めたわ。何も見逃さないように、この子を間近で見ようって。その後、大学に行くはずだったけどなんとか就職したわ」
 でもね、と綾乃は付け足し言葉を切る。相変わらず少年は無表情だが、話を中断させる気は全くないようだ。彫像のように、ただ立っているだけだった。
 綾乃は、それを一瞥するだけで直ぐに話を続ける。
「最近仕事をすることに、日増しに疲れを感じるようになったの。そんな時にね、『大人に、僕が大人になったら僕がお姉ちゃん助けるから』っていう言葉を思い出したの。でも、今回は支えの言葉じゃなかった。自分が楽になるための縋り付く言葉だった。それで―――」
「昨日昔の約束を掘り起こして、『貴男も仕事して』、とでも頼んだんですか?」
 少年が言葉を引き継ぐ。別に綾乃は驚かなかった。それに、これは夢だ。少年が綾乃の心を読んでいると知っても、綾乃は驚かないだろう。寧ろ、そちらの方がスッキリする。
 綾乃は無機質な眼でちらっと見てから、そうよと肯定する。
「けど、断られたわ。『我が儘はどっちだよ? それと、俺は、やりたいことをやりたい』って。確かに、私の我が儘だった。自分が楽になるために、他人何かを押しつけるなんて典型的な我が儘だった。でもね、私は普通の人間よ。特別、強い訳じゃないの。
 だから、昔の約束を掘り起こした。それに、あいつはもう立派な大人になってる。童顔だけど身長は私よりも高くて、自分が決めたことは貫き通す強い意志がある。私なんかより絶対に有能だと思う」
 一息、吸い込む。一瞬目を閉じてから、口を開く。
「ねえ、私が言ったことは間違っているの? 私が弟を間近で事細かに見ることは間違っていたの?」
 話し終わった綾乃はホッと息をつく。すっきりした。内側にある全てを吐き出せた。ふと、少年に視線を向けてみた。少年は、無表情だった。表情の変化は全くなかった。
「そんなこと解らないですよ。それが解っていたら僕の悩みも解決していますよ」
「……そうよね」
 綾乃は、ハァと溜息をつく。その途端目を丸くさせる。内側にある全てを吐き出すことが目的だったのに、少年から答えを教えてもらえるかもしれないと期待していた。それに気付いて、綾乃は苦笑する。人って欲張りだなぁ。自分は楽して、他人の力で何かを得ようとするんだから。そんなことを綾乃は呑気に思う。
 そんな綾乃の心の内を読んだように、少年はニコリと微笑む。
「スッキリしましたか? 悩み事を吐き出してしまえば結構落ち着くでしょう?」
「え―――」
 ええ、スッキリした。そう言おうとしたが、何故だかその言葉が喉に支える。まるで、魚の小骨が奥歯に支えたような感じだ。どうしてだろう? と思ったその時に奥に支えた小骨が取れる。まだ、何も解決してないじゃないか。
 綾乃は一瞬目を閉じてから、頭を振った。
「―――いいえ。確かに落ち着いたけど、まだ何も解決してないわ」
「いいじゃないですか、解決しなくても」
 綾乃は目を見開いた。目の前にいる少年が平然と言った言葉が、綾乃にとっては全く信じられない物だったからだ。解決しなくてもいい? どうして? なんで? そんなことしたら、浩二が一人で悩み続けるかもしれないじゃない。
「別にいいじゃないですか。人間、自分さえ良けりゃいいんです。それが、当たり前です。貴女自身も楽しようとして、弟さんに仕事をさせようとした。別にそれでいい―――」
「なによ、それ」
 特別大きい声で怒鳴ったわけでもなかった。だが、綾乃が言った言葉は怒りが剥き出しにされていて、思わず口を閉じてしまうほどだった。
「可笑しいわよ、そんなの。確かに自分さえ良けりゃいいって思うことは、当たり前かもしれない。私自身も楽をしようとしてた。けど、解決しないと前に進めないのよ。君は前に進まなくても良いと思ってるかもしれないけど、私は前に進まないといけない」
 静かに綾乃は語った。自分の意志を、自分の考えを語った。それを少年は、まるで魅入られたように呆けた顔をさらしてただ聞いていた。
 綾乃はスウッと息を吸い、再び口を開く。
「君は、きっと世の中に対する立ち位置を間違えたのよ。君は一歩退いた位置で世の中を見ていた。でも、近い場所では見ようとしなかった。一定の位置に確執したことにより、他の物が見えなくなってしまった」
 言ってから、自分は何を言っているのだと心の中で自嘲する。こんな台詞普段なら恥ずかしくて、言葉に出来ない。でも、今だけは何故か恥ずかしい気持ちなんて無かった。何故だか、スッキリした気がする。
「そういう貴女は?」
 少年は、真っ直ぐな視線を綾乃に向ける。睨んではいない。無機質な目で見つめているだけだ。真っ直ぐな視線だが、何も感情は伝わらない。
「そういう貴女は立ち間違えてなかったんですか? 自分の立ち位置を。近くで見ているばかりで、一歩退いた位置からは見ようとしなかった。一定の位置に確執していたんじゃないですか?」
「……それ、今さっき私が言った台詞なんだけど」
 綾乃は真面目に話す少年に対し苦笑する。だが、少年は無機質な目を向けてくるだけだ。仕方ないので綾乃は問われたことに真面目に話した少年に対し失礼がないよう、こちらも真面目に答える。
「そうね。君の言う通り立ち間違えたのかもね。でも―――いや、だからこれからは一歩退いた位置で見ていこうと思う。そうしなければ変わらないから。一歩退いた位置で見れば新しい何かが見つかるかもしれないから」
 綾乃が話し終わった直後、笑い声が聞こえる。自分は勿論笑っていない。となると……
 綾乃が向けた視線先には、案の定クスクスと笑う少年がいた。口を手で押さえているが笑い声は微かに漏れている。
「ちょっと、何笑っているの? せっかく真面目に答えてあげたのに」
 綾乃は軽く少年を睨む。だが、少年は構わず笑う。あは、あははははは……。赤ん坊のように純粋で、聞いていて心地良い笑い声だ。だが、そんな笑い声も笑う時を間違えれば相手の機嫌を損ねるだけだ。そんな笑い声は永遠の時間とさえ思えるほど響いた。
 そして、やがてその笑い声は止まる。少年は口を開いた。
「やっぱり貴女は、僕の思っていた通りの人だ。また、現実世界で会いたいな」
 一瞬、少年の言っていることが解らなくなり、一体どういうことか綾乃は訊ねようとする。
 瞬間、世界が真っ黒になった。

 綾乃が寝惚け眼で目覚めた時、最初に見えた物はいつものリビングだ。リビングは夕焼け色に染まっていた。今日は見事な晴天だったからか、夕焼けはとても綺麗だった。
「よう、やっと起きた?」
 キッチンの方から声が聞こえた。浩二の声だ。どことなく不機嫌そうだ。
「ええ、ぐっすりと寝てたわ。なんか変な夢も見ちゃったし」
 寝惚けた目を擦りながら、キッチンの方へと視線を向ける。すると、そこには仏頂面で食卓テーブルの椅子に座ってる浩二がいた。食卓テーブルには食料が入っているスーパーの袋が置かれている。ちなみに、基本的には綾乃が買い物に行くことになっている。
「ごめん。……もしかして、代わりに買い物行ってくれた?」
「いや、別に買い物に代わりに行ったってことは怒ってないけど……。ただ、早く飯食いたいのに姉貴が起きないからちょっと苛々してただけ。ま、とにかく飯作って」
 は・ら・ぺ・こ・な・ん・だ、と途切れ途切れに言い、スーパーの袋を綾乃に手渡す。
そして、手渡す際に「早く作らないと、殺す」という言葉が明確に込められた視線を射る。
 手渡されたスーパーの袋を暫く見ていたが、やがて溜息を吐き口を開く。
「なんで買い物に入ってくれて、ご飯は作ってくれないのよ……?」
 綾乃はそう呟きながらキッチンへ向かう。そして、スーパーの袋の中身を確認する。牛肉、人参、ジャガイモ、タマネギ、牛乳、食パン、マヨネーズ。……決定。今日は肉じゃが。
「姉貴ぃ」
「ん?」
「もしかして『なんで買い物に入ってくれて、ご飯は作ってくれないのよ……?』なんて今さっき思ってた? いや、というより言ってたよな?」
 綾乃は僅かに目を開いて、浩二を見る。浩二は頬杖をついてどことなくだらけている浩二に、聞こえていたの? と、綾乃が言う前に浩二が口を開いた。怠そうな感じが声に滲み出ていた。
「姉貴ぃ、それは俺への嫌味か? 俺が料理全く出来ないの知ってるクセによぉ」
「え? アンタ、料理が全く出来なかったの? その歳で?」
 綾乃は心底驚く。それもそのはず、七年前両親を亡くしてから二人暮らしなのに料理が全く出来ないというのは初耳だったからだ。だからか、綾乃は浩二はその事について不機嫌そうにしているのに構わずその話題に食い付いた。
「へえ、アンタ料理が全く出来なかったの。初耳だわぁ……。というよりアンタそれって」
 子供みたいじゃない。その言葉を言いかけて、綾乃は寸前のところで飲み込む。そして、脳内でさっき見た夢が一瞬にして再生される。子供みたい? いや、違う本当に子供なのかもしれない。私が知らなかっただけで、浩二には苦手がたくさんあるのかもしれない。だから、これからは―――
「姉貴、何ニヤついてんだ? キモい。それと『アンタそれって』の続き何だよ?」
「……別に。ただ、アンタにも苦手があるんだなぁって」
―――一歩退いた位置でこの子を見ていかなくては。

 皆さん、どうでしたか? 今回の世の中は? ……と、皆様困ったような顔をしてますねぇ。まあ、仕方ないですね。感想は山ほどあるけど、クサイ台詞が出てきそうだから困ってるんでしょう? はははは、そんなに怒らないで下さいよ皆様。冗談ですよ。冗談。でも、皆様今回のおはなしは私的に良かったと思いますよ。なぜなら、今まで自分の立ち位置に確執した人がその立ち位置を変えるきっかけとなるかもしれないからです。
 おや、そちらの貴男どうされましたか? 何か質問でも? ……なるほど、今回の話に出てきた綾乃と少年がいた真っ白な空間が此処と同じではないかと思ったのですか? うーん、残念ながらそのことについては答えられません。一応私にも決まりがあるんですよ。
 それでは、今日はこのぐらいにしますか。
 それでは、さようなら。また会いましょう。
2006-06-03 19:27:11公開 / 作者:夜天深月
■この作品の著作権は夜天深月さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
世界のみんな! オラに時間を一秒ずつ分けてくれ! ……なんてここ一ヶ月叫びっぱなしのような気がしましたね。いやぁ、ストーリーは出来ているのに文字にすることが出来ないという初めての経験をしました。まあ、これは僕が緻密にストーリーを考えていなかったせいかもしれません。次からはストーリーを緻密に考えていきたいと思います。
さて、最初の意味解らない文のせいで言ううことが出来ませんでしたが、今更ですが更新がこんなにも遅れてすいません。前述の通りストーリーを緻密に考えてから執筆していこうと思います。
感想、批判、、アドバイスは随時お待ちしております。それではこれで失礼します。
この作品に対する感想 - 昇順
どうも初めまして、(すいせん)と読んで(呼んで)ください。
漆黒の語り部さんは、人間っぽさが出ていて面白いのですが台詞が少し演劇のように思えます。夜天深月さんが普段使う言葉で書く語り部さんを期待します。 後、スーパーの袋がスパーの袋になってますよ
2006-06-01 17:28:37【☆☆☆☆☆】睡泉
睡泉様
初めまして、睡泉様。僕の小説を読んで頂き本当にありがとうございます。人間っぽさが出ていて面白いという感想ありがとうございます。今後の励みとなります。ですが、少し演劇のように思えてしまいますか……。それには気をつけたいと思います。演劇じみていると現実感がないですからね。それと、誤字の報告ありがとうございます。

睡泉様、僕の小説を読んで頂き本当にありがとうございます! これからの執筆の励みとなります。
2006-06-02 20:16:39【☆☆☆☆☆】夜天深月
計:0点
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