『カッパちゃん』作者:みぃにゃん / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
カッパちゃんは言いました。気付くとカッパちゃんはそこに居ました。そこは、どこまでもどこまでも真っ白が続く世界でした。そう、どこまでも、どこまでも……
全角1468文字
容量2936 bytes
原稿用紙約3.67枚




「ここはどこ?私はだれなの?」



カッパちゃんは言いました。
気付くとカッパちゃんはそこに居ました。
そこは、どこまでもどこまでも真っ白が続く世界でした。
そう、どこまでも、どこまでも……
「…なに、ここ…」
カッパちゃんは泣きました。
自分が誰かも、ここがどこかも、今まで何をしていたかも…なにひとつ思い出せないのです。
それは幼いカッパちゃんにとって、この上ない恐怖でした。
しかも、どこを見ても、どこを見ても、真っ白なのです。
カッパちゃんは、ずっとずっと泣いていました。怖くて怖くてたまらないのです。
暫くして、カッパちゃんは喉の渇きを覚えました。
頭を触ってみると、もうお皿もカラカラです。
「何か飲み物を探さなきゃ…!」
カッパちゃんは立ちあがりました。そして歩き始めました。



どれくらい歩いたでしょうか…



どこまでもどこまでも真っ白な世界です。水なんてどこにもありません。
カッパちゃんは泣きながら歩いていました。
どうしてだかは分からないけれど、白い世界には壁も、天井も、床も無いのです。
見えるのは自分の姿だけ、聞こえるのは自分の泣き声と、ペタペタという足音だけ、感じる匂いは自分の匂いだけ、そして触れるものも自分の体だけなのです。勿論何も食べるものもないのですから、味覚も働きません。
喉も頭のお皿もカラカラです。次第にお腹もすいてきました。
カッパちゃんは、歩きながら考えました。今までの事 何も覚えていないから、考える事も無いのだけれど…。
それでもカッパちゃんは、精一杯考えました。
「私は誰なんだろう?今までどこにいて、何をして、どんな生活を送っていたんだろう?ここ以外に、世界っていうものはあるんだろうか?」
考えても無駄なことを、精一杯精一杯考えました。
何も覚えていない状態で、いきなり真っ白な世界に居たのです。怖いです、怖いですよね。


この場所は、時間っていう物があるのか無いのか分かりません。
カッパちゃんは、喉も乾いて、お腹は空いて、五感も完全に麻痺してしまって…そして、精神的にとてもとても苦しい事を考え続けながら、歩いていました。
どれくらいの時間、そうしていたのか分かりません。1分かもしれないし、1年かもしれない…。
無限に続く時間の中で、カッパちゃんは歩きながら、苦しみながら、ただ辛い事を考え続けました。
精神的にも、肉体的にも、辛くて辛くて…。
それでも何故か、倒れる事も、意識を失うこともできませんでした。

カッパちゃんは歩きました。何かに導かれているかのように、白い世界を、限界に近い体力でただただ歩きました。
なんの変化もなく、延々と続く時…
カッパちゃんは、それを打ち破りました。突然その場に座り込みました。座っても床が無いので、床の感触はありません。
かっぱちゃんは突然大泣きをし始めました。
「うぁ〜ん…怖いよ、怖いよぉ…」



…すると…
ふっ、と、視界が開けたような感じがしました。



「カッパちゃん、とってもうなされていたけれど、大丈夫?」



お母さんの声がして、カッパちゃんは目を覚ましました。体中、汗だくです。

「どうしたの?怖い夢でも見てたの?」
お母さんが聞きました。心配そうに覗き込んでいます。
「覚えてないけど……でも、とっても怖い夢だった…」
カッパちゃんは言いました。
2006-04-16 16:04:13公開 / 作者:みぃにゃん
■この作品の著作権はみぃにゃんさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
読むと気持ちが暗くなる作品かもしれません。
読んで下さった方々、気分を害してしまい申し訳ないです。
この作品に対する感想 - 昇順
作品を読ませていただきました。童話のようなノリで読みやすくはありますが、オチがオチだけに途中のカッパちゃんの不安感をもっと描いてオチの安心感を強めて欲しかったです。また、オチを考えるとカッパちゃんが自己の情報(記憶)を失っていることは解せませんねぇ。母親に対する想いとかがあった方が不安感が出たと思います。では、次回作品を期待しています。
2006-04-22 09:09:56【☆☆☆☆☆】甘木
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。