『へっぽこ』作者: / ANV - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角2006文字
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原稿用紙約5.02枚
おれはいつのまにかこの世で最強の男になっていた。
子供のころから勉強もスポーツもせずにただうちこんでいた空手ももう3段だ。
20になったいまでは道場にはすでに敵はいない。
おれはそんな退屈な道場を飛び出して本気の闘いを望んでいるようになった。
そして、いま夜の新宿をあてもなく歩いている。
おれは強者を求めていた…おれが最強のはずではない、それだけはわかる。
だが、いますれ違う人間からはなにも感じない…この人ごみの中、金髪の坊主頭の男がおれ「北沢 広澄」だ。
おれは人と接触することなくスルスルと人ごみをかいくぐる。
酔っ払いやらバカな高校生の集団がいやでも目に付いた。
おれはやさしい男だ。喧嘩を売る気はないのだが…
「おう、兄ちゃん金貸してくれよ」
ハゲの男がオレにからんできた。
どうやら今日もらしい…ここ毎日だ。
おれはいつものように男の手を強く握った。
そうすると小鳥のように静かになってしまうのだ。
ミシ、ミシと音をたてる男の手…おれはなにごともないようにその場を立ち去った。
そして、家の近くの公園で一息つく。
「どうやら…今日も一人かかったらしいな」
公園のすみから一人の男が現われた。
身長が190はあろう巨漢の男…厚い胸板とでている腹はかなり鍛えこんでいる。
坊主頭がどこかで見たことがある。テレビだ。
「へえ〜、畑山じゃねーか。柔道100キロ超級の…オリンピック選手」
おれは落ち着いて肩って見せたが、足の震えが止まらなかった。
いままでであったことのない規格外の男がそこにいたのだ。
「…真剣やりたいんだろう」
その男は明らかに同じことを考えていた。
おれは一段と震えを増す。
そうか、強者ってのはそうでなくてもひきつけられるものなんだ。
おれの震えが頂点に達した時、おれは飛び上がり、男の上半身に何発か拳を入れた。
…だが、男の体は倒れなかった。
よろつきながらも体制をもどす。
おれは出鼻を見事に砕かれた…全力で放った拳がきかないなんて。
サイズが違いすぎる?いや、そんなのはいいわけだ。
おれは…動けなかった。その一瞬で畑山はおれのムナグラを掴んで…。
おれはいつの間にか上を見ていた。
ここは?おれは背中に壁があるのを感じた。
壁?…否、地面だ。
おれの脳天が地面に叩きつけられいた。
うすれゆく景色の中におれは去り行く畑山の姿をみる。
これが真剣か…おれは最後の気力を絞った。
「またな」

そう、おれは畑山に一撃でやられた。
だが…そんなことは関係ない。

半年後、日本国技館会場…。
この日、会場は悲鳴でいっぱいになっていた。
観客の視線は試合場の男にむけられていたのだ。
畑山 将…その姿をみようと集まった会場いっぱいの5000人の観客。
畑山は優勝を手にし、観客に手を振っていた。
「まさに…畑山、最強です。もはやこの人に敵はいません」
いつまでも続く拍手と歓喜の嵐。
そんな畑山の姿を見つめる会場の一番前に腰掛ける帽子の男。
その異常性はまわりの客を騙すことはできていなかった。
がっちりとした筋肉質の体を隠すことは…。
男はまっすぐに畑山を見ていた。
そして、一気に試合場の上まで飛び上がる。
感性が切るように途絶えた。
これからなにが起きるのかはみんなわかりきっていたのだ。
「半年振りだな…畑山」
金髪のボウズ頭に浅黒い肌の男…北沢だ。
畑山はいまのこの状況にたいして眉一つ動かさなかった。
「…あれからたった半年だぞ」
畑山は柔道着の上を脱いだ…さらけだされた鍛えられた肉。
畑山はこの状況で至ってクールだった。
そんな畑山をよそに北沢はマイクを取り出す。
「おい、みんな、今日は畑山さんが真剣になるらしい…今日来れたやつはラッキーだったな…でもよー…気分悪くすんなよ」
北沢のかまえるファイティングポーズ。
明らかに半年前とは別格の気を畑山は感じ取った。
その気は濃い獣臭のようなものをはなっている。
畑山はその気を直に受けた結果…。ズズズズ
初めての出来事だった…柔道の申し子である畑山が気おされた。
観客は息を飲む…この試合は柔道なんかじゃない。
これは…「てめえ、がら空きなんだよ!」
北沢が放った一発の前蹴りは畑山のみぞおちをとらえた。
強烈な一撃は半年前と比べものにならなかったのだ。
その一撃は…畑山を落とすことはできなかった。
しかし、「おえええええええええ!」
神聖な柔道の試合場…そこで畑山は吐いてしまったのだ。
観客はその一撃を見て思った…北沢の勝ちだと。
残酷な光景だった。試合場をのた打ち回る畑山の悲鳴…。
会場はもう言葉にならない空気につつまれている。
「あららら」
2006-01-30 13:57:54公開 / 作者:鉄
■この作品の著作権は鉄さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
こんにちわということであいさつとさせていただきます。
この作品に対する感想 - 昇順
拝読しました。一行目と六行目の軋轢が気になりました。次回更新御待ちしております。
2006-01-23 18:43:48【☆☆☆☆☆】京雅
[簡易感想]もう少し細かい描写が欲しかったです。
2006-01-24 18:09:54【☆☆☆☆☆】座席
まずは利用規約を読み正規表現を守る事が第一。それでは
2006-01-28 21:08:23【☆☆☆☆☆】渡来人
多くの小説を読んで、自分の能力を知りましょう。それでは。
2006-01-29 06:12:40【☆☆☆☆☆】恋羽
此処の小説を読み、感想を書いてみるのも手です。それでは。
2006-01-29 16:03:06【☆☆☆☆☆】猫舌ソーセージ
 読んでいると、何とはなしに可笑しかった。
 このヘタウマ加減を自覚的にできると面白いと思う。
2006-01-31 21:40:47【☆☆☆☆☆】clown-crown
作品を読ませていただきました。小説というものの血肉を徹底的に排除したら、この作品のようになるのかな。一種の実験作品と受け止めておきます。では、次回作品を期待しています。
2006-01-31 23:13:18【☆☆☆☆☆】甘木
[簡易感想]もう少し細かい描写が欲しかったです。
2006-02-01 11:31:56【☆☆☆☆☆】鷹月
続き拝読しました。物語として楽しむ箇所が無かったです、展開が速過ぎます。次回更新乃至次回作御待ちしております。
2006-02-03 03:09:39【☆☆☆☆☆】京雅
初めて会って言うのもなんですが、少し文が読みにくいのと、表現がちょっと小説っぽくない気もしました。それとその場面場面の中の状況が理解しずらかったです。ケンカものもいいと思いますが、突っ走りすぎるとちょっと大変かな、と思いました。
2006-02-03 14:22:42【★☆☆☆☆】廻斗
計:1点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。