『成層圏の色(修正)』作者:甘木 / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
散歩の途中、偶然にも成層圏の色を見た。それはボクの憧れの色。憧れ続けた成層圏の色を目の前にボクは……
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原稿用紙約13.74枚
 ――あっ、成層圏の色。
 それが目についたのは、ほんの偶然からだった。



 風は強かったけど天気のいい日曜日。ボクはたいした目的もなく、ぶらぶらと住宅街を歩いていた。
 ――駅前のマンガ喫茶にでも行けば時間を潰せるだろう。
 健全な高校生としては、せっかくの休みなのだから、昼寝三昧というものをしていたかった。いや、する気満々だった。なのに母さんがカラオケ教室の仲間を呼んで、自宅でカラオケ大会をはじめた。いい歳したオバサン連中が昼間っから酒を飲んで、ワケの分からない歌を歌いまくる。とても寝ていられるような状況じゃない。例え寝られたとしても悪夢にうなされるのは間違いなし。ボクは母さんたち熟女の――ババアなんて言ったら殺されちまう――毒気から逃れるべく自宅を出た。
 どうせ時間はあるんだと、いつもとは道を変えて駅まで歩く。
 と、ボクの目の前で紙が宙に舞った。
 それは新聞折り込みの特売チラシかもしれないし、テストで悪い点を取ってお母さんに見せられずに捨てられたテスト用紙かもしれない。紙は風に乗って、蝙蝠のようにひらひらと飛び続ける。
 ひらひら、ひらひら、ひらひら。でも、ときには紙飛行機のように、すぃーと真っ直ぐに。
 紙の動きが面白くって、気がつけばボクは立ち止まって行方を追っていた。紙は自分が主役になったとでも思ったか、上昇する風に乗って、ひゅぃっとさらに高く上がる。
 紙を追っていたボクの目に、
 ――蒼!
 えも言われぬ青さが飛び込んできたんだ。

 その色は〈蒼〉とでもいうのだろうか。地上から見上げる空の青さより深みがあり、深い海の青よりも濃い。
 紺色でもない、縹色(はなだいろ)でもない、藍色でもない。褐色(かちいろ)、露草色、青黛色(せいたいいろ)、瑠璃色――ボクの知るどんな青にも喩えようのない色合い。一つの色でありながら色々な青が混ざっているみたいだ。
 光の加減で、深い闇に潜む微かな青味のような鉄紺色から、仄かに緑色を帯びた納戸色へ、そして清涼感を持つ鮮やかな水藍色へと暈繝を醸し出す。深山の清流のような天空色にも、凛冬の夕暮れのような青鈍色にも、濡れる紫陽花のような紅掛空色にも、地表に露出した藍銅鉱ような群青色にも見える。一つの色に留まることなく変幻自在に色相を変化させていく。
 しかし、〈蒼〉に周りの色が映ることはない。薔薇色、桜色、臙脂色、藤色、菫色、松葉色、若草色、黄檗色、女郎花色、栗皮色、木蘭色、空五倍子色、卯の花色……周りには幾十の色があるのに、〈蒼〉は〈蒼〉のまま。まるでそこの空間だけが周囲とは別のものでもあるかのように、他色に染まることなく弧を保っている。
 この〈蒼〉をなんと表現すればいいのか……うまい言葉が出てこないことがもどかしい。
 父さんの葬儀が終わった後、息苦しさから浜辺に行って見た水平線の青さではない。木枯らしが吹く日に見た空の滄ではない。盛夏に山頂から見た山を包む木々の碧ではない。
 そうだ! この〈蒼〉は成層圏と同じ色だ!


 子供の頃テレビで観たスペースシャトルから撮影した地球の姿に――地球の青さと、宇宙の漆黒の間にある、神秘的な深みをたたえた成層圏に――〈蒼〉があった。
 成層圏はどこまでも広がる宇宙への入り口であり、命溢れる地球を守る殻のようにも見える。それは未知への冒険心を掻きたてる色であり、同時に安らぎをもたらす色でもある。強いて言えば、夢や憧れを具現化した色。子供だったボクは番組が終わるまで画面に目を奪われていた。
 ――成層圏はなんて綺麗なんだ。宇宙と地球の境目をこの目で見てみたい。あの蒼に触れてみたい。
 あの日からボクは成層圏に行くことに憧れた。少しでも成層圏に、あの〈蒼〉に近づきたかったから、中学校では天文部に入部した。
 でも、地上から見上げても成層圏は見えなかった。あの薄い皮膜〈成層圏〉は宇宙からじゃなければ見えない。宇宙に行かなきゃ、宇宙飛行士にならなきゃ…………ボクにはダメだ。宇宙飛行士になるなんて絶対無理。だって頭は人並みしかないし、なにより運動神経があんまりよくない。
 中学生になれば少しは自分というもの、自分の限界というものが見えてくる。それは往々にしてもっとも見たくない形で……中三になった時にボクは天文部を辞め、成層圏への憧れも胸の奥にしまい込んだ。成層圏なんて忘れよう。あの〈蒼〉は決して手の届かないものなんだ…………。


 この三年間、無理矢理忘れていた成層圏への夢。なのにいま、成層圏を思い出させる〈蒼〉が風にゆらゆら揺れている。
 それは――蒼いブラジャー。
 マンションの二階のベランダで、色とりどりの下着と一緒に干されている、飾りもない蒼いブラ。
 普通ならフリルやレースの付いた煌びやかな下着の中にあって、シンプルな蒼いブラなんて極彩色の中に埋没してしまうだろう。でも、蒼いブラは周りの色に飲み込まれることなく、確固たる存在感をボクの目心に突きつけてくる。
 別にブラが珍しいわけじゃない。ボクの家は母さんと、OL一年生の千春姉ちゃん、短大生の裕美姉ちゃん、高一の麻璃子。父さんは一昨年前に交通事故で死んでいるから、女ばかりの家なんだ。ブラなんて家中に干してある。色も形もさまざま、もちろん青いブラだっていっぱいある。
 でも、あの蒼いブラと同じ色はない。
 光沢のある柔らかな曲面で構成されるカップ――きらきら輝いているのではなく、水銀の表面のように鈍た光を湛えている。てろんとした表面は、触ればきっと上質の絹のように滑らかにちがいない。そして、どこまでも深みのある青さ。
 ボクの心を捕らえて放さない〈蒼〉。
 蒼、蒼、蒼…………あれは成層圏の蒼だ。
 ボクの憧れ。ボクが欲しかった空の色。ボクが触れたかった成層圏の色があそこにある。
 決してたどり着けない成層圏なのに、同じ色を纏ったものがすぐ近くにある。
 忘れようとしていた成層圏への気持ちが蘇る。同時に成層圏へ行けないことへのもどかしさ、諦めてしまった自分自身への怒り、成層圏とひとつになれない悲しみも蘇る。失望という苦い味が舌の奥に広がる。忘れていたと思っていたのに……忘れられたと無理矢理思いこんでいたのに。
 でも、あのブラがあれば、あのブラをつければ、きっとボクは成層圏とひとつになれる。ボクの心は成層圏へと上れる。理由なんて分からない。ただそんな気持ちがボクの中で大きくなっていく。
 あのブラが欲しい!


 マンションは塀で囲まれていて入れそうにない。けれど隣の廃屋の庭に大木が生えている。大木は四方八方に枝を伸ばして、そのうちの数本はマンションの方に太い枝を伸ばしていた。あの枝を伝っていけば。運動神経が鈍いボクでもなんとかベランダまで行けるかもしれない。
 ベランダに行ければ……あのブラに触れることができる。あのブラをボクのものにできる。
 下着泥棒は恥ずべき犯罪と言うことは理解している。けれどもどうすればいいと言うんだ。素直に『あなたのあのブラを下さい。お金は払います』とでも言うのか。冗談じゃない、そんなこと言ったって良くて門前払い、悪くすりゃ変質者と言うことで警察に連絡されちゃう。だから仕方がないんだ。
 女の人ならブラなんて何枚も持っているさ。一枚ぐらいなくなったって、そんなに困るはずはないさ。ひょっとしたらお気に入りのブラってワケじゃない可能性だってある。だから一枚くらい盗ったって……。
 ばれなきゃボクが盗んだなんて分からないはず。幸い人通りはないし、大木は葉っぱが茂っていて周りからは見つかりづらいと思う。この機会を逃したら、いつまたあのブラに会えるか分からない。これが最後のチャンスかもしれない。
 ボクは錆びた門扉の隙間を抜けて、廃屋の庭に入っていた。

 木は思っていた以上に登りやすかった。でも、登って初めて分かったことがある。それは、このマンションは半地下式とでも言うのだろうか、地面を掘りこんで建てられていた。道路から二階に見えたのは実は三階で、実際は一軒家の屋根の上と同じぐらいの高さはある。そのうえ下は駐車場になっていてコンクリートで固められている。落ちたらただじゃすまない、へたすりゃ首の骨を折って死ぬ危険だってある。
 自慢にもならないけど、成層圏に憧れていたくせにボクは高所恐怖症だ。今だってシャレにならないほど怖い。枝に抱きついていても脇や背中に冷たい汗が流れている。なるべく下を見ないようにしているのだけど、ボクの心に反して目が勝手に下を見てしまう。胃袋が半分になってしまうんじゃないかと思えるほど収縮し、背筋に痛みを伴った冷たさが走る。
 ――怖い、怖い。怖いけれど早く行かなきゃ。早くベランダにたどり着かないと。
 グズグズしていたら誰かに気づかれてしまうかもしれない。もっと急がなきゃ。頭上に張った枝に掴まってなんとか立ってみた。案外枝はしっかりしていてたわむこともない。ボクは動物園のオラウータンのように、両手で頭上の枝を掴んで横向きで進む。
 手のひらに汗が滲んで滑りそうになるたび、ジーパンに手のひらをなすりつけベランダに一歩一歩近づく。
 やっとのことでマンションのベランダに手が届いた。全身汗に湿っている。ここに来るまでに冷や汗で一キロは体重が落ちたかもしれない。ボクはベランダの柵に身を預けて呼吸が落ち着くのを待った。緊張を続けすぎてぼやける視界の隅で〈蒼〉が動いた。
 ――蒼!
 目と鼻の先にあの〈蒼〉があった。無防備に風に揺れている。揺れるたびに〈蒼〉が光を吸い込んで、数限りない青の変化を見せる。まるで太陽の光を受けて輝く成層圏のように――ああ、やっぱりこれは地上に降りてきた成層圏なんだ。
 おっと、見とれている場合じゃない。この状況を誰かに見られたらどうやっても弁明なんてできない。ボクは一度だけ大きく息を吐いて、蒼いブラを掴む。
 じゅくっとした湿り気がボクの心に罪悪感というものを芽生えさせた。
 ――分かっている。これは犯罪だ。でも、どうしょもないんだ!
 自分の弱さごとブラをパーカーの中に突っこんで、ボクはベランダの柵を乗り越える。
 どこをどう伝わってきたかなんてほとんど覚えていない。途中で足を滑らせ枝から落ちかかって、枝を蹴ってぶつかるようにして幹に抱きついたことは覚えている。左腕を嫌な角度でぶつけ、叫び声をあげそうになったのを歯を食いしばって我慢した。その他にも脇腹や顔も熱を帯びたようにヒリヒリしているが、確認している時間なんてない。
 死ぬ思いで地面に下りた時は、不覚にも腰が抜けたように座りこんでしまった。
 何分座っていたのだろう。立ち上がった時には全身の汗が嫌に冷たく感じられていた。
 ボクはジクジクと痛む左腕を曲げて、パーカーのお腹を押さえる。お腹にはじっとり湿ったブラの感触。パッドのふくらみが見えないようにパーカーの前ポケットに両手を突っこんだ。
 ――だ、誰も見ていないよ……な。
 ボクは何度も周りを見回して。ゆっくり歩き出す。本当は走って帰りたいのだけど、急に走り出したら怪しまれるような気がして我慢した。前屈みになりそうな身体を無理矢理真っ直ぐにする。
 心臓がドキドキしている。周りの風景が目に入ってこないのに、誰かに見られているような感じがして落ち着かない。ゆっくり歩かなきゃいけないのに、足がだんだん速くなっていく。
 ――早く家に帰ろう。一刻も早くブラをつけたい。

 母さんたちはまだカラオケを続けていて、ボクが帰ってきたことに気が付いていない。ボクは足音が響かないように階段を上り、部屋に入ると鍵を掛けた。
 ――やった! やった! やった! 手に入れた。ボクはついに手に入れたんだ!
 ボクはパーカーに手を突っこんでブラを取り出そうとするけど、気ばっかり焦って手がうまく動いてくれない。イライラしてきてパーカーを脱ぎ捨てた。ブラはパーカーと一緒に床に落ちる。ボクはブラを拾い上げ両手の上に置いてみた。まだ湿っていたブラは懐の中で人肌に温まっていた。そして湿り気を帯びた〈蒼〉は一層深みを増し、深遠なる宇宙の一端を垣間見たような気分させてくれる。
 やっぱりこのブラは特別なんだ。このブラはボクを成層圏まで連れて行ってくれる。きっとそうだ。そうに違いない。
 成層圏はもう目の前にあるんだ。これさえつければ……成層圏に。
 ボクはブラをつけた。
 ………………。
 …………。
 ……。
 ぶかぶか……だ…………。
 アンダーは同じなのにカップが違いすぎた。カップはEカップ――ボクのAカップの胸じゃ内側のコットンパッドまで届かない。どんなに脇のお肉を寄せても、虚しい隙間が広がっている。
 同じ女なのにどうしてこんなに差があるの。
 千春姉ちゃんも裕美姉ちゃんも麻璃子も母さんに似て胸はCカップ以上あるのに…………どうしてボクだけ胸が父さんに似ちゃったかなぁ。
 蒼いブラの中にあるボクの胸とカップまでの絶望的な差。

 それは、ボクと成層圏までの距離のように、決して届かない距離があった。


 おわり。
 
2006-03-29 23:13:36公開 / 作者:甘木
■この作品の著作権は甘木さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
SSにするつもりだったのが、ここまで長くなってしまいました。
現実ではあり得ない設定だとは思いますが、小説と言うことで勘弁していただけると幸いです。

このような作品ですが、読んでいただけたら、感想をいただけたら幸いです。

微修正いたしました。
この作品に対する感想 - 昇順
拝読しました。読んでいる間中始終ニヤニヤニタニタして気持ち悪いことこの上ない人間になっておりました。成層圏の蒼とブラの蒼が良い具合でありました。良いなぁ蒼いブラ。オチは見事に騙されました。もしかしたらそれは私が一部の嗜好を持った人間だからかもしれませんが、大いに爆笑させていただきました。良いな。ブラ。あと、色の名前をよく調べられていた凄いな、と。いやはや面白かったです。ブラの持つ別の一面を見せてもらった気がします。変な感想で済みませんでした。
2006-03-26 22:27:36【☆☆☆☆☆】水芭蕉猫
 こんばんは、座席です。
 どこの爽やか少年かと思いきや、若さ故の過ちだとか微妙な年頃の揺れる心だとかボクっこだとか実にさわやかな作品でした。雰囲気にほんわかな暖色があって良いと思います。(まあ確かに小説等創作物故の独特な設定ではありますが)オチが主人公の過ちの緩和にもなっていたと思います。さわやかなまま終わったのですっきりとした読後感がありました。次回作も期待しています。
2006-03-26 23:11:51【☆☆☆☆☆】座席
読ませて頂きました。オチが「え!?」というもので、ちょっとビックリしました。内容がとてもまとまっていたし、読みやすくて良かったです。後味もすっきりしていて面白かったです。次回作も楽しみにしています!! 失礼しました。
2006-03-26 23:24:25【☆☆☆☆☆】聖藤斗
拝読させていただきました。あ、やばい。にやにやが止まらない。色彩の表現の細かさや、全体の雰囲気の柔らかさ。少年だと思っていたけれど、ボクが一人称の女の子というオチも予想してませんでした。いやはや、堪能するところがたくさんあって、大満足で御座います。ええ、ものすごく些細な事では在るのですが、『あのブラをボクのもにのに』の部分は、『ボクのものに』でしょうか?素晴らしかったです。それでは次回作をお待ちしております。
2006-03-26 23:37:02【☆☆☆☆☆】渡来人
読ませて頂きました。面白かったです。ただ、全体の流れと落ちがアンバランスかなと。成層圏への憧れ、下着泥棒への転換が異常であるため最後が弱くて安定感が無い。しかし成層圏からブラへの移行は突飛なのに巧い具合に読まされて終始ニヤ付いてました。何より幼き頃から宇宙に浮かぶ地球の青に心を奪われていた私には、宇宙を諦めた、あの下りは堪りませんでした。ああ、月から地球を眺めたい。特に青への強い憧れ、堪能させて頂きました。ではまた、ゲドで。
2006-03-26 23:40:11【★★★★☆】ミノタウロス
 なんだか、書きながら苦笑いしている甘木さんの顔が浮かんできました。
2006-03-26 23:58:23【☆☆☆☆☆】clown-crown
読ませて頂きました。いやはやなんとも…。始終爽やかで終わると思いきや蒼いブラですか。久し振りに文で笑わせて頂きました。有難う御座います。展開が突飛なのに気付けば読んでいて、ああ、やっぱり私の性癖の問題か。色の名前などよく調べられていて凄いと思う傍ら、どんな色か分からないのでイメージを喚起し難かったです。私は。それでは又機会があれば読ませて頂きます。ありがとうございました(?
2006-03-27 01:26:53【☆☆☆☆☆】蘇芳
お久しぶりです、読ませていただきました。なんか壮大なお話かと思いきや、どんどん身近に降りてきて最後は下着ドロって。しかもボクって言いながら女の子!胸のサイズが足りないのを成層圏までの距離と結びつけるのは(気持ちはわからんでもないですが)、せっかくなのでもうひとひねりあったらさらにストンと気持ちよく落ちたかなとは思います。でも、甘木さん節だなぁと楽しく読めました。
んが。この子、色の名前とか詳しすぎじゃないでしょうか。何もそんなに挙げる必要はなかったかと。甘木さんの博識っぷりは以前から存じ上げておりますが、高校生でしかも女の子がとっさにこれだけコアな色の名前をだーーーっと挙げ連ねる……というのは、文字にするとものすごく浮いて見えます。この部分、書き手である甘木さんが思いっきり出てきちゃってます。たまたま色の名前に詳しい子もいるかとは思いますが、わざわざ振り仮名をふらなきゃ読めないような名前なら、〜のような色、〜みたいな色、程度に抑えておいたほうが、主人公の子の性格も引き立ったのではないかなぁなんて愚見を述べさせていただきますね。ひとさまの下着見て、成層圏の色だーって言って盗んでくるくらい特殊なな感性持った子に、難読固有名詞の羅列はあんまりかと。
ではでは、次回作も頑張ってくださいませ。
2006-03-27 01:39:44【☆☆☆☆☆】有栖川
拝読させていただきました。前半は…今回は『色』をテーマにした物語かな? と思いきや、中盤…あれぇ、ゲドウ戦記の番外編!? そして、ラストの叙述オチ。無難に楽しめました。 
2006-03-27 10:51:12【☆☆☆☆☆】九宝七音
拝読させていただきました。時貞です。うーむ、ここまで壮大(?)な動機を持った下着泥棒がかつて存在しただろうか(笑)前半の叙情的な文章と中盤からの物語のギャップに思わずのけぞりました。やはり甘木様のコメディは読みやすい。手に汗握るブラジャー奪取の冒険をニヤニヤしながら読み進み、「一刻も早くブラをつけたい」で爆笑してしまいました。このまま素直にお笑い系で終わるのかと思いきや、ラストに叙述トリック的なオチを持ってくるという。この辺りが僕的にポイントでした。素直に面白かったです。それでは、【ゲドセン】の更新並びに次回作をお待ち申し上げます。
2006-03-27 14:10:19【★★★★☆】時貞
私も、この主人公のやや舌足らずな幼さと、文学的色彩言語に少々違和感を覚えました。成層圏とブラ、少年と見せて実は少女オチ、Aカップオチ、そんな多層的趣向も、やはり違和感が勝ってしまい、むしろ徹底的文学少女(なぜか成層圏フェチ)がやむにやまれずマンションをよじ登っていく構図にまとめても、Aカップオチを含めて、大いに感慨深い短編となりそうな……。
2006-03-28 02:08:26【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
……お、おおっ……――以上。いや本当、それ以外に台詞が思い浮かばないんですよ。途中から一気に壊れたこの物語、何かもう訳のわからない内に爆笑していた自分がいる。確かに天文から一気に変な方向に流れて行くこと、加えてラストのオチへと変化する違和感はあるにはありますが、そんなものをすべて吹っ飛ばして、「よくもまあこんな話を書けるものだ」と、いや書けてもそれを投稿するその度胸に絶大なる拍手を捧げたく思います。さすが甘木ワールドである、もう何でもありだ(笑
2006-03-28 16:05:33【☆☆☆☆☆】神夜
電車に乗っていた時、唐突に脳裏に浮かんだ「蒼いブラジャー」の単語から思いついた作品。私なりに色々な試みをした作品だったので、皆様からの意見・感想を聞けたのがなにより嬉しかったです。
 >水芭蕉猫さん、ありがとうございます。男の私にとってブラジャーは必要のないものだから、非日常のものなんです。それ故、強引なこじつけで色々と作品を遊べた感じがしています。にやついていただけたら大成功です。その感想に素直に喜んでいます。この作品は水芭蕉さんから色々なアドバイスをいただいたから完成した作品です。本当に感謝しています。
 >座席さん、ありがとうございます。現実の下着泥棒の生臭さを描きたくなかったので、爽やかの言葉は本当に嬉しいです。色々と設定的な無理もあったと思いますが、爽やかさが余韻として残ったのなら書き手冥利に尽きます。この作品は短いわりにやたらと苦しんだ作品なので、不快感を与えず終われたことが知れて嬉しいです。
 >聖藤斗さん、ありがとうございます。ラストで「えっ」と思ってくれましたか。嬉しいなぁ。ラストを色々考え、何度も書き換えた作品なので、その御言葉はしてやったりと、これを書いている今も嬉々としてしています。
 >渡来人さん、ありがとうございます。楽しんでいただけましたでしょうか。読んだ方に堪能していただけたのなら、もう嬉しくて嬉しくてブラの話しだけにEカップがみっちり埋まりそうなぐらい感謝の気持ちでいっぱいです。また、御指摘ありがとうございます。早速直させていただきます。
 >ミノタウロスさん、ありがとうございます。この作品短いくせにやたらと詰まって、何度も書き直したりしたものですから、文章のリズムがチグハグになってしまっていたかもしれません。この辺りは今後の課題ですね。御指摘の真摯に受け止め、できる限りの努力をしていきます。宇宙の蒼への憧れが伝わったとしたら嬉しいです。私も宇宙が好きなので力が入りすぎていないかな、と言う不安もあったものですから。
 >clown-crownさん、ありがとうございます。滅相もないです。苦笑いところか苦悶の表情ですよ(笑。私は男で社会人です。その私が朝から晩まで一日中蒼いブラジャーのことを考えて悶々としているんですよ。他人が見たら笑い話、当人は苦悶。ま、これがコメディー書きの定めなんでしょうね。
 >蘇芳さん、ありがとうございます。笑っていただけましたか。嬉しいです。読んだ後に「バカだぁ」と言っていただけたら本望ですから、本当に嬉しいです。色については、同じ表現を避けたくて色々出したのですが、同系色だしイメージしづらいですよね。もっとイメージしやすい表現の勉強します。
 >有栖川さん、ありがとうございます。高い位置から低い位置へとだんだん物語を崩壊させていきたかったので、このような書き方になりました。そうか、ラストをもう少し切り口を変えた方がよかったですか。あんまり生臭いオチにしたくなかったから曖昧にしたのが裏目に出たようですね。もっと勉強します。色の表現は失敗だったかもしれませんね。「〜のような」「〜みたいな」を多用したくなかったので、色の名前だけで済ましてしまいましたが……浮いているなぁ。ここも反省材料とさせていただきます。
 >九宝七音さん、ありがとうございます。ゲドウと系列は同じですよね。書いていて自分でも感じました。それ故ラストに苦しみ、叙述トリックで逃げてみました。それと読者の惑わせてみたいという、書き手の嫌らしい部分もあったんですよ。だから、「色」とか、「成層圏」とか、「ブラジャー」とか色々力点を変えてみました。
 >時貞さん、ありがとうございます。その通りで、真面目な切り口から、だんだんと低俗なものへと作品の雰囲気を変え、ラストにひとひねり入れてみようという意図があったので、こんな感じになりました。下着泥棒という生臭い犯罪を、どれだけ笑いに持っていけるかと言う意図もあったので、楽しんでいただけたようでほっとしています。オチには本当に苦しみました。何度書き換えたか覚えていませんが、本当に書いてよかったと思っています。
 >バニラダヌキさん、ありがとうございます。バニラダヌキさんし御指摘を受けるまで、そのような切り口に全然思い至りませんでした。うーん、失敗した。その切り口の方が面白そうです。そちらの方が、弱いこのオチでもオチのインパクトが生きてきたですね。御指摘をもらって嬉しいのと同時に、どうしてその切り口が浮かばなかったのかと自分自身に呆れています。機会を見つけて、その切り口で書いてみようと思っています。
 >神夜さん、ありがとうございます。褒められているのだか、呆れられているのだか分からないなぁ(笑。いえ、どんな御言葉でも嬉しいです。なにせ、甘木は笑いをとってナンボの精神で作品を書いていますから、どのような笑いでも、読んだ方に笑っていただけたら最高に嬉しいです。力業と常識なしが甘木ワールドの本質です。これからも、何でも有りの精神で頑張る所存です。
 皆様の貴重な御言葉、本当嬉しくて、モニターに向かって頭を下げています。皆様が貴重なお時間を割いてこの作品を読んで、感想をしていただいたことに改めて感謝致します。
2006-03-29 23:10:07【☆☆☆☆☆】甘木
 こんばんは、甘木様。上野文です。
 「成層圏の色」を拝読しました。
 ひとは手に届かないものだからこそ、憧れるのかも知れません。
 でも、犯罪(むしろ変態)に手を出しちゃダメでしょー。
 入りとオチの落差がトリックじみて、可笑しく。
 それを支える色のイメージというか、鮮烈な鮮やかさがとても楽しいコメディーだと思いました。
 面白かったです♪
 では、また。
2006-03-30 05:22:43【☆☆☆☆☆】上野文
 >上野文さん、ありがとうございます。コメディは楽しいはずなのに、書いている最中は悶々と七転八倒していました。でも、可笑しいの御言葉をもらえただけで、書いた甲斐がありました。最近、色という物の表現に挑戦したいなと思っていたので、しつこく色を書いてみました。なかなか上手くいかないものですねぇ。少しでも色のイメージを鮮明にする勉強をしなきゃいけないとしみじみ感じました。貴重なお時間を割いて読んで下さったことに、成層圏への憧れ並みの強い感謝を捧げます。
2006-03-30 22:20:44【☆☆☆☆☆】甘木
こんばんは。非常に真摯な小説かと思い覚悟を決めて読みましたが、良い意味で期待を裏切られ非常に痛快でした。
犯罪までしてブラに固執するという発想は少々首をひねるところもありましたが、結末が非常にすっきりとしていて犯罪をしたという重い雰囲気が和らいでいるのは甘木様の腕のなせる業ですね。
では、失礼いたします。執筆頑張ってください。
2006-04-06 00:11:17【☆☆☆☆☆】鷹月
 >鷹月さん、ありがとうございます。済みません、真摯な小説じゃないです。いや、下着泥棒と言うことに関しては真摯かもしれませんが(笑。下着泥棒を生臭くしたくなくって、やや曖昧に書いたのが弱かったですね。もっと下着に対する渇望をリアルに書いた方がよかったかなぁ……でも、下着泥棒なんかしたことがないから、リアルに書くのって難しいです。とにかく重い感じを与えなかったので、すっきりしていたという御言葉は嬉しいです。この作品で少しでもニヤリとしていただけたとしたら幸いです。改めて、読んでいただいてありがとうございます。
2006-04-06 22:21:07【☆☆☆☆☆】甘木
計:8点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。